企業会計審議会 第二部会 議事録

日時:平成12年4月21日(金)午後1時59分〜午後3時56分

場所:大蔵省第四特別会議室

 

○脇田部会長 定刻になりましたので、これより第6回第二部会を開催いたします。

 委員の皆様にはお忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、早速これより議事に入りたいと思います。

 本日は、前回申し上げましたように、これまでのヒアリングや皆様の御意見を踏まえまして、まず山浦委員から監査基準全般にかかわる総括的な論点について御報告をいただきまして、若干質疑応答の時間をとりたいと思います。

 次に山浦委員からの御報告も含めまして、これまでの審議で出されましたいろいろな議論をとりあえず要約してみましたので、このペーパーを事務局から説明させていただきまして、これをたたき台といたしまして皆様から御意見を頂戴し、次回以降の論点整理案の作成の基礎といたしたいと考えております。

 それでは、早速でございますけれども、山浦委員から御報告をお願いいたしたいと思います。

○山浦委員 山浦でございます。本日御報告申し上げます中身については資料1に記載しております。

 この資料1は、これまでの審議経過を踏まえまして、また平成3年の監査基準の改訂以降、今日までに公認会計士の監査を巡っていろいろ新しい問題が発生しまして、また監査を取り巻く国際的なマーケットの問題等々の環境の変化もありまして、これらを勘案して現行の基準について改訂を検討すべきと考えられる点をまとめたものであります。これらについては、当然緊急度が高いものから低いもの、あるいはその改訂の要が明確なものから、さらにもう少し中身を絞ってみる必要があるもの、あるいは証取法、公認会計士法等の法律改正も伴わなきゃならないもの等々、いろいろあります。そういうことを踏まえた上で御報告させていただきます。

 まず第1に、構成と改訂方針についてというところであります。

 現行の監査基準の平成3年での改訂に当たりまして、会計士協会による自主的な各種の実務指針設定の必要性は明確にしております。その後幸いにして、協会の努力によりまして、そういった実務基準も充実してきたものになったというのは十分理解できるところです。ただ、従来にも増してそうした実務指針が、その重要性が認識されておりまして、こういった状況下では監査基準、あるいは準則との連携関係についてはもっとより踏み込んだ形で位置づけをはっきりさせるべきじゃないか。つまり、監査人の精神的、あるいは倫理的な規範であります監査基準。それからそうした監査基準を受けまして、より実践的なレベルで指導性を発揮させる。あるいは実務指針等への橋渡し的な役割を果たすという意味で、この監査実施準則、あるいは監査報告準則、さらにそうした枠の中で会計士協会の実務指針書があるという、そういった構造を明確にする。つまり三位一体として「一般に公正妥当と認められる監査基準」を構成する旨をより明確にうたい込むべきじゃないかという考えを持っております。

 その上で、協会の実務指針書はもとよりですけれども、監査基準、あるいは準則といえども、国際的な監査基準の動き、あるいは監査実務レベルでの新しい問題とか技術開発等があります。そうした監査をめぐる環境の変化、こういったものを迅速にフィードバックできるような仕組みが何らかの形で担保される必要があるんじゃないかと考えております。

 もう一点は、今の監査基準への改訂以降、協会は一連の実務指針書を出してきたんですけれども、中には監査基準、あるいは準則の本来のねらいから外れたもの、あるいは実務指針書が先行しまして、基準そのものの方がおくれているもの。従ってそれを逆に基準として取り込む必要があるもの等々が入り交じった状態でもあります。

 従いまして、今回の改訂に当たりましては、そうした基準、あるいは準則と実務指針との整合性をもう一度洗い直す必要があるのではないかと考えております。

 1ページにあります図については、今申し上げたようなことを織り込んだつもりでございます。

 次、2ページに移ります。その監査基準というのは、監査実務を律する基本原則でありますけれども、実は外部者が公認会計士、あるいは監査法人によって行われます監査を理解する場合の主たる情報源の一つであることにも留意する必要があると。いわば、外部者とのインターフェース性という言葉を使っておりますけれども、特に外部の利害関係者が監査に対して理解をする場合の一つの窓口になる。そういった性格を持っているという点にも十分に注意をすべきではないかと。実は平成3年の改訂は、むしろ専門家のための基準づくりという側面を非常に強く打ち出したために、そういった意味での外部者のインターフェース性に欠けている面があるのではないかと考えております。とりわけ近年の公認会計士等が行います監査に対する一般の関心は、平成3年のときに比べてはるかに格段に高くなっております。その反面、この監査の目的や機能について種々の立場から、あるいは種々の形で理解されておりまして、それが一種の期待のギャップ、エクスペクテーション・ギャップを醸成した面、これも否定できないのではないかと。これまで監査基準・準則というのは、外部者とのインターフェース性をある程度発揮したとは思うんですけれども、そうした監査の目的や機能について必ずしも明確にしているとは思えません。そうした目的とか機能というのは、また時代とともに変化するということについても、ある程度監査基準で手当てをすべき説明責任というんですか、監査基準上で何らかの説明をする場所が必要ではないかと思っております。

 例えば、不正とか違法行為を発見する機能と監査人の責任の問題、あるいは会計原則・基準への準拠性と適正意見との関係。あるいは、企業の存続能力と監査意見との関係など、社会に向けて十分に説明されていないのではないかと。とりわけ、今のような会計士等が行います監査について社会の期待が非常に高まっている折、なおさら、こうした外部者に向けた監査の目的や機能についての叙述というのが一層必要とされる時代になったのではないかと考えております。

 次、(3) です。監査基準・準則が対象とする監査業務、これは会計士等によって行われます財務諸表の適正性に関する意見を表明するための業務。これは我々財務諸表監査と申しておりますけれども、その財務諸表監査にかかわる監査基準である旨を明確にすべきではないかと。ここでは財務諸表監査と商法の会計監査人監査、これは法定監査の二つの柱となるんですけれども、判断の基準、あるいは収集する監査証拠、それから収集のための監査手続、結果として達成される保証水準については同一であると。ただ、監査意見の表明形式だけが異なるんだと。つまり、商法の場合は適法性意見を述べると言われるんですけれども、そうした関係にあると理解されているんですけれども、この点は現行基準のどこかで、その位置関係についてより踏み込んだ形ではっきりさせる必要があるのではないかと。もし、現行の監査基準が証取法監査と商法監査、これを包含した基準であるという位置づけとなりますと、商法監査を取り込むための幾つかの制度的な手当て等も必要となりますので、今申し上げたような形での説明を加えることによってこの点をクリアして、その上で証取法監査、あるいは商法監査の同一性、均質性ですね。それをどこかに書き込む必要があるのではないかと考えております。

 次、(4) ですけれども、財務諸表監査の目的は、あくまでも投資家の保護という観点から財務諸表の適正性に関する意見を表明することになります。適正に表示されているという意見表明に含意されていることについて、明確な定義が実は存在しなかったのではないかと考えております。例えば、適正表示の要件として、財務諸表が準拠すべき「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」とは、具体的にはいかなる範囲で理解するのか。

 会計基準への準拠性と会計基準の選択適用の適切性は同じ判断か、あるいは異なる判断なのか。

 たとえ選択適用した会計基準自体が会計基準書等に指示される基準に準拠していても、不適正な表示をもたらすこともあり、そういった可能性もあるわけで、こうした場合の監査人の実質判断の余地を監査基準で明確にすべきではないか。あるいは会計基準の誤った選択適用で虚偽表示となる場合、意図的な虚偽の財務報告、これは通常粉飾といいますけれども、粉飾が行われる場合、あるいは不正を隠ぺいするためのさまざまな虚偽表示が行われる場合、あるいは不正の結果として帳簿残高と資産の実在高が異なる場合、これらはいずれも虚偽記載であるわけですけれども、適正表示の意見表明には、こうした虚偽記載のうち重要なものを含まないことを合理的な範囲で保証していることを何らかの形で明確にすべきではないか。あるいは重要性の概念を明確にすべきではないかと。こうした幾つかの問題点をとりあえず挙げることができます。

 次は(5) に移ります。財務諸表監査の目的や機能については、実は公認会計士自身にとっても理解がならされていないのではないかと考えられる節があります。初期の監査基準設定の重要な目標の一つに公認会計士に対する啓蒙性という要素があったんですけれども、今日改めてその役割の重要性が理解されます。特に財務諸表監査が極めて高い公共性を有していると。そして国民生活におきます安全性、あるいは公正性の確保に対する貢献という視点から、監査が遂行されるべきこと、これが改めて強調された上で、そうした財務諸表監査の目的や機能について、実務家向けにも改めて明確に叙述すべきではないかと考えております。

 次は(6) です。会計士等が実施します監査業務のうち、例えば地方自治体監査とか政党助成法監査、そうしたものは監査対象や監査判断、あるいは監査手続におきまして財務諸表監査とは異なります。また、その保証の水準についてもやはり差異があると考えられます。そうした意味では、財務諸表監査と別個の業務という位置づけを明確にすべきではないか。同じ監査という名前がついてもそれは違うんだと。また、海外でのさまざまな証明業務、英語ではアテステーションというんですけれども、この証明業務のニーズの多様化の流れを受けまして、我が国でも、例えば昨年立ち上がりましたマザーズでの四半期報告書に対するレビューの要請、こうした監査業務とは保証水準を異にする種々の証明業務に対する現実の要望が生まれ始めました。レビューなどのその業務基準を監査基準と一体的に扱うというのはまあ難しいと思うんですけれども、当然、これらの各種の証明業務は、将来的には会計士等の証明業務の一部として重要な社会的な役割を担うことは明らかです。従いまして、この審議会の方で監査以外、つまり非監査の各種証明業務の基準を別個に設けることがないのであれば、例えば会計士協会等で別段の実務基準等の設定を促す旨を明記した方がやはり時代に即しているのではないかと考えられます。

 (7) 監査基準・準則に指示されます用語の概念と定義が明確でないものもあります。これは一番冒頭に述べましたインターフェース性ということにもかかわってくるんですけれども、こうしたものもできる限り明確にすべきではないか。例えば、適正性の問題もそうですけれども、虚偽記載、重要性、あるいは危険性、内部統制、監査証拠、合理的な基礎、監査手続、試査、こうした言葉が慣用的には使われてきているんですけれども、はっきりした定義というのが実はなされていない。これがある意味ではいろいろな解釈を生む、あるいは実務を生むその原因となっている面も否めないわけで、これらについてもやはり何らかの形での指針性は基準として設けるべきじゃないかと考えております。

 (8) ですけれども、この点については少し悩ましいところがあるんですけれども、今の監査基準の前文というのは、昭和31年の「監査基準の設定について」という前文がありまして、それ以降の前文がいわば重ねて添付された形になっております。いわば前文が八つあるわけで、この前文の部分が非常に長くなりまして、しかも前文の記載の中身がそのときそのときのいわば基準改訂の説明文でありますので、そうした長い前文、しかも錯綜した前文のあとにその基準が来るという、そういうストラクチャーが非常に外部者にとって理解しにくい、読みにくいものとなっております。この点を整理するのはかなり勇気が要ることですけれども、一つの前文とすることはどうか、それについてやはりこういう機会に検討すべきではないかと考えております。

 次(9) 、資本市場での国際化が急速な動きを見せております。我が国財務諸表監査のパフォーマンス・レベルに関する批判がやはり高まってきており、国際的な監査水準とのいわば溝を埋めまして、国際市場での信頼を勝ち得るレベルまで監査水準を引き上げることが不可欠という情勢であります。そうした問題意識をこの監査基準に明確にすべきではないかと。これもやはり書き込む必要があるのではないかと考えております。

 以上が、基準改訂の全体枠について、あるいはその全体的な方針についてまとめたものであります。

 次は、各項基準・準則等の問題点について移らさせていただきます。

 まず2の一般基準について。(1) 現行の一般基準の一は、監査人は専門的能力と実務経験を有すべきことを指示しておりますけれども、今日の監査人に求められるのは、専門的能力を維持、高めて、経験を積み上げていく。いわばより積極的な姿勢でありまして、こうした視点から基準や基準の文言に書き加えることはないか。現行基準でも十分という考え方はありますけれども、例えばCPE、継続的専門教育制度ですね。そういったものを要求しようとしている折でありまして、より積極的な表現に変えることができないか。この点、一回検討した方がよいのではないかと考えます。

 (2) 一般基準の一は、監査人は企業から独立の立場にあるものであること。一般基準の二は、事実の認定、処理の判断及び意見の表明に当たり、監査人は公正不偏の態度を保持すべきことを述べております。一般には、基準一は、監査人として有すべき能力と経験と相まって外形上の独立性を保持すべきこと。基準二は、精神的な独立性をうたったものと理解されておりますけれども、実は独立性に関する両基準の関係ははっきりしていない。監査人の行為と判断におきます公正不偏性を確保するための前提として基準一を捉えるとすれば、むしろ基準二で合わせるか、あるいは公平不偏性の当然の前提として外形的独立性については別個の、例えば省令等で決めることで、あえてこれを文言から削除することも可能ではないかと考えております。

 (3) です。監査人が被監査企業に対して独立の立場を確保することは、財務諸表監査が社会から信頼を受け、職業として監査が成り立つための重要な要素であることは言うまでもありませんが、他方でその監査法人は、監査法人の大規模化などの現実的な課題を抱えております。こうした動きと従来の公認会計士と被監査企業との個人的な関係を前提にした独立性の要件等に現実上のそごがないか。例えば、監査法人のコンサルティング業務の伸張など、公正不偏の態度の保持に影響を及ぼす可能性のある新しい問題の対応を監査基準で何らかの形で盛り込む必要はないか。この点について1回検討すべきではないかと考えます。

 それから(4) は、一般基準の三は、監査の実施及び報告書の作成に当たって職業的専門家としての正当な注意、デューケアという英語を使うんですけれども、その正当な注意を払うことを要求しておりますが、さらに職業的懐疑心、この訳についてはまたもう一つ考える必要はあるかも分かりませんけれども、プロフェッショナル・スケップティシズムを持って監査に臨むとの一文を入れる必要はないか。これは海外の基準等ではこれが入っているわけで、あえてこれを入れることの意味等について幾つか議論があることは分かるんですけれども、そうした海外基準との整合性ということも考えて、これを入れる必要はないかと。これを検討すべきではないかと。

 それから(5) については、一般基準の四で守秘義務をうたっております。しかしながらこの守秘義務について、これが入れられた当時と現在でかなり監査の環境が変わっておりまして、例えば、前任監査人と後任監査人との間のコミュニケーションの問題、あるいは親子、あるいは関連会社間の監査人の連携の問題、あるいはサービス・オーガニゼーションの監査人からの監査結果の入手の問題、被監査会社に不正や違法行為を発見した場合に、法律顧問やその他しかるべき地位の者、あるいは適切な機関との協議の問題、あるいは事後の外部審査、例えばピア・レビューなどですね。そういった局面で守秘義務の原則に例外措置が加わることがあります。こうした状況は、これがますます多様化してくる可能性があるわけで、そうしたことを踏まえますと、現行の表現では、それらに十分に対応していないのではないかと考えられます。

 次、実施基準、および監査実施準則について述べさせていただきます。

 実施基準の一は、意見を形成するに足る合理的な基礎を得るべきこと。二に適切な監査計画に基づく組織的監査の実施。それから三で内部統制の状況の把握と試査の範囲の決定を指示しております。ただ、監査の手順を考えますと、例えば、その監査計画が最初で内部統制の状況の把握、そして合理的な基礎、こうした順序となるべきではないかと。同じく実施準則もこの監査のプロセスと準則各号の指示内容がプロセスと一致していないので読みにくい、それから理解しにくい面があります。こうしたものを入れかえるというのは変な言い方ですけれども、組みかえる必要はないか。

 それから(2) ですけれども、リスク・アプローチの考え方は現代監査の基本とされます。ただ、それがリスク・アプローチの考え方が基準そのものにうまく入っているかどうかという点からしますと、ちょっと問題があるのではないか。例えば、固有の危険、内部統制上の危険、監査手続上の危険、あるいは監査上の危険、そうしたリスク要因の相関関係をより分かりやすく記すべきではないか。それから、リスク・アプローチが精緻化されるにつれまして、リスク評価の手法を開発し、監査人の評価能力を高くする必要性がより強まっているのでありますけれども、そうした状況下では従来型の監査手続を満遍なく適用する監査戦略は適合できなくなります。むしろ分析的手続を主体としたものと移行しつつあるわけで、この意味で実施準則三で「実査、立会、確認、質問、視察、閲覧、証憑突合、帳簿突合、計算突合、勘定分析、分析的手続等」という監査手続の列挙形式、これをもう少し監査の戦略性を反映したものに変えることはどうかと。特に重点的な監査、あるいは戦略的な監査ということを念頭に入れた形で実施基準の中身を書きかえる必要はないかと考えております。

 それから(3) ですけれども、内部統制の状況把握と監査計画の編成、監査計画の種類、実施時期、範囲の決定の関係、これについては実施基準の三、あるいは実施準則の五に指示されるんですけれども、特に財務諸表監査の機能的な限界や監査人の責任範囲との関係でもう少しインターフェース性を持たせて、一般人も理解しやすい説明を加えるべきではないか。同じように、その重要性や危険性の概念と監査手続や監査人の責任の関係などについても同様の措置をとるべきではないかと考えます。

 (4) ですけれども、被監査企業側での内部統制の充実が財務諸表監査の効果的、かつ効率的な実施のために不可欠であるという指摘は、現行基準では明確に行われておりません。内部統制の不備は財務諸表監査のコストを高いものとします。場合によってはその遂行を不可能にすることもあるわけで、このことは企業の大規模化、国際化、それに監査人の法的責任の強化の流れの中で、監査基準で改めて強調すべきではないかと考えます。

 同時に内部統制の概念と用語は、監査基準や準則では意外と多用はされるんですけれども、その定義と内容については触れられておりません。こうした面についても国際的な動向を踏まえまして、基準、あるいは準則で一定の枠組みを与えるべきではないか、もう一歩踏み込んだ書き込みが必要ではないかと考えます。

 (5) 監査役との連携や内部監査部門との共同作業、あるいは監査人が発見した不正や違法行為、あるいは不適正事項を、取締役レベルと協議の上で事後措置の適切性を確かめるなどの指示を加えることで、財務諸表の適正性の確保のために関係者が一致協力すること、これを明示すべきではないかと考えます。

 これは、あるいは商法等のかかわりも出てくるのかも分かりませんけれども、やはり公認会計士だけに虚偽記載、あるいは不正等の発見の責任を課す形では、どうしても対応できない面が多々あります。そういった意味では、そういう監査、あるいは監査にかかわるいろいろな部署、人との連携作業、これも必要ではないかと思います。

 (6) 実施準則の一は、「通常実施すべき監査手続」の概念を明示しております。ただ、それ自体で自明の定義がなされているわけではありませんで、これについての説明は「監査人が公正な監査慣行を踏まえて、十分な監査証拠を入手し、財務諸表に対する意見表明の合理的な基礎を得るために必要と認めて実施する監査手続」というように、実は監査の実態を知らなければ、なかなかこれが内容を理解できないような定義となっております。また、監査の中身を知らない外部者がありますと、あたかもワン・セットの定型化された監査手続が存在するかのような印象を与えかえねません。この点を見直す必要はないか。これはどうかと考えております。

 (7) です。実施準則の二、「十分な監査証拠」「監査要点」及びその「監査手続の選択適用」、こうした概念の間の関係をもう少し理解しやすい説明に変える必要があるのではないかと考えます。十分な監査証拠という概念には、量的に十分という印象が強いんですけれども、これに例えば質的な側面の重要性も強調する必要はないか。それから監査要点として「取引記録の信頼性」を挙げておりますけれども、ほかの監査要点とはレベルが異なりますので、これは削除すべきではないか。同時にその監査要点の列挙事項の見直しをこの際すべきではないかと考えます。

 (8) 、前文三の2の(2) 及び実施準則の五で、重要な虚偽記載を看過してはならない旨を指示します。その意味するところ、それから虚偽記載に対する監査人の責任の範囲をより明確にすべきではないかと考えます。これに関連しまして、虚偽記載、不正、違法行為等を発見したときの監査人の行動、これらについても何かの指示が必要ではないか。また、その関係当事者間取引などを通して会計の実態が隠されるなどの近年の経験に照らしまして、重要な虚偽記載を見逃さないための具体的な監査行動について実施準則等に何らかの書き入れが必要ではないか。これもやはり検討すべきではないかと考えます。

 (9) 実施準則の六は、組織的監査と適切な審査機能の必要性を指示しますが、いわゆる監査の品質管理の観点から、さらにここに書き込むことはないか。協会等で随分と苦労して新しい制度を作っておいででありますけれども、そうした動きを踏まえて、基準の方で何らかの手当てをする必要はないかということです。また、監査補助者の管理並びに他の専門家を利用する場合の監査人の責任についての指示も必要ではないかと。特に今日の監査対象の規模の拡大、あるいはグローバル化、そうしたことを踏まえますと、こうした問題、特に専門家を利用するケースも非常に多くなっておりまして、今の指示で十分かどうか。それから監査補助者を管理する責任等についても平成3年の基準改訂で削除したんですけれども、これをもう一回復活することを含めて検討すべきではないかと考えます。

 (10)実施基準や実施準則では、後発事象や未確定事項についての特別な監査手続を指示しておりません。実施準則の九に経営者確認事項として記載されているのみでありますけれども、この点を明文を持って何かの指示が必要ではないか。

それから(11)、新連結会計基準の導入によりまして、他の監査人の監査結果を利用することが多くなると予想されますが、実施準則七の指示で過不足がないかを改めて見直すべきではないかと考えます。とりわけ他の監査人の監査結果を利用した場合の、要するに主たる監査人の責任の問題でありますけれども、現在の海外の実務と異なる面もあります。それから報告書等の記載の問題もありますけれども、現在の基準、あるいは準則の立場で十分かどうか、これはやはり早急に見直す必要があるのではないかと考えます。

 (12)新しい会計基準の導入に伴います新たな監査問題、例えば公正価値の検証であるとか、会計上の見積りの妥当性の検証等々、かなり多くの問題が新しい会計基準の導入に伴って生じておりますけれども、こうした新しい監査問題が生じていないかを洗い出しまして、重要なものについては実施基準や実施準則に盛り込むべきかどうか。これを検討すべきではないかと考えます。

 (13)被監査財務諸表を含みます開示情報、あるいは当該財務諸表をもとに加工された開示情報につきまして非会計数値の情報を含めまして、監査結果との整合性がとれているかを監査人は合理的な範囲で注意してモニターする義務があるのではないか。また、このことを注意義務の一つとして準則等に入れる必要はないか。特に情報がいろいろな形で氾濫しておりますけれども、監査人の責任は、例えば有価証券報告書に記載された財務諸表、あるいは財務情報に限られるものではないのではないか。いろいろなそういう公表される財務情報、あるいは非財務情報と有価証券報告書本体の財務情報とのいわば整合性を何らかの形でモニターする必要があるのではないかと考えます。

 (14)実施準則九では、経営者確認書の入手がうたわれております。これは実は平成3年の基準設定の段階で入れられた制度でありまして、いわば入れるための経過的な措置も加味されたものでありまして、性格的にあいまいな点もあります。従いまして、より国際的な監査実務に適合した内容に改めるべきではないかと考えます。その経営者確認書の記載事項に幅を持たせまして、その入手につきましては、監査手続としての性格づけも明確にすべきではないかと考えます。

 それから次は、最後に報告基準、および監査報告準則について申し述べます。

 (1) 監査報告書により一層の情報伝達性を持たせるべきではないか。とりわけ実施した監査の内容を監査報告書の利用者に対して簡潔かつ分かりやすく伝達し、理解を得るようにする必要があるのではないか。先ほど監査基準は外部の利用者にとって監査が何たるかを知るための情報の窓口だと申しましたけれども、それ以上に情報の窓口になるのは実はこの監査報告書であります。従いまして、その監査報告書には、そうした利用者側の立場に立ったインターフェース性というか、その情報をもっときめ細かに丁寧に書き加える必要があるのではないかと。同時にその中では、財務諸表の作成に関する責任は経営者にありまして、監査人の責任はみずから表明する意見に限定される。我々二重責任の原則と言っておりますけれども、その旨を明らかにすべきではないかと考えます。

 これに関しまして、監査の概要、監査意見、特記事項及び特別の利害関係の有無という四つの記載事項からなります監査報告書の構成を踏襲するか、あるいは国際的な実務である説明パラグラフなどのより自由度の高い記載内容を含むものとするか。また、今日監査そのものがいわばグローバルベースで同一の水準に移行しようとしておりまして、監査報告書の記載事項についても、やはり世界的に共通化していく傾向にあります。そのことについても注意しまして、やはり世界中の利用者が同じようなパラグラフ、同じような情報内容を得ることができるような監査報告書の文言に変えていく必要があるのではないかと考えます。

 ちなみに7ページには、アメリカのAICPAが推奨しております監査報告書の日本語に訳したものを書いております。これは無限定適正意見のイギリスなりの一種のひな型ですけれども、特に第2パラグラフ、「私どもは一般に認められた監査基準に準拠して」云々ですね。この記載内容がかなり日本の監査報告書の記載内容と異なります。

 それから、これは後ほど申し上げることですけれども、第3パラグラフの意見の区分ですけれども、この意見の構成要素、これについてもやはり異なります。こうした点はやはりこれから十分に注意して、国際的な文言と合わせる必要があるのではないかと考えております。

 次は(2) です。監査の範囲と手続の概要の記載について、現行の監査報告準則が指示します(一)監査対象の財務諸表の範囲、(二)監査が「監査基準」に準拠して行われた旨、(三)通常実施すべき監査手続が実施されたかどうかの3点を記載する様式と国際的な監査報告書の記載様式では大きな差がありますが、国際的な標準様式に改める必要はないか。

 監査の範囲と性格についての読者への情報が少ないという批判がありますけれども、これに関して次の各点を記載することはどうか。検討すべきではないかと。

 (a) 二重責任に関する記述。(b) は「重要な虚偽記載」がないことの合理的な保証を付す旨を表明する記述文、(c) は試査に基づいて監査が実施される旨の記載、(d) は監査は適用された会計原則の評価、経営者の見積りの評価を含むことの記載、(e) 意見表明のための合理的な基礎を得た旨の記載、こうした記載が日本の今の現行の監査報告書のひな型と食い違っているところでありまして、これらを国際的な水準に合わせることがどうかと。やはり検討すべきではないかと考えます。

 それから、(3) につきまして、監査報告書の日付についてであります。これは現在まで実務家、監査の担当者も余りこのことに神経質になっていないんですけれども、今後監査人の責任がより強く求められるようになりますと、例えば現在のような株主総会の招集手続に合わせたり、あるいはその有価証券報告書の提出手続に合わせて日付を付したりすることでは予期せぬ責任を課されることになりはしないかと懸念します。特に会計上の見積りの実現や未実現、あるいは後発事象の発生に関して監査人の責任範囲を明確にするためにも監査の終了日をもって監査報告書の日付とするように報告準則に明記すべきではないかと。また、監査報告書に対する署名者が現在は公認会計士個人となっておりますから、外国の事情等を合わせまして、監査法人としての署名を可能にするように改めることはどうだろうかと。これらも検討すべきではないかと。

 (4) ですけれども、報告基準二は「財務諸表に対する意見の表明は、財務諸表が企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているかどうかについて」なされなければならないこと。さらに、報告準則三(三)は適正表示の意見の表明に当たり、1「企業の採用する会計方針が、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠しているか」、2「企業が前年度と同一の会計方針を適用しているかどうか」、3「財務諸表の表示方法が、一般に公正妥当と認められる財務諸表の表示方法に関する基準に準拠しているかどうか」、の三つの記載を求めおります。ここで適正表示に関する意見とその上記の3事項との関係が明確でないのではないか。つまり、3事項が要件となって適正表示の意見表明ができると理解するのか、あるいはその3事項とは独立に適正表示意見を形成するのかが明らかでないのではないかと考えます。

 通説では、その3事項が要件となりまして、これを通常個別意見と言っておりますけれども、総合意見としての適正表示意見が表明されると。こういうふうに解されるんですけれども、例えば公表された会計原則や会計基準に準拠することはかえって実態を反映しない。財務諸表の利用者の判断を誤らせるおそれがあるとか、あるいは公表された会計原則や会計基準が存在しないような新たな会計取引や事象が発生する。こうした特別な場合があります。こうした場合に、その監査人が判断の根拠については十分な説明をあくまでも付した上で、もちろんこれらはかなり例外的な事例だと思うんですけれども、こうした場合には十分な説明を付した上で、公表された会計原則や会計基準に準拠しない方がより適正である旨の意見を表明したり、あるいは公表された会計原則や会計基準以外の源泉から得た処理や表示の方法を適応することをもって、適正である旨の意見を表明できる。そうした余地を残しておくべきではないかと考えます。もちろんこうした事態は例外的でありまして、これは乱用されてはならないんですけれども、可能性を残しておく必要があるのではないか。またこれらは、国際的には大体この方向で基準等で指示されております。

 (5) 報告準則三の(三)の2、いわゆる会計方針の継続性にかかわる処置を指示しております。これは企業が前年度と同一の会計方針を適用していないときに、それが正当な理由に基づくものであっても意見を限定し、その変更の事実、理由及び財務諸表に与える影響を記載することになっております。その変更に正当な理由があれば、これは意見限定とするというのはおかしいのではないか。単にその説明をするだけにとどめるというように改めるべきではないかと考えます。これは国際的にもこれが通用する実務でありますので、これは長年我が国では慣習的に使われて、こうした方策がとられておりますけれども、やはりそろそろ改めるべきではないかと考えます。

 (6) 報告基準の三は、「自己の意見を形成するに足る合理的な基礎が得られないとき」に意見の表明を差し控える旨を指示し、さらにその報告準則の四では、「重要な監査手続が実施できなかったこと等の理由により」と補足しております。例えば、一般には重要な未確定事項の存在などによりまして、意見形成の合理的な基礎を得ることができない場合なども、その意見差し控えのケースとなります。しかし、監査手続の制約と未確定事項の存在は決して同次元の問題ではないと考えます。このように意見差し控えの条件をあいまいにしておくことは、むしろ安易な意見表明の差し控えへと導く可能性があります。従いまして、意見表明の差し控えの条件をより厳密にすべきではないかと考えます。

 (7) 未確定事項の存在が財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある場合に、実現の可能性が高ければ、引当金等の損失処理や注記を求め、それらが満たされなければ限定意見や不適正意見の表明となりますが、かなりの程度の可能性がありまして、しかも金額での測定が困難なときの監査人の対応、これは実は現在の基準では不明確です。この点の明確な基準がなければ、監査人は厄介な問題に対する責任回避等のために意見差し控えなどの行動に傾く可能性があります。やはりこの点、一定の指針が基準等で手当てされるべきじゃないかと考えます。

 (8) 特記事項については、本来「企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにするため特に必要と認められる重要な事項」を記載するという趣旨で現行の基準の改訂時に新しく導入されたものです。その例として、重要な偶発事象や後発事象を例示しております。しかし、その後、日本公認会計士協会では、監査人の責任範囲を明確にする立場から財務諸表に記載されている偶発事象と後発事象に限って財務諸表の利用者に注意を喚起する意味で、監査報告書に重ねて記載するものと位置づけております。この点、監査基準・準則の趣旨と同協会の実務指針との間に特記事項本来の役割についての理解のそごがないか、これを一旦見直す必要はないかと考えます。

 (9) 近年、特記事項がいわゆるゴーイング・コンサーン問題、企業存続能力と訳しておりますけれども、いわゆるゴーイング・コンサーン問題、あるいはより広くとらえますと、リスク事項の開示問題に絡んで利用される事例が多く見られますが、そこでは協会の方で出します実務指針書で限定しています偶発事象や後発事象以外のものも扱われる。また、財務諸表に開示されていない事項を独自に特記事項としていると見受けられるものもあります。このような実務のバリエーションがあらわれること自体が特記事項そのものの問題点といえるのではないか。さらに現行の報告基準・準則が考えております監査報告書の記載事項の体系では、実務に適合していない可能性があるかも分かりません。例えば、海外の監査実務で見られます説明事項、エクスプラネトリー・パラグラフなどを新たに入れることで、実務の要請に沿った対応が可能となるのではないかと。これもやはり検討すべきではないかと考えます。

 (10)今、挙げましたゴーイング・コンサーン問題に関しまして、海外の監査基準では何らかの指針を設けていることが一般的でありますけれども、我が国の基準・準則には指示がありません。しかし現実には企業の突然の破綻で損害を被った投資家等の利害関係者が直前の財務諸表に「適正意見」を表明した監査人に対して責任を追及したり、あるいは批判する動きがありまして、監査人としてもこれらを等閑視できなくなったのは事実です。

 こうした動きを受けまして、監査人の中には現行基準の枠内、あるいは拡大解釈によりまして、この問題に独自の対応をする事例が見られるようになりました。こうした監査人によって行動に差異があることも問題であります。従いまして、基準、あるいは準則としてこのゴーイング・コンサーン問題についての何らかの対応を明確にすべきではないかと考えます。

 これに関連しまして、(11)ゴーイング・コンサーン問題は監査基準だけでの対応では処理できない問題ではないかと考えます。例えば、米国公認会計士協会の監査基準(SAS)のように、「合理的な期間にわたって事業体としての存続能力に関する重大な懸念がないかを評価する」責任を監査人に課すとしても、懸念の原因事項を注記等で開示する会計、あるいは開示基準が設定されていなければ、監査人に一方的な責任を押しつける結果になりかねません。従いまして、この点については、会計、あるいは開示基準との整合性を確保する必要もあるかも分かりません。

 以上、これまでの審議事項を踏まえて、特に改訂すべきではないか、あるいは検討すべきではないかというところをまとめてみましたけれども、もちろんこれらについては、冒頭述べましたように、緊急度の高さ、あるいは低さがありますし、それからもう少しはっきりした方針を今の段階で私自身立てられずに、もう一歩踏み込んだ研究が必要なところも多々あります。そうしたことを踏まえた上で、以上御報告申し上げます。

○脇田部会長 ありがとうございました。現行監査基準及び準則につきまして網羅的かつ詳細に検討すべき点を論じていただきました。ありがとうございました。

 それでは、若干時間をとりまして、ただいまの山浦委員の御報告につきまして、御質問、御意見を頂戴したいと思いますが、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。いかがでございましょうか。

 加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 少し御質問とちょっとコメントとをお話させていただきたいんですが、まずちょっとお聞きしたいところが2カ所ほどあるんですが、3ページの(5) 番なんですが、「財務諸表監査の目的や機能については、実は公認会計士自身にとっても理解が均されていないのではないか」とおっしゃっている。この辺、どういう面からこういう感じを山浦先生はお持ちになったのかということをお聞きしたいのと、それから、質問としてはもう一つ、この8ページから9ページにわたっての(4) のところなんですが、特にこの9ページの(5) の上の方に書いてあるところなんですが、例えば上から2行目、「このような場合に、監査人が判断の根拠についての十分な説明を付したうえで公表された会計原則や会計基準に準拠しないほうがより適正である旨の意見を表明したり」ということの余地を残した方がいいんじゃないかとおっしゃっているんですが、これがいわゆるイギリスとかで言われている、いわゆるオーバーライディングのことなのかどうか、その辺のことをちょっとお聞きしたいのと、もしそうであれば、これが一般に広く支持されているのかどうかということですね。そのオーバーライディングということが、私の理解は、もしこれがオーバーライディングであれば、オーバーライディングについては賛成の意見もあれば反対の意見もあるというふうに思うんですが、その辺、先ほどちょっとお聞きしたら、かなりこれが支持されているというようなお話を伺ったような気がしたので、その辺のことをちょっとお聞きしたいと。

 質問はこの二つなんですが、あと私の方でちょっと気がついたコメントとしては、4ページの(3) 、この独立性の問題について、監査法人のコンサルティング業務というお話をされているんですが、実は今、ビッグファイブの方では、監査法人がコンサルティング業務をすることについて、特にアメリカのSECを中心にしまして非常に批判的な声がありまして、ビッグファイブは大体監査以外の業務は分裂・分割するというような方向に動いているというのを一つコメントとしてお知らせしたいのと、それから5ページの(2) リスク・アプローチなんですが、これについても、たしか前の審議会でも私はちょっと触れたと思うんですが、現在SECの方でパネルを作りまして、このビッグファイブが主に採用しているリスク・アプローチという監査が本当にいいのかどうかということについてパネルが検討しておりまして、これの中間報告的なものが5月の中旬には出るというような動きがありますので、これも場合によったら、そういうものが出たら、それもこの審議会では参考にするのも一つの方法かなという気がするということで、質問としては二つお願いしたいと思います。

○脇田部会長 では、山浦委員、お願いいたします。

○山浦委員 まず一つは3ページの(5) で、会計士自身にとっても、財務諸表監査の目的や機能について理解がならされていないのではないかと。これは具体的に挙げるというか、実名を挙げたりなんかそういうことはもちろんいたしませんけれども、いろいろな監査報告書の記載に当たりまして、それぞれの要件を挙げるときに、ある会計士の場合には、とにかく会計基準に形式的でもとにかく合っておればオーケーだとかですね。あるいは税法基準、あるいは商法基準、規則とか、そういう何かの外形的な基準に合っておればオーケーだという、それでもって適正意見を出せるというお考えの方が少なからずいらっしゃるんですね。これは、やはり幾つかの企業の例えば経営破綻等の結果として分かったことについて、監査人のそのときのビヘイビアを後づけしてみますと、監査とは何たるかというそのことについて、どうも監査人間で十分な意見の一致が見られていない、あるいは行動の一致が見られていないのでないかと理解されるところが多々あります。まあそのくらいしか言えないんですけれども、これは御想像にお任せします。

 それからもう一つ、8ページから9ページにかけて、これはおっしゃるようにオーバーライディングルールです。ただ、これはイギリスではトゥルー・アンド・フェアビューという考え方、あるいはその同じ考え方がEUの統一会社法等でも入れられまして、そういった意味では、このオーバーライディングルールというのがある程度認知されているということが言えるんじゃないかと思うんです。

 それから、恐らく加藤委員の場合にはアメリカの実務の経験がおありのようで、AICPAの今の立場ですね。それから、それに絡んで内部での議論とあわせて御質問のことだと思うんですけれども、AICPAののSASも、御存じだと思うんですけれども、会計基準のいわゆるピラミッドを作りますね。そのピラミッドを作って、そのピラミッドに入らないものも、あれを要するにチョイスできる可能性はあるんだということはその基準書の中でうたっておりますし、いわば、ああいうピラミッドを作ったというのは、実はできる限り監査人側の判断の基準をできるだけそういった基準書、あるいはそれに近いものに集約させたいということで作ったのは確かなんです。それでも、なおそれから外れるもの、あるいは新しい会計事象とか取引等が対応できないものが発生する可能性がありますので、そのときにはディパーチャーもやむを得ないという位置づけだと思うんですね。

 そういった意味で、先ほど申しましたように、これはかなり例外的だと思うんです。でも、例外的だと思うんだけれども、やはりこういうケースは全くゼロということはないと思いますし、例えば、近年の我が国の、例えば住専の問題とか、それにちょっと近いところもあるような気もするんですね。ですからこういう、私の言葉ではエスケープ情報と言うんですけれども、そうしたオーバーライディングルールに近い余地も残す必要があるのではないかと、このように考えております。

 それからついでで、加藤委員の御指摘のことに関しまして、一つはリスク・アプローチについてありまして、これは確かにおっしゃるとおりで、今リスク・アプローチについてはかなりSECの側で批判的に分析していると。それはなぜかといいますと、やはり監査の失敗の事例が多いと。果してSECとしてはこのリスク・アプローチがうまく機能しているかどうか。みずから検証したいということだと思うんですね。従いまして、現段階ではリスク・アプローチは、世界の監査基準の基本になっていますけれども、もしかしたら、SECの報告次第ではかなり批判的な意見が出るかも分かりません。従いまして、そのときはもちろんそれは検討すべきではないかと思っております。

 あともう一つ、コンサルティングの問題なんですけれども、これについてはファイアウォール問題ですね。要するに独立性に影響するようなコンサルティング業務はとにかく慎むという、そういう大原則のもとで、言ってみれば、監査法人のいわば経営上の問題も含めまして、必要悪みたいな形で認めているところもありますね。ただ、これから先、恐らく日本の監査法人がどういう経営組織をとっていこうとするのか、このあたりちょっと見えていないんですけれども、近年幾つかインタビュー記事とかそういうのを見ていると、コンサルティング業務にもかなり腰を入れられるという、そういう記事もありますね。改めて独立性の重要性というのは、この問題ばかりではないんでしょうけれども、やはりきちんともう一回今の現状に合っているものかどうか、これを見直す方がいいんじゃないかと、そういう趣旨です。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。加藤委員、何か追加よろしゅうございますか。

○加藤委員 いや、結構です。

○脇田部会長 それでは、そのほかに御発言ございますでしょうか。須田委員、どうぞ。

○須田委員 3つほど質問させてください。本当に簡単な質問だと思いますが、先ほども出てきたんですが、監査の目的で、2ページの(4) のところに「あくまでも投資家の保護という観点から」と書いてあって、投資家の保護と言われると、私の頭にあるのは予想収益とあとさまざまなリスクの情報にお墨つきをつけるというイメージがあるんですが、その次の3ページの先ほども問題になった(5) のところで、最後のところに「国民生活における安全性と公平性の確保に対するという貢献という観点から」と書かれてしまうと、これは何を意味しているのかというのが全然通じませんで、その監査の基準いろいろやさしく分かりやすくと。私は大賛成なんですけれども、こういう抽象的に書かれちゃうと、何を意味されているのかよく分からなかったものですから、これは何ですかということが第1番目です。

 それから第2番目の質問は、8ページ目の(3) で、「監査法人としての署名を可能にする」ということがあるんですが、こういうふうに書いてしまったら責任、まあいろいろ訴えられたりするときに、その責任はこれはだれにあるというふうに考えたらいいんでしょうかというのが2番目です。

 それから、3番目は9ページ目の(6) で、「意見の表明を差し控える」という意味がよく分からない。というのは、責任がいろいろ大きくなると増えそうな気がするんですが、今現状で意見の表明を差し控えるというようなことが起こったら、これはどういうふうに一般的に評価されているんですかという単なる、私が全然分からないものですから教えてくださいという質問です。

 以上です。

○脇田部会長 では、山浦委員、お願いいたします。

○山浦委員 私がお答えするよりも別の方がお答えした方がいいところもありますけれども、とりあえず私への質問でありますのでお答えしたいと思うんですけれども、まず監査というのが財務諸表の信頼性、あるいは一定の基準への準拠性について調べる。それから当然その中には重要な虚偽記載がない。いわば信頼できる情報であるかどうかということを最終的な意見として表明する。そういった仕組みについてはお分かりいただいたと思うんですね。これがもし失敗しますと、投資家たちは、いわば大きな損害を被ってしまいます。その損害を被るということ自体が、実は投資家個人だけの話じゃなくて、マーケット全体の信頼性、あるいは機能の問題にもかかわってくるわけで、これは少々大きな観点で述べたことで、抽象的過ぎるとおしかりのようでありますけれども、最終的には一国の経済体制、あるいはそういったものにも影響するわけでありまして、これらについては、例えば証券取引法の第1条でも明確にその証券取引法の趣旨として述べられているところであります。

 まあ、そういったちょっと大上段に構え過ぎて、ある意味では監査の問題から離れ過ぎという御批判でしたら、これはもう一回清書することもやぶさかではありません。しかし、改めてこの数年間の監査に対する社会のいわば批判を顧みますと、監査のいわばマーケットに対するいわば信頼性の非常に大きな要素というか、信頼性を確保するために大事なファンダメンタルとしてとらえられておりまして、マーケットそのものがいわば国の経済、あるいは国民の生活にかかわってくるということをお酌み取りいただければと思います。もちろん抽象的過ぎるということでありましたら、書きかえることはやぶさかではありません。

 それから、監査法人として署名をするというこの点なんですけれども、一つは海外の実務では、この監査法人としての署名というのは一般に行われるところであります。

 それから責任の所在というのは、今、LLP(リミティッド・ライアビリティ・パートナーシップ)という、今の無限責任性の監査法人を有限責任性の監査法人に変えるという、そういったアイデアが我が国でも今議論されておりますけれども、たとえそういうケースでも、担当の会計士の責任を問わないという話ではないんですね。その責任はもちろん問います。ただ、今監査の品質を管理するのは、いわば監査法人全体としてチームを組んで監査の品質を管理するような体制を組んでおりまして、そういった意味では、会計士自身が自分の署名を付すことによって、自分がその責任を負うという、そういった仕組みが必ずしも実態に即しているわけではないと考えております。たとえ有限責任性のパートナーシップであっても、その担当の会計士は無限責任を負うというのが今考えられている仕組みだと思いますので、特に責任の所在等でかかわってくるような問題ではないように考えます。まあ、もっとも、だれが署名したかということがその責任の所在を突き詰めるのにどうしても重要な要素だと、そういう見方もあるかも分かりませんけれども、今の現実としては、むしろ法人として監査の品質に責任を負うという、そういうとらえ方の方が実態に即したものじゃないかと考えます。

 それから差し控えの問題ですけれども、これは無意見報告、要するに意見がないという無意見報告書と我々呼んでおります。つまり、意見を差し控えるという、幾つかの原因があるんですけれども、一番大きな原因は、例えば、監査人が必要な監査手続を施したいんだけれども、企業側からボイコットされて十分な証拠を入手できない。十分な証拠が入手できないというときに意見も形成できません。従って、監査人としては、みずからは意見を表明できないという、そういう無意見の報告書を出すわけですね。そういうケースで意見差し控えが出てきます。ただ、最近ここで問題にしているのは、例えば将来事象にかかわって、どっちに転ぶか分からないような会計の問題が出てきます。例えば、偶発債務の問題、まあ偶発事象といいますけれども、特に大きな言葉で言いますと、未確定事項でしょうか。そうした問題が出てきたときに、将来どうなるか分からないものを今予測できないと。だから、しかもそれが実現すれば、例えば企業の存続能力等に大きな影響を与えると。そういったものに監査人としては意見をその段階で表明できないという、その種の意見差し控えのケースか幾つか出ておりまして、こういったものを含めまして、御質問の御趣旨は、要するに意見差し控えというのは何かということだと思うんですけれども、一つは……。

○須田委員 そうすると、そういうのが出たら、人々はどういうふうに反応するのかという、投資家がどういうふうに反応するかという……。

○山浦委員 これはどうでしょうか、私よりは……。意見差し控えの場合の大蔵の方の対応をちょっとお聞かせいただけますか。そういう質問の振り分けの方がいいでしょうから。

○脇田部会長 それでは、多賀谷課長補佐からちょっとお願いいたします。

○多賀谷課長補佐 制度的には監査報告書の意見がどのようなものであっても、無意見であっても、それは監査報告書は添付してあると。監査を受けたということで制度的には有効な財務諸表でございます。それを市場でマーケットでどう評価するかというとらえ方はいろいろあろうかと。それはむしろマーケットの方々のみんなに聞いてもし……。

○脇田部会長 渡辺委員、そういう場合にはいかがでございますか。

○渡辺委員 では、せっかくですので。多分売り物が殺到してストップ安になるんじゃないかと思います。

○脇田部会長 それでは、須田委員、よろしゅうございますか。

○須田委員 はい。

○脇田部会長 それでは、先ほど渡辺委員が挙手されておりましたので、どうぞ御質問を。

○渡辺委員 一つは独立性ということなんですけれども、一般基準の二のところで書いていらっしゃる独立性についての議論は、大変論理的といいますか、学問的であるんですが、ユーザーの方から見ると、今回なぜ監査基準について今審議されているかということとそのままくっついていると思うんですけれども、外部監査人、独立監査人の方が本当に独立して監査をされたんだろうかというのが一番の問題ではないかと思います。そういう意味では、もう少しここは書き込んでいただいた方がいいと思います。

 その際に、じゃあどういう独立性かというと、現在の基準では企業からの独立性ということが書いてあります。ただ、新聞・雑誌で会計士の方が、偉い方も含めてですね、発言されている内容、それからここの審議会での今までの議論でも少し出たかと思いますが、そこでの議論の内容を見ますと、必ずしも企業だけのプレッシャーで問題があったわけではないというふうに私は思います。それは、大蔵省の方を前にして言いづらいんですけれども、国全体の政策を遂行するという観点から何らかのプレッシャーがあったということを会計士の方がいろいろなところでしゃべっておられます。それがあったのかなかったのか私は分かりませんけれども、世の中の人はあったと思っています。今回、独立性を高めて、大蔵省の方が別に悪いことをしたというわけではなくて、別の政策遂行の目的から、会計はこうあってほしいという、そういうことを考えられるのはある意味で仕方のないことだと思いますが、そういうことがあった場合にでも、会計士の方は職業的専門家として独立性を保って監査をしていただくというふうになるのかどうかというのが一番関心のあるところではないかと思います。

 そういう意味では、現在企業からの独立性だけ書いてありますが、まあ文言は別にして、企業及び政府を含む利害関係者からの独立性、これをもって監査をしなければならないぐらいに強く書けば、なるほど前に進んだと。より独立性が高まったというふうに思えるのではないかと思います。

 それから、一般基準の四のところの職業的懐疑心というのは、これは私は大変賛成でございます。どうも問題があるところを集中的に監査をされたのか、あるいはそうでないのかというと、どうもそうではないんではないかと。問題がありそうなところは必ずしも一生懸命見なかったのではないかというふうに世の中の人は思っているというふうに私は思います。昔、ある柔道の審判が、弟子が投げられそうになると横を向いたと。それで一本をとらなかったという話を読んだことがありますが、そんなふうな印象を世の中の人は持っていると、少なくとも私は持っております。

 それからもう一つ、これは御質問なんですけれども、3ページのところの一番下の(9) ですか。「彼我の差を縮め、国際市場での信頼を勝ち得るレベルにまで監査水準を引き上げることが不可欠の情勢である」というふうにお書きになっておられますが、どうして彼我の差を縮めるまででとまるんでしょうか。よりすぐれたものを作らないと、いつまでたっても日本式の監査というのは世界でも通用はするけれども、だけれども一番ではないと。そうすると日本で会計なり監査を職業とされている方はいつも世界から見ると二流にとどまるということになるように私は思うんですが、これはどうして縮めるだけで、それよりもすぐれたものを作るということにならないんでしょうか。これは御質問です。

○脇田部会長 三つほど御意見が出ましたけれども、山浦委員、いかがでございますか。

○山浦委員 ちょっと答えにくいところがあるんですけれども、むしろ独立性の問題は、その適正表示について公正不偏な判断をするという、そこが一番の要点じゃないかと思うんですね。そうした意味では、特に企業からの独立とか、あるいはそのほかの独立性をおっしゃったんですけれども、むしろ一般基準のレベルではこの種の精神規範的なところで、むしろその具体的な要件は別個に定めると。あるいは別個に検討するという、そういう方向を、実は私考えていたんです。例えば一つの例として、アメリカの公認会計士協会で、協会内で独立性に関するオーバーサイトボードがありまして、そこでかなり詳しく各業務ごとにこれは独立性があるかどうかというレビューする、そういった機構があります。それから、SECもその機構の実際の運営にかなり強く関心を抱いておりまして、実際に独立性を確保しているかどうかということをかなり根掘り葉掘りと調べるようです。そうした独立性を確保するためには、あるいはこの基準レベルでうたったからそれで済むという話じゃなくて、もっと別の機構がもしかしたら必要かも分かりません。ただ、ここで私が指摘したのは、むしろ外形的な独立性等々はそういった形で他に任せて、むしろ強調すべきは適正性、適正表示であることについてのその判断で、監査人は公正不偏の姿勢を貫きなさいと。こういう文言を入れることにしてはどうかと、そういうふうに考えております。

 いずれにしても、今、御質問というか御意見についてはもちろん承って、今後、私自身検討させていただきます。

 それから、次は懐疑心について。これはこの訳そのものがいいかどうかというのは一応置いておきまして、プロフェッショッナル・スケップティシズムですね。これは、海外の基準等でも一般に入れておりますし、それから今特に日本の監査人に対して、あるいは一番求められているところかも分かりません。従いまして、これについては渡辺委員から御同意を得たというふうに理解しておきます。

 それからもう一点、これは御質問ということなんですけれども、3ページで、この差を縮めると。これはおっしゃるとおりでありまして、この点はもう一度私なりに考えてみたいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございました。渡辺委員、よろしゅうございますか。

 それでは、まだ御質疑、御意見あると存じますけれども、ここで、これまでの御審議いただいた、あるいは意見の交換をしていただきました間にいろいろ出ましたところを取りまとめたところをペーパーとして用意しておりますので、この点を要約したペーパーにつきまして事務当局から説明をしていただくことにしたいと思います。またその後御意見をお伺いしたいと思います。

 それでは、お願いいたします。

○多賀谷課長補佐 資料2についてご説明申し上げます。時間の関係もありますので、ごく簡単に、事前に御送付したものと若干違っているところ等を中心に、若干だけ御説明をさせていただきます。

 この資料は、今まで御議論いただきましたところを極めて大まかに整理・要約をしたものでございます。従いまして、文言ですとか文章については特にこなれたものではございません。あくまでも議論のたたき台ということで整理をしたものでございます。

 個々の内容については、既に今山浦委員の方から詳細な御説明がありましたので割愛をさせていただきますが、イメージといたしましては、総論というのが仮に基準の中では、先ほど山浦委員の方から御説明がありましたが、前文のようなところに書かれるような趣旨のもの、それから一般基準、それと監査実施基準並びに監査実施準則、報告基準並びに報告準則をまとめて構成してございます。

 ざっとだけ言いますと、1ページでございますが、これは監査基準のあり方としまして、啓蒙的役割の部分。それから全体の構成。前文を含めて見直すというような御意見もございました。

 それから、検討の考え方では、山浦委員の御指摘にございましたように、監査規範全体の体系をここで明らかにするということでございます。

それから、監査の目的でございますが、これは(1) 、(2) 、(3) と分かれておりますけれども、監査の目的等について、今、前文等も含めまして明確な定義なり文章化がされていないと。それから適正性ということについても、適正性という言葉以上には特に説明がないということでございまして、重要な虚偽記載がないことに関する合理的な保証を含むというような考え方を明確にするというような御意見が多かったかと存じます。

 それから会計基準への準拠性につきましては、これは一言で言いますと、形式的な準拠だけで適正になると。財務諸表が適正になるという考え方には若干そうでない場合もあるというような例外的な考え方も明確にすべきではないかという御意見を要約してございます。

 それから2ページ目でございますが、証取法監査と商法の監査ということでございまして、もちろん法律上の目的等、あるいは報告形式にも違いがあるわけですが、監査の水準といいましょうか、手続的には同等なものであるということかと存じます。

 それからレビュー業務でございますが、これは内藤委員からも御報告がございましたが、基本的にはこの監査基準の対象とはしないと。むしろそのような証明業務というものがあるということがどこにも書いていないというようなことを含めて明確に位置づけると。その上で別途の規範をつくった方がいいのではないかというような考え方が多かったかと存じます。

 それから3の監査の役割でございますが、この辺は当然専門家のことでございましたらば、改めて言うようなことではないということですが、まあ監査の機能とか役割ということを強調していくと。一方で、監査人には当然権限等に制約がありますので、そういうこともあわせてきちっと前文等で書いていくという趣旨ではないかというふうに理解をしております。

 それから不正、違法行為の発見についてですが、これもこういう役割を社会から期待されているのではないかというような御意見が多かったので要約をさせていただいております。ただ、監査はあくまでもその不正や違法行為を摘発すること自体が目的ではございませんので、そこもきちっとあわせて書くべきではないかと。むしろ、最終的には財務諸表の適正性というところにいかに結びつくかというような御意見が多かったかと存じます。

 それから3ページ目でございますが、財務諸表の適正性を確保するための内部統制の問題でございます。これはこれまでのヒアリングでも、やはり企業の側でも内部統制のよしあしといいましょうか、それによって当然監査の対応も変わってくると。企業の側も十分認識をしていただくということが重要であるという趣旨でございます。

 それから、二重責任の原則につきましては何回か御報告がございましたが、単純に監査意見に非常に限定的な責任だけがあるというよりは、一歩踏み込んで、監査人は財務諸表の作成過程における経営者の判断についての評価等はするんですよと。そういうことは監査人の責任の範囲に含まれているということを明確にした上で、財務諸表の作成責任は、これは経営者が負うんだというようなことを明確にする必要があるというような御意見が多かったかと存じます。

 それから、監査人の能力でございますが、これはもちろん公認会計士という資格で能力は保証をされているわけでございますが、常に蓄積、向上を図っていくべきではないかと。それから、これは別途公認会計士個人の問題というか、法人の問題としても同じであろうかと。米国ではそのようなSEC登録企業、日本では上場か公開会社に当たると思うんですが、そこを監査できる。そのような企業を監査できる監査法人というのは別途の登録になっているというようなこともあるようでございます。

 監査人の独立性につきましては、今、幾つか御意見がございましたが、現段階では、基本的には外形的独立性と精神的独立性というのが少し混同をしている点もあるので、基本的には精神的独立性の方を監査基準では中心にするというような御意見が多かったかと存じます。

 それから4ページでございますが、監査人の注意義務でございます。これは御送付した後にちょっと漏れておりまして追加点でございますが、先ほど山浦委員の方から御報告がありましたように、職業的懐疑心を持って監査に臨むという点でございます。

 それから監査人の守秘義務、この辺も、これはもちろん法律上の制約が、そもそも公認会計士法等で課されているわけですが、考え方を整理をするという必要があるのではないかということでございます。

 それから、非常に早くて申しわけございませんが、実施基準・準則につきましては、これは手順といいましょうか、構成としては監査の手順に合わせた方がいいのではないかという御意見。それから、通常実施すべき監査手続、これが画一的なものというふうに誤解されないように十分な説明が要るのではないかという御意見がございました。

 それから5ページでございますが、リスク・アプローチでございます。リスク・アプローチは監査上の危険に着目する考え方ということでございますけれども、内部統制の状況の評価というのを重視していくべきではないかという御意見が多かったかと思います。それから、当然リスク・アプローチでございますので、危険性の概念を明確にして、その危険の軽重に応じた監査手続を選択していくということを明確化するという御意見。それから、先ほども加藤委員の方からもございましたとおり、過度のリスク・アプローチというものの弊害というのも今いろいろ検討されているところではないかと。そういう点もあわせて考えていくべきだという御意見でございます。

 それからリスク・アプローチと実在性、網羅性など監査要点との関係でございますが、これも先ほど御説明がありましたように、監査要点を列挙していくということについては少し濃淡といいましょうか、改めるべき点があるのではないかという御意見。

 それから分析的手続の重視。この辺もリスク・アプローチとの関連性において考えていく、明確にしていくべきではないかという御意見でございます。

 それから、監査計画等でございますが、監査計画は今でも適切に変えなさいということになっておりますけれども、この点を原則として試査によるということとのかかわりも含めて、適切に変えていくこと。試査でいいのかどうかということも含めて適宜変えていくということをもう少し明確にしてはどうかという御意見がございました。

 それから6ページでございますが、組織的監査につきましては、先ほども御意見がございましたように、他の専門家や監査補助者の利用に関しまして、米国等の基準では管理・指導の責任というのが監査人にあるということが明確になっていること。

 それから、審査機能については、今「備える」という言葉遣いになっておりますけれども、審査を受けると。審査の重要性をもっと明確にしていくべきという御意見。

 それから(2) でございますが、主たる監査人とその他の監査人の関係でございます。これは諸外国で見ますと、他の監査人の監査意見を利用した場合には、その旨監査報告書で言及するなどを前提としまして、主たる監査人の責任が日本とは少し異なっているということでございます。今後これが非常に拡大するということを考えますと、きちんと整理する必要があるのではないかということでございます。

 それから、経営者の確認書でございますが、これは現在の性格があいまいであるということでございまして、監査手続としてより明確にするという御意見。ただ、その中身につきましては、諸外国でももっと柔軟ではないかという御意見もございましたので注として付してございます。

 それからその他でございますが、いわゆる経営者等とのディスカッションを諸外国の監査では非常に行われているのではないかということが実務家の方などからも出ておりましたので、それを入れております。

 それから、後発事象や未確定事項の監査手続を示すべきではないかということでございます。

 それから、これも先ほど山浦委員の御報告にありましたが、他の専門家の利用とも関係いたしますけれども、新たな会計基準、特に時価の評価、年金数理計算、そのほかにもいろいろと、例えばコンピューターですとか、電子取引とかいろいろあると思いますが、いわゆる新たな事象に対する対応のことでございます。

 それから(4) 非監査情報、まあ有価証券報告書には財務諸表以外の情報もございますけれども、それとの整合性について検証することが必要ではないかという御意見。

 それから不正、違法行為との関係でございますが、やはり商法監査では一定の取締役の行為については監査役に報告するという規定がございますけれども、監査基準、一般論としてだと思うんですが、証券取引法監査においても何らかの対応をしていくと。それがむしろ財務諸表の重要な虚偽記載につながるのかどうかという点で見ていくべきではないかという御意見でございます。

 それから最後に、報告基準・準則でございますが、日付の問題は先ほど御説明があったとおりでございます。署名の問題も御説明があったとおりでございます。

 この署名の問題につきましては、先ほども御意見がありましたとおり、監査法人名という意見と、その考え方を前提としたとしても、関与社員といいますか、業務執行社員の署名という責任の所在の明確化という問題と両方御意見があったので両方書いてございます。

 それから8ページでございますが、監査報告書の構成でございますが、これも先ほど御説明がありましたとおり、諸外国の例にならったような構成にすべきではないかと。二重責任の原則につきましても監査報告書で言及をすると。その中で、監査手続として会計基準の適用や見積りに係る経営者の判断の評価を含むという文言も入れた方がいいのではないかという御意見でございます。

 それから監査意見でございますが、これは先ほど御報告がございましたように、財務諸表全体に対する適正意見と個々の個別の適正性の意見との関係をどう考えるかと。それを監査報告書の書き方を見直すということも含めて検討する必要があるのではないかというような御意見。それに加えまして、会計基準からのエスケープということでしょうか。そういうことも含めて監査報告書の見直しが必要ではないかということでございます。

 それから継続性についての限定意見、正当な理由の場合には限定意見とする必要はないのではないかという御意見でございます。

 それから最後の9ページでございます。意見差し控えでございますが、意見差し控えの理由というのをもう少し明確にすべきではないかと。理由といいますか、基準上明確にすべきではないかと。ただ、未確定事項というのが必ずしも意見差し控えになるわけではないというのは、たしか児島参考人等の御報告でもあったかと思います。むしろ米国では、余り安易に意見差し控えとするということについては適切でないとされているところだと思います。

 それから、最後の特記事項でございますが、特記事項は、この位置づけを明確にするということでございます。どうもいろいろな解釈がされているという点でございます。

 それから(2) のゴーイング・コンサーンの取り扱いですが、これはやはり財務諸表における注記というのを一つの前提にした上で、監査手続なり監査報告書での意見表明というのが必要になると。これは両方必要だということだと思います。それから注記がない場合にどうするのかということも考える必要があります。

 それからゴーイング・コンサーンに関する事項と偶発事象や未確定事項との関係。ゴーイング・コンサーンは財務諸表の作成の前提の条件の問題ですので、必ずしも期末における未確定事項というのと直接関係が、同じレベルの問題ではないというような御報告がございました。そこを整理した上で、今後どのような判断要件なり、どのようなケース、注記が必要になるケースがあるのかというのをさらに検討していく必要があるというような御意見があったということだと思います。

 非常に簡単でございましたが、ご説明を終わります。

○脇田部会長 ありがとうございました。ただいま、これまでこの第二部会で御議論いただきましたところを監査基準の見直しという柱立てに立って、その論点と考え方を整理していただきました。

 あらかじめお断りしておきたいと思いますが、今後この論点等につきまして、皆様方がさらにつけ加えるべきものについていろいろ御意見をお持ちだと思いますし、あるいは考え方、あるいは検討の方向につきましても御意見をお持ちだと思います。その点をお聞きいたしたいと思いますし、御議論いただくことにいたしますが、本日は時間の限りもございますので、来る4月28日(金曜日)までに、期限を切りまして大変恐縮でございますけれども、事務局までお送りいただきたいと存じます。それぞれの御意見、また論点、あるいは考え方、検討の方向につきましてお気づきの点、あるいは御意見、あるいはその他の御発言がございましたら、どうぞ4月28日(金曜日)までに事務局までお届けいただければありがたいと存じます。

 そのことをあらかじめお断りいたしまして、残された時間、本日のこのただいま多賀谷課長補佐より御紹介いただきました論点整理につきまして、御自由に御発言いただきまして御意見を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 先ほど先生方からいろいろ貴重なお話をいただきまして、多賀谷さんからも御説明をいただいたたんですが、ちょっと企業の経営の立場から感じたところを申し上げたいと思います。

 山浦先生の資料の5ページの(4) 、(5) ですね。大変、私どもにとってみれば極めて重要なお話をきちっと御指摘をいただいておりまして、つまり企業の場合は内部統制というのがございまして、日本独特の監査役制度ですね。アメリカとは基本的に違いますが、それがあると。アメリカ式の経営の場合は監査委員会というのがあって、それから取締役や内部取締役と監査役が執行部隊を要するに任命したりなんかしていると。日本の場合は株主総会でもって、これは宮島先生がおられて恐縮なんですが、監査役と取締役を選任していますけれども、実質的には監査役のあり方についていろいろあると思いますが、しかしそれでも社内の中では内部統制組織と社内監査役と申しますか、監査役が密着した形であると。それに対して会計監査人が現在あるわけですね。

 それは、この前もちょっと何かの会議で申し上げたと思うんですが、我々の企業としては相当なコストを、ある意味においてはかけてやっておるということでございます。お話をただいまいろいろお伺いしていると、大変これからの監査基準というものについて重要なることを今日いろいろお話しいただいて、私は全く賛成なんですが、つまり一方において、この会計監査人の効率化とか、社内の内部監査との関連というのを、ここには一致協力することを明示すべきではないかというお話があって、もうぜひそうしていただきたいと。

 そこで問題になるのが、今の商法では、基本的にはその会計、社内監査役というのは善管注意義務はあるけれども、忠実義務はない。注意義務違反にはなるわけですね。従いまして、我々の企業というのはボーダレスになって、ちょっと長くなって恐縮なんですが、海外に子会社をみんなつくっているわけです。私どもの会社でも大体半分。350のうち160ぐらい海外に子会社があるわけです。それは全部企業としては連結経営上極めて重要だと。しかし社内監査役の今の法的措置は、商法上はどっちかというと国内に限定されている。しかしながら、実態問題としてはそれは出かけていかなきゃいけないということで、我々ですと海外のパワーも使っていろいろやっているわけですけれども、そういう点でできれば、やはりそのあたりのことをちょっと踏み込んでいただいて、つまり内部統制を企業においても社内監査役とこの会計監査人との関係を、海外のそういった分野についてもより協調して行うべきであるとか何かそういうようなことを言っていただくとか、それからコストの問題をここで言われましたけれども、社内の内部統制がやはり充実すればコストは安くなるし、同時に会計監査人の方の効率化もぜひ、どういうふうにやるかは、ぜひ項目としてこの項目の中に入れていただいて、これはコンピューター化をするとかですね。あるいはバーチャルな今のITのシステムを使うとか、インターネットの情報を使うとか、いろいろなことで、やはり効率化を図るべきであるとかというようなことを入れていただくべきじゃないかと。いやこれは全く大変思い上がった言い方かもしれませんけれども、ちょっと要望であります。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。その点につきまして、さらに御発言ございますでしょうか。

 では、那須委員、どうぞ。

○那須委員 今、経済界の方から御意見がありましたので、会計士はきょうだれもコメントしていない、加藤先生以外コメントしていないので、ちょっと申し上げたいんですが、山浦先生のペーパーにもありますし、多賀谷補佐から説明のあったペーパーにもありましたが、まず監査とは何なんだということを世の中にもっとわかっていただく必要があるのかなと。我々は、私は何度も言っていますが、将来をうらなったり、将来の約束をするという保証を与えるつもりは毛頭ありませんし、そんな能力は持っていないと。そういうところをはっきり言わなければいけないですし、監査を効率的にやろうとすれば、それは実証的手続を減らしていくということがアメリカでは実際に行われたと。その結果がリスク・アプローチだったと。私の記憶でいえば、5年ぐらい前までのビッグファイブのマニュアルについては、かなり日本よりも実証手続が多かったと。それは統計的な手続をとろうが何だろうが、とにかくがんがん確認書を出して、どんどん数字を固めていくと。そういう仕事をしていました。それをアメリカはやはり先に効率化を図ろうということがありまして、マネジメント等のディスカッションをするですとか、あるいは分析的手続をするといったことをして、監査計画段階からリスク・アプローチをすると。そういうことに移っていったと。ただ、それがまた行き過ぎて、最近ではちょっと戻りませんかという議論になっていると。そういうことがあると思うんですね。

 そういう流れがありますから、日本はじゃあその流れのどこにあるかというと、まだ実証的手続をがんがんやっているという段階なのかというと、私は現場にいる限りではまだそういう段階ではないのかなと。5年前に我々が海外から要求されていた確認書の発送水準に届いているかというと届いていないと。そういうふうに私は理解しています。ですので、ここで日本がリスク・アプローチだと言って効率化を一途に追いかけていくと、それが果して先ほど渡辺委員からあった世界一の監査になるのかなというと、そこはよく考えた方がいいのかなと思います。

 それと、皆さんの御意見の中に、監査が、例えば不正なり何なりというものを発見しなさいということが強く言われています。ただ、これは社会の要請ですと言われると我々は何とも言えなくなってしまうんですが、そのあたり、その一方で、山浦先生のペーパーにもありますけれども、限界があるというところ。効率化というお話とその限界という話はやはりパラレルにあるものであって、効率化を図ろうと思えば、全部見るなんていうばかなことは当然しないと。そうすると、ある限られた範囲を見ようとすると。その限られた範囲がジャストミートしているかどうかというと、わかっていてもそこを見なかったんじゃないかと先ほど渡辺委員はおっしゃいましたが、それはどうか個別事由ですのでわかりませんが、なるべく適切なところに絞ってやろうというのはもちろん我々も考えていますし、そういうところを効率化を図られなければ、我々も監査法人等の経営をしているわけですから、効率化を図るということは大事なことなんですけれども、そのあたりを、我々も模索をしているということは、現段階できちっと理解をしていただきたいなというふうに思います。

 ちょっと取りとめがなくなってしまったんですが、全体的にはそういうところです。

 個別の話としては、これは全然今のレベルと違う話になってしまうんですけれども、他の監査人の監査結果を利用するということがありました。先ほどの連結のお話も出たんですけれども、これから日本も金融機関を初め、持株会社という制度がふえてくると。そうすると、現在の金融機関の監査などを見ましても、日本の場合ですと、主たる監査人ですとかという認識よりは、共同監査という位置づけが多いように思います。日本の監査の実態を考えますと、この共同監査における責任の所在というのがどういうものになるのかと。そういう点については、基準で書かれるかどうかは別としまして、この場で少し御議論いただいた方がよろしいのかなと、そういうふうに考えております。

 長くなりました、すみません。ありがとうございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。那須委員から今御発言いただきましたが、それでは友永委員、どうぞ。

○友永委員 一つだけちょっと実務の方からお願いしたいというところがございまして、この論点整理の方の2ページ目のところなんですが、上の方に「監査基準は、証券取引法や商法に基づく(正規の)監査を対象とすべきである」と。これはレビューとかそれ以外の証明手続と区分するという意味でこういうふうにお書きになっていらっしゃると思いますし、山浦先生のレポートの2ページの(3) のところでも、財務諸表監査、これは証券取引法に基づく財務諸表監査だということがございます。実務の方では任意監査というのもございまして、これはやはり同じ保証水準、監査基準と同じ保証水準で実際に業務が行われております。中には違う監査基準を設定した方がいいのかなと思われる、今学校法人でも公益法人でも一緒にしておりますけれども、そういった部分は別として、企業の財務諸表監査においては、例えばUSの会計基準に基づいて作成された財務諸表を日本の監査基準で監査すると。あるいは国際監査基準について作成されたものを日本の監査基準で監査するということが当然任意監査の世界では行われるわけでございますので、そこら辺が入るという感じでお書きいただければと思っております。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。もう少し時間がございますが、伊藤委員もし先ほどの補足がございましたら、御指名することはしないんですけれども、もしよろしければ。

○伊藤委員 先ほどの那須さんのお話はもっともでございまして、私どもはやはり必要な監査はぜひ十分やっていただかなきゃいけないと。しかしながら、ただ詳細すればいいというわけでは決してないんで、いかにして、まあ企業はそうなんですね。常にそうなんですが、コストとリザルト等をやはりいかにアウフヘーベンするかが極めて重要なわけで、それが何らかの1項目が入ってしかるべきではないかというふうに私は申し上げている。それは何も監査項目を少なくしろとか、そういうことを申し上げているわけではなくて、より効率的にやっていただきたということであり、しかも日本独特の社内監査役制度といったものをどうやってそれに調和させるかということで、これは山浦先生がきちっと御指摘いただいているし、コストについても先生から御指摘いただいておるとおりでございまして、そういうのをぜひ私は何らかの形で十分入れていただきたいということを申し上げて、決して意見が違うわけではないというふうに私は思っております。

○脇田部会長 ありがとうございました。河野委員、どうぞ。

○河野委員 友永委員にせっかく指摘していただきましたので、一つ、この2ページ目の一番上の右上のところで、私どもからも一言だけ申し上げさせていただきたいんですが、私どもやはり、例えば共同組織の金融機関に対しまして、業法上、商法監査が要求されているわけですけれども、こういうところにおいて、やはり証取法監査との実質的な同質性、均一性といったものをぜひ強調していただきますと、またそこは共同組織金融機関側の対応、あるいはその監査を行う監査法人の方の対応におきましても非常にいい影響があると思いますので、この点につきましては商法監査等と、先ほどの友永委員の御意見を踏まえますと申し上げるべきかもしれませんけれども、ぜひ強調していただければと思います。

○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、まだ御議論、あるいは御発言あるかと思いますが、そろそろ時間も参りましたので、あらかじめお願い申し上げましたように、4月28日(金曜日)までに、いろいろと御意見ございますと思いますので事務局の方にお送りいただきたいと思います。期限を限りまして大変恐縮でございますが、重ねてお願い申し上げます。

 これからの予定でございますけれども、私といたしましては、次回の部会までにこれまでの審議の背景や経過も含めまして、この第二部会として取りまとめるべき論点整理の原案を作成いたしたいと考えております。そのためにも皆様方の貴重な御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 なお、論点整理は文章の形で整える必要がございますので、これから山浦委員、友永委員にもお手伝いをいただきたいと思いますので、両委員にはよろしくお願いいたします。

 それでは、大体予定の時刻よりちょっと早いのでございますけれども、御発言ございませんでしょうか。なければ、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。本日もいろいろ御発言をいただきましてありがとうございました。

 なお、次回の部会でございますけれども、ちょっと御注意いただきたいんですが、5月12日の金曜日でございまして、開会時間が午前中になりまして、午前10時から12時に開催することを予定しております。午前の時間となっておりますので、どうぞ御注意をいただきたいと存じます。

 なお、先ほど申し上げましたけれども、重ねて御意見を来週の末までにお寄せいただきますようにお願いいたします。

 本日は、皆様には大変お忙しいところを御出席いただきましてありがとうございました。