企業会計審議会 第二部会 議事録

日時:平成12年6月2日(金)午後2時03分〜午後3時57分

場所:大蔵省第三特別会議室

 

○脇田部会長 定刻になりましたので、これより第8回第二部会を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は監査基準等の一層の充実に関する論点整理につきまして御審議をいただき、お取りまとめをいただければと考えております。

 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。

 まず、前回の部会以後に御意見を頂戴しております。そこで、これをまず事務局から御紹介いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○多賀谷課長補佐 それでは、御紹介させていただきます。また、多少要約しつつ御説明、御紹介をさせていただきますので御了承いただければと思います。

 初めに、加藤委員からの御意見でございます。三つございます。

 一つは監査の役割の部分でございまして、監査の限界というのは、監査人側の理由だけによって生じるというような文章になっていますが、監査の限界は被監査会社側の理由によっても生ずる事象ではないかと。例えば、会社のトップが会社の内部統制組織や意思決定機構を通さずに不正・違法行為、又は財務諸表の虚偽記載を企てた場合には監査人が発見するのは非常に困難であると。このようなコーポレート・ガバナンスやコーポーレート・カルチャーの重要性が指摘されるということでございます。

 それから、2番目が不正や違法行為に関する監査の役割という点につきまして、これは2カ所出てくるわけですが、不正と違法行為を区別して取り扱っているところと、不正と違法行為という報告をするという部分については両者を一緒に述べていると、この2カ所の記載に整合性がないので、ここは調整すべきではないかという御意見。

 それから監査報告書の日付につきましては、米国等における慣行として、例えば特定の事項についてだけ異なった日付にすると。DUAL DATING と。あるいは過去に発行した監査報告書を事後にもう一度他の目的で発行する場合の日付のアップデート、そのようなもの、それに伴い実施するKEEP CURRENT REVIEW 手続というようなものが米国ではあるということで、もう少し多面的に検討してはどうでしょうかという御意見を頂戴しております。

 次に内藤委員からの御意見でございます。これは1点はゴーイング・コンサーン、前回の部会でも須田委員等から御指摘があった部分ですが、「既に発生した」というような用語はミスリーディングではないかということで、ここら辺については、例えば「組織体の存続能力に対する影響が未確定な事象」という何か言葉を補ってミスリーディングにならないようにする必要があるということ。

 それから二つ目が、監査人の独立性については、外形的独立性というのは、強調することは前文等で強調するとしても、基本的にはこれは公準のレベルであるので、前回の案のような形でよろしいのではないかという御意見。

 それから3点目が財務諸表の開示の充実と監査人の対応ということで、ここは前回加藤委員からも、内容が曖昧でよく意味が通じていないという点でございまして、同じような御指摘が内藤委員からもされております。特に財務諸表の適正性についての実質的な判断の要請と同様に、個々の会計的判断に対する監査人の実質的な判断を要請する基準が必要ではないかという、こういうような論点になるのではないかという御指摘でございます。また、この点は監査要点として、連結ですとか、幾つかの監査要点にも関係するということになるのではないかという御指摘でございます。

 それから、それ以外のところにつきましては、字句の御指摘等はちょっと省かせていただきますが、たくさん今回の論点整理では事項があるわけでございますが、この事項の緊急性に対する第二部会の認識を示す必要があるのではないかということ。

 それから、これは基準自体のことではないかとも思うんですが、会計基準として適用すべき基準が明確でない場合というのは現実にあるということだと思うんですが、これに対して具体的な実施上の問題として、日本公認会計士協会にしかるべき窓口を設けて一定の指針に従って判断を問い合わせることが可能となるような仕組みをあわせて検討する必要があるのではないかという御意見がございます。

 それから、表現上の問題としては、「会計監査人」という言葉を使っているところもあるということで、この辺の修正。

 それからリスク・アプローチに関して、これも前回御指摘がありましたが、内容が曖昧な点があるということで、ここも監査リスクというようなことを明確にすべきであるという御意見。

 それから「監査判断に至るプロセス」という用語を使ってあるところがございますが、「監査意見に至るプロセスでの監査判断」という方が分かりやすいのではないかという御意見。

 それから、「経営者とのディスカッション」のディスカッションというものを日本語にうまい表現がないでしょうかという御意見でございます。

 あとはちょっと言葉が整合していない部分の御指摘がございました。

 それから最後に、渡辺委員からの御意見でございます。その前の回に御提出いただいた御意見は現在でも同じですということで、今回の御意見としましては、非監査情報との整合性ということで、非監査情報については範囲が曖昧というような御意見もありましたが、不良債権問題等では、銀行自身の広報誌が監査済み財務諸表より真実に近い多額の不良債権を公表していたというようなこともあるということでございますので、原案に賛成であると。その範囲を限定しないということだと思います。

 それからゴーイング・コンサーンと特記事項の改廃ということでございますが、やはり継続可能性について注記を入れるということは、問題のある企業はほとんどの場合注記を拒否するのではないかと。その場合には、監査報告書のどこかにその継続可能性についての指摘が書かれることになるのかどうかと。そして特記事項を改廃してしまうだけの現在の案では宙に浮いているように思いますという御意見。

 それから、最後に会計方針の変更。いわゆる2号限定についてでございますが、要約させていただきますが、例えば、「円高進行に対応して後入れ先出しを採用していたが、貿易黒字も減少し、今後円相場の極端な変動は見込まれないので、総平均法に変更した」というような理由を正当な理由として評価方法を変えているような事例があると。正当な理由がより適切というより、アクセプタブルという意味で使われているのではないかと。そうであるとすると、限定意見、正当な理由による会計方針の変更も限定意見でいいのではないかというような御意見でございました。

 以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。本日は、この後、御意見をいただきました方も含めまして御議論いただくことにいたしたいと思いますが、その前に論点整理の修正案を御説明させていただきたいと思いますので、この点をお願いしたいと思いますが、そこで、まず、今申し上げましたように論点整理の修正案につきまして、前回の部会で皆様方から御意見をいただきました。またその後、今御報告いたしましたような御意見をまたお寄せいただきました。ありがとうございました。そこで、それらの御意見を踏まえまして修正したものが今お手元にあります資料でございます。

 この点につきまして、本日は前回の部会で御検討いただきました論点整理案と、今申し上げました諸点を踏まえて修正をいたしました案等を対比した資料を作成いたしましたので、それにつきまして御審議いただきたいと考えております。

 まず、修正の内容につきまして、事務局から一通りの御説明を申し上げますので、よろしくお願いいたします。それでは、よろしくお願いします。

○多賀谷課長補佐 それでは、前回の部会での御検討とその後頂戴いたしました御意見を踏まえまして修正いたしました論点整理案について御説明いたします。

 部会長から今御指示がございましたように、今回は資料として左右対象の資料を用意しております。左側が前回の部会で御検討いただいた論点整理案でございます。右側がその論点整理の修正案でございます。

 1ページから順次御説明をさせていただきます。

 なお、かなり大部でございますので、多少時間がかかるかとは思うんですが、字句の誤り等につきましては若干省略をさせていただきます。

 まず初めに、1ページから2ページにかけまして経緯の部分がございますが、この修正した部分につきましては、四角く囲ってある部分、あるいは用語でございます。

 この中ほどで、一つは「リスク」という言葉を「経営環境等の評価」というふうな修正をしております。これは「リスク」という用語について御指摘があり修正をしたところでございますが、後ほどリスク・アプローチの項目のところで、この用語の修正につきましては御説明をさせていただきます。

 その他、若干の修正を行っておりますが、内容的には1ページ目は変わりはございません。

 それから2ページ目でございますが、中ほどからの修正は最後にパラグラフをつけた関係で語順といいましょうか、文章のつなぎを主に修正をしているところでございます。

 内容的には、内藤委員から、中間監査基準をどのように考慮するかという御意見をかねていただいておりましたので、これについて部会長等と御相談させていただきました。ただ、現時点ではやはりレビューを固めないと、そのレビューとの関係、あるいはその監査自体、監査基準自体との関係というのを整理をし直さないとなかなか、現時点で中間監査の位置づけというのを適切に見直すということがタイミング的には難しいのではないかということでございますので、最後のパラグラフに「なお」をつけまして、「なお、中間監査基準については、監査基準等の審議状況を踏まえ、その内容の見直しについて、今後併せて検討することを予定している」ということで、この監査基準の御検討とあわせてといいましょうか、ある程度内容が固まった段階で、中間監査の位置づけも改めて御検討いただければというふうに考えております。

 それから3ページでございます。中身に入らせていただきますが、まず、総論の1の監査基準のあり方でございますが、(1)の修正箇所につきましては、内容的には大きく変わっているわけではございません。文章が長いということがございますので、これを区切って平易な表現に字句を修正をさせていただいております。

 それから(2)でございますが、この位置づけというのは、これは字句の修正でございます。以下、ずっとここの点は修正をしております。

 それから、4ページでございますが、2の監査の目的でございます。4ページの監査の目的につきまして、(1)から次の5ページの(3)までは字句の修正のみでございまして、内容的には変わっておりません。そこで、(1)、(2)、(3)は省略させていただきまして、5ページの(4)でございますが、(4)は内容的な趣旨は同じなんでございますが、前回の案では、ここに四角で囲った部分の中ほどに「仮に、意見表明の形式が異なる監査制度があるとしても」というふうになっているわけですが、ここはやはり現に商法と証券取引法では意見表明の形式が異なっているわけでございますので、「仮に」というような表現はとりまして、ここの部分をむしろ前の方に移しまして、「証券取引法と商法ではその目的を異にする面があり、意見表明の形式が異なるとしても」という形で、これは前提ということで、冒頭の方にこの文章を移しております。この方が事実に合っているのではないかということで修正をさせていただいております。

 それから6ページにいかせていただきますが、6ページの(5)監査とレビューとの関係についてどのように考えるかという点でございます。

 レビュー自体は、これは保証業務ということは、前回の部会でも御検討いただきまして、山浦委員からも御指摘がございましたように、一応国際的にも広い意味での保証業務の一つであるということでございます。ただ、「保証業務」という言葉を、前回の部会案では「保証業務の一つである」というふうにある意味では言い切ってあるわけですが、そこのところを今回では「保証業務としての監査とレビューとの関係」ということで、保証業務というものを、すべてをここで明らかにするということはできませんので、保証業務としての監査とレビューとの関係をまず整理して、そのレビューを監査基準の対象とするか否かについて検討をするというような指摘にしております。

 また、第2パラグラフのところでは、「レビュー」の意味については、諸外国ではこうなっていると、かくかくこうなっているというような表現にしております。と申しますのは、今までも部会で御報告いただいたところでも、日本ではまだレビューというのは確立をしておりませんので、いずれも諸外国の状況、あるいは諸外国の基準をもとに御報告をいただいております。そこで「諸外国では」というのを冒頭につけまして、諸外国では、レビューというものはこのように、いわゆる通常の監査とは異なるものであるというような文章にしまして、それに比較しまして、我が国ではまだレビューというのが誤解があるんだというような文章にしております。

 この中で、用語としては、下から3行目でございますが、「限定的な保証業務」という言い方をしておりますが、限定的というのは、例えば監査の範囲や手続を限定するというような使い方をしますので、それとはこことは言っている意味が非常に違いますので、むしろ「消極的な保証業務」という言葉にしております。いわゆる意見を表明しないという意味で、ここは消極的という形に言葉を改めております。

 それから、3、監査の役割でございます。監査の役割の項目でございますが、ここも(1)につきましては修正はございません。監査の限界つきましては、仮に監査人の権限に制約がなければ、ガバナンスに問題があっても監査人側の責任が相当重くなると思われます。加藤委員から先ほどの御指摘がございましたけれども、当然会社の方にも監査が十分できないという要因はあろうかとは思いますけれども、例えば、監査人の方の権限が無制限ということは現実にはあり得ないんですが、あったとすれば、これは例えば会社の内部統制に問題があったとしても、やはり監査人の責任で、そこまでやりなさいというようなことになるのではないかと。あるいは監査人の方の責任が重くなるのではないかと思いますので、ここでは、監査人の責務という面から見た場合には、やはり監査人の側が、能力とかということではなくて、法令上の権限にそもそも制約があるということでございますので、すべてのことができるというわけではありません。そういう意味で、ここでは特に文章は変えておりません。ただ、会社側のことにつきましては、これは加藤委員の御指摘はごもっともでございますので、その点は(3)の内部統制の役割の方で、むしろ企業側の責任として内部統制の確立を求めております。そこはおのずと監査を受ける側と監査を行う側の責任分担があるということで、あわせて読んでいただければというふうに考えております。

 それから7ページの(2)不正や違法行為の発見に関する監査の役割をどう考えるかというところでございますが、これは前回の案では、先ほど加藤委員からの御指摘にあったとおり、不正についてのみ記述をするというような形になっておりまして、違法行為には触れておりません。これは後述の不正及び違法行為という項目との平仄が合っていないということでございますので修正をしてあります。

 最後のこの文章の部分ですが、「違法行為が会計処理に影響する場合には、不正と同様に考える」ということをつけ加えて、若干不正と違法行為というものには違いがあると。特に違法行為というのは、非常に一般的に幅広い概念でございますので、それが監査においては、まさに会計処理に影響していくというものについては不正と同様に対応をしていくんだということを明確にしております。その上で、会計処理に関係しないものもあることを記述しております。

 この点、前回の案では「財務諸表の虚偽記載と関係するものとは言えない」というような表現になっておりますが、財務諸表の虚偽記載といいますと、最終的にでき上がった財務諸表、つくられた後に監査してというような何かイメージが出ます。ただ、監査というのは期中でも行われているわけでございますので、そのときそのときというイメージで少し文書を変えまして、会計処理に影響しないものかどうかというのは、例えば不正行為なり違法行為を監査の途中で発見した場合には、そのときそのときで当然それが会計処理に影響していくものであるのかないのかという御判断をいただくというような形の表現になっております。

 それから、(3)と8ページの(4)は若干の字句の修正だけでございますので、省略をさせていただきます。

 それから、(5)ゴーイング・コンサーンの部分でございますが、これは前回の部会でも、ここは須田委員から少し表現が後ろ向きではないかと。それからまたリスクとの関係が曖昧であるということで、また内藤委員からも、先ほど御紹介いたしましたように、ここは少し言葉を考え直した方がいいのではないかというような御意見をいただいております。

 まず、その「ゴーイング・コンサーン」という言葉でございますが、これも会計的な脈略によりましては、いわゆる会計公準としての継続企業という意味でもよく使われております。ここは一応確たる定義というものまで考えているわけではございませんが、(5)の冒頭に「ゴーイング・コンサーン(企業の継続性)」ということで、一応読んだ方に分かりやすくということでつけ加えております。

 それから第2パラグラフ以下でございますが、この表現が後ろ向きというのは、特に現時点で既に発生している事象を前提としてということが、過去の事象のみを取り扱っていて、そこに将来のゴーイング・コンサーンという、ゴーイング・コンサーンという言葉が持っている意味との組み合わせというんでしょうか。うまくかみ合わないんではないかということだと思います。そこで、御意見も参考にさせていただきまして、ここのところは、読ませていただきますと、「債務超過状態の継続、借り換えに懸念のある多額の借入金の存在や災害による重大な被害の発生など、ゴーイング・コンサーンに重大な懸念を生じさせる状況が認められるときには」ということで、これは現在、あるいは過去から現在までということでございます。「監査人は、こういった状況に対する経営者の認識や今後の対応方針の合理性も考慮して、ゴーイング・コンサーンを前提として財務諸表が作成されることの妥当性や、当該事象に関する適切な開示が行われているかについて判断することが指示されるている」というような文章に修正をしております。従いまして、経営者の今後の対応ですが、それが合理的かどうかということは、もちろんその時点から将来に向かってのこと、そういうような将来に向かってのことの判断というものも入るということでございます。このような表現に変えております。

 それから(6)も(5)を変えたことによりまして変えております。これはゴーイング・コンサーンの開示の問題を記述してある部分でございますが、まずゴーイング・コンサーンの状況といいましょうか、ここにつきましては(5)と同じように「ゴーイング・コンサーンに重大な懸念を生じさせる状況があれば」というような形で、第2パラグラフの四角で囲んであるところですが、同じような文章に合わせてございます。

 それから、第3パラグラフでございますが、「この場合、基本的には、ゴーイング・コンサーンに重大な懸念を生じさせる状況に関して経営者による適切な開示が行われていれば適正意見が付され、適切な開示がなければ、監査意見における限定事項として取扱われることになると考えられる」と。「ただし、適切な開示が行われている場合には、監査人がさらに補足的な説明を加えるべきかという問題や、ゴーイング・コンサーンに関する監査人自身の判断のあり方に関する問題については、今後さらに検討する」という文章をつけ加えております。

 この意味は、まず前半のこの適正意見か限定事項かというところは、若干そのゴーイング・コンサーンの注記をつけるということ自体があたかも不適正といいましょうか、その会社が何か不適正というようなことにとらえられると、これは大きな誤解でございますので、監査で判断するのは、そのつけられている注記というものが適切であるかどうかと。それが適切であれば、そのゴーイング・コンサーンに関する開示が行われていたとしても、当然監査意見は適正意見が付されるということを、一応念のためにつけております。何かゴーイング・コンサーンというものの注記を付すこと自体が監査上マイナスのイメージといいましょうか、適切でないというような考え方に結びつくやの誤解もございますので、ここのところを明確にさせていただいております。

 それから最後の部分は、このゴーイング・コンサーンはどういう事態なのかと。あるいは、それについて監査人がどう判断するのかと。あるいは適切な開示が行われていても、さらに何か監査人の責任において補足説明をするかどうかと。この辺につきましては、かなり個別具体的な要件になりますので、これは今後の検討になるということでございます。

 それから、10ページでございますが、一般基準でございます。まず監査人の能力のところですが、これは前回、特にITの進展、ここら辺については、今後我が国の経済社会においても極めて重大な事項であるというような御指摘を、林委員、あるいは伊藤委員からも頂戴しております。そこで、少し具体的に書きまして、「インターネットやコンピュータ等の情報技術の進展」ということで、ITといいますと2文字になってしまいますので、少し具体的に書かせていただいております。

 それから、安藤委員から、監査人の能力というのを一般基準に置くということについては適切なのかどうかという御意見をいただいております。これにつきましては、あるいは前文で記載するべきものということになるんでしょうか。そこら辺は今後の、どこで表現するかというのはまた御検討をいただければよろしいかと。今のところは一般基準にそのようなことがありますので、ここに置かせていただいております。

 それから監査人の独立性でございます。これはいわゆる精神的独立性と外形的独立性についてでございまして、渡辺委員からは外形的独立性も重要なので削除しない方がいいのではないかという御意見をいただきました。また、内藤委員からは、そこは公準のレベルのものなのでこのままでいいのではないかという御意見をいただきました。そこで、まず問題意識を整理をいたしまして、精神的独立性と外形的独立性はそもそも切り離して存在するというようなものではないと考えられます。ただ、今のこの規定では、それぞれ別の項目として規定されているので、どういう関係にあるのかということがそもそもよく分からないと。そこで、今回の文章では、そのような「切り離して考えるべきではなく」というような問題意識を指摘事項として入れまして、11ページの上段でございますが、第2パラグラフにおきまして、外形的独立性は非常に重要なものであると。当然、その「独立性に対する外部からの疑義を排除するために必須の要件として位置づけられるものである」という関係をまず明確にここで記述してあります。これらの関係を明確にした上で、いわゆる一般基準という部分においては、これは精神的独立性のことを記載すると。それから、外形的独立性の内容につきましては、これを定めている法令というものが現にあるわけでございますので、その法令や日本公認会計士協会の規則――ここは前回の案では「倫理規則」になっておりますが、倫理規則はまだ公表されておりませんので、ここは「規則」という形に修正しております――で一層明確にされるということでございます。従いまして、一般基準という意味では、外形的独立性というのは書かないという方向でございますが、前文等のいずれかの場所で、この関係とその重要性というのは触れるというような趣旨でございます。

 それから、監査人の注意義務は特に修正はございません。

 それから、4の監査人の守秘義務、ここも字句の修正だけでございます。

 それから12ページの四、実施基準・監査実施準則でありますが、ここはまず構成自体を変えてございます。先ほど内藤委員から、いわゆる検討内容の優先順位というような御提案をいただきまして、優先順位と申しましても、できる限り全般的に見直していただきたいということでございますので、個々の項目にちょっと優先順位をつけるということはしておりません。ただ、事柄の性質といいましょうか、そのカバーする範囲や重要性ということからいきますと、やはりリスク・アプローチというものがこの監査の実施における中心的な今回の議論の課題ではないかということでございますので、まずこれを冒頭に持ってきております。リスク・アプローチを最初に出しまして、個々の項目につきましては、その後に2、3、4、5というふうにつけるという形で、そういう意味ではリスク・アプローチが優先順位は高いといいましょうか、本質的な問題であるという形に位置づけをしております。

 そういった上で1のリスク・アプローチでございます。従来、4になっていたものが1になったわけですが、ここは特に「リスク」という言葉について須田委員から、通常ですと将来の不確定要素、ボラティリティーなどを指す。こういうふうに使われるのが通常の例えば経済なり金融なりということではないかということでございました。内藤委員からも、ここはちょっと若干誤解を生じるのではないかということでございましたので、ここは監査上使われる意味でのリスクという意味でございます。当然その方が一般的ではないわけでございますので、将来のリスクという意味にとってしまいますと少し意味が違ってしまいます。そこで、この点は、日本公認会計士協会の実務指針を参考にしまして少し修正をさせていただいております。ただ、日本公認会計士協会の実務指針では「危険」という用語を使っておりますけれども、「危険」という用語もこれはたしか児島参考人から余り適切なぴったりしたイメージでもないということなので、「リスク」という用語を使いつつ修正をさせていただいております。

 具体的には12ページの(1)の第1パラグラフでございますが、「監査人が不適切な意見表明をする可能性としての監査上のリスクを低減させる観点から」というような言葉に置きかえております。すなわち監査人が適切に意見を表明し得ないリスクというものを監査上のリスクという言葉として使うということにしております。

 そうしますと、そこで経営環境等の評価というものが非常に重要な一つのリスクということになりますので、前回の文章では「リスク」という言葉がいろいろな意味でリスクの評価ですとか使われておりましたが、ここは監査全体に対する不適切な意見を表明する可能性という意味でのリスクというのを監査上のリスクというような、あるいは監査におけるリスクというような言葉を使ってあらわすと。それから、個々の問題については、例えば経営環境等の評価ですとか、そういう形で言葉を置きかえて具体的に記載するように変更をしてございます。

 13ページ以下も「リスク」という言葉については同じように変更しております。

 それから(2)でございますが、前回の案の、これは実施基準等の構成というのが1にございました。大変申し訳ございませんが、12ページを見ていただきますと、左側に1がございまして、右側は空欄になっております。ここは重複する点がこの1と13ページの(2)が多いということで、これを合わせまして、(2)の指摘事項に修正しております。すなわち「実施基準及び監査実施準則に定められている事項の順序は、監査の手続とは異なり理解しにくいのではないか。特に、現在主流となっているリスク・アプローチの考え方の下で、監査計画のあり方、監査の手順および監査手続の種類を改めて見直す必要があるのではないかとの指摘がある」というふうに、あわせて指摘事項をここで書いてございます。回答の方も「監査計画における経営環境等の評価から始まり」ということで、計画の部分から入れて書いてあります。

 なお、左側の前回案では、「なお、リスクの評価にあたっては」というところがあるんですが、ここは監査の手続の方により関係するというふうに考えましたので、次の14ページご覧いただきたいんですが、14ページの「(3)リスク・アプローチと監査手続との関係についてどのように考えるか」というところに、最後にこちらを持ってきまして、ここでも企業の国際化、それから具体的に「インターネットやコンピュータ等の情報技術の進展」というものをつけ加えまして、ここでまさに監査手続、こういう監査環境等の変化を踏まえた監査手続についても考慮していくということを述べております。

 あとは字句の訂正でございます。

 それから、14ページの2の監査証拠と監査手続でございますが、(1)は、これは若干文言を「自己の意見」ということで修正をさせていただいているだけでございます。

 それから15ページの(2)「通常実施すべき監査手続」でございますが、ここはちょっと文章のつながりと申しましょうか、内容的には特に変わっていないんですが、前回の案では第2パラグラフで、「この点については、監査の実態を知らなければ理解できない面があるが」という文章が入っておりまして、それで「このような趣旨が理解されていないとすれば」というふうにつながっておりますので、これだと少し、監査人も含めて実態を知らないとすればというような感じにも読めますので、この部分は上の指摘事項の方のパラグラフに移しまして、「監査の実態を知らなければ理解できない面があるが」、かくかくしかじかという誤解があるとの指摘があるというような文章にしてございます。

 それから、監査要点につきましては、具体的には今後の検討ということで、この文章は修正をしておりません。

 それから16ページ、監査の質の向上と管理のところでございますが、ここは前回の案の下線部ですけれども、「監査補助者の管理、他の専門家の利用、他の監査人の利用」とこの3つを並べておりました。ただ、他の監査人というのは、他の監査人の監査結果を利用するのであって、いわゆる主たる監査人が直接他の監査人を使うということではございません。そういう意味では、監査補助者ですとか、監査において利用する他の専門家というのとはちょっと位置づけといいましょうか、違うものが並んでいるということに気づきましたのでここを修正させていただいております。

 他の監査人の監査結果を利用するということについては、最後に一文つけまして、「併せて、他の監査人の監査結果の利用と監査責任のあり方についても整理することが必要」ということを書いてあります。他の監査人の監査結果を利用するということは現在でも既に認められているわけでございますが、特にここでは、監査責任のあり方について若干外国と日本の取扱いが違うのではないかという御指摘がありましたので、むしろそこをきちっと記述をしてございます。

 それから、(2)は先ほど内藤委員からの御指摘のとおりでございまして、「監査判断に至るプロセス」というところを「監査意見に至るプロセスでの判断」というように修正をしております。

 それから17ページにいかせていただきますが、(3)は若干、この前の文章とあわせて少し文言を修正させていただいております。

 それから、5の経営者の確認書でございます。これは内容的には特に変更しておりません。ただ、この文章として、経営者確認書の入手が監査手続として明確化されていないというのが現状でございますので、前回の案ですと、「監査手続の中での位置付け」というふうに表現しておりまして、あたかも監査手続であって、その中での位置づけが曖昧というふうにとられかねないということで、今回は「監査手続としての位置付け」がそもそも曖昧であるというふうにしております。そうしませんと、後段の「監査手続の一つとして位置付ける」という文章と文意がつながらなくなりますので、ここは修正をさせていただいております。

 それから、18ページの経営者とのディスカッションでございますが、ここは文章を若干、文言を前と合わせて変更しているということだけでございます。

 それから7、新たな会計基準の導入に伴う監査上の対応でございます。ここは前回の8の部分で、今回一つ項目が減りまして繰り上がっているので、左側が8になっておりますが、まさに極めて曖昧であると。文意がよく通じないという御指摘をいただいたところでございます。ここはやはり前回は後発事象のような問題と時価評価のような問題をあわせて実質的な監査上の判断を求めるというようなことを言おうとしたために、かなりぼやけた表現になったのではないかということでございますが、後発事象等については、いずれにしてもゴーイング・コンサーンのところの検討、あるいは未確定事項との関係というのは、そこで整理をされるということだと思われますので、ここは新たな会計基準の導入に伴う問題に絞って修正をしております。

 従いまして、内容的にもかなり変わっておりまして、「新たな会計基準の導入等に伴う監査上の対応についてどのように考えるか」ということで、その内容といたしましては、「新たな会計基準の適用により、金融商品の時価や退職給付債務の数理計算などが導入される」と。いわゆる評価の問題でございます。

 それから、「また、新たな取引手法等が拡大しており、こういった監査環境等の変化に対する監査人の取り組みについて、監査基準等で対応すべき事項を検討する必要があるとの指摘がある」と。

 「この点については、監査人には、公正価値や会計上の見積の妥当性などについて従来より踏み込んだ判断が求められることから、これらを踏まえて、監査基準等においても具体的に対応することが必要であると考えられる」ということで、どのように、例えば先ほどのITなどについてどのように監査判断をするのか。あるいは監査手続をするのかというのは、直ちには答えが出ないことだとは思いますので、具体的には今後の検討になろうかと思いますが、ここで一応問題意識としては取り上げたという形になっております。

 それから19ページでございますが、不正及び違法行為と。ここは先ほどの不正の発見に対する姿勢のところと同じように、この文章を整合するような形で同じような文章に直しております。

 それから9の非監査情報との整合性、ここについては特に修正はございません。

 これは前回も若干御説明申し上げましたが、非監査情報の範囲については限定をしないと。ただ、常識的に見てあらゆる情報を監査人が見るということは、これはもう不可能でございますので、それはまあ当然ということでございます。また、そういう非監査情報を直接その監査対象として取り込むということを意味することでもございません。この点につきましては、この9の最後のところですが、20ページの一番上の行でございますけれども、「非監査情報との整合性についても相応の注意を払うべきである」ということで、このような表現でそこら辺については監査対象ということとは一線を画した表現をさせていただいております。

 最後に五の報告基準・監査報告準則のところでございますが、1、監査報告書の構成、2、監査の概要の記載、ここは若干字句の訂正があるだけでございます。

 それから、21ページ3の監査意見の記載でございますが、ここは、前回案では「経済実態をよりよく表示する会計基準の適用が行われているかどうか」となっていたんですが、この「よりよく」という表現は何か曖昧でありまして、何かかえって粉飾的な意味でよく見えるような会計基準を使うというような誤解があるといけないということで、今回は「重要な虚偽記載がないことの合理的保証の上で」と、「経営者による会計処理の選択や見積に関する評価を含め、財務諸表全体に対する適正性について意見を表明する」というように、具体的に監査報告書の書きぶりと合うような形で書き改めさせていただいております。

 それから、(2)は若干の字句修正だけでございます。

 22ページでございますが、意見差控、ここも内容は変わっておりません。ただ、前回の文章では「米国では」という始まりでございますが、最後が「基本である」というふうに切れておりまして、ちょっと文章がつながっておりませんでしたので、これは、米国ではかくかくしかじかで「適切ではなく」ということでつなげまして、最後に「適正又は不適正の監査意見を表明することが基本であるとされている」というふうに文章を整えてございます。

 それから5の特記事項でございます。特記事項につきましては、渡辺委員からもこの記載がなくなってしまっていいのかという御指摘がございましたが、ここでの論点の趣旨を少し詳しくいたしまして、児島参考人の御報告にもございましたけれども、本来、適正か否かの監査意見を表明するというのが監査人の最も重要な責務といいましょうか、求められているところでございます。ところが、必ずしもすべてということではございませんが、適正か不適正かという判断を避けるために、何かこの特記事項というところを利用してと言うのでしょうか、そういうようなこともあり得ると。これはいわば特記事項というものの位置づけが曖昧であるからこのようなことになるということでございますので、そこのところをきちっと指摘事項として具体的に書いてございます。

 22ページの下から4行目からでございますが、「特記事項は、情報提供機能の拡充という趣旨で設けられたが、本来、その機能は監査人の意見表明の枠組みの中で果たされるべきであると考えられる」。すなわちここは、適正とか不適正とかという本質的な意見がまずあるべきであるということでございます。「しかし、監査実務の現状からは、特記事項は監査人の保証の枠に収めにくい問題を回避するための手段として利用されている面もあることから、その性格は不明確といわざるを得ず、情報提供機能のあり方と併せて、特記事項の改廃について検討することが適当と考えられる」。児島参考人からの御報告でも、どうも日本は少し広く書き過ぎているような部分もあるのではないかと。いや、むしろ監査意見としていいのか悪いのかということが明確ではないんではないかというような御指摘もございましたので、そこの趣旨でございます。

 それから、必ずしも特記事項をやめるという結論を出しているわけではございませんで、その監査意見の表明のあり方、その他補足的な説明のあり方など、情報提供機能のあり方と併せて、今の特記事項という位置づけというんでしょうか、それを当然なくして別のことにすると。別の項目にするということも含めてこれは検討していくという意味でございます。

 それから最後に、監査報告書の日付及び署名でございますが、ここは加藤委員から御指摘がございましたように、米国では特定の項目について監査報告書の日付を変えるといった慣行があるというような御紹介がございましたので、そのような指摘もあるということをつけ加えさせていただいております。

 それから(2)は、内容的には変わっておりませんが、「代表者の他」というところを「代表者に加え」と。「監査法人の代表者の他業務を執行した社員」というのは、ちょっと漢字が続いて読みにくいということと、現実には監査法人の代表者というのは必ず監査報告書に署名をすると。これに加えて代表者のほか業務を執行した社員も署名をするというような条文になっておりますので、修正したということでございます。

 大変、急いで御説明申し上げました。以上でございます。

○脇田部会長 詳しく説明をしていただきましてありがとうございました。

 ただいま事務局から説明をお願いいたしましたけれども、このように第7回の審議会に提出されました論点整理案、それに基づきまして、このようなさらに修正を加えたものを本日ここに作成いたしております。

 以下、この点につきまして皆様から御意見をいただき、それぞれ内容を明らかにしてまいりたいと思いますので、どなたからでもよろしゅうございますから、どうぞ活発に御意見をお寄せいただきたいと思います。

 内藤委員、どうぞ。

○内藤委員 私はいつも文章で意見を出していますので、きょうは発言させていただきたいと思うんですが、大変、修正案ですね。直していただいて、分かりやすい表現に改まりましたし、それから内容的にも、そのレジェンド問題に対する対応として監査基準の充実につながるような内容が盛り込まれているというふうに思っております。

 ただ、今から申し上げる幾つかの点について、に関することかもしれないんですが、気づいた点だけ申し上げたいんです。

 まず一つ目は、この修正案の文言で、「これこれの指摘があるので検討する必要がある」「必要であると考えられる」「これこれであるべきである」「になると考えられる」という表現、これは単なる表現の違いだから細かいことかもしれないんですけれども、「これこれ必要である」ということと、「これこれ必要であると考えられる」というのは、「必要である」というふうにした方は必ず変えるという意思表示なんでしょうか。「考えられる」というふうにした方はそこまでいっていないという意思表示も含まれているという趣旨なんでしょうか。もしそうじゃないとしたら表現を、必要であるという意味だったらそれで区切った方がいいんじゃないかということがまず一つなんです。まずそれが第1点、全体にかかわる問題ですね。

 それから二つ目は、9ページのゴーイング・コンサーンのところで、前回、非常に消極的じゃないかという御意見に対して、今回はそうじゃないということで誤解は生じないというふうに思うんです。ただ、その中で、9ページの最後のパラグラフにつけ加えられた内容なんですけれども、今、多賀谷さんの方から誤解が生じないような表現にしたという点は確かにそうなんですけれども、もう一つ別の誤解を生まないかなというのは、「適切な開示が行われていれば適正意見である」と。「適切な開示がなければ、監査意見における限定事項として取扱われる」というふうに書いていますね。そうしますと、これは一般的に限定事項というのは、適正意見の範疇に入った意味での限定事項なのか、あるいは不適正意見も意味をしているのかというのが、もう一つはっきりしないんじゃないかと。逆に言うと、「監査意見における限定意見又は不適正意見として取扱われることになると考えられる」という方がより正確ではないかということが一つです。

 それからもう一つは、「ただし」以下の問題について、「今後さらに検討する必要がある」ということなんですけれども、22ページの方の意見差控に当たるケースをどう考えるかという、ちょうど22ページの4の意見差控のところに説明があるんですけれども、その最後のところに「我が国においても、未確定事項の存在が必ずしも意見差控の要件となるものでないことを明らかにする必要があると考えられる」と。とすると、じゃあこのゴーイング・コンサーンについても、必ず適正なのか不適正なのか決めなさいということになってくると、大変ちょっと実務上厳しいものがあるんじゃないかと思うんですね。ですから、ここは22ページの意見差控と関連はしているんですが、ゴーイング・コンサーンにかかわる未確定事項の問題というのは、なお検討する必要があるんじゃないかと。そういう点は十分に表現されていないんじゃないかということについて伺いたいと思います。

 それから三つ目は、10ページの独立性の問題なんですが、独立性の問題、私の意見は渡辺先生と違って、監査基準は監査行為にかかわる原則、基準を書くべきだという立場から、それに携わる人の能力だとか、それから外形的独立性だとか、それは当たり前のことといいますか、前提条件として成り立っているという趣旨から外形的独立性は扱うべきじゃないですよというふうに主張していたわけです。それはそういう意味だということを御理解いただきんですけれども、10ページの四角で囲まれているところの意味なんですけれども、非常に細かいことを申し上げるんですが、「精神的独立性と外形的独立性は切り離して考えるべきものではなく、監査基準等においてそれらを併記することは適切でない」というふうに書かれているんですが、これは素直に読むと、切り離して考えるべきじゃないのに併記することは適切でないというふに書かれると矛盾じゃないかというふうに読まれてしまうんじゃないか。ここで意味しているのは、一般基準の別々の条項において規定されるべきではないという意味だと思いますので、表現を改めた方がいいんではないでしょうか。

 それから、13ページ目から14ページ目にかけて、リスクを監査上のリスクというふうに書いていただいて、それはよかったんですが、14ページになると、今度監査におけるリスクの評価という言葉が違った表現が使われるんですね。監査上のリスクで統一するんであればこれは統一すべきじゃないでしょうか。ここで違うことを意味しているんであったら、その表現を変える必要があるんじゃないでしょうかと。これはお伺いしたい点です。

 それから次、いろいろ申し上げて申し訳ないんですが、18ページの7の新たな会計基準の導入等に伴う監査上の対応のことなんですけれども、これは私の意見も入れていただいて大変分かりやすい記述に変わったと思うんです。ただ、例えば、ここで言わんとしている意味がちゃんと出ているかどうかということを確認のために申し上げたいんですが、例えば会計上の見積もりの妥当性について踏み込んだ判断が求められるということ、これは確かに私はそうだと思うんです。これは従来、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告書の第13号、ちょうどお手元のこの黒表紙の資料の右肩の45ページに、会計上の見積の監査という、すぐれた基準、ガイドラインが示されていると思うんですが、その中の46ページのところに独自の会計上の見積もりをしなさいと。これは会社側が行った見積もりじゃなくて、公認会計士がそれとは別に専門家を利用するなりして、独自の会計上の見積もりをして、その会計処理による評価が実態を正しく表わしているかどうかをちゃんとチェックしなさいということ、大分これは踏み込んだことを言っているわけですね。ところが、現行の監査基準ではそこまで踏み込みなさいという、要するに上位基準の中にそういう規定がないのに、ガイドラインではそれが示されていると。その点を、具体的に対応するというのはそういう意味じゃないかなというふうに考えるわけです。

 それから、多分これで最後だと思います。これも非常に細かい問題ですが、20ページのところの監査報告書の構成のところで、「監査報告書における情報伝達機能についてどのように考えるか」と。ここで「情報伝達機能」という言葉を使っております。それに対して、22ページの特記事項のところでは、「情報提供機能」という言葉が使われています。これは単なる誤植なのか、それとも意味があって使い分けているのか、その点をお伺いしたい。

 以上、たくさん申し上げましたが、私の意見はそれだけです。

○脇田部会長 ありがとうございました。非常に詳細に御検討いただいて、私からまずお答えいたしますけれども、同時にこの修正についてお力添えいただいた山浦先生、あるいは友永先生からも補足していただければありがたいと思いますが、まず1番の必要である、あるいは必要と考える、何とかであるべきであるということにつきましては、必ずしも統一して使っておりません。今、御指摘いただきました点については、そういう段階をつけて意図的に表記はしておりませんというふうに思います。この点は事務局の方でもそういう……。

○多賀谷課長補佐 多少の思い入れの違いが表現されたのではないか。

○脇田部会長 多少の思い入れがあると思いますけれども、明確な基準でここを審議するといったような明確な基準……。ですから、先生の御指摘の点については、もう一度見直す必要があるかもしれませんが、作成の段階ではそれぞれの思い入れで、必ずしも客観的基準があって記載したわけではありません。

 それから、第2番目は内容的なことなのでちょっと後にさせていただきまして、3番の独立性についての表現ですが、確かにこの点は、今御指摘のように、ちょっと読み取りにくい点もあるかと思いますので、御指摘については考慮させていただきたいと思います。

 それから、監査上のリスクということでございますけれども、これは監査上のリスク、監査上の危険というのが実務指針で使われておりますね。ところが、もう少し包括的に固有の危険とか、あるいは内部統制上の危険とか、監査手続上の危険とかといったような言葉が使われておりますので、それらの関係を包括的にあらわすという意図で使い分けているということであります。

 その点についてはまた御意見を伺わなきゃいけないと思いますけれども、それから独自の見積もりという点について、確かにガイドラインの方ではそこまで踏み込んだ記載がございますけれども、ここで今御指摘のように、上位基準であるとすれば、その点の書き込みが必要かどうかは御指摘のところを考慮すべきかと思います。

 それから最後の6番目ですけれども、これは御指摘のとおりであります。伝達、提供、これは特に議論をして区分けしているわけではありません。

 この点について山浦先生、御協力いただいた点で補足していただければありがたいと思いますが。特に2番目の先ほどの意見、限定事項及び不適正意見等の意見差控との関係についてお願いいたします。

○山浦委員 内藤先生にはいつも御指摘いただきまして感謝申し上げます。

 まず一つ、9ページのゴーイング・コンサーン問題に係る限定事項という意味なんですけれども、実はこれは広い意味で使っておりまして、意見の限定というか、限定をするということ自体が不適正意見、あるいは意見の差し控えという意味での限定も使いますので、その意味でここで限定という言葉を使ったんです。限定事項と。ただ、もし御指摘のような形で、読み取りにくいということであれば、そのあたりはもう少し書き込んでみたいと思います。ただ、ここで言っている趣旨は、限定付きの適正意見、それから不適正意見というその両方だけを考えているんじゃなくて、もう少し踏み込んでこれを検討しなくちゃならないと思うんですけれども、恐らく意見差控のこういう選択肢も、これはやはり考えなくちゃならない事態があると思うんですね。ですから、そこまで含めたつもりでこの限定事項という言葉は使ったつもりなんです。その上で、おのずと答えが出ると思うんですけれども、22ページについては未確定事項と、もちろんその意見差控ですね。そのコンビネーションについても考えていると。そういう趣旨です。御理解いただいた上で、あるいは9ページについて御指摘のような形でとらえられないように、もう少し表現を加えるということは考えてみたいと思います。

 それからもう一つ、監査におけるリスクの評価、それから監査上のリスクという、これは部会長の方からお答えがあったんですけれども、我々こう考えているのは、これは監査におけるリスクの評価というのはもっと具体的な監査の手続、あるいは手順等に絡めてこれを考えておりまして、固有のリスク、あるいはコントロール・リスク、それからディテクション・リスクですね。これをいわばリスク・アプローチのモデルを考えるときに、オーディット・リスクという――オーディット・リスク=IR×CR×DRですね。監査上のリスクという使い方をしているのは、実はそこでいうオーディット・リスクですね。それを念頭に置いて、その意味で脇田部会長がおっしゃるような、総括的にという言葉を使っています。

 そして、監査におけるリスクの評価というのは、もう少し具体的な場面場面で、例えばコントロール・リスクで、それに応じて監査手続を変えたり、強化したり、あるいは固有のリスクにおいてそれを変えたり強化したりと、そういった場面場面を考えておりまして、そのあたりがもし十分に読み取れない、あるいは紛らわしいということであれは、これはもう少し文章、あるいは言葉を入れかえるなり、そういうことも必要かも分かりません。いずれにしても、これは検討させていただきます。

 それから、見積もりの件なんですけれども、これは論点整理のところで、会計上の見積もりについての監査人の姿勢を明記したのは、逆に言いますと、日本公認会計士協会の実務指針、これを入れると。あえてこちらの方の監査基準の方に取り入れると、そういう趣旨なんですね。これについては、前回の平成3年の監査基準ではここまで書き込んでおりませんので、ですから、むしろしそれは実務の進歩に応じて、それをこちらの方がフィードバックすると、そういう趣旨です。

 これでよろしいでしょうか。

○脇田部会長 どうもありがとうございました。友永委員も御協力いただきましたけれども、補足していただくことはございませんか。

○友永委員 特にありません。

○脇田部会長 ありがとうございました。今のように、私どもはこれを修正する作業の中ではこのようなことでございますけれども、内藤委員から何か御発言、よろしゅうございましょうか。

○内藤委員 いや、結構でございます。

○脇田部会長 それでは、引き続きまして、どうぞ御意見を。加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 3カ所ほどあるんですが、種類としてまとめると二つになると思うんですが、まず最初、18ページの修正案の方の7番なんですが、今、内藤委員の方からも御指摘があって、山浦委員の方から、これは協会の実務指針を取り入れたという御返事だったんですが、そのときに、なぜ、「新たな会計基準の導入等に伴う監査上の対応」ということで、「新たな会計基準の適用により、金融商品の時価や退職給付債務の数理計算等」ということに結びつけているのかということなんですが、というのは、昨今監査人に対する批判が非常に厳しいわけですが、その一つは、やはり実態をよく見ていなくて形式的な監査をしていたということでいろいろ問題が起きたんだという指摘があると思うんですが、そういう観点から見ると、ここに会計上の見積もり等について従来より踏み込んだ判断が求められるということは的を射た指摘だと思うんですが、過去のことであれば、金融商品の時価会計とか退職給付債務の数理計算というのはこれからのことですし、また、この「踏み込んだ判断」というのは、必ずしも新しい会計基準だけではないと思うんですね。ですから、その辺、なぜこの新たな会計基準だけに限定したのかということをお聞きしたいのと、これが監査上における対応であれば、それが反映された報告、監査報告での意見表明というものが出てくるわけで、それが反映されたのが、私の判断ではこの21ページの監査意見の記載というところじゃないかと思うんですね。ここで見積もりに対する評価を含め意見を表明するということになっているわけですね。

 ただ、これが私の感じとしては、むしろ従来の方が何か分かりやすいというか、左側の方を見ますと、「形式的」という言葉が出てきまして、要するに今の監査意見の表明が会計基準の準拠性、会計方針の継続性、表示の準拠性という三つの形式的なものでしかしていないと。それに対して監査意見は「経済的実態をよりよく表示する」ということで、形式的に対して、経済的、実態的という言葉が対比されているので、非常に分かりやすいとは思っていたんですね。今までの形式的な監査、あるいは意見表明でなくて、もっと実態を見て経済的合理性を判断した上で意見表明しなさいというふうに非常に分かりやすかったんですが、今度の修正案はむしろ、まあ「形式的」という言葉は残っているんですが、この修正された言葉の中からそういうようなものが余りはっきりと酌み取れないような気もするんですが、この趣旨というものは変わっていないのかどうか。先ほどの18ページとの関連性でですね。これが一つの質問です。

 それからもう一つは、19ページの9番、非監査情報との整合性に対する監査上の注意ですが、これは前回も私の方で意見を述べたんですが、それは取り入れられていないんですが、それはそういうことで御判断されたのでそれはよろしいと思うんですが、これはどうも何となく納得いかないと思うのは、これには三つの要素が入っていると思うんですね。タイミングと範囲と重要性という問題があると思うんですね。監査された情報と非監査情報とがタイミングが同じなのか別なのか。例えば、既に監査が終わったのに、それに関する情報、監査報告書も出した後に非監査情報としていろいろなところに飛び交うものまで見るのか。そこに整合性がなかったとしても、もう監査報告書は出ていますから、そういうタイミングのずれも全くここでは考えていない。それから範囲も、インターネットで飛び交うものであれ、もうとにかくありとあらゆる情報と監査したものとの整合性に注意しなさいという範囲の制限も一切ない。

 それから、重要性ということについても、19ページには少し「著しく整合性に欠ける情報」というようなことで、重要性的な要素が出ているんですが、例えば、20ページにいきますと、一番上の方に非監査情報との整合性についても相応の注意を払うべきであるという非監査情報のすべてについて注意を払いなさいという重要性についても何も制限とかそういうものがないと。ですから、何となく私は、タイミングも範囲も重要性もすべて監査人が注意を払わなきゃいけないというような気がするんですね。ですから、私は今まで範囲について限定していただきたいと言っていたんですが、それが御審議、御検討いただいた結果、変えられないんであれば、少なくとも重要性についてぐらいは、というのはありとあらゆる情報について注意を払うというのはまず無理だと思いますので、少なくとも重要性については述べていただきたいと。例えば、具体的には、この20ページの一番上のところに「重要な非監査情報との整合性」とか、何かその辺のことぐらいはしていただかないと実務的でないかなという気がするんですが。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。まず、私からお答えできる範囲でお答えいたしまして、また多賀谷課長補佐に補足をお願いしたいと思いますが、最初の御質問については大きく、基本的に実質的、形式的というその御指摘の点については趣旨は変わっておりません。表現の上、それから記載場所の若干の移動をしておりますので、このような体裁にしたということでございます。

 それからもう一つ、あとの第2番目の点につきましては、タイミング、範囲、重要性、これは特に監査人のお立場からは非常に重要な問題でございますけれども、これが論点整理だということでございまして、問題提起で、今の点はもちろんきょうの記録に残っておりますので、今後監査基準、あるいは準則等の見直し作業の中で恐らく酌み取られていき、この点については厳しく議論されるものだと思っております。

 では、多賀谷課長補佐、お願いいたします。

○多賀谷課長補佐 「新たな会計基準の導入等に伴う監査上の対応」というところにつきましては、従来の会計基準、あるいは会計慣行においても同様な問題があるということは、もう加藤委員御指摘のとおりだと思います。ただ、それが際立ったという意味で、かなりいろいろな意味で御指摘が現にこの審議会であったんだということで、もちろんそこを従来のままでどこまで言うかという問題はこれはあるわけですが、従来であってももっと踏み込んだ判断をしておけばよかったという問題があるわけですけれども、そこのところは当然そういうものにも及ぶというのは実務指針でも明らかであります。ただ、ここでの論点の際立たせるという意味で、特に新たな会計基準においては今まで以上に、少なくとも公正価値ですとか数理計算、あるいはこれは場合によってはその他の貸出金の評価なり貸倒引当金の設定基準等もここ数年で金融機関等も含めてかなり急速に整備されたというような背景もありますので、今までも当然そうであったんでしょうけれども、やはり今までは監査の実務指針では指摘があったとしても会計基準の方でやはり不十分な点もあったと思いますので、監査人の方で、じゃあ今まではそんなに踏み込めるだけの指針があったのかと言われると、やはりそこはなかなか難しい点もあるのではないかと。そこまで責任を求めるという点も難しいのではないかということで、将来に向けて、特にここ数年整備された会計基準、あるいはここ数年といいましょうか、近年、極めてITとか新しい取引手法が開発されたというところに特に着目をしたという意味で、このような新たな会計基準の導入等という文章にさせていただいたということでございます。

○脇田部会長 山浦先生、特に補足していただくことございますか。

○山浦委員 いや、結構です。

○脇田部会長 加藤先生、よろしゅうございましょうか。

○加藤委員 はい。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○宮島部会長代理 1点、この監査人の義務という観点からちょっとお伺いしたいんですが、5ページで、証取法監査と商法特例法監査ということで、保証水準は同一だということなんですが、その点、多分、商法と証取法の関係というものが出てきて、あるいは商法の特例法も一般投資家向けだということであれば、多分保証水準は同じだということは理屈として考えられるんですけれども、下の「他の法令に基づく監査」とか「任意監査」というものについても同一の保証水準だというところの意味が、どうも法律家の頭だと、だれに対して保証しているのかという意味から考えると、どうも同一の水準ではないんじゃないかと。任意監査や何かの場合には、まさに会社と監査人との間の契約の問題なんで、それ以上のものはないんじゃないかと思うと考えると、この下の部分は少なくとも要らないかなということと、その上の部分も多少若干、こういう断言してしまっていいのかという、そういう気が一つします。

 それからもう一つ義務の問題で、これも最初からどうも気になっていたんですけれども、11ページの正当な注意のところに、職業的懐疑心を持って、それを何とか言葉として入れたらどうかということなんですが、これはかえって入れると誤解を生じるような気がして、何か規範設定みたいな観点からすると、「正当な注意」と一言書いておけばそれで……。多分、この職業的懐疑心というのは、リスク・アプローチといったところとのかかわりで少し強調されるというようなことがあるのかもしれないんですけれども、そういうアプローチが今はやりだからといって、これを一般論としてというか、普遍性を持つ形で「職業的懐疑心」なんていうものを入れちゃっていいのかどうかというのは若干ちょっと気になりました。

 それからもう一つ、これはただ表現の問題なんですが、6ページの(1)の「監査人の機能や責務」という言葉が書かれているんですが、これは責務というのは一体どういう意味の言葉としてお使いになったのかということをちょっとお教えいただけたらと思いました。

 以上でございます。

○脇田部会長 宮島先生には法律家のお立場から御指摘いただきまして、なかなか難しい問題を含んでおります。一つ申し上げますと、職業的懐疑心というのは、確かに正当な注意についての内容を、もう少し正当な注意について厳しく問われるんだという趣旨を表現したいということでここで使っておりまして、この点についてもし、法律家のお立場での問題があればここで検討しなければならないかと思いますが。一般的な表現として、監査ではこのところ使われておりますけれども、先生御指摘のように、正当な注意を、要するに一歩踏み込んでという意味であることはそのとおりだと思います。

○宮島部会長代理 さらに高度の注意義務がまた課されてくるという、そこまでいくのかどうかということなんです。

○脇田部会長 その点について、今、山浦委員から挙手がございますので。

○山浦委員 まず、今、脇田部会長の方からお答えがあった正当な注意について、この正当な注意というか、監査の一般基準は、御存じのように英米法からとられてきた概念でありまして、そういった意味ではもう既に監査人としての正当な注意というのは、例えば、不法行為の判例等でも、まあ英米ではもう既に確立された概念ですね。従いまして、この概念そのものは非常に古いんです。ただ、昨今の監査上の動きからしますと、実はその正当な注意というのは、これは特別な中身を言っているわけではなくて、そのときそのときのいわば実務的な慣行というんですか。それの大体の平均のところを要するにカバーしているかどうかというその指針ですので、そういった意味では、何といいますか、無色透明と言っても変ですけれども、これは非常に広い概念なんですね。そのことは分かっているんですけれども、昨今のあれは、例えば不正とか、いわゆる財務諸表の虚偽記載について、これまでは監査人としては、ある意味では経営者側の性善説というんでしょうか。そういったことを前提に監査のアプローチを決めていきなさいと。これでオーケーだという意識が非常に強かったんです。ところが1980年代後半以降、かなり監査に対する社会の期待も強くなりまして、もっと注意をしてそういった虚偽記載等を摘発するような形で監査を強化してほしいという、こういった要望が社会から出てきまして、それはそれで正当な注意を払っているんだと言えばそれで終わりなんですけれども、それだけではどうもやっぱり説明が足りないということで、ここのところ、アメリカ、あるいは国際的な監査基準のレベルでも、このプロフェッショナル・スケプティシズムというんでしょうか。この言葉をあえて使うという、そういう動きになってきておりますね。そのことをここであえて入れたんですけれども、法律家のお立場からの御指摘はまさに正当な注意で十分じゃないかと。これはごもっともだと思います。ただ、そういう監査の今の事情を我々は入れたと、こういうことです。これについてはまたもちろん検討させてはいただきますけれども。

 それから、保証水準のお話ですけれども、少なくともやっぱり監査という言葉を使うときは、これは監査人側が、要するにオーディット・レポートという監査報告書を書きまして、そこで総合的な意見を表明するんですけれども、その意見を裏づけるための保証の水準は、少なくとも監査であるときには同一でなけりゃならないと。それから、それを保証するためのいわば手続、それから集める証拠の量、種類ですね。それから質、そういったものもやはり監査という言葉を使う限りは、強制監査であろうと任意監査であろうと同一である必要があるという、それがいわば職業人側からのコモンセンスというか、職業的な意味での社会に対する、監査という言葉を使うときの大前提であるというふうに理解するんですね。従いまして、契約でもって、例えば監査手続について限定的なものを、それでも監査報告書は書けるじゃないかと。確かに契約という、任意監査の場合に監査を依頼する側と監査をする側と、それで契約をすればそれだけで済むということなんですけれども、実は監査にはもう一つの面がありまして、監査報告書を書きます。そしてその監査報告書をある情報に添付しますと、これは一種の公共材的ないろいろなところで使われるんですね。従いまして、契約当事者だけではなくて、利用者がいろいろ広がっていきまして、そういった人たちがこの監査報告書に対して通常の監査と同じように理解する。それはまずいと。やはりそれでもって、例えば監査人だって不利な、例えば訴訟等で訴えられるおそれがありますし、ですから、監査の性格上、やはり監査報告書を書くときは、少なくとも強制監査であろうと、任意監査であろうと、同じ保証水準を維持すべきだと。これが職業的な意味での今合意されているところなんですね。そういう意味で、ここを入れました。また、これは実務サイドからのたっての要望でもあったんで、我々もそれは納得しまして入れたわけです。

 それからもう一つ、監査人の機能及び責務ということなんですけれども、この責務については、特に法律的な意味で使っているわけではなくて、監査人が社会的に果たすべき役割という、そのくらいのつもりで使いました。

○脇田部会長 ありがとうございました。特に今の宮島先生の御指摘のところは、監査のこれまでのいろいろな制度の議論の中でも繰り返し論じられてまいりましたけれども、この監査基準というものが、やはり職業監査人である者の実施する監査の基準として位置づけていくという方向をとっておりますので、このような記述になったということでございます。

 よろしゅうございましょうか。

○宮島部会長代理 はい。

○脇田部会長 ありがとうございました。どうぞ、伊藤委員。

○伊藤委員 ちょっと私の場合論点が違うかもしれないんですが、企業の経営という立場でちょっと一点だけ、この意味の内容をお伺いしたいのと、それから今後の検討についてちょっとお話をさせていただきたい。

 まず9ページのゴーイング・コンサーンの問題なんですが、これについては、昨年10月22日の企業会計審議会のときに、たしか総会だったと思うんでございますが、財界から出ているもう一人八木さんの方から、このゴーイング・コンサーンの問題に関して、たしか財界としての対応についての要望が出ていたと思うんですね。ちょっと記録をずっと今見ているんですが、「監査については今までいろいろ議論されて、ゴーイング・コンサーンについても今まで慎重にしてもらいたいと言ってきた。しかし、諸外国の圧力に加え、実際にこの件で問題も出てきているので、真剣に取り組まねばならないと思う。しかし、実例が少ないという感じもあるので、ぜひ諸外国の例をよく調査して、広い角度からやっていかなければならない」と、こういうコメントをお願いしておりまして、それを受けてこれを入れていただいたんであろうと、こういうふうに私は思っているんですが、それで財界の方はいろいろこの問題について我々も含めて議論をしておりまして、諸外国の実例をよく調査してやっていただく、大変ありがたいんですが、やはり運用例等もよく論議をしていただきたいと。我々の企業経営というのは、必ずしもアメリカの短期成果主義ということではなくて、日本の物づくりの原点というのは、これはちょっと金融とかネットビジネスとかいうベンチャーとはちょっと違って、すごく時間をかけて、開発から事業の利益に上がるまで時間がかかる。もちろんそこにはリスクもあると。前からも何回も申し上げております。従って、我々含み益経営をするわけではないけれども、基本的にはそういうリスクに対するヘッジということもやらなきゃいけないと。つまり、ロングランで事業経営を考えているというようなこともぜひ十分配慮していただいて、諸外国の監査基準等も踏まえ、日本的土壌もよく勘案の上、今後さらに具体的に検討をいただきたいと、こういうふうに我々としては思うんですね。

 もちろんこれは先生方の御意見がいろいろあろうかと思うんですが、今まで7回この部会があった中で、余りこのゴーイング・コンサーンについては、具体的に諸外国の事例について検討がたしか行われていなかったというふうに記憶いたしております。まあ、私ちょっと欠席したこともありますのでよく分からないんですが、ここは改めてこういうふうにつけ加えていただいたのはどういうような御趣旨なのかちょっとお伺いして、私の考えている趣旨と相当違うのか、そういう認識でいいのか教えていただきたい。

 以上です。

○脇田部会長 それでは、その点につきましては、多賀谷課長補佐から御説明させていただきます。

○多賀谷課長補佐 基本的には伊藤委員の御指摘と大きく違いはないというふうに考えております。具体的な内容につきましては、友永委員から日本公認会計士協会の調査を一度発表していただいたわけでございますが、ただ、諸外国の実例につきましては、伊藤委員御指摘のとおり、なかなか余り実際にはないという御報告をたしかいただいたことがあると思います。そこで、ここではあくまでも、「ゴーイング・コンサーン問題に対する実務上の混乱を招いているため、何らかの方向性を示す」と言うにとどめております。ただ、ゴーイング・コンサーンという問題が起きたときにどういうふうになるんでしょうかという考え方は示しているということでございます。

 従いまして、ゴーイング・コンサーンに重大な懸念を生じさせる状況というのはどういうことなのかと。あるいはそれに対する判断ですね。公認会計士の判断のあり方については、今後さらに検討するということで、まさにそこについては具体的な要件までは踏み込んでは書いておりません。

 ですから、例えば、8ページのゴーイング・コンサーンの書き出しのところでも、「諸外国においては、例えば」というような例示にとどめておりまして、これがそのまますべて日本に個々の要件が当てはまるかどうかと。あるいは諸外国で言われていないような要件がもしかすると日本にはあるのかもしれないというところも含めて、今後ここはまさに、そういう具体的な要件についてはさらに検討をいただければというようなところで止めてあるという理解でございます。

○伊藤委員 分かりました。

○脇田部会長 いかがでございましょう。須田委員、どうぞ。

○須田委員 リスク・アプローチについてちょっと質問、まだ理解できない。大分分かるようになったんですが、まだよく分からないところがありまして、通常のこうやってリスク・アプローチと言われると、やっぱりリスクをどう評価するかというのが重要だよというふうに伝わってくるんですが、ここで、どういう意味かというと、不適切な意見表明をする可能性をいかに小さくするかと。それがリスク・アプローチなんですか。そうすると、今まではそういう立場ではなかったということ。というか、ここで下に書いてあるのが、「単なる経験的な判断によって」云々と書いてあると、それは当たり前のことのような気がして、それともそこから書いてある実際のプロセスが今までと違って、それをもってリスク・アプローチと言っているのか。

 それから、やっぱり、例えば監査人が不適切な意見表明する可能性をいかに小さくするかというと、先ほども出ましたけれども、退職給付の債務の問題とか、この将来のことが多くて、そのリスクを本当の我々がいう、経済学でいうような将来の不確実性を含んだリスクをどう評価するかというのがこの評価の、この不適切な意見表明をする可能性を小さくするというところにすごくかかわってくるような気がしてきて、これを読んでやっぱりまだリスク・アプローチは分からないなというところがあるんですが、それは現在が分からないということで、専門家から見れば、リスク・アプローチというのは、これを読めばどういうふうに動かなくちゃいけないというのが分かる文章になっているのかどうかという判断は私はできないんですが、もうちょっと教えていただけたらと思います。

○脇田部会長 それでは、山浦先生お願いいたしましょうか。

○山浦委員 いつも須田先生には思わぬ視点から御指摘を受けていろいろ考えさせられまして、非常にある意味では参考になります。

 確かに監査上のリスクというのは、要するに監査人が誤った意見を形成してしまうと。結果的にはそれを通して財務諸表の利用者が思わぬ被害を受けてしまう。そういったところまで含んだ意味なんですね。それをあえてリスク・アプローチという言葉を使っている理由は、実はリスクのありかを見つけ出して、そしてそれに重点的に監査手続を適用していくという基本的な考え方は昔からありまして、これは財務諸表の前にあります会計記録をもとにして財務諸表をつくりますけれども、その会計記録の適否をしらみつぶしに調べることができるような、そういった監査手続ができればいいんですけれども、通常は非常に限定的にならざるを得ないし、サンプリングでやらざるを得ないと。しかも、限られた期間、それから限られた権限、そして限られたスタッフでもって監査をしますので、ですから、何かの形で重点的にならざるを得ない。ですから、重点的にこの監査を実施するときに、やはりそのリスクのありかを評価をして、それでリスクの高いものについては特に重点的に監査の資源を投入していくと。こういった姿勢は確かに従来からあった考え方です。

 ただ、その上で、ここであえてリスク・アプローチという言葉を使っているのは、もう少しリスクの評価を段階的に、しかも客観的に評価の手法等も開発した上で、そしてもっと明確な形でリスク・アプローチ、伝統的なリスクを勘案する監査の手法をもう少し客観的な手法を含めて整理しようという、そういう動きの中から近年開発されたのをあえてリスク・アプローチと申しています。

 その具体的な手法というのは、例えば経営の環境、例えば構造不況業種でありますね。その構造不況業種は、そうでない業種に比べれば、やはり虚偽記載の可能性が非常に高いと。ですから、それについてはもう少し監査人はより注意しましょうと。そんなところから始まりまして、例えば、経営環境でもいろいろな、最終的には虚偽記載に結びつくかもわからないような環境要因があります。そういったものはやはり一つ一つピックアップして、そして評価をしましょう。そして監査手続に結びつけましょうと。

 それから内部統制について、内部統制の決定事項については、それをカバーするような形で監査人はその監査手続をより重視しましょう。重点的に適用しましょうと。こういったアプローチをとりまして、しかもその内部統制について、以前よりも非常に広い内部統制、この中には経営者のトップマネジメントまで入れた概念で我々も使っておりまして、それも従前とは随分違いまして、その上で内部統制の評価をもう少し客観的な手法を使って行っていくと。そしてその上で、そのシステム評価を行った上で、それについてより重点的な手続をとっていくと。それにあわせて、最終的な監査手続、あるいは入手する証拠の量等にかかわってくるんですけれども、それをモデル化しまして、そして監査の現場では一種のマニュアル化して今実施しているんです。その話となりますと、ちょっと口ではなかなか御説明しにくいんですけれども、要点は、先生がおっしゃる従前からとっているんではないかというのはまさにそのとおりで、それをもう少し客観化させてより徹底させたというのが現在のリスク・アプローチと。それに要点としてはまとめることができるんじゃないかと思うんですね。

○脇田部会長 ありがとうございました。かわって御説明よろしゅうございましょうか。

 いろいろと御意見ございますけれども、そろそろ御意見を取りまとめてまいりたいと思いますが、御発言はいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、どうぞ、渡辺委員。

○渡辺委員 いつも同じことを申し上げているので簡単にいたしますが、やはり監査人の独立性という項目が設けてあって、そこら辺の問題は、外形的独立性と精神的独立性が併記されてあることだと。これを精神的独立性だけ書けば、日本の監査人の独立性は増して、監査結果に対する利用者から見て信頼性は増すんだというふうには、私にはどうしても思えないので、監査人の独立性という点がより強調されるような書きぶりがいいんではないかというふうに思います。

○多賀谷課長補佐 監査人の外形的独立性についても恐らく前文等では今よりも強調して書くということを前提には考えております。ただ、項目として立てるかどうかという、その内容ですね。そこはむしろ公認会計士法なり、日本公認会計士協会の今度できる倫理規則でもっと厳しくなるというか、そこのところをまたごらんいただければというふうに思います。ですから、書かないという意味ではございません。今のように二本立てで同じところに書いてあるというやり方は改めた方がいいというところでございます。

○脇田部会長 よろしゅうございましょうか。

 それでは、そろそろ取りまとめをさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。きょうも大変御熱心に御意見をお寄せいただきましたし、御討議いただきました。

 この後のことでございますけれども、本日御検討いただきましたこの修正案につきまして、きょうお伺いいたしました意見等を十分に参考にさせていただきますけれども、その上で細かい表現の修正など、今後の取り扱いについて私に御一任いただきたいと思いますが、御了承いただけますでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

 ありがとうございます。それでは、早急にこの論点の整理につきまして体裁を整えまして皆様のお手元にお届けさせていただきます。

 これで本日の第二部会の議事は終了いたしましたが、ここで5月12日の当部会が終了しました後に開催されました総会の結果につきまして、若杉会長から御報告がございます。

 若杉会長、よろしくお願いいたします。

○若杉会長 第二部会の委員の皆様方には、精力的に御審議をいただき、本日は監査基準等の一層の充実に関する論点整理を取りまとめていただきまして、まことにありがとうございました。今後、体裁を整えまして、できれば来週末ぐらいまでには公表いたしたいと、こんなふうに考えております。

 なお、この論点整理につきまして、おおむね2カ月程度公開いたしまして、各界から意見を受け付けることといたしたいと、こんなふうに考えておりますので、第二部会では各界からの意見を受けました後にまた審議を進めていただきたいと、こう考えております。

 それでは、私の方から、5月12日に開催されました総会の結果について簡単に報告させていただきます。

 総会に出席されました委員の方には、既にその件御承知のとおりでございますので、御了承いただきたいと思います。

 まず、当審議会の審議事項といたしまして、企業結合会計を取り上げることが決定されました。なお、企業結合会計の検討の場は第一部会といたしました。現在第一部会では固定資産にかかわる会計処理について審議していただき、論点整理を取りまとめていただくという運びになっております。その論点整理の取りまとめができました後で、新たに固定資産部会を設置いたしまして審議を引き継いでいただきたいと、こんなふうに考えております。つまり、第一部会は企業結合会計を担当し、今までの固定資産にかかわる会計処理は特別部会としまして固定資産部会を設置してそこでやっていただくと、こういう話です。

 また、企画調整部会が設置されることになりました。企画調整部会には新たな課題を把握して適宜に対応を考えていただくといったことを考えておりますが、その役割などにつきましては、お手元の参考資料をごらんいただきたいと思います。こういう一枚紙の参考資料がありまして、そこにいろいろ説明してありますので、後ほどごらんいただきたいと思います。

 なお、このような部会の改編が行われますと、委員の異動が行われることがございますので、あらかじめお含みおきをお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 続きまして、先週国際会計基準委員会の総会が開催され、若杉会長もお出かけになられたと伺っております。せっかくの機会でございますので、最近の動きにつきまして事務局から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大藤大臣官房参事官 それでは、国際会計基準委員会の最近の動きにつきまして簡単に御報告させていただきます。

 資料といたしまして、「国際会計基準委員会(IASC)評議員の選出について」という資料をお配りしておりますが、御承知のとおり、国際会計基準委員会につきましては、この資料の5ページにございますけれども、現在、国際会計基準委員会は、各国の公認会計士の方々の集まりであるわけでございますけれども、新しい組織に改編中でございます。新しい組織、5ページにございますけれども、地域的背景でありますとか、出身背景のバランスをとった上で世界から選出されました評議会、これはここに書いてございますように、実際に国際会計基準を策定していきます理事会でありますとかメンバーの指名、いわゆる人事でございます。それから、執行の監視、それから資金調達等のマネジメントの責任を担うわけでございますが、評議会がございます。それからそのもとに公開草案、基準、解釈指針の承認検討を行います理事会という、大きく言いまして二層構造になるわけでございますけれども、こういう新しい組織に向けて動いているわけでございますが、先週24日にイギリスのエジンバラで総会がございまして、こういう新しい組織体制への移行を内容とする規約改正が承認されたということでございます。

 ということでございますが、それに先立ちまして5月23日、米国時間の5月22日でございますけれども、IASCのノミネーティング・コミッティ、5ページでございますと、一番上に書いてございますけれども、指名委員会7人ということでございますが、昨年の12月にいわゆる戦略作業部会というところで、どういう形でその評議会を選んでいくかという枠組みが示されまして、IASCの理事会でその枠組みが了承されまして、12月に選考されました7人の指名委員会で評議会を構成します評議員、世界から19名でございますが、評議員の選考が行われていたところでございますが、その評議員が決定され公表されたということでございます。

 資料でいきますと、2ページから4ページに英文のリリースをつけてございますが、こういう形で公表されたわけでございます。

 資料の6ページでございますけれども、IASC評議会の構成ということで、選ばれた19名の方々を実際に書き込んでございますが、いわゆる横軸が北米、欧州、アジア・太平洋、その他ということでございまして、地域的なバランスということでこういう枠組み、それから縦軸が国際会計士連盟云々ということでございまして、こういういわゆるマトリックスで19名の選考が行われてきたところでございまして、これをごらんいただきましてわかりますように、まず国際会計士連盟推薦枠5名の中に我が国からデロイト・トウシュ・トーマツの共同議長でございます田近耕次さんが選ばれております。それから一番下の段でございますが、いわゆるその他、特定の出身背景のない一般枠でございますけれども、我が国から三井物産の副社長でございます福間年勝氏が選ばれているということでございまして、19名のうち2名我が国から評議員が選考されたところでございます。

 1ページに戻っていただきますと、ということで、19名の評議員が選考されたわけでございますけれども、各国の評議員の出身地域別内訳ということで示してございますけれども、アメリカから5名ということでございますが、我が国は2名ということで選ばれたわけでございますけれども、複数選ばれたのが日本と米国だけという結果になっております。今回、我が国から2名の評議員が選考されたわけでございますけれども、我が国の企業会計のプレゼンスを示し、お二人を通じまして、我が国の意見等を評議会の場に伝える、反映させていくと、反映していくことができるということで、極めて意義が大きいものと私どもとしても考えているところでございます。

 以上、国際会計基準委員会、総会並びに国際会計基準委員会評議員の選考に関します点につきまして事務局から御報告をさせていただきました。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 最後に今後の予定を申し上げたいと存じます。先ほど若杉会長から御説明がございましたけれども、本日の審議を一つの区切りといたしまして、今後論点整理に対する各界からの御意見を頂戴した後、監査基準等の具体的改訂について審議に入りたいと考えております。その際の日程等につきましては、改めて御連絡させていただきます。

 本日の部会はこれにて終了いたします。委員の皆様には長期間御協力をいただきまして、本当にありがとうございました。