企業会計審議会 第二部会 議事録

日時:平成12年2月9日(金)午後2時00分〜午後3時58分

場所:大蔵省第四特別会議室

 

○脇田部会長 それでは、定刻になりましたので、これより第3回第二部会を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 なお、本日は公務御多忙のところでございますけれども、林大蔵政務次官が御出席になることになっておりますので、後ほどお見えになりましたら御挨拶をいただくことにいたしております。

 それから、委員の異動につきまして御報告をいたします。2月6日付で高田委員が御退任になり、山浦臨時委員が委員に就任されておりますので御紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

○山浦委員 山浦でございます。微力ですけれども、よろしくお願いします。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それでは、早速でございますけれども、本日の議事に入らせていただきたいと思います。

 本日は前回に引き続きまして、皆様方からのヒアリングを行わせていただきます。本日は3名の委員の皆様方にお願いしております。3名の皆様方に続けて御報告をいただきますと長くなりますので、途中で質疑を行い、そしてまた総括的な質疑という段取りにさせていただきたいと思います。

 まず、行政の検査も受けておられます金融機関のお立場から、梅山委員にお願いいたします。引き続きましてユーザーの立場から渡辺委員に御報告をいただくことにいたしております。そのあと友永委員から御報告いただきますが、そのお二人の済みましたところで一度御質疑をいただくということにさせていただきたいと思います。

 それから、今申し上げましたように、友永委員から企業の継続能力に関する公認会計士協会の研究報告などを御紹介いただきながら、監査報告書の問題なども含めまして御報告いただき、総括的な質疑、意見交換を行いたいというふうに思っております。本日もどうぞ活発なる御審議をいただきますようお願いいたします。

 それでは、早速でございますけれども、梅山委員から御報告をお願いいたします。

○梅山委員 梅山でございます。私からは「銀行の立場から見た外部監査の特徴」を中心に報告させていただきます。

 御承知のとおり銀行は、商法、証取法に加えまして、銀行法による規制を受けております。これは銀行は多数のお客様から預金をお預かりして貸し出しを行うという公共性が高い業種でありますので、業務の健全性や適切性が一般事業法人以上に要求されているということであります。そこで預金者保護、信用維持の観点から資産の健全性に配慮した会計処理が求められておりまして、御案内のように、資産の自己査定に基づく貸倒償却・引当制度も平成10年3月決算期から導入済みでございます。また、銀行法21条に基づくディスクロージャー誌による経営情報、財務情報等の情報開示や自己資本比率に基づく早期是正措置等さまざまな面から規制が設けられております。

○脇田部会長 梅山委員、政務次官がお見えになりましたので、ちょっと中断させていただきます。

 公務御多忙の中御出席いただきましてありがとうございました。せっかくの機会でございますので、御挨拶を一言お願いいたしたいと思います。

○林政務次官 御説明の途中で誠に恐縮でございます。これも一番大事な公務でございますので、おくれて参りまして大変恐縮でございますが、大蔵政務次官の林でございます。

 かねがね企業会計審議会、私も御相席をさせていただいて皆様方の御意見を賜りたいと思っておりました。今日は皆様方の御意見を賜りたいと思っておりましたが、国会等いろいろございまして、大分遅くなりましたけれども、今日は皆様の御意見を、いろいろ御議論をお聞きしたいと、こういうふうに思っております。

 実は私も自民党、こちらへ来る前に金問調の中にあります塩崎小委員会というのがございまして、そこでいろいろな議論にも加わってまいりました経緯もございまして、皆様が今御議論をまさにいただいている問題は、我が国の大きな経済のインフラとして大変に重要なものであろうというふうに思っておりますし、この会計を取り巻く国際的な環境も皆様御高承のとおり大変大きく動いているまさに激動の時期でございますので、我が国にとって何が大切なのかと。今から戦略的なお話を、ぜひ皆様の英知を結集していただきましてやっていただきたいとそういうふうに思っておるところでございまして、今後また委員の皆様方の御尽力をお願いをいたしまして、私からの御挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それでは、梅山委員、よろしくお願いいたします。

○梅山委員 ただいま申し上げましたように資産の自己査定制度に基づく貸倒償却・引当制度の導入と。またディスクロージャー誌による情報開示。自己資本比率に基づく早期是正措置、さまざまな面から規制が設けられておりますが、このようなさまざまな規制がありますのは、銀行は大量かつ多様な業務、専門性の高い業務を行っているために、さまざまなレベルのリスクが存在するからでありまして、リスク管理が重要だからということだと思っております。

 詳しく申し上げますと、銀行業務には伝統的な預貸資金、為替業務のみならず、証券業務、トレーディング業務、金融に付随するさまざまな業務があります。それぞれの業務にそれぞれのリスクがありまして、業務に関しまして単一のリスクということを抱えているわけではなくて、一つ一つの業務の中に複数のリスクが存在するということでございます。

 そのリスクを性格別に分類してみますと、資料にお書きしておりますが、例えば信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク、法務リスクなどを挙げることができようかと思います。さらに、この中の市場リスクを取り上げてみますと、その中には金利変動リスク、為替変動リスク、株価変動リスクなど多様なリスクがございまして、これらのリスクを含む取り引きは高度な専門性、高度なシステムにより管理を必要とする業務だということができようかと思います。

 このような事情によりまして、銀行は特にリスク管理体制を非常に重視し、自己責任のもとでリスクをコントロールし、業務の健全性、適切性を維持すべく努めているわけでございます。

 一方で、この自己責任で行うリスク管理を外部の視点からチェックいただくのが外部監査ということでございまして、我々の目の届かない部分、第三者の目から見たチェック項目等について日ごろ監査及び御指摘をいただいております。

 次に、資料の1ページ目の2番目でございますが、リスク管理に係る外部監査の活用という点についてであります。

 昨年4月に公表されましたいわゆる金融検査マニュアル、これは金融検査に際しまして、金融検査官のための手引書でございますが、一方で、金融機関につきましては自己責任原則のもとでこのマニュアルを踏まえ、創意工夫を凝らした詳細なマニュアルを作ることが期待されているものでございますが、この金融検査マニュアルのリスク管理体制のチェック項目の中に、ここに書いておりますように、会計監査人等による外部監査を受けているかという項目がございまして、外部監査の活用が求められております。

 こういったことから、銀行におきましても、リスク管理に係る内部管理体制の充実と並びまして、外部監査の一層の充実に向けての努力が欠かせないものでございます。例えば、金融検査マニュアルにおいて外部監査が必要とされているリスクを見てみますと、資料にお書きしておりますとおり3項目が挙げられます。すなわち、第1番目に内部管理体制。これはリスク管理体制を含む管理全般ということでございます。第2番目に市場関連リスク。第3番目にシステムリスクでございます。

 この3つの項目につきまして、現時点で当行の状況を申し上げますと、まず第1番目の内部管理体制の監査につきましては、金融検査マニュアルにおきまして、内部管理体制の有効性について、年1回以上外部監査が必要ということになっておりまして、私どもでは現在監査法人との間でどのように実施していくかという検討を進めているところでございます。

 第3番目のシステムリスクの監査につきましては、同じ金融検査マニュアルによりますと、3年に1回以上外部監査が求められているということから検討を開始したところでございます。

マル2に挙げました市場リスクにつきましては、BISによる自己資本比率規制に関連いたしまして、マーケットリスク規制が平成10年3月末より導入されました際に定期的な実施を義務づけられておりまして、市場リスク管理体制に係る監査体制は既に整備しております。

 市場リスク管理についての外部監査は、お手元の資料(2) にありますように、市場部門のフロント・ミドル・バックの組織区分と運営体制、デリバティブの評価モデル、市場リスクの定量化手続、リスク管理システム、この4項目において外部監査を実施しております。このように銀行の専門性が近年急速に進んでいることを背景に、外部監査の活用は当行におきましても引き続き注力している必要がございます。

 金融検査マニュアルにおきまして、外部監査が必要なリスクにつきましては、資料1ページの最下段(3) に取りまとめておりますので御覧ください。また、日本公認会計士協会の方でも各種の実務指針が出されておりますので、あわせて一番右側に記載しております。

 なお、この資料の真ん中辺に信用リスクというのがございますが、これにつきましては、会計監査の対象となっております。

 次に資料の2ページを御覧いただきたいのでございますが、海外の会計監査の現状ということでございます。海外に目を向けますと、主に次の2点が指摘できようかと思います。すなわち会計監査体制、リスクアプローチによる運用ということでございます。

 まず、会計監査体制でありますが、欧米の監査法人では業種別に区分された部門編成が一般的であります。担当する業界に対しては業種別に専門化したチームが監査を実施することにより、より専門的な監査を実施できる体制が整備されているようでございます。

 具体的な例を挙げますと、米国におきまして、スワップの仲介を行ういわゆるスワップハウスである当行の100%子会社の会計監査の例でございます。限られた時間でヒアリングしたもので不十分な点もありますが、次の3点が挙げられようかと思います。

 まず第1に、監査はキャピタルマーケット関連業種のチームが担当しておりますこと。第2に、定例の会計監査の一部といたしましてキャピタルマーケット業務の内部モデルの検証監査を行っていること。第3番目に、その内部モデルの監査担当スタッフは、いわゆるクワント――リスク計量――担当スタッフでありまして、数学や情報工学を専攻したり、金融機関のリスク管理部門やモデル開発部門での実務経験のある人々だそうです。このように複雑な数理計算、モデルを用いたデリバティブ等の取り引きは日進月歩、目を見張るスピードで高度化しておりまして、それを管理するシステムについても非常に複雑でありますので、専門的なスキルを持つ専門家の活用なくしては十分な監査を行うことは全く不可能ということがいえるのではないかと思います。この点を補うため、欧米では会計士以外の専門家の利用が非常に盛んのようでございます。

 このような事情から、監査の運用につきましても、我が国とは異なるようでございまして、例えば、前回高山委員の御報告にございましたような年間監査計画に関しまして、監査計画の立案の部分について、欧米ではリスクの所在を非常に綿密に検討することに多くの時間をかけているようであります。また、監査実施過程の文書化、上位の管理者による監査調書のレビュー、こういったところに多くの時間を投入しているといったことが異なるように思われます。

 この中でとりわけ注目したいのは、リスクの所在の検討に重点が置かれているということでありまして、欧米の監査におきましては、リスクアプローチがかなり徹底して行われているのではないかということでございます。

 以上、簡単ですが、監査を受ける立場、とりわけ銀行業の視点から述べさせていただきました。

 最後に銀行における外部監査から若干の示唆するところを付言させていただきます。

 近年、監査のリスクアプローチの側面が重視されてきておりますが、これの一層の徹底が重要であると考えます。まず企業側が管理すべきリスクを認識、特定し、自己責任原則のもとでリスク管理体制の充実を図る一方で、外部監査人による企業側のリスク管理体制に対する評価と監査手続への反映ということが重要ではないかということでございます。

 第二に、海外の監査の特徴のところでも述べさせていただきましたが、外部専門家の活用が期待されます。銀行のみならず、特有の事情を持つ業界が多いと存じますが、その業界特有の事情に精通した監査人による部門編成を行うことやそれぞれの企業が持っているリスクの性格に応じて適切な外部監査の専門家を配置するなど、従来以上に専門家を活用することによって一層の監査のレベルアップが図れるのではないかと思われます。

 簡単でございますが、報告は以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。先ほど申し上げましたように、それでは、引き続きまして渡辺委員に御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○渡辺委員 渡辺でございます。「ユーザーから見た監査基準」というタイトルで、2枚ほど紙を提出しております。

 最初に日本の監査の信頼性というのをどのぐらいの程度に置くのかなということを考えまして、どうも雑誌その他で行われている専門家の方の理論と、それからこの審議会でこれまでちょっと伺った範囲で私が思うに、アメリカは厳しい基準を持っていると。国際会計基準というのも、今までの日本よりは厳しいものがあると。だから、そこに少しでも追いつかないと日本は置いていかれると。どうもそんな感じで受けとめております。まあ印象ですから、そうではないのかもしれませんが、もしそういうことだとすると、結局日本の監査というのは、世界のすぐれたものに比べると――すぐれたというのは、信頼できるものと比べると、まあ8掛けかなと。ちゃんとしたものをとりたければ、SECの基準でとれば、これは世界で一番いいと。

 そういうものでいいのかという気が大変しておりまして、例えばメーカーの例で言いますと、国際競争がある世界では、アメリカの自動車はどうも日本よりいいと。だから、何とか追いついて8割ぐらいの性能を出そうと。そういうことを考えている会社はどこにもないわけでして、アメリカの会社が立派な製品を作っていたら、それよりいいものを作らないと売れないわけであります。そういう観点から私が思うには、アメリカあるいは国際会計基準に追いつけるものは追いつくと。できるだけ近づけるのではなくて、世界で最も信頼できる仕組みというのは何なのかと。それを我々が作るんだということで、ぜひ多くの専門家の方が取り組んでいただきたいというふうに思います。

 現状では、日本の監査を受ける限り、これも印象論なのかもしれませんが、限られた信頼しか得られないと。監査というのは平たく言えばお墨つきですが、日本でお墨つきをもらっても一流ではないということであります。それはそれでいいではないかと。アメリカからとればいいではないかということですが、一応その法律的にうるさく考えますと、監査というのは業務独占、法律で業務独占をしているわけですから、社会的責任というものがあると思います。その日本の制度でとる限り、世界の中では二流だというのはどうも嫌らしいことではないというふうに思います。

 それからレジェンド問題ですが、これをどういうふうに考えるのかなと私なりに少し考えてみたんですが、日本の様子を知らない海外の人がどうも日本はおかしいぞと言っているわけではどうもないんですね。レジェンドをつけると。あるいはつけないと英語版にサインしないといった人たちは、実態をよく知っている提携先の監査法人であるわけですから、普通の日本人以上に日本の監査について知っているだろう人たちであります。そういう人たちがこれをつけてくれと言っているわけですから、私のように監査の実態を余り知らない者からすると、中身をある程度というか、かなりよく知っている人がこれをつけないと、自分たちが危ないと思ったというのは、これはなかなか簡単には見過ごせないような気がします。

 そのレジェンドの一番最後の方をちょっとだけここに書いております。言っているのは、要するに会計の基準、アカウンティング・プリンシプル。それから監査の基準。それから最後に、それが実際にどんなふうに適用されているかというアプリケーション・イン・プラクティスと。それで、こういうものが一体日本ではどんなふうに行われているかということがわかる人にとってしか意味がないと。そういう人のための会計報告でありますということが書いてあります。

 アメリカは非常に進んでいるのかと思って、何でも立派なのかと思って、少し本を読んでみたんですが、どうもアメリカの歴史を見ても、企業と会計士団体というのはいつも基準の厳格化というものに及び腰でありまして、日本と同じで周期的に不祥事というのが起こってきます。要するに会計報告が信頼に至らなかったと。そのためにたくさんの企業が突然赤字を出したり、あるいは投資家がその結果大変な迷惑を被ると。そのたびに世論が盛り上がると。それからSECがいろいろ発言を始めると。その後ろに議会がSECに対して、会計士団体に任せるんじゃなくてSEC自身が基準の策定なり何なりをやれという批判、あるいは威嚇というものを繰り返して基準が厳しくなってきたということですから、今起こっている日本の状況というのは、そういう目で見れば、別に日本特有の状況ではなくて、世界でも信頼度が高いと思われているアメリカのこれまでの歴史とそんなに変わらないと思います。ですから問題は、そういう不祥事なりの問題が起こったときにどういう対応をするのかと。そのときに世界で最もいいものを作るぞという気概があるのかどうかということではないかと思います。

 それから企業の継続能力についてですが、これもどんなふうに変えていくのかという問題は別にして、種々勘案して、日本ではやれないんだという理由に私は説得力はないと思います。少なくとも今まで見たり聞いたりした議論の中に日本的特殊性で、これについて日本の監査ではやれないという点はないように思います。それから、将来のことなので、将来の予測というのは大変難しいんだという議論もありますが、これは余りにも哲学的でありまして、将来の企業の安全性を見るということでは、格付機関、あるいは格付会社というものがありますが、私は彼らほどの世界じゅうの経済状況を勘案して企業の安全性を図ると。そういう水準までを要求しているわけではなくて、今後の1年間に起こり得る中でどんなリスクがあるのかということを見るということですから、将来のことだから100%わからないという哲学的な議論で終わりにするような問題ではないと思います。

 それから、監査人の独立性ということですが、これはどこの国でも、顧客を失うのを恐れて監査を厳格に実施しないのではないかという疑念、懸念があると思います。これはどこの国も同じですから、アメリカの場合も基本構図は同じで、監査について書いた本を読みますと、基本的にはこういう基本構造に基づいていろいろな問題が出てくるという記述がたくさんあるというふうに思います。

 ただ、アメリカの場合、まだ納得できるのは、訴訟、それから処分、この脅威というのが大変現実的で、大変たくさんの訴訟が起こっているということであります。訴訟がたくさん起こっているということは、少なくとも会計監査人も訴訟に耐えられるような監査をしないとだめであるという考え方で行動しているというふうにユーザー側から見ると見えるわけであります。そういう意味で牽制がきいているわけですし、それから信頼度という点でも、彼らは基本的にはどうしても企業寄りになるのかもしれないが、そうは言っても訴訟で歯どめがかかっているというふうに信頼感を持てると。それで日本の場合は、少なくともこれまではこういうことはありませんで、企業に対して甘い監査というのが行われたときに、いやそうじゃない、監査人の方はそうしないような歯どめが目に見える形で何があるのかというと、どうも余り思いつかないと。これから、私は訴訟がたくさん起こるのがいいことだとは思いませんが、何か日本の監査というのは訴訟が余りないようだけれども、どうして信頼できるのかという点についての、人がそれならば信用できるという何かが必要なような気がします。それはやはり一つはディスクロージャーだというふうに思います。監査の仕方のディスクロージャーということが必要ではないかと思います。

 次にコーポレートガバナンス論ですが、企業の取締役が社長から選ばれて、社長のお目付役になっていないとか、監査役も同じだと。こういうガバナンスの仕組みがあるので日本の監査は難しいという議論を時々聞きます。ただし、私はこれは全然言い訳にはならないと思います。企業の取締役、日本の場合は監査役ですが、これが企業の外部の人間から見ると完全には信用できないということで外部監査というものが導入されているわけですから、取締役と監査役がしっかりしていれば監査は楽だというのは、私は意味のない議論のように思います。ですから、取締役と監査役がなかなか――なかなかというか、彼ら自身の利益を追求した場合に、外部の投資家にとってそれを少しは安心できるものにするための仕組みとして外部監査という制度があるわけですから、そういう観点に立って、現状が仮にアメリカよりも取締役がより企業内部的であれば、それを超える監査の仕組みというものを考える必要があるというふうに思います。

 それから次のページですが、監査人の責任の明確化と。これは先ほどのディスクロージャーの考え方から書いているものですが、要するに何をやったかということを公表しないといけないということになれば、経営者への対抗力というものが増すというふうに考えます。先ほど申しましたように監査についての開示、それから説明責任というものをはっきり決めると。監査方針はどういうものであったのかと。そのときに、今回、90年代いろいろな事件がありましたが、既に報道されているもの、これは必ずしも日経新聞、朝日新聞ではありませんが、質のいい月刊誌に報道されているものと。これはかなりの程度当たっているというふうに私は思います。ですから、そういう報道があった場合に、それを踏まえて監査の方針を立てると。要するに、どこにリスクがあるということのきっかけのようなものが世の中にあるわけですから、そこから監査をしていただきたいと思います。

 それから、これから後は私は余り専門家ではありませんが、全部を調査するわけではなくて、内部統制に基づいて、それを信頼した上で監査をするということでありますので、その統制のシステムについての評価というものも公表していただきたいと。それから監査の範囲、国内だけでやって海外はしなかったのかしたのかとか、それから実施した監査手続の開示と。サンプル数をどのぐらいとったのかとか、確認はどの範囲でやったのかといったことを開示していただきたいというふうに思います。それを必ずしも見たいということではなくて、そういうものが開示されるということになれば、多分、今以上に経営者に対して実際にどう見たのかということを世の中に言わないといけないんだということになれば、より的確なある意味で強い立場で監査ができるのではないかというふうに思います。

 そのほか報酬ですとか監査以外の企業との関係というものについて、これは私、いま一つまだよく分かりませんが、開示できない理由は別にないというふうに思います。

 それから最後に言葉だけ書いておりますが、前回たしか松野委員も冒頭おっしゃったと思いますが、今回ここ数年問題となった事案の調査というものを進めることが今後のよりよい監査、より信頼される監査というものを作っていく上で大いに参考になるというふうに思います。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。それではここで、先ほど申し上げましたように、後ほど総括的な時間をとりますけれども、ここでちょっと御確認とか、あるいは御質問がございましたら、その点、どうぞ御自由にお確かめいただければと思いますが、御発言ございませんでしょうか。いかがでございましょうか。両委員のただいまの御報告につきまして、特によろしゅうございましょうか。

 林委員、どうぞ。

○林委員 林ですが、渡辺委員にちょっとお伺いしたいんですけれども、渡辺委員のおっしゃることは非常によく理解できます。これは大事ですね。それで、世界で最もよいものを作るという気概がなくては、これはもう何のためにここで議論しているのかわからないと思っていますので、当然のことではないかというふうに思っております。また同時に、監査基準とあわせて会計の制度が多く変わっておりますので、その部分については連結主体に変わっていくと。税効果会計も導入すると。キャッシュフロー計算書も導入するとか、非常に大きく変わっていくと。そういった視点から見ますと、日本の今の会計というのは大きく変わって、私の認識では、前申し上げましたけれども、あと残すところは減損会計とその企業の継続能力のところをどういうふうにきっちり議論するかという部分が残っていると。この部分をきちんとやれば、渡辺委員がおっしゃる気概を持って世界に誇れるようなものに私はなるんじゃないかというふうに思っております。まあ、渡辺委員がいろいろ今日お話しになったお話を聞いていますと、大体同じことを私は言っているんじゃないかなと思っているんですが、唯一、ちょっとこれは細かい話なんですが、お聞きしたいんですが、コーポレートガバナンスのところで、企業は利潤を極大化するために、場合によったら利益優先で暴走する懸念が常に存在すると。そこを外部監査でしっかりと歯どめをかける必要があると。つまり、企業は性悪説で見る必要があると、こういうふうにおっしゃっているわけですね。ちょっとそこをお聞きしたんいですが。

○渡辺委員 企業が利潤を最大化するために、ある場合に法律を破って自分の利益を図るというのは、アメリカで言うと、多分ウォーターゲート事件のときに明らかになった企業が不正献金をたくさん政治家にして、会計士も多分それに気づいていたんではないかということで、不正な支出について監査をするようにという制度に変わったと思います。私はそれも問題だと思いますが、そういうことではなくて、企業の取締役の方、監査役の方、どうしてもまず一つは自分のポストなり収入なりというのを考えると、人間というのは自分のことをそうやって考えていいんだというのが今の社会経済制度の基本ですので、そうすると、自分が受託している、例えば株主の――言葉はちょっと別にして、代理人であるという立場からどうしてもずれそうになると。それがずれないためには、ちゃんとそれを見ている人がいて、「あなたのやっていることがずれたら、ちゃんと私が見て赤旗を上げますよ」という人が必要であるというのがモニタリングという考え方だと思います。そのモニタリングの制度はいろいろありますが、その中の重要な一つが外部監査ということで、外部監査がしっかりしていれば、取締役、あるいは監査役の方もひょっとしたら道を誤るかもしれないのがそうでなくて済むと。そういうことだと思います。ですから、性悪説とか性善説とかというのは違う、まあ性悪説に近いのかもしれませんが、必ずしも取締役、監査役の方が全部、企業あるいは株主の負担において自己の利益を図るべく活動しているということを申し上げているわけではありません。

○林委員 それに関連してもうちょっとお聞きしたいんですが、恐らくここの部分につきましては、継続性のところで回答が出てくると思っているんですけれども、確かに監査というのは世界に誇る監査基準というのを作る必要があると思うんですけれども、どうも事業会社の取締役、あるいは、今の日本の企業の実態を見ますと、渡辺さんのところのすばらしい企業と違って、一般論で言っているんですが。どうも代表取締役がすべてお決めになっているという傾向が非常に強うございますから、いわゆる企業の会計原則の7つ原則がありますけれども、その中で最も重要な真実性の原則というところを企業経営者がどこまで重要性の認識を持って対応されているのかなと。やっぱりそこのところを本当に日本の経営者全体が認識しない限りは、なかなか外部監査を国際的にすばらしいものにしようといったところで、私は魂が入らない部分があるんじゃないかなというふうに思っています。これは感想です。

○脇田部会長 ありがとうございました。ほかに。須田委員、どうぞ。

○須田委員 お二人にちょっと質問したいんですが、まず渡辺さんには、このレジュメを見せてもらうと、業務独占という言葉が結構出てくるんですが、経済学者で独占というふうに見てしまうと、すぐ独占利潤と。そういうふうに監査の立場がそういう独占利潤みたいなものを持っていて、その独占的な競争という、業務の独占は構わないと思うんですが、そこに競争がないというふうに考えられているのか、そこら辺についてちょっと一言御感想を聞きたいというのが渡辺さんへの質問です。

 それから、梅山さんの方の質問は、最近のアジア危機、あるいはロシアに波及した危機を見ていまして、最近特にリスクをどう評価していくかと余計重要になっていると思うんですが、そのリスクの評価というのは何も銀行に限らず、それぞれの企業も最近年金資産の問題がありますから、いずれにしてもそれを非常に重視していかなくてはいけないと。そのときに最近の経験を見ながら質問なんですが、3点あります。

 1つは、最近の通貨金融危機を見ていて、流動性リスクの重要性というのがより一層クローズアップされてきたような気がするんですが、その1ページの下に各種リスクへの対応といったところには流動性リスクについてはないんですが、その流動性リスクへの対応というのはどこかで考えられているのかどうかということを一つ聞きたいです。

 それからもう一つは、1枚目のペーパーの2番目で、銀行でどうやってリスク管理しているかといったときに、市場リスクに関しては多分いろいろやられていると思うんですが、これも今回の金融危機、通貨危機のときに、リスク管理体制を余りにも毎日毎日やっていくということがかえってリスクをあおったと。つまり、一時的に短期にすごく途上国、アジアの諸国の評価が悪くなると。そうすると、そういった悪いところの債券はもう買ってはいけないというので、毎日毎日非常に余りにもリスク管理をリジットにやるということが、ちょっとかえって問題を大きくしたというところがあるんじゃないかというふうに思いますので、その市場リスクに関してどの程度の頻度でやられているのかというのをちょっとお伺いしたいと。

 それから最後に、今日の話を伺っていると、やっぱりリスクの問題というのは非常に難しいから、結局自分たちでは、アメリカもうそうだというお話でしたけれども、専門家に頼ると。私はやっぱり専門家というのはやっぱりすごく小さいところは見るけれども、全体が見えていないと。今回の危機もやはりそういうところが大きいと思うんですね。市場が完全じゃないのに市場が完全かのごとく仮定した上でいろいろな商品を作っていくという形で、全体が見えないということがあるんで、私は余りにも専門家に任せるということに関しては反対なんですが、梅山さんはどの程度任せざるを得ないというふうにお考えか、自分たちでどの程度までできるというふうに考えられているか、そこら辺ちょっとお伺いしたいと思います。

 以上です。

○脇田部会長 それでは、まず渡辺委員から御発言ください。

○渡辺委員 監査の業界で競争があるかないかというのは、私は調べたことがないのでちゃんとしたことは言えませんが、ですから印象に近いんですけれども、例えで言うと、今回いろいろある前の銀行の競争のような感じがします。どこに預金をしてもリターンは同じであると。安全性も同じはずだったわけであります。監査ですから、お金を払いますので、コストについても大体の協会で決めた目安があって、それほど価格で競争しているとも思えない。つまり、製品の質で競争しているわけでもないし、価格で競争しているわけでもないと。じゃあ、そうすると競争はないのかというと、これは別の競争が――これは印象ですから、協会の方に、実は違うということであればそう言っていただきたいんですが、もっと別の競争がありまして、昔の銀行も全部商品も同じで安全性も同じで競争していないかというと、預金を集める人はもう夜中まで大変な競争をしていたわけであります。相手のいろいろな意味での知り合いになるとか、仲よくなるとか、つき合いをよくするとか、そういう競争がやっぱり、これはかなり厳しくあるように思います。ただ、本当の意味の競争ということでは、やはり一つはどこどこの監査をちゃんと通れば、これは大変強い箔がつくんだという製品の質の競争でありますし、もう一つは、やはりコストということがあって、いい監査であっても、より安く効率的に監査ができるということもあってもいいんだと思います。だから、業務独占をやめた方がいいのかどうかというのは私は分かりませんで、業務独占の中であってもそういうことは可能だというふうに思います。ですから、会計士の試験をやめるとか、そういうことは、それで何が解決するというふうには毛頭思っているわけではありません。

○脇田部会長 ありがとうございました。ただいま渡辺委員の御発言の中にちょっと触れていらっしゃいますけれども、御発言ございませんでしょうか。友永委員、特によろしゅうございますか。

 よろしければ、続きまして梅山委員から御発言いただきたいと思います。

○梅山委員 リスクの詳細については余り詳しくはないんですけれども、まず流動性リスクにつきましては、このリスク管理に係る外部監査の活用のところには書いておりませんが、その上に多様なリスクというところで流動性リスクについても銀行の中の部署として管理すべきリスクとして認識しております。例えば、流動性リスクに関しましては2つございまして、1つは市場流動性リスク、もう一つは資金流動性リスクということだと思います。御指摘いただいたのは資金の流動性リスクだと思いますが、要するに資金の調達が急激な、例えばジャパンプレミアムの高騰によりましてできなくなると。こういったことに対する対応ということがどうかということだと思います。これにつきましては、所管の部署におきまして、例えば資金のギャップの極度とか、コンティンジェンシープランと。こういったものを数段階に分けてプランを立てることによっての対応を内部的にやっております。

 それから、市場リスク管理の頻度ということでありますが、これについては、基本的に年1回重要な見直しを行っておりますが、所管の部署においては、例えば市場リスク管理方針の審議というのを、例えば年2回行うという形での対応をしております。

 最後にどの程度内部でできるのか、専門家にどういう範囲を任せたらよいのかということでありますが、正直申し上げまして、今のところこれに対する明快な回答はできませんが、私ども内部的に、例えば検査部、それから海外におきましては米国、それから欧州においてそれぞれ米州監査部とか欧州監査部を置いております。こういう形で内部牽制機能は働かせているつもりでおりますが、やはりその中で我々が見逃してしまうようなシステム面でのリスクということがあるとすれば、そういったものをまず客観的な目で御指摘いただくということが、いずれにしてもそういったことは全くないわけではないと思いますので、そういう意味で内部牽制機能を働かせながら、ある一定の頻度で外部のチェックを受けるということが必要ではないかと思います。

 回答になったかどうか分かりませんが、以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。須田委員、いかがでございましょうか。

御発言、よろしゅうございますか。まだ時間ございますから、よろしければどうぞ。よろしいですか。

 それでは、山浦委員どうぞ。

○山浦委員 今、須田委員の方からの御質問で、会計士の実務についておられる方はなかなか答えにくい御質問じゃなかったかと思うんですけれども、その業務独占の問題なんですけれども、実はこれは現在は証券取引法、それから公認会計士法等で決められておりまして、ただ、これまで日本の場合には、いったん監査法人なり会計士なりが監査のクライアントを獲得しますと、比較的これが長く続く。海外に比べてやはり長く続く傾向があるということは否めない事実じゃないかと思うんですね。ただ、最近、その点が少し変わってきておりまして、幾つか監査人が交代していっているという事実が見られます。これはある意味では監査の職業の世界にもそういった競争原理が少しずつ働いてきているような気がします。特に不正の摘発能力等について、これは新聞の記事なんですけれども、ただ海外の事務所の方が日本の事務所よりも能力が高いということで、海外の子会社等については、海外の地元の方を雇うとか、そういった事実もどうもあるようです。ただ、日本の場合は報酬が、当初は経団連との関係もあり、標準報酬みたいなのが決められておりまして、いわばその報酬競争が制限されているように私は観察しております。ただ、これは逆に言いますと、例えばアメリカなんかではオピニオンショッピングといいまして、企業側が、要するに自己にとって都合のいい意見を出してくれる会計士と契約を結ぶと。競争が行き過ぎますとそういった弊害もありますので、恐らくその中間が一番いいのではないかと私は思っております。

 それからもう一つ、これは梅山委員の方への須田委員からの御質問の中身ですけれども、専門家の利用の問題なんですけれども、実はこれは今ここで議論しているのは監査人側の専門性ですね。これが実は私自身非常に懸念を持っているのは、日本の監査人、基本的には監査法人の体制、組織のあり方、そういった問題も変わってくるんでしょう。それから報酬のあり方も変わってくるんでしょうけれども、非常にゼネラリストが多くて、この専門性という点では、どうも私自身が経験した範囲でも、例えばアメリカの大手の監査法人等に対してやはり見劣りするんじゃないかというのが私自身が考えているところです。

 実は会計基準とか監査基準というのは、英語の文章を日本語に変えればそれでオーケーというそういった単純なものじゃなくて、例えば会計基準を、グローバリゼーションということで、例えば国際会計基準、あるいはFASを日本基準に変えると。ところが、実はその基準を変えることによって、それを受け入れるための、要するにインフラが実は企業の側、あるいはその見る会計士の側に必要なんですね。例えば、今、会計基準等で大きな問題になっていないんですが、例えば工事進行基準というのがあります。この工事進行基準というのは、工事の進行度合いに応じて収益を計上するという基準なんですけれども、これを建設業界に適用するとしますと、ところが、その建設業界は実はこの工事の積算の方法もかなりどんぶり勘定的なところがあると。それから工事現場での原価の把握も必ずしも十分にいっていないと。そうしますと、その工事進行基準を適用するためのそういう企業内の体制が必要なんですね。実はこの会計基準を設定するということは、そういった企業実務にも逆に影響してくる。まさにこれは今梅山委員から御報告のあったところなんですけれども、銀行業務についてもリスク管理体制についての一定の基準等が設けられて、初めてそれが管理体制の充実につながっているという面もあるわけです。そういった意味では、監査基準もある意味でまさにそうで、監査の体制をインフラという視点からもっと、例えば監査法人のあり方、あるいは公認会計士法のあり方とか、そういったところを考える必要がある。そういう今非常に大事な時期のこの議論だというふうに私自身は受けとめております。今日はどういいますか、こういう御報告に対する私自身の感想といってもいいでしょうか。

○脇田部会長 ありがとうございました。山浦委員から今御発言をいただきました。この点については、後ほど友永委員の御報告を受けた後、さらに続けて質疑をさせていただきたいと思います。

 どうぞ、中村委員。

○中村委員 今、山浦委員から報酬について経団連との関係をちょっとあいまいな表現をされたんですが、私がこの担当をしてから、会計士の方は自由に報酬を決めていただきたいというふうに強く申し上げておりますので、経団連が何かやっているような印象をお持ちになったかと思いますが、自由な競争で決めていただきたいと、再度、何回も申し上げております。

○若杉会長 ちょっとその問題についていいですか。先ほど渡辺委員の監査の質と価格の問題で、いい監査をして、そして価格を安くするということを考えていいという御意見ですけれども、むしろアメリカの場合なんかは、いい監査をするからほかよりか高いよと。そういうのが現実だと思いますね。例えば、どこそこの監査法人の監査は一番質が高いということで、ほかの監査法人よりか高いというふうに言われるんですよ。そんなことがありますので。今の経団連のお話もそういうこととのかかわりがあると思うんですね。質をよくして高くもらったっていいんだということがあっていいと思いますね。

 以上です。

○脇田部会長 渡辺委員から御発言。

○渡辺委員 今おっしゃった点、大賛成です。いいものは高いと。ただし、同じものだったら安い方がいいということだと思います。

○脇田部会長 林委員、どうぞ。

○林委員 せっかくの機会ですから梅山委員にお聞きしたいんですけれども、銀行経営というのは、人間の体に例えれば心臓の役割を果たしていると。つまり、企業が必要とする血液という資金を隅々にまで正確に供給すると。そういった意味で、非常に公的な性格が強いと思うんですが、また同時にいろいろなリスクに対応というのは、これはお書きなって全くそのとおりだと思うんですけれども、私がいつも気になりますのは、リスク管理というところで管理ができるのかなという部分は、日本の企業は御承知のように、企業間の株式の持ち合いを大量にやっていると。それでBIS基準でその株価の上下によって自己資本比率というのは上下してしまうと。つまり、銀行の経営は株式によって非常に左右されていくという非常に基本的な問題を残しながら行きつつあると。その辺については、将来的には株式の持ち合い部分をとことんなくしていかれるのかどうか、これが1点ですね。

 それからもう一点は、銀行法によっていろいろ規制されておりますから、銀行の健全性というのは大蔵省の検査によって、現在でいいますと、金融監督庁の検査によって担保されてきたと思うんですけれども、そういう面からいいますと、これはむしろ梅山委員というよりは、公認会計士の方にお聞きした方がいいかと思うんですけれども、どうも外部監査というか、公認会計士の方は、失礼な言い方になりますけれども、大蔵省、監督庁の検査の方向にある意味では引きずられてずっとこられたのではないかと。それをどういうふうに今後そうではないようにされようとしているのか。むしろこれは公認会計士協会の方の方からお答えいただいた方がいいかと思うんですが、この2点についてちょっとお願いします。

○脇田部会長 では、梅山委員からお答えいただきまして、それと同時に今のお話は友永委員の御報告にもかかわりますので続けてさせていただきますが、まず梅山委員、どうぞ御発言ください。

○梅山委員 第1番目の方の質問、回答させていただきたいと思いますが、株式の持ち合いを解消していくのかということでございますが、銀行の、まあこれは個別行ということですけれども、個別行としては経営上の課題としてできるだけ解消していくという方針を立てております。ただ、お客様との持ち合い解消についての御了解とか、マーケットへの影響ということがありますので、解消にかかるのは、時間はある程度は要すのではないかというふうに考えております。

 私の方からは一番だけでよろしゅうございましょうか。

○脇田部会長 林委員、友永委員の御報告の終わった後にまたもう一度議論させていただきたいと思います。

○林政務次官 ちょっとよろしゅうございますか。すみません、所用がございまして、途中で失礼させていただきますが、先ほどの渡辺委員の議会が大変厳しい批判をしてという説明のくだりでちょっと聞き取れなかったところがあったものですから、もう一度お話をしていただければいいんですが、議会がいろいろなことを言ってSECが直接やれというような批判が主にあったというふうに先ほどおっしゃったと思うんですが、それは今あるFASBみたいなものじゃなくて、もうSECが直接基準を作ってやれというような、そういう御批判が議会からあったということでよろしゅうございましょうか。

○渡辺委員 これは多分、この分野について私と全然レベルの違う専門家がいらっしゃいますが、私の理解、あるいは読んで調べた範囲では、そもそも会計監査というものを公的に始めるときに、上場企業がちゃんと監査したものを出せというときに、基準を政府が作るという議論とそれから既にあった会計士の人たちの団体が作るのかという議論があって、アメリカの選択は既にあった会計士の協会が作ると。それをSECが活用していくというやり方だったと思います。当初のこれも不正確だったですが、APBというのがうまくいきませんで、要するに余りにも緩くなってしまって、その後現在のFASBができたということですが、常にあるのは、問題が生じたときに議会の側からは、こういうことは民間の団体に任せておくだけでいいのかと。もっと政府が政府の責任でもって会計基準、あるいは監査に手を染めて、国民にきちんとした情報を流す体制をとるべきだという議論があるというふうに理解しています。その際に間に立ったSECが自分が基準を決めるというのもありますし、それからさらにいろいろな制度を変えて、民間のFASBがもっとしっかりするようなことをやると。だから、いつ幾日までにこういう制度にしないと自分がこれをやるぞという脅しが繰り返しあります。ただ、アメリカの場合はそういうことを繰り返しながら、だんだん基準がある意味でよくなった。厳しくなってきたということだと思います。ですから、FASBの後ろにある意味でお目付役がいて基準を世の中に合わせる。あるいは基準をより厳しいものにしていくと。そういうのがアメリカの歴史だというふうに理解しております。

○脇田部会長 それでは、ただいまお答えいただきましたけれども、引き続きまして、友永委員から、「企業の継続能力について及び監査報告書の記載等」を中心に御報告をいただくことにいたしたいと思います。その後また、今、林委員の御質問もございましたので引き続き質疑をさせていただきます。それでは、よろしくお願いいたします。

○友永委員 友永でございます。

 私のレジュメは1枚ございまして、一応公認会計士協会の監査員会研究資料第1号というのが、これは別紙になりましてコピーがございます。ちょっと厚いんですが、参考というコピーがございます。これは平成9年12月に研究資料として国際基準及び主要6カ国を対象として調査をした結果とそれから我が国に導入するに当たってのどういう問題があるかといったことについて研究したものでございます。これについてまず御説明いたしますけれども、その後で特記事項ということについてお話しさせていただきます。これは監査報告準則第5のところで、重要な偶発事象、後発事象等で企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにするため特に必要と認められる重要な事項については監査報告書に記載するんだということになっておりまして、これについては公認会計士協会で監査基準委員会報告第2号というのがございまして、これが実務上の今規範となっております。そこでその重要な事項があった場合にどういう記載をしてくるのかといったことについての一応のコンセンサスといいますか、基本的な考えがあるわけですけれども、それについての御説明をさせていただきたいと思います。

 それから1枚ものの下に表を作っておきましたんですが、9枚ほどございますけれども、これは主に平成11年3月期の特記事項の記載例でございます。これは適宜抜いたという形に理解していただきたいんですが、まずこれは特記事項の記載例とそれから財務諸表等の注記、これは会社が財務諸表の注記として記載している中身というものを対照してお示しいたしております。これについては2番目の特記事項についてのお話しをさせていただいた後、具体的に最近の事例としてどういった特記事項の記載例があるのかということをお話しさせていただきたいと。そんなふうに考えております。

 まず、「企業継続能力取扱いに関する海外の状況の調査」、この参考資料の方をちょっと御覧いただきながら私の説明を聞いていただければと思うんですが、これは、枚数にしまして相当ございまして、本来なら事前に見ておいていただければと思っていたんですが、量がありましてお送りできなかったようで申し訳ございません。

 ここの概要として申し上げたいのは、まず先ほど申し上げたように、企業の継続能力に関する重要な不確実性が存在する場合に財務諸表に一定の事項を開示する必要があると。それでそこで言われる重要な不確実性というのはどういうものだろうかと。それからその重要な疑義がある場合に監査人の意見表明がどうなるだろうかということについての調査でございます。

 この調査結果だけちょっとかいつまんでお話ししたいと思うんですが、2ページ目、144ページというのが下の左についております。これが中段に4という、上の方に4という「調査結果の総括」というのがございます。このページの次に表が入っておりまして、この2枚はちょっと別の表で、147ページにまいりまして、(8) の監査人の責任までが一応この調査結果の総括ということになっております。ここでお話し申し上げるのは、ちょっと順番を変えてお話ししたいと思うんですが、まず(2) の継続企業の前提に係る規定というところを御覧いただきたいと思うんですが、この調査の結果としては、アメリカ以外では国際基準においても会計基準として継続企業を前提とした財務諸表を作成する旨の明確な規定があるということが記載されております。

 それから(3) の二重責任の原則ということでございますけれども、これにつきましても、すべての国で経営者が企業継続能力に影響を与える事象又は状況の有無の評価をし、財務諸表に開示する責任を負うということが調査結果でわかっております。それに対して監査人の責任というのは、監査人が開示されている内容が適正であるか否かということについての意見表明を行うものというふうに書いております。

 それからちょっと飛びまして、147ページの(8) という方を先に見ていただきたいんですが、一番右の段の一番上の方でございます。ここで言われていることは、すべての国で企業の継続能力に、監査人の責任としては、それぞれの企業が今後も継続していける能力があるという保証を会計士が与えるものではないという理解をされていると。それから、経営者の判断が、経営者がまず企業の継続能力についての判断をするわけですが、その経営者の行った判断が適切であるかどうか。重要な疑義がある場合に開示が十分になされているかどうかについての判断についてのみ責任を負うのだと、そういうスタンスが書かれております。

 それから、また144ページの方に戻っていただきまして、一番右の欄の上の方(4) を見ていただきたいと思いますけれども、財務諸表における開示基準及び開示内容ということで、重要な不確実性がある場合にはその旨、その内容、財務諸表が継続企業を前提に作成されている旨、経営者が企業継続能力があると判断した理由及び今後の経営計画等といったものを開示するように定められているということでございます。

 それから、その下の(5) を見ていただきますと、監査上の取扱いについての規定があるかどうかということで、これについてもすべての国で監査上の取扱いが明確に定められているということです。重大な不確実性、重大な疑義を生じさせる事象又は状況についての具体的な規定がございます。

 それから、今度は中の段の(1) 番に戻っていただきますと、ここで企業継続能力開示制度に関する監査上の取扱いということで、どんな監査手続の体系でもって最終的な意見表明に至るのかという、その内容についての調査結果がございます。

 それから、同じページの右段の下に(7) 監査意見というのがございますけれども、これは監査意見としてどういうことが述べられているかというと、継続企業を前提とした会計処理基準の適用の適否。それから開示内容が合理的かつ十分かに関する判断。これは経営者の判断の適否という形でもってなされるということがございます。それが全体のまとめでございます。

 それから中に挟まっておりまして、これはページの関係でこうなっているんですけれども、両面の資料なものですから、これは一覧表にまとめたものが2枚入っているということでございます。

 それで、148ページをちょっと御覧いただきたいんですが、148ページ、真ん中の段の2.検討すべき課題というのがございますが、これがこの報告書の将来に対する提言といいますか、こういった検討をすべきだという提言になっております。

 まず1番目として、いかなる監査対象とするか。これは導入に当たってということで、この段階では証券取引法に基づく監査について行うこととして、会計慣行、監査慣行として定着していくかどうかの検討が必要だという書き方をしております。

それから2番目が開示内容及び開示箇所。これについては財務諸表における開示内容及び開示箇所についての検討が必要であると。具体的な提案はございませんけれども、そういったものの検討が必要であるということでございます。特に具体的に不確実性と結びつく兆候として考えられる例が、右の段のマル1、財務上の兆候から経営上の兆候、その他の兆候といった形でまとめられております。こういった兆候があらわれたといいますか、ある場合には経営者が記載を検討すると。監査人としてもその記載をすべきかどうかについて検討するということになろうかと思います。

 それから3番目として監査意見形成上の取扱いということで、この実施すべき監査手続及び報告書における記載内容、監査意見の内容を明らかにする必要があるということでございます。

 それから4番目としまして、149ページ、次のページになりますけれども、(4) として、監査人が継続企業の前提の妥当性を判断する期間。これは企業がずっと将来になればなるほど分からないと。当然ながら不確かになっていくわけで、通常決算日から1年以内という決め方を各国しております。中には監査報告書提出後1年間といった決め方の国もあるようでございますけれども、そういったものの期間についての定めをする必要があろうと。それから、監査人の責任としてこれを明確にするといったことでございます。

 まずそういった意味で、この公認会計士協会で平成9年に作りました資料を御紹介させていただきました。

 続きまして、特記事項についてなんですが、特記事項は平成4年11月、これは監査基準の改定が平成3年にございました次の年ですが、新しくこの特記事項という制度が導入された点で、第2号として早目に監査基準委員会報告書として作成したもので、これを導入するに当たって非常に初めてのことということで、産業界の方々の方からのさまざまな御心配等がありまして、今のところのこの実務指針を作ったときのスタンスがどういうものであったかということをまず明らかにしておいた方がいいだろうというふうに思っております。監査基準委員会報告の第2(中間報告)「特記事項」という下にポツがございまして、財務諸表に注記されている監査人が特に必要と認めた事項、監査報告書で重ねて記載することによって強調し、注意的情報又は警報的情報として提供するものだということが規定されております。それで、その重要な偶発事象、後発事象等と言っておりますけれども、これはこの実務指針を作成しましたときに、「等」には何が入るのかという議論がございましたが、現在予想できない何らかの事象や企業内容開示制度の今後の進展によって新たに追加される事象を予定しているのであるから、当面は特記事項の記載の対象とされる事項は財務諸表に注記されている偶発事象と後発事象のうち、特に重要なものに限定されるといった立場に立っております。いわゆる未確定事項ということについては扱わないというスタンスで、当然未確定事項の中にも後発事象、それから偶発事象といった性格のものも重なってありますけれども、そういったものだという理解をしております。

 それから、特記事項は監査意見を構成するものではないという扱いになっております。それで、特にここでは監査意見と混同されないよう予見的な判断を述べないよう、平易な語句でかつ簡潔明瞭な表現で行うと。通常、財務諸表に記載されている注記と同一又はそれを要約した記載となるというようになっております。

 重要性につきましては、その金額が著しく重要なため、その取り引きというか事象が発生したら財務諸表に計上されていなければ不適正意見になるというほどの重要性だというふうに考えられております。もし、これはあくまで重要な偶発事象、後発事象についての財務諸表への注記を前提とした記載でございますので、注記がない場合はどうなるかといいますと、注記を当然求めるわけですけれども、注意の記載をしない。あるいは記載されている内容が不十分である場合は不適正意見を表明するか意見を差し控えるといったスタンスになっております。

 そういったものとして、これは実務上、当初こういう考えでまいりましたけれども、やはり現実というのは割り切れない部分もございますので、中には正面から継続性について触れたような書きぶりも最近は出てきております。めくっていただきまして、横書きになっておりますので、最近の特記事項の事例をちょっと御紹介しておきたいと思います。

 まず、東洋製鋼さんなんですが、ここで言っていますのは子会社が操業休止になっていると。それで操業再開のめどが立っていないと。今後の当該事業の進展いかんによっては会社の財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるという、こういう特記事項が監査報告書に記載されております。財務諸表注記等と書きました追加情報として記載されている会社の記載でございますけれども、対照していただくとお分かりいただけますように、この注記を要約して記載しているといったことでございます。財務諸表の注記の方には重要性がわかるような出資金、あるいは貸付金の記載といったものもございます。これは単体ですけれども、連結になりますと総資産に占める割合といったようなことも記載してあります。という意味で、特記事項はこういう実態があって財務諸表の注記にあるから注意して読んでくださいといった意味のものだというふうに言われております。

 アラビア石油さんの場合は、その他の重要な事項のところに石油利権協定の更新交渉についての記載があるというふうにしておりまして、重要な会計方針の方ではそれをさらに事業の内容の項に、あるいは営業の状況の項に参照をしております。

 めくっていただきまして、ゼネラル石油さんの場合は、これは後発事象としてエッソ石油会社との間でサービス相互提供契約というのを締結されたという事実と、それから早期希望退職者を募ったということが後発事象としての注記を引いて記載されております。その早期退職については募集を締め切り何人になったという実態、それから現時点では支払見込額の変動する金額についてはわかっていないということ、それから子会社を吸収合併する旨の決議があったこと、それからプロジェクトの中止といったことがございます。これも注記されている事項を若干要約した形での記載ということになっております。

 それから4ページ目を御覧いただきますと、京都ホテルさんなんですが、これは内容的には会社が再建計画を実施中だということで、再建計画案を策定し金融機関と折衝中であるという事実が書かれておりまして、その再建計画が合意に至っていないため、関係各社の協力いかんによっては会社の今後の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があるという記載がございます。これも注記に同文の記載があるため、それを監査報告書に記載しているという形でございます。

 それからそごうにつきましては、これもグループに対しての貸付金、保証債務を行っているけれども、さらに会社の負担が発生することもあり得るという記載になっております。これもやはり追加情報として会社が記載している注記、相当長いものでございますけれども、それを簡単に要約して記載しているということです。

 それから5ページ目にいっていただきまして、三井建設さんの注記なんですが、これも会社が行っている偶発債務、保証債務に関する注記。それから販売用不動産に関する注記。それから訴訟についての注記をそれぞれどこにこういう記載があるという形での書き方をしております。

 それから、6ページ目にまいりまして、日石三菱さんですけれども、これは訴訟に関する記載でございまして、連帯債務保証の履行を求める訴訟があって、現在係争中ということで、それと合併をしたという事実、これもそれぞれ経理の状況その他に実際には記載があるという形でございます。

 それから三井造船につきましては、子会社について事業計画、事業再建計画で再建中であると。それが大きく変更される場合には重要な影響を与える可能性があると。これも会社が記載しているとおりでございます。

 それから阪和興業も、これは資本の減少の決議についてでございます。これはもっと長いんですけれども、ちょっと簡単に略させていただいております。

 7ページ目を見ていただきますと、なみはや銀行、これがいわゆる企業継続能力に関する注記をしたと言われて有名になったものなんですが、1番、2番のところ、重要な後発事象記載にされているとおりと。ここは注記を要約し、記載されております。2番も同じでございますが、このなお書き以下なんですが、上記特記事項1.に記載した金融監督庁の命令に従い、会社は改善のための措置を盛り込んだ計画を策定中であるが、今後の進展いかんによっては会社の事業の継続性に重要な影響を及ぼす可能性があると。上記の財務諸表は継続企業を前提に作成されており、この前提が失われた場合には、貸借対照表に計上されている繰延税金資産及び営業権はその資産性を失い、また貸出金の回収可能性に重要な影響を与え、さらに取得原価を基礎に計上されているその他の資産、負債の残高及び損益の状況は大きく変動することになると。それから、整理回収機構との意見交換の結果、瑕疵が確認された場合には、それも重要な影響を及ぼす可能性があると、こういった書き方です。このなお書き以下のことについては、会社の注記には記載はございません。

 それから8ページ目にいっていただきまして、東京相和銀行、新潟中央銀行、いずれも破綻申請をした銀行でございますが、その直前期、東京相和の場合も6月中に破産処理が決まっておりますのでそういった書きぶりになっております。これもあて先は金融管財人ほかがあて先になった報告書でこういう形です。

 新潟中央銀行の場合には、命令を受けた段階ということでございます。

 それから、9ページ目のパスコという会社。これは資本の減少及び第三者割当増資、これはセコムが第三者割当増資をしたわけですけれども、ここでちょっと注目したいのは会社の書きぶりでございまして、目的というところで、当期は多額の損失処理を行い債務超過となったと。それを改善するためには資本の減少と第三者割当による新資本の注入を受けることが不可欠だということで、それによって債務超過の解消を有利子負債の削減等、財務体質の改善並びに経営基盤の強化が図られ、上場維持及び早期復配も可能になるというようなことを説明しております。会社が説明的に自分の判断について経営者としての判断、見解といったものを記載しているというところがちょっと注目したいなということでございます。

 これらの単にそれぞれ引っ張ってきただけで、それぞれの会社においてこの期以外のその前の期にはどうであったかとか、状況がどうであったかということについては、ここで御報告できるほど調べておりませんので、とりあえず書きぶりと申しますか、そういったものについて見ていただければと思います。

 ちょっと長目になりましたけれども、以上で私の御報告を終わらせていただきます。

○脇田部会長 ありがとうございました。ただいま友永委員から御報告をいただきました。

 それでは、梅山委員、渡辺委員、そして友永委員と御報告がそろいましたので、またしばらく御質疑をいただくということにさせていただきたいと思いますが、先ほど林委員の御質問の途中で御報告をいただいておりますので、林委員、口火を切っていただければありがたいんですが、よろしゅうございますか。追加的に。

○林委員 先ほどのことをちょっとお聞きしたいんですけれども、つまり、銀行の監査を受けますと行政の判断に引きずられているといいましょうか。あるいは追認しているといいましょうか。何となくそういう印象を受けるんですけれども、どうなんでしょう。つまり、もっと外部監査をする以上は、会計監査人としての哲学とそれに基づく監査というものが本来的にあってしかるべきじゃないかなというふうに思っていまして……。

○友永委員 私がお答えするのが適任かどうか分かりませんけれども、やはり金融機関が自己査定を実施して監査人がその妥当性を見るということが、そういう枠組みができたのは、実際にそれがまた動き出したのは平成11年の3月期だったと思います。それ以前の外部監査がどういう役割であったかといいますと、やはり大蔵省の検査でありますとか、日銀の往査といったものが、まず銀行自体もそれを受け入れてやっていらしたということであったと思います。これからはといいますか、平成11年3月期以降は、それぞれの銀行が自己の責任において資産査定を実施し、監査人としてはそれについて責任を持って妥当性を判断するという立場に立っておりますので、やはりそこら辺の考え方というのは相当変わってきているのではないかと思っております。

○脇田部会長 ありがとうございます。ほかにただいまの御発言につきまして御意見ございませんでしょうか。友永委員だけですと、何かお立場もありますので、いかがでございましょうか。

○加藤委員 加藤です。なかなか難しい質問ですが、これは今後は確かに友永委員おっしゃったような体制ができたんですが、その以前のことについて林委員お聞きになっていると思うんですが、それは個々の銀行なり金融機関に置かれた立場というのはみんな違うと思いますし、それぞれの担当された監査法人なり監査人がその状況において判断されてきたと思いますので、当事者でない者がなかなか意見を言いづらいというのがちょっと私の本音なんですけれども。

○脇田部会長 ありがとうございました。林委員、いかがでございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、梅山委員、渡辺委員の御報告についての御質問は随分出てまいりましたけれども、友永委員の御報告につきまして、企業継続能力についての会計士協会の研究成果、あるいは特記事項としての現状の実務につきまして御質疑をまずいただければありがたいと思いますが、御発言ございませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

 では、山浦委員、お願いいたします。

○山浦委員 今、友永委員の方から御紹介があったこれは特記事項に関する、このうちの幾つかについては私自身自分でフォローしているところなんですけれども、例えば、なみはや銀行とか新潟中央銀行とかそういった繰延税金資産の計上でもって、いわばBSの中身をよくしているところがあるんですね。これは会計士協会の方が繰延税金資産、繰延税金負債についての実務指針を出す前の問題であったと思うんですけれども、従って、これについて本当に資産性があるのかどうかというその判断が、かなり監査人によってばらつきがあったような気がしますね。

 よく考えてみますと、税効果会計基準を導入するときの議論もそうなんですけれども、本当に資産性があるのかどうかというのは、実は企業側、それから会計士側、それぞれ独自の立場で本来考えて判断すべきことだったと思うんです。ところが、それに対して、ある意味ではどうも銀行の方に会計士の方が遠慮したとか、そういった話を私自身は言うつもりはないんですけれども、ただどうも監査人の方の、先ほど林委員が意味じくも発言されましたけれども、独自のフィロソフィーというか、会計に対する独自の判断、その能力にかなりばらつきがあって、それが非常に重要な局面でそのばらつきが出てしまったと。そういう気がしてならないんですね。

 これについては、例えば、これは私自身の所見なんですけれども、一つ友永委員に御質問申し上げたいのは、例えばこの継続、ゴーイング・コンサーンの問題について、やはりこれもかなり会計士によって今の段階で対応にばらつきがあります。従って、これについて、例えばこちらの第二部会の方で監査基準の中に入れるとか、あるいは協会等の実務指針等を明確にすれば、これは何らかの形で対応が、きちんとした対応というんでしょうか。それができるというふうにお考えでしょうか。それとも今の体制の中で、例えば特記事項の中の会計士協会の方で限定しております偶発事象、後発事象ですね。これをもう少し広めることによって、あるいはそういう対応ができるのかどうか。そのあたりいかにお考えかということをお伺いしたいと思います。

○脇田部会長 では、友永委員、お願いいたします。

○友永委員 今の御質問は、会計士のそれぞれの対応のばらつきといいますか、そこら辺について、こういった非常に判断とか、それから違ったといいますか、判断基準といいますかを詰めていくといったことの結果として出てくるもので、考え方の違いによるばらつきが出るということだと思うんですけれども、確かに先ほど触れられました繰延税金の問題は銀行の方が先行適用しておりまして、通常の適用が始まるより前にやったということで、相当数、相当金額を繰延税金資産につぎ込んだということはございます。そこら辺については、会計士協会はまだ判断基準を出しておりませんで、それについても判断基準があればまた多少は違っていたのかなと。ただ、この銀行何行かについては、やはり第二地銀でございまして、そこら辺の感じ方といいますか、新しい金融機関、金融監督庁の方針が変わってきたという、まあそれもリスクなんでしょうけれども、それに対する感じ方が違っていたのかなという気は個人的にはいたします。

 今回のこういった継続企業のこういうものを基準化していただいて実務指針を作っていけば、それは協会としては、きちんとすべての会員に周知徹底し、それなりに判断できるものを作りたいと思っています。そこで判断に失敗したものはそれはしようがないということではないかというふうに思っております。

 もう一つの御質問は何でしたっけ。

○山浦委員 もう一つは、ゴーイング・コンサーンの問題につきまして、確かにこれもいろいろ会計士によって随分対応にばらつきがあるような気がしますけれども、これについてもやはり監査基準等で対応する必要があるのか。あるいはそれとも会計士協会の実務指針等で対応すればそれで済むのか、そのあたりどのようにお考えかということをお伺いしたいと。

○友永委員 やはり、まず継続能力の問題については、開示基準をきちんとしていただいて、それで経営者がまず開示する基準をはっきりさせていただきたい。それでその上で会計士がどういった判断をしていくのか。これはもう文章にするのは非常に難しいですけれども、それなりの実務指針を作っていくと。要するに開示基準をお作りいただいて、監査基準にも入れていただいた上で、協会として実務指針を作っていくというのが一番作業としてはやりやすいのかなというふうに思っております。まあ、特記事項自体につきましては、この「等」を膨らませるという考え方もございますけれども、やはりそれなりの手続指針というものがないとこの場合いけないと思いますので、それは別の基準委員会報告にした方がいいのかなというようなことを個人的には思っております。

○脇田部会長 ありがとうございました。山浦委員、よろしゅうございますか。

 それでは、今、会計士協会の御発言がございましたけれども、被監査会社のお立場、あるいはそれぞれのお立場から御発言ございませんでしょうか。御指名は申し上げませんので、どうぞ御自由に御発言いただければ。

○葛馬委員 その前に、先ほど林委員の御質問、これは非常に重要な問題だと思いまして、私の方の立場の回答にちょっと関連しますので一つだけお伺いしたいんですけれども、確かに加藤委員がおっしゃったように、いろいろな個人的な理解の仕方も違って難しいかと思うんですけれども、分かりやすく具体的な例で言いますと、山一の管財人から提訴があったという記事の中で、よく読んでみますと、我々の常識から言うと、明らかに監査工数が非常に少ないということがありまして、その説明で、いや実は監査というのは、先ほどの友永委員の説明にあったような文脈でやっていたから、この工数でやっていたんだという話をどこかで聞いた記憶があるんですけれども、その流れでいきますと、いろいろ解釈の仕方はあるでしょうけれども、客観的な事象としては、今後こういうところに対する監査工数というのは大幅にふやされようとしているのかどうかということに関して、加藤委員でも友永委員でもちょっとお聞かせいただければどうかなと思うんですけれども。

○脇田部会長 両委員、この点についてはいかがでございますか。加藤委員、いかがでございましょうか。

○加藤委員 加藤です。ちょっととっさに尋ねられてどのように答えたらいいか分からないんですが、確かにレジェンダー問題が何回か出てくるんですが、これの背景には、外形的なものとして日本の監査が十分されていないんじゃないかという懸念を表明しているんだと思うんですが、その要因の一つが外形的なものとしての日本の経済力に比較しての公認会計士の数が少ないとか、あるいは監査日数が本当に少ないのかどうかは必ずしも外部の海外と比較してみないと分かりませんので、監査日数が少ないということをはっきりと断定するのはちょっと、私は今の段階では早過ぎると思うんですね。というのは、前回、前々回でしたか。会計士協会のリサーチセンターの方からの報告でも日本の監査時間との報告はあったんですが、あのときにどなたがか御質問されて、では海外のはどうなんですかと御質問があったときに、海外の情報は入手していないとおっしゃっていましたので、果して日本の監査日数が本当に少ないのかどうかということは、私は客観的な立場からはちょっと言うには早過ぎると思うんですね。それと監査日数というのは、個々の監査を受ける会社の置かれた状況、リスクの把握の仕方、先ほど来からリスクアプローチというのは出ているんですが、そういう観点から見てそういういろいろな要素を判断した上で十分な監査日数なのかどうかということを判断しなきゃいけませんので一概に言えないと思うんですが、その辺をできればきちんと調査をしていただいて、それで本当に少ないということであれば、それをふやすと。でもそのふやすというのも、現在の日本のいろいろな制度上の問題から見て、今の公認会計士の数で果してふやせるのかどうかとか、そのインフラの問題もあると思うんですね。

 それから、これははっきり言わさせていただければ、監査報酬との関係もありますので、きちんとした監査をするには日数をふやして、それなりの負担を会社にもお願いするということもありますので、いろいろな要素がありますから、そういうことをきちんと踏まえた上で今後どうしていくかということを、むしろここで議論して調査して検討して何らかのガイドラインを示すべきじゃないかという気がするんですけれども、何か回答になっていないようで申し訳ないんですが。

○脇田部会長 ありがとうございました。いかがでございましょうか。追加的に。

○葛馬委員 葛馬でございます。実は、今御質問させていただいたのは、まさに今、加藤委員のおっしゃったようなことを私が言おうと思って、その枕として先ほどの林委員の質問の延長線上で質問を一つさせていただいたんですけれども、非監査会社の立場から考えまして、何か絶対数字で見て日本の監査工数が少ないねと何かにつけてよく出てくるんですけれども、これはだからふやすべきだという結論には私はいくべきではないというのは、全く私はその結論については同感であります。というのは、いろいろな見方があると思うんですけれども、非常に端的なケースでいいますと、恐らくこれは自分でどこかできちんと見たい見たいと思いながらまだ確認できていないんですけれども、この二、三年を除く以前は、日本の上場会社というのは三、四年に一、二社つぶれるぐらいだという不倒産神話があったわけで、だから、会計基準及び監査の双方からそれが不備なために投資家に迷惑を及ぼしたというケースは日本が先進アメリカなんかに比べても圧倒的に少ないんじゃないかと思うんですね。要するに基準とか監査のやり方、基準と運営がすぐれているかどうかというのは、結果のよしあしによって、私はその手段のよしあしが判断されるべきだと思うんですけれども、その意味では非常にいい手段を備えていたと。非常にいい基準と監査プラクティスがあったんじゃないかなと思います。それががたがたと来たのはこの二、三年のことでありまして、先ほど話のあったその辺で行政云々というのも少し絡んでくるのかなというような気がしているわけですけれども、じゃあなぜ日本でそういうことになっているか。監査工数が少ないにもかかわらず、あるいは会計基準面でこれほどの見直しをせんならんほど後進性を含んでいたというような部分があったにもかかわらず、そうだったのかという、そういう望ましい結果が得られていたというのはなぜかというと、やはりこれもよく分かりませんけれども、日本全体の企業の経理人、経理屋も含めた全体としての経理リテラシーというんですかね。会計の総量というのが相当高いレベルにあったんじゃないのかなという気がしていますので、外部監査というのはその辺も含めて全体としてきちんとした会計対応が行われているのかどうかという観点から考えるべきであると。

 ぜひこの辺はどこかでどなたかデータの上で検証していただいて、決してアメリカなんかに比べて劣っているわけではないし、何かSECとか、アメリカの基準が、米国基準が進んでいるような印象を最近では皆さんお持ちのようですけれども、アメリカだって過去非常にトライアル&エラーを繰り返したわけで、その過程では非常に投資家に迷惑を及ぼすようなとんでもないルールを導入したりなんだりしたことがあるわけなんで、やはり日本の過去の実績というのはきちんと評価した上で今後の対応を考えるべきだなと。

 その際に基準と運営ですね。制度と運営というのをよく両方評価しながら、本当は制度はきちんとしていたにもかかわらず、運営面でちょっとずさんなところがあったんで結果的にまずい結果になったというようなところをカバー、そこまでカバーするために制度をいじくり回さなきゃならないのかなと。あるいは外形的に監査工数をふやさなきゃならんとかなんとかそういうことに走らないように、本当はこれは運営面でカバーできることだというんであればそこまでいくことはないねというようなことを十分吟味しながら、今後の監査の体制というのを考えていかないと、被監査会社としては不当に重装備になるのは避けたいなという思いはあります。ちゃんとやっているぜという気は正直言ってありますので。

○脇田部会長 今、御発言いただきまして、特に運営面での問題について言及していただきましたけれども、今ちょうど新しく出ております企業の継続能力の監査、そういった面につきましてはいかがでございましょうか。今の御発言の延長の中で御意見を伺えればと思いますが。

○葛馬委員 だから、この企業の継続能力に関する記載がなかったために投資家が迷惑を被ったということが非常に重要な問題であって、じゃあそれをカバーするための制度が必要になってくるよと。こういう文脈で考えますと、じゃあ具体的にどういうケースが、どういう制度面での欠陥があったために投資家に迷惑をかけたのかということをよく吟味した上で、どこまでが必要なのかと。本当に従来の枠組みの中だけでは、今後ともそういうケースが続発するんだよというような過去の事例があるのか。その辺をよく吟味してみるべきだと思いますね。ただ、一つ状況が変わってきているのは、これまでずっと右肩上がりであったと。少々おかしくなってもじっと我慢していればそのうちに一打逆転、ゴルフで言う消しとかいうような形でリセットができたという状況じゃなくなってきたんで、従来の状況からだけの延長線だけで判断しては不十分になるかな思いますけれども、私も今具体的にどういう制度を導入すべきだというところまで意見がまとまっておりませんけれども、そういう注意をしながら考えていくべきじゃないのかなと。すみません、余りきちんとした答えになっていませんけれども。

○脇田部会長 ありがとうございました。今、宮島部会長代理より御発言ということでございますので、どうぞ。

○宮島部会長代理 一つだけ。何回かお聞きしていて、ちょっと印象的なお話をしようかと思うんですけれども、今、葛馬委員もそれから林委員もおっしゃっていましたけれども、後進性という意味でどうかということで、確かに会計基準の方は後進的だったろうと。監査の方に関してみると果してそうなのかなという問題がありまして、その会計基準が整ってきたときに、監査のことをどう考えたらいいのかということなんですが、それで例えば、まさにアメリカ型の企業の側でもリスクアプローチだし、会計士の側でもリスクアプローチで会計基準みたいなものを考えてきたという国に、そのまま果して日本も乗っかっていくべきなのかどうかという問題があって、というのは僕の頭の中にある公認会計士というのが、例えば弁護士みたいな形で、いわば職業倫理みたいなものがどんと柱にあって、そういうものに従って、公的な使命を尽くしている人たちなのかなというような意識があるものですから、果してアメリカ型のけんか社会みたいなところで、常に自分が何かの危険にさらされるから、そのための保身のためのという、そういうアプローチで、まあ結果が同じになるのかどうかはちょっと分からないんですけれども、そのアプローチの仕方として、少なくともちょっと日本的には違いがあるんじゃないのかなと。その辺は公認会計士の先生方がどういう意識を持ってみずからの仕事を考えておられるのか。それは報酬の問題も全部絡まってくるんじゃないかと思うんですけれども。

○脇田部会長 会計士の委員の方からどうぞ。園委員、お願いします。

○園委員 お答えというか、意見になるかどうかなんですけれども、今、宮島先生がおっしゃったように、この問題は監査基準の問題であり、開示基準の問題であることはもう十分承知はしているんですけれども、それ以前の問題として、やっぱり日本の風土は、これは私の感想みたいなものになってしまうかもしれませんが、そもそも従来は社会的分業みたいなものが余り得意でない風土があるのかなと。監査というのは経営者と監査人の極めて高度な社会的分業だと思うんですが、いい悪いは別として、従来どうしてもちょっと内外の区分があいまいというか、鬼は外、福は内じゃありませんけれども、外はみんな敵と。うまく機能していくためには内に入らなきゃいけないと。それで、これは大変僣越なことを申し上げるかもしれませんが、公認会計士の方は倫理規定だとか職業団体でかなり統一した見解や研修をしておりますので、悪い意味で癒着ということではないんですが、前回の研究のときに証取法監査だけで四千数百社の対象があったかと思うんですが、これは私自身が直接に経験していることだけではなくて、会社の方も、身に余るほどある意味では御信頼いただいているというか、「会計のことはもう会計士さんに任せていますよ」というような風土もやはり……。それで、ここに御出席の経済界の方々というのは、かなり整った組織をお持ちの会社の方が多いかと思うんですが、必ずしも全体の風土はそうではないと。それがいいかどうかは、もうこれは社会制度論みたいなことは余り私にはとても申し上げることもできないんですが、ただ、ここぞ大問題というような話が出てきたときには、やはり一回ここでそういう問題を整理して、会計基準を整備し、会計監査基準を整備して、開示基準を整備するということで、これも大変僣越なことを申し上げているかもしれませんが、やっぱり経営側にも経営者の方の責任というか、経営側の開示、ディスクロージャーの責任はここまでということを一度やっぱり踏み込んでお考えいただかないと、これも大変間違ったことを言っているかもしれませんが、従来の会社というのは経理は経理部長までと。少なくとも財務諸表規則なんていうのは経理しか知らない。社長さんが御興味をお持ちいただいているというようなのが、またその4,500社全部かどうかというのにはかなり不安な面もございますので、この問題に踏み込むためには、そういうところからやっぱり考えないと、そのスタンスを会社側に持っていただかないと、もう正直言って物すごいコストをかけても上場会社の監査をするなどというのは難しいんじゃないかと個人的には思っております。

○脇田部会長 ありがとうございました。日本社会の監査に対する意識と申しますか、そういった問題までも今大きく宮島先生、そして園先生からの御発言がございました。この点は私どもはこれから監査基準等の具体的な問題を考えてまいりますときにも、大きく理解を得なければならないと思いますが、そろそろ予定した時間が参っておりますので、特に御発言がございませんようでしたら、本日の部会はこれで終わらせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

○須田委員 ちょっとよろしいでしょうか。ちょっと質問なんで、今すぐじゃなくていいんですが、今日外国のを見せていただいたんですけれども、そこで……。

○脇田部会長 外国のどれでございますか。

○須田委員 外国の海外の状況の調査という……。

○脇田部会長 企業継続能力ですね。

○須田委員 はい、そうです。それの表の145ページのところにいろいろな国の法律、規制の、まず財務諸表作成上の取扱いとそれから監査上の取扱いというのは別でいろいろなのが書いてあるんですけれども、それぞれ違うというのはわかるんですけれども、具体的に、例えば今日見せていただいたように、財務諸表のほとんど特記事項が要約ですよね。それと同じように、これはいろいろあるけれども、実際問題としてどういうふうに、共通手法とその集合の違いですね。結果的には同じようなことをやっているのかどうかというのを具体的にお知らせいただけると、財務諸表で必要なのかどうかというのがすごく分かりやすいような気がするんで、そこがこれだけでは全然伝わらないんで、もう少し具体的なものを見せていただけたらと。

○脇田部会長 分かりました。それも御意見としてお伺いしておきまして相談をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、ただいまの御発言ございましたけれども、本日の部会、これで終了させていただきたいと思います。

 なお、次回の部会は3月3日金曜日の午後2時から4時までの間に開催させていただきます。当日は監査の役割、あるいは監査人の責任といった観点から、本日のようにヒアリングを行わせていただきたいと思います。

 本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

              午後3時58分閉会