企業会計審議会 企画調整部会 議事録

日時:平成12年6月9日(金)午後3時00分〜午後3時56分

場所:大蔵省国際会議室

 

○若杉会長 定刻になりましたので、これより第1回の企画調整部会を開催いたします。

 審議に入ります前に、当部会のメンバーについて申し上げます。本日は御欠席の方もいらっしゃいますが、お手元に企画調整部会委員名簿をお配りしてありますので、御覧いただきたいと思います。

 部会長は私が兼務いたしますが、部会長代理は安藤委員にお願いしております。

 委員の皆様には今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、当部会の審議の進め方につきましてでございますが、当部会の役割は、総会のときにも申し上げましたように、企業会計に関する課題を広く持ち寄り、新たな会計基準の設定が必要なもの、既存の基準の改定で対処すべきもの、あるいは実務指針で対応すべきものなどを整理いたしまして、軽微な問題で他の部会で取扱わない場合には、当部会で審議を行うということを考えております。

 今後は定例的に部会を開催いたしまして、委員の方からもいろいろの課題を御提案いただければと考えております。初めての試みでございますので、また適宜運営方法につきましても調整してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 このような形の部会を作ったのは今までほとんど例がなかったと思います。そういう意味で、最近の情勢に機動的に弾力的に対応する上で、当部会の必要性が認識されたわけであります。

 それでは、これから議事に入りたいと思います。本日は、御出席の委員からまずそれぞれのお立場で簡単に報告をしていただきたいと考えております。なお、山田委員は中座されるとのことですので、初めに山田委員からJWGの動向につきまして、簡単に報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○山田委員 それでは、資料1に基づいて、ちょっとお話しさせていただきたいと思います。本日、すいません。途中で中座させていただきます。

 資料1に「JWGでの議論について」ということなんですが、この問題、ことしの秋には基準案が出てくるということで、ある意味では緊急に我が国としての対応なり、考え方をまとめる必要があろうかということで、本日報告をさせていただきます。

 まず1番目のところで、JWGの目的と概要ということでございますが、主要国の会計基準設定主体が協力し合って、すべての金融資産及び金融負債を公正価値で測定し、公正価値の変動を損益計算書で認識することを基本原則とする会計基準を作成しようというプロジェクトでございます。これはジョイント・ワーキング・グループと言っていますのは、次の・にございますように、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、ノルウェー、ニュージーランド、それからIASC及び日本の10の国と団体が参加して、それぞれ基本的には設定主体から参加し、基準を作るための協力し合うということで、全く任意の組織でございます。

 各国の会計基準設定主体は、JWGの作成する会計基準を参考に自国の会計基準を作成することに合意しているということで、ここの部分がややクリアでない部分がございますけれども、基本的に義務を負っているわけではない。ないしは各国に自治権がございますので、強制されるというたぐいのものではないわけですけれども、従いまして、各国が独自にある項目に留保を付すことや変更を行うということはもちろん当然できるわけですけれども、基本的には各国が金融商品の会計基準を作る必要性を自覚し、それぞれが資源を出し合って、より良いものを作るというところにポイントがございまして、そういう資源をそれぞれ出し合って作ったものを、基本的にはできるだけそれに沿って各国で基準化することによって、一気にこの分野の会計基準の国際的な統一化といいますか、調和化を図ろうと、そういうのが趣旨でございます。

 検討中の会計基準の概要でございますけれども、先ほども言いました、1点目はすべての金融資産・金融負債を公正価値で測定し、その変動を例外なく損益計算書で認識する。従って、資本の部へ持っていくようなものは今のところ考えておりません。

 すべての金融資産・金融負債を公正価値で測定するため、ヘッジ会計というのを基本的には考えておりません。つまり、必要なくなるという理解をしております。

 さらに、金融負債の公正価値測定に関連しまして、自社発行社債や借り入れている借入金に含まれるみずからの信用リスクの変動というものも公正価値で測定し、損益計算書で認識するという方向性を打ち出しております。従いまして、よく言われるダウン・グレーディングのパラドックスと言われるような、借り入れ企業がダウン・グレードされることによって負債側から評価益が出てくるという形のものがございますが、こういう評価益も損益計算書で認識するという考え方になっております。

 さらに損益計算書では、金利リスク、信用リスクといった財務リスクごとに表示を行うことを考えております。しかも、例えば金利リスク一つをとりましても、当期に金利の変動がございますと、そこから以降に例えば金利スワップのようにずっとある約定の金利のキャッシュ・フローが続いておりますと、それを変更した後の金利で時価評価しますと、一気にその金利変動の影響が当期で時価評価の差額として出てくるわけですが、そういう金利変動の影響をその期にすべて把握するという形をとりますので、今までのようなある約定した金利がずっと受取利息、支払利息と出てくるという感覚の損益計算書とはかなり様相を異にしたものになるものと思われます。

 それから、金融資産の認識の中止に関しましては、今現在、アメリカの 125号とかIAS39号でもある種のアプローチをしておりますが、これについては今まで国際的にあったアプローチとはちょっと違う認識の中止のためのアプローチを考えております。まだ現在検討中でございますが、基本的には期末現在で自分が所有している資産なり負債はそのまま資産なり負債として認識しようというようなアプローチで、つまり、どんな経緯で金融資産を取得したか、しないかというようなことが、その過去の経緯が会計処理に影響しないというようなアプローチ、これをピュア・コンポーネント・アプローチと昔言っておりましたけども、こんなたぐいのアプローチを考えております。

 3番目でございますが、これまでの検討経過及び今後のスケジュールでございますが、97年の10月にプロジェクトの設置が決定されまして、ことしの5月まで、2000年の5月まで10回の会合が開催されております。今後、7月と、それから8月に2回会合が予定されておりまして、最低でも全体で12回の会合ということになります。現在、2000年の10月末、2000年の10月に東京でIASCの理事会が開催されますが、そのときにIASCの中では了解をとろうということを考えているわけですけれども、その後の10月末をめどに公開草案を作成いたしまして、これを約6カ月間、2001年の4月まで公開する予定ということになっております。

 その後の予定につきましては、IASCの組織改革があることもあって、まだ未確定な要素がございます。これはどういうことかといいますと、各国の会計基準を設定したら、自国でコメントを集めまして、それを持ち寄ってリバイズド・バージョンのJWG推薦版というような、標準版というようなものを多分作ると思うんですが、そういうものを作って、それを各国でどのような形で受け入れるかについては、各国のデュープロセスを経て決定するということを当面は考えているんですが、場合によりますと、IASCの新しい理事会がこのプロジェクトをIASCのプロジェクトとして取り上げて、IASという形でこれを基準化するというようなことがもしも先行するようなことがあれば、その先行を待って何らかのことをするということも考えられるということで、幾つかの選択肢がまだオープンのままとなっております。

 次に2ページへいきまして、我が国における対応上の問題点ということでございますが、今も御説明しましたように今後JWGが作成する会計基準案を我が国でも公表し、コメントを集める必要がございます。少なくともJWGのメンバーとして参加している限りは、このコメントを聴取するという作業はしなければいけないかと思いますが、その際にどういう名前で公表するのか。企業会計審議会の名前で公表するのか、それともJICPAなのか、それとも単にJWGという形なのか、そういう問題がございます。

 それから、公開を行う際に、本年4月から既に我が国におきましては、世界に先駆けて金融商品に関する会計基準を導入したばかりでございまして、どのようなスタンスでこの公開草案に臨むか。つまり、将来、JWGの基準案が移行した場合に、我が国もその方向になるんだというようなことを明確にするのか、しないのかといったスタンスをどういうふうにするかということを決定する必要があるかと思います。

 それから、若干レベルが落ちるんですけれども、現在用意しているものがかなりなボリュームになります。少なくとも基準案本体でA4で六、七十ページ、それからインプリメンテーション・ガイダンスというものがさらにかなりのページございまして、それにさらに結論の背景というのがつきますので、相当なボリュームになりますが、これを10月の末に各国で英文で公開しますが、それまでの時期にどのような形で日本語に翻訳するのかというのが実務的にはかなりな問題。コストもかなりかかると思うんですが、現在、日本公認会計士協会で翻訳をするとしたらどれぐらいコストがかかるのかというのを今、見積もりをしておるところでございます。 百万円単位ぐらいでかかるような可能性がある予定でございます。

 あと、JWGの検討項目でございますが、ここに一覧表にしてございますが、真ん中あたりに項目としてマル1からマル19までございますが、検討している項目はこういった項目がございまして、一部の項目はほかの項目と結合されております。この中で範囲という問題、それから金融資産の譲渡、先ほどピュア・コンポーネント・アプローチというお話もしましたが、こういう問題、それから、この測定の問題がマル3マル4マル5とございますが、特にクレジット契約とかコア・デポジットという今まで余り日本で話題にならなかったようなものにつきましても、公正価値測定ということを考えております。マル11に戦略投資というのがございまして、日本の持合株が一応テーマに挙げて検討されましたが、残念ながら、日本の持合株は他の金融資産と何ら変わるところはないということで、現在のところ時価評価をして、評価損益をP/Lで認識するという対象の例外とは考えられておりません。

 それから一つ、金融商品でないものとして、マル13にあるサービス権というものがございますが、こういう代金回収業務にかかわるサービス権は、これ自体は金融商品ではないんですが、金融資産と同じような会計処理を適用するという方向になっております。

 以上、簡単でございますが、現在までのJWGでの議論の概要について御説明させていただきました。

○若杉会長 どうもありがとうございました。

 後でディスカッションをやりますので、ここではそのまま次の問題に移ってまいりたいと思います。

 それでは次に、第一部会及び第二部会の審議状況などにつきまして、各部会長から簡単な御報告をお願いしたいと思います。

 まず初めに、第一部会の斎藤部会長からお願いいたします。

○斎藤部会長 第一部会の審議状況につきまして、ごく簡単に御報告申し上げます。

 第一部会では、昨年の12月から固定資産の会計処理について幅広く論点を検討してまいりました。現在、6月16日に開催する部会におきまして、論点整理の取りまとめを行うべく作業を進めている段階であります。

 これまでのところ、固定資産の減損や投資不動産の会計処理に関する事柄が主な論点となっておりますけれども、このほかリース取引に関する会計処理の問題とか、固定資産の耐用年数の問題などにつきましても、御指摘があるところでございます。

 今後の審議状況にもよりますけれども、固定資産の会計処理に関連する周辺事項も種々ございますので、主要な論点以外の事項につきましては、その内容によって企画調整部会を活用することが適切なものも出てくる可能性もあるかと思います。

 なお、第一部会は固定資産の会計処理についての論点整理を公表した後に、企業結合会計の審議を担当することとされておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

○若杉会長 どうもありがとうございました。

 では、続きまして、第二部会の脇田部会長から御報告をお願いいたします。

○脇田部会長 第二部会の審議状況につきまして、簡単に御報告をさせていただきます。

 第二部会は、去る6月2日に開催いたしました部会におきまして、今お手元に配付してございます監査基準等の一層の充実に関する論点整理をお取りまとめいただきまして、その後の取扱いにつきましては、私に御一任をいただいたところでございます。

 その後、若干の字句の修正を行いまして、本日完成いたしましたので、先ほど申し上げましたようにお手元にお配りしております。

 なお、この部会の終了後、これを公表させていただくこととなっております。

 第二部会の議論の中では、ゴーイング・コンサーン問題に関しまして、いわゆる開示基準の整備も必要とされております。この点、ゴーイング・コンサーンにかかわる具体的な内容に関しまして、実質的に開示基準の問題の検討にもなりますけれども、第二部会を検討の場とすることにつきまして、若杉会長から御了解をいただいております。ただし、財務諸表等でゴーイング・コンサーンに関する何らかの開示を求めることを監査基準自体では規定することはできません。そこで、法令などの整備の要否につきまして、今後、第二部会の審議の状況に応じまして、企画調整部会でも御検討いただかなければならないと考えております。どうぞこの点、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○若杉会長 どうもありがとうございました。

 それでは次に、日本公認会計士協会の実務指針の作成状況などにつきまして、西川委員から御説明をお願いいたしたいと思います。

○西川委員 お手元の資料2を御覧いただきたいと思いますけれども、日本公認会計士協会が最近公表した主な実務指針等ということで、会計制度委員会関係、それから監査委員会関係、監査基準委員会関係ということで、大体今年中、平成12年になってからのものを掲げてございます。

 会計制度委員会関係ですけれども、「退職給付会計に関するQ&A」ということで、実務指針の方は昨年の秋に出ておりますけれども、これをまたさらに具体的な質問に対応するということで、退職給付信託であるとか、基準変更時差異について、連結上親子でどういう会計処理を合わせるのかどうかとか、そういったようなことについてまとめたものでございます。

 それから、2番目の退職給付会計に係る税務上の取扱いについてというのは、これは税務の方が法人税法上の退職給与引当金の扱いとか、年金の扱いというのが全然変わっていない中で、会計が大幅に変わったということで、計算ロジックが全然乖離してしまった中で、税務の損金経理要件を満たすにはどういうふうにしたらいいかといったようなことをまとめたもので、特に会計の問題を扱ったものではないというようなことでございます。

 それから、その次の「金融商品会計に関する実務指針」ですけれども、これは会計制度委員会で扱った実務指針の中では今までで一番大きなものだったかと思いますけれども、昨年出されております会計基準の具体的な適用についての指針ということで、金融資産・負債についての発生、消滅の認識であるとか、時価評価、減損ヘッジ、あるいは複合金融商品といったあたりについて、もう既に12年4月から適用ということがございましたので、これに間に合うようにということで1月に公表しているものでございます。

 その次の「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正ですけれども、これは平成7年だったと思いますけれども、前の改定がありましたけれども、今回基準が変わったということで、それを受けて、これも4月からの適用ということで、3月31日に間に合わせたということで、振当処理が残っているわけで、それの扱いであるとか、外貨建財務諸表の監査に関する問題といったあたりの実務的な扱いについて記載しております。

 それから、その次の「自己株式の会計処理及び表示」ですけれども、自己株式については、この前の第2号というのは、有価証券については原価法と定価法がありましたので、その会社の採用している方法にのっとってやるということだったんですけれども、今回、金融商品会計基準で有価証券については保有目的で会計処理が異なるということになりましたので、自己株式については原価法ということを明らかにしたという内容でございます。

 それから、その次の二つはまだ公開草案という形なんですけれども、最初の「株式交換及び移転制度を利用して完全親子会社関係を創設する場合の資本連結手続」。これは会計制度委員会報告で研究報告にしようとしておりますので、研究の2文字がちょっと漏れているんですけれども、内容的に、これは大分前から取りかかっておったんですけれども、審議会の方で企業結合をやるという形になる前の段階で、既に株式交換、あるいは移転制度自体は動き出しておりましたので、特に大きな企業統合を控える中で何がしかの指針みたいなものを出した方がいいという話がありましたので、取りかかっているものです。ただ、当然、審議会の結論が出ないことには、実務指針という形で出すというのはまずいと思いますので、研究報告ということでやろうとしております。

 内容的には、パーチェス法とプーリング法をどういうふうにどういう状況で使い分けるかということで、現行のIASの考え方を取り入れたようなものにしようというふうに考えております。

 同じようなことについて、会社分割は必ずしも企業結合そのものでもないと思いますけれども、企業結合的な部分もありますので、会社分割についても今、検討しているということがございます。

 それから、その次の「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」ですけれども、不動産の流動化が相当行われてきているという中で、本当にその売却処理をしていいのかどうかという線引きを明らかにすべきではないかという、そういう実務上の要請がありましたので、それに応えようということで作成中のものでございます。

 それから、その次は監査委員会関係ですけれども、最初のものは意見表明業務とありますけれども、四半期財務諸表のレビューに関するものということで、これは研究報告という形で出ております。

 それから、その次の公開草案「販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い」。これは会計に深く関わっている話かと思いますけれども、現在、相当ゼネコンだとか不動産業の間で販売用不動産に含み損があるというような話がありまして、このまま放置しておくと監査上のリスクも高いということで、少しでも早く評価減すべきものをしてもらう。それを明らかにするという、ある程度の緊急性を持った形で監査委員会から出そうとしているというものでございます。

 それから、その次の「商法監査に関する監査報告書の文例」というのは、これは子会社監査権の拡大を受けた文例の変更ということでございます。

 それから、「連結財務諸表における子会社等の範囲決定に関するQ&A」、これは実務指針も出ているんですけれども、支配力基準で範囲が拡大するということについて、より詳細な内容を示したというようなものでございます。

 以下については省略させていただきまして、日本公認会計士協会が最近公表している実務指針というのは、大体以上のような状況でございます。

○若杉会長 どうもありがとうございました。

 最後に、企業財務制度研究会の研究活動の状況につきまして、中島委員の方から御報告をお願いいたしたいと思います。

○中島委員 それでは、私どもの企業財務制度研究会で現在手がけております調査研究について、ごく簡単に説明させていただきます。

 資料3に三つほどテーマを掲げておりますけれども、3番目の国際的会計基準による本邦内での開示に関する調査研究というのは、実は7月ぐらいにスタートさせたいというふうに考えているもので、現在進行中のプロジェクトとしては1番目と2番目ということになります。

 最初のわが国会計基準の国際的調和化に関する調査研究というのは、平成11年の7月にスタートさせた調査研究で、ちょうどその前年の12月だったですか、IASの金融商品に関する基準が完成しまして、コア・スタンダードが実質的に完成した。いずれ、IOSCOの方でのIASの承認、それを受けて、各国でIASにどう対応していくかというようなことが出てくるだろうと。それからまた、これから日本の会計基準の国際的調和化を進めていく上でも、やはりIASとの比較をやっておく必要があるんじゃないかということで、IASとFASBの二つの基準を主として念頭に置きまして、比較研究をやってきたというわけです。

 IASの比較研究というようなものはこれまでにも幾つか研究があると思いますし、それから文献などもありますけれども、できるだけ包括的に基準を取り上げて、結構細かいところまでどういう相違があるのかということを取り上げたいということと、それから、IASあるいはFASBで違っている部分もありますし、それからIAS、FASBと日本の会計基準が違っている部分もありますが、その違ってくる理由といいますか、その基本的な考え方のようなものを明らかにできればということでやっているわけです。一応現在中途段階でありまして、来年の3月ぐらいをめどに報告書を取りまとめたいというふうなことで考えております。

 それから、2番目の概念フレームワークに関する調査研究、これは概念フレームワーク自体の評価については、積極的に評価する考え方、あるいは余り意味がないという考え方、それから、会計上の議論を整理していく上では、それなりの有用性があるという考え方、いろいろあると思いますけれども、私どもは国際的な会議や何かに行った場合にも、やはりこの概念フレームワークを一つの基礎として議論が進んでいるような面がありますし、G4+1とか何かでも、概念フレームワークということを盛んに言っていますし、それから、今度のIASCの改組が行われた後、またやっぱりこの概念フレームワークということがかなり問題になってくるんじゃないかというようなことも考えられますので、日本でもこういったものをひとつ基礎的に勉強していった方がいいんじゃないかということで取り上げたわけです。

 もちろん、これは日本版の概念フレームワークを作ろうというようなことではなくて、まず一番最初にやろうと思っていることは、日本の会計基準にも明示的には示されていませんけども、恐らくいろんな基礎概念なり、その基礎概念相互の関係とか、会計基準を作る上での基本的な考え方があるんじゃないかということで、むしろ企業会計原則を中心とする今の実際にある会計基準、あるいはその背後にある日本での通説的な会計の考え方、学説も含めて、そういうものの中から何か日本でのそういう基礎的な概念とか何かについて明らかにできるものがあるのかどうかというようなことをやっていきたいということでやっております。これも一応来年の夏ぐらいを目途に調査研究を進めたいというふうに考えております。

 それから、最後の国際的会計基準による本邦内での開示に関する調査研究というのは、最初に申し上げたことと、第1番目のテーマと密接に関係もあるわけですけども、現在、SEC基準適用会社ということで、SEC基準で日本での連結を出すことを特例的に認められている会社というのがございます。一方で、最近はそういう会社とは別に、例えばアメリカで上場するとかいうようなことで、向こうの基準で財務諸表を作っている。この場合には、日本では日本の基準で、アメリカではアメリカの基準でというように二重に財務諸表を作成しているということで、その手間とかコスト、あるいはその財務諸表の利用者に対する問題とか、いろんなことがございますので、これからIASとの関係もございますけども、こういう問題にどう対応していったらいいのかということで、先ほども申し上げましたように7月ぐらいに研究会をスタートさせて、どういう論点があるのか、どういう点をいろいろ検討していかなきゃいけないのかというようなことを勉強していきたいというふうに思っているわけです。

 以上でございます。

○若杉会長 どうもありがとうございました。

 各方面で活発に会計基準の整備が行われていることがよく分かりました。

 以上、5人の方々から御報告いただきました。そのことも含め、また、その他の問題も含めまして、残された時間、目途としまして4時を考えておりますけれども、4時までの間、特に議題を決めずに御意見などありましたら、御自由に発言していただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中島委員 会長の一番最初の御挨拶の中で、この部会を定例的に開催していきたいというお話がございましたけども、どのぐらいの頻度でどんなやり方でやっていかれるお考えなのか、もし今の段階でお話しいただけることがあれば、お話しいただきたいと思います。

○多賀谷課長補佐 まだ第1回目ということなので明確ではないんですが、できれば月1回ぐらいは開いていければと考えています。ただ、当然皆様の御予定もございますし、また夏休み等もありますから、必ず1回ということではないと思いますが、おおむねそのくらいの間隔でやっていきたいというふうに考えております。他の部会も大体そのペースだと思いますので、そのペースぐらいを目途にということで考えております。

○若杉会長 第一部会、第二部会とも月1回というペースですので、当部会の方もそんなふうな形を考えてみたわけです。

 報告していただきましたことに関連してもよろしいですし、あるいはその他のことでもよろしゅうございますので、どうぞ自由にいろいろ御発言をいただきたいと思います。

○西川委員 やっぱり質問なんですけれども、ここの部会での成果物のイメージというのはどんなようなものが考えられているんでしょうか。

○多賀谷課長補佐 いろいろな形があるということで、今までの部会とは若干違うというふうに考えております。もちろん非常に大きなテーマが仮に出てくれば、これは既存の部会なり、あるいは別の部会を作ってやるということもあると思いますが、部分修正ですとか、あるいは法令の解釈、改廃に伴う点はこの部会で取り上げる。というのは、例えば金融商品なんか今後どういうものが出てくるか分からないわけですが、金融商品部会というのは一応はもう終了しているという形になっております。かといって、大きなテーマに取り組んでいる第一部会に途中でその部分だけ何か持っていくというのも現実には必ずしも効率的ではないと考えていますので、そういう場合には、そういう補正等はこの部会で議論をしていただいて、会計基準に修正が必要であれば、会計基準を直す。あるいは実務指針の方でお願いをするということであれば、お願いをする。また、場合によっては法令で何か定めなければならないとか様式を変えなければならないということもあると思いますので、その辺は自由に御議論をいただきまして、御提案をいただければというふうに考えております。

○大藤大臣官房参事官 成果物を生み出すような仕事もさることながら、先ほど山田委員の方から話がありました、例えばJWGの今の動きに対して、どういうふうに企業会計審議会として対応していくかとか、あるいは、これから国際会計基準委員会もいろんな動きがあるでしょうし、それに対してどういう形でいろいろ対応を求められるというふうな、いろいろあると思いますので、そういうことに対しての対処方針と申しましょうか、そんなことを機動的、弾力的に御審議いただく場というようなことでも、ぜひお願いできればということでございます。

○若杉会長 その部会の名称にありますように、特定の大きな問題をここで扱うという、そういう性格の部会ではなくて、どちらかと言えば割と小さなという言い方はおかしいんですけれども、小さな変更に対する対応とか、そういうような調整ですね、要するに。その辺に我々の主な役割があるかと思います。それから企画という面もありますので、企画というのはどんな問題を扱うかということになるかと思うんですけどもね。それも我々の方で考えなければいけない。

 どうぞ自由に発言なさっていただきたいと思います。もちろんありましたら質問も出していただきますし、また、それに対する皆様方の御意見などもぜひいただきたいと思います。

○中島委員 私は、こういう部会を作っていただいて大変いいことだと思っているんですね。前にいろいろ金融商品絡みだと思うんですけども、きちっとした基準を作るにはまだ相当時間もかかりそうだと。だけども、いろんな会計処理が先行して出てきている。やっぱり問題があるとかなんとかということは分かっているんだけども、どういうふうに対応したらいいのかということは必ずしも出てこないというような問題が幾つかあったんじゃないかと思うんですね。これから金融商品に限らず、そういう問題もいろいろ出てくると思いますので、そういう場合に、とりあえずこういう考え方でいったらどうかとかいうような対応がやっぱり必要になってくる局面というのは非常に多いんじゃないかと思いますので、そういう点でこの部会をそういう面にも活用していっていただいたらいいんじゃないかという気がいたします。

○安藤部会長代理 既存の部会ですと、第一部会、第二部会と総会との関係は大体ルールが分かっているんですけど、当部会と総会の関係というのはちょっとどうなるのかなというのは、これは質問しちゃいけないのかどうか知りませんが、もしも……。

○多賀谷課長補佐 いや、質問していただいて結構だと思うんですが、基本的には他の部会と同じように、審議会として決定する事項がある場合には総会に諮っていただいて、総会で決定をしていただく。ただ、そもそも、例えば課題は御提案いただいたんですけども、審議会として取り上げる必要はないとか、そういうような取捨選択はこの場である程度もうやっていただいて、合意していただければいいのではないか。逆に新たな部会を作った方がいいという御提案であれば、それをまたこの部会で御提案いただいて、取りまとめられたことを総会にお諮りして作っていただくというような関係でよろしいんじゃないかと考えております。

○若杉会長 何分新しい任務を持った部会ですので、いろいろお分かりにならない点もたくさんあると思いますので、どうぞいろいろおっしゃっていただきたいと思います。私は、この場では部会長としておりますので、その点、御了解いただきたいと思います。

 では、IASCの方の関係のことを御説明いただきたいと思います。

○篠原主任企業会計専門官 お手元に参考としてお配りいたしましたIASCの最近の動向について御説明させていただきます。

 当部会は、会計や監査にかかわる内外の情報を収集して検討するという、そういうことも一つの目的に入っておりますもので、ついでに御説明させていただきます。

 お手元には英文でIASCのコンスティチューションということで、新しいIASCの組織を定めました定款、これがエジンバラで先月の5月24日で正式に承認されております。

 その内容なんですけれども、このIASCの組織改革に伴う定款というのは従前より議論されておりまして、理事会レベルでは承認されておりました。これが5月のエジンバラの総会で正式に承認されて、新しい体制に移行することになりました。

 この新しい定款はA、B、C、三つの部分からなっておりまして、Aには組織の名前ですとか目的、あるいはトラスティーズという評議員会の任命等の新たな組織組成上の基本的な部分が記載されております。Bには新しい組織の運営方法の詳細というものが記載されております。一方、Cなんですけれども、Cには新しい組織が成立するまでの暫定的な機関の手当てとして、従来の定款の一部が転用されている。この3部構成になっております。

 まず評議会についてなんですけれども、評議会は19名から構成されておりまして、その任務は、一つがIASCの年次戦略と予算の決定、それからIASCの資金調達、それから理事会、あるいは解釈指針委員会、基準勧告委員会等の運営方法の決定、そしてあと、理事の任命という、このようなものが主な任務となっております。

 皆さん御承知のとおり、評議会につきましては先月、5月22日ですか、IASCの指名委員会の方から19名の評議員のリストが発表されております。もともとこの19名というのは、地域別、あるいは出身背景別に枠がありまして、日本の場合はアジア・パシフィックの枠で4名ほどの枠の中から選ばれたんですけれども、その19名のうち2名が日本から選出されておりまして、1名が三井物産副社長の福間年勝氏、もう1名がデロイト・トゥーシュ・トーマツの共同議長の田近耕次氏と、この2名が選出されております。また、この19名の中に前FRB議長のポール・ボルカー氏がこのトラスティーズの議長として選ばれております。

 先ほど申し上げましたように、トラスティーズには理事を任命する任務がございますので、ただいま伺っているところでは、第1回のトラスティーズの会合が今月末に行われると。何度かの会合を経て、今年の秋にかけて理事が選出されていくんじゃないかという予定と伺っております。

 続きまして、その新組織の中の今申し上げた理事会ですけれども、理事会は14名から構成されておりまして、うち7名がいわゆるリエゾン・メンバーというふうになっております。理事会の主な任務というのは、御案内のとおりIAS本体、あるいは公開草案を公表すること、及びSICの作成しました解釈指針の承認、これらが、いわゆる技術的な内容に限られておりますけれども、その技術面での責任を持つというのが理事会の任務となっております。先ほど来申し上げているように、理事会のほかに組織内には解釈指針委員会という従前のSICが同様な形で残るということのほかに、基準勧告委員会ですか、これは非常に平たく言えば、ボードに入れなかったいろんな団体の意見を反映するための委員会ではないかと思うんですけれども、そういうものが新たに設けられるというような組織になっております。

 IAS直接のかかわりではないんですが、先月中ごろに今度はIOSCOの承認という問題がございまして、シドニーで開催されておりましたIOSCOの総会、証券監督者国際機構ですけれども、ここがその総会においてIASを承認するという決議をしております。承認といいますのは、これは正確に申し上げますと、クロスボーダーの募集や上場に際して、各国市場に外国から入ってくる発行体がこのIAS、国際会計基準を利用することを認めるように加盟国に勧告するというのがこの承認の正しい定義のようでございます。この承認を受けまして、IASがある程度のエンフォースメントを持った基準になったというような状況になっております。

 IASCに関しては以上でございます。

○若杉会長 どうもありがとうございました。

 今の件、何か御質問ありますでしょうか。

○斎藤委員 IASCと参加国との関係については、このコンスティチューションの中に含まれているんでしょうか。それとも別のところで決まっているんでしょうか。例えばIASCのステートメントに対して各国でどういう対応を求められるかというような点は、このコンスティチューションの中で明示されているのかどうかということなんですけれども。

○篠原主任企業会計専門官 すべては詳細に調べたわけじゃないので、ちょっと正確でないかもしれませんけれども、少なくともリエゾンの役割という形で、リエゾンは理事でありながら、その出身母体の設定主体と密接にコミュニケートをとりながら、できれば各国の設定主体がIASに倣ったものをナショナル・スタンダードとして導入することに努力するというような、そういう抽象表現でいわゆる各国とIASをつなげるような、そういうものは入っていると思われますけれども。

○斎藤委員 それはこのコンスティチューションの中に入っているわけですね。

○小宮課長補佐 ちょっと補足させていただきます。

 その一般的な目的につきましては、このパラグラフでいいますと2になりまして、ここにIASCのオブジェクティブが箇条書きされておりますが、そのcに一般論として、bring about convergence of national accounting standards and International Accounting Standards と書いてあります。従いまして、これは抽象的に基準の収斂というものをこのIASCとしては目指すということになっております。

 しかしながら、具体的な各国の基準設定主体との関係につきましては、この規約上は、例えばパラグラフでいいますと27を見ていただきますと、ここにつきましてはリエゾン・メンバー等について書かれてあるわけなんですが、このナショナル・スタンダード・セッターのボーディング・メンバーにはならないということが書かれております。ただ、その決定プロセスにおきましては、この評議会とナショナル・スタンダード・セッターが相談して決めるというふうに書いてあるくだりがございます。

 それから、パラグラフ30でいいますと、14名のうち12名がフルタイムメンバーなんですが、そのうち7名がリエゾン・メンバーということになるわけなんですけれども、フルタイムのメンバーについては他者との雇用関係といいますか、そういう関係はすべて断ってきてくださいということになっておりますので、結論から申しますと、規約上で各国における基準と、このIASCの基準というものを直接リンクさせなさいとか、そういうことまでは書かれてないんですけれども、間接的にそれに影響を与え得る幾つかの手続的な面が記されているところと理解しております。

○若杉会長 よろしいでしょうか。

○斎藤委員 はい。

○若杉会長 時間がまだ五、六分ありますので、何かぜひ言っておきたいこととか、あるいはお聞きしておきたいことなどがございましたら、お願いしたいと思います。

 もし何でしたら、次回とか何かの予定が分かっていれば、ここで。

○多賀谷課長補佐 まだ。皆さんの御予定を聞いてから。

○若杉会長 そうですか。

○大藤大臣官房参事官 ちょっと事務局からでございますが、先ほどこの部会のいわゆる任務のうちの一つに、いろいろな事象に対応するということがございまして、事務局でもどういうようなテーマが新しい会計基準上の問題になっているかというのを把握に努めて、適宜御報告、御相談ということになろうかと思いますけれども、経団連でありますとか、それから日本公認会計士協会の方にもぜひそこら辺の掘り起こしと申しましょうか、フォローをしていただきまして、適宜この場に持ち寄っていただければというふうに事務局からはお願いしたいということでございます。

○若杉会長 いかがでしょうか。そろそろ時間も迫ってまいりましたけれど、何かございましたらおっしゃっていただきたいと思います。

 もしございませんようでしたら、少し早いんですけれども、ほぼ定刻に近づきましたので、本日の企画調整部会は以上をもちまして終了させていただきたいと思います。

 なお、先ほどもお聞きになっておられますように、次回の開催日程につきましては、改めて事務局の方から御連絡をさせていただきます。

 本日は、第1回のこの会合にお集まりいただきまして、お忙しいところどうもありがとうございました。

 以上をもちまして終わります。