企業会計審議会 第一部会 議事録

日時:平成12年6月16日(金)午後3時31分〜午後4時31分

場所:大蔵省第三特別会議室

 

○斎藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8回の第一部会を開催させていただきます。

 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 さて、前回は事務局の方から事前に送付いたしました論点整理の原案をもとにして、かなり時間を要しまして論議をしていただき、御意見を頂戴したところであります。本日は、前回いただいた御意見や事務局におけるその後の検討を踏まえ修文しましたものを固定資産の会計処理に関する論点(案)として御用意させていただきました。

 前回、最後に申し上げましたように、本日はお手元の案を御審議いただいた上で、論点整理をお取りまとめいただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 なお、本日は前回の審議状況や事務局に対する事前のコメント状況を踏まえ、予定の審議時間を30分短縮し5時までとしておりますので御了承ください。

 では、早速でありますが、本日の審議に入りたいと思います。

 まず、固定資産の会計処理に関する論点(案)について事務局から説明していただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○平松課長補佐 それでは、御説明をしていきたいと思います。

 お手元の「資料」と書いた方が、先ほど御紹介のありました論点整理の案でございまして、もう一つ、「参考」としてございますのが、前回の5月26日の部会におきますところの資料でございます。アンダーラインを引いてあるところが変更の対象となった部分ということでございます。

 それから、今回、この修文なんですが、内容的にはそんなに大きく変わったところはないと思っております。むしろ文章の整理とか、あるいは若干ニュアンスを変更したとかいうようなことが中心になっていると思います。

 それから、最終的な姿のことを事前に申し上げておきますが、もう少し活字を大きくいたしまして、それから、この部会の名簿をつけるというような形にして最終的な姿にしていきたいと考えています。これはとりあえず資料ということで、少し細かい字で恐縮なんですが。

 それでは、基本的に読みながら御説明していきたいと思います。

 固定資産の会計処理に関する論点の整理(案)というところです。

 まず、「関する」ということで、前は「めぐる」となっていたんですけれども、少し表現を変えております。

「I.経緯及び基本的な考え方

 企業の実態を適切かつ適時に公表するディスクロージャー制度は、投資者の自己責任に基づくリスク投資と、企業経営に対する有効な外部規律という資本・金融市場の基本的な秩序を維持するうえで不可欠のインフラストラクチャーである。その中核となる会計基準は、近年の市場環境や企業行動の激変に伴って、急速な変化を余儀なくされてきた。また、市場の国際化の進展により、会計基準の国際的調和が喫緊の課題として求められてきた。

 そうした状況にあって、当審議会は、我が国会計基準の整備を精力的に進めてきた。連結財務諸表、キャッシュ・フロー計算書、中間財務諸表、研究開発会計、退職給付会計、税効果会計、金融商品会計及び外貨換算会計などの基準の整備が一段落した昨年10月22日の総会では、新たに「固定資産の会計処理について」が審議事項に取り上げられ、固定資産の会計処理について幅広い観点から検討することとされた。

 我が国では、昭和24年の「企業会計原則」の設定以来、事業用資産か金融資産かを問わず、それらの評価には取得原価基準が採用されてきた。現行の企業会計では、販売等により投資の成果であるキャッシュ・フローが得られたときに、実現利益を計上しており、それまでは、保有する資産を取得価額で繰り越すことになっている。」

この辺の部分は、少し文章を整理して短縮をしております。

「しかし、金融資産――特に自由に換金でき、換金が事業に制約されないもの――はそれ自体が貨幣性資産であり、その価値の変動は換金を待つまでもなく実現利益を構成するキャッシュ・フローの要素とみることができる。当審議会が公表した「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」は、そうした観点から、売買目的有価証券などの金融商品について時価による評価を定めるとともに、評価差額を当期の純損益に影響させることとしたのである。

 他方、事業用資産については、市場平均を超える成果を期待して事業に使われている以上、市場の平均的な期待で決まる公正価値(時価)が変動しても、企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではない。また、投資の価値自体の変動も、投資の成果であるキャッシュ・フローが得られるまでは実現したものではない。そこで、事業用資産は取得原価から減価償却等の価値減耗を引いた額で評価され、それに基づく実現利益が計上される。」

 この部分につきましては、前回のバージョンでは時価の変動ということについてのみ記載されていたんですが、さらにつけ加えて、投資の価値の変動も実現利益の計上には結びつかないということについても追加的に言及しております。

 「しかしながら、事業用資産でも、収益性が当初の予想よりも低下して投資額の回収が見込めなくなったような場合には、価値の下落を帳簿価額に反映させるのが伝統的な考え方でもある。それは、帳簿価額を下方にだけ修正する点で時価評価とは異質だが、棚卸資産の低価評価や固定資産の臨時償却など、取得減価の期間配分を通じて広い意味での資産評価に組み込まれてきた。

 とりわけ不動産を始め事業用資産の価格や収益性が著しく低下している昨今の状況では、それらの帳簿価額が価値を過大に表示したまま、将来に損失を繰り延べているおそれは少なくない。その疑念が、財務諸表への社会的な信頼を損ねているという指摘もある。投資者にとって有用な情報を提供する上で固定資産の評価は避けて通れない問題になっている。

 国際的にも近年になって固定資産の減損に関する会計基準の整備が進められており、米国財務会計基準審議会では平成7年3月に「長期性資産の減損及び処分予定の長期性資産の会計処理」を、また国際会計基準委員会では平成10年6月に「資産の減損」を公表している。さらに本年5月には投資不動産の評価について国際会計基準委員会が時価基準と原価基準の選択を認める基準書「投資不動産」を公表している。

 そのほか、固定資産の会計処理には、取得原価の範囲や減価償却のあり方、不動産の売却や流動化など多くの課題が残されている。それらには、基準の不備や海外の基準との差異が指摘されているもの、海外でも標準的な会計処理が定まっていないもの、過去にも話題になりながら既に実務に根付いてるものなどがある。我が国会計基準の整備と国際的調和化に当たり、現時点でどの問題を取り上げるかは、検討を要するところである。

 以上のような状況に鑑み、当審議会では○回にわたって第一部会を開催し、固定資産に係る我が国の会計実務や海外の会計基準及びその動向等について審議を重ねてきたが、その結果、投資者に有用な情報を提供し、会計基準の国際的な調和を図る上で最優先の課題は減損の処理であり、まずその基準を整備することが必要であるという結論に達した。投資不動産については、我が国や米国では有形固定資産と同様に処理をしているが、国際会計基準ではそれを他の有形固定資産と区別して基準を定めているため、その違いにどう対処するかを検討することとした。また、審議の過程で指摘されたその他の事項については、その内容を示すに止め、今後の取扱いは別途検討することとした。」

 このその他の指摘事項の取扱いについて、前回の部会のバージョンでは言及していなかったのですが、今回はその点についても明確にした方がいいということでつけ加えております。

 この問題については今後パブリック・コメントをしたりして、どのような反応が返ってくるかとかいうような問題もありますし、そういった結果を踏まえて企画調整部会の方で少し検討をするというようなことも、これはもちろん会長の御判断なのですが、考えられるのかなというふうに思っています。

 この点につきましては、6月9日の企画調整部会においても、そういったことかあり得るということが一応紹介されております。

 続けます。

 「本論点整理は、これまでの審議を踏まえ、固定資産の会計処理について検討すべき論点を公表するものであり、今後、広く各界から寄せられる意見も参考にし、固定資産の会計処理の具体的な見直しに向けた審議を続けていくこととする。

II. 具体的論点

1.固定資産の減損会計

 固定資産の減損処理とは、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった帳簿価額を、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように減額する会計処理である。前述のとおり、それは、帳簿価額の切り上げを認めずに切り下げだけを求める点で、金融商品の一部に適用される時価評価とは異質である。帳簿価額の修正といっても、価値の変動によって利益を測るためのものではなく、また決算日における価値を表示するためのものでもない。将来に損失を繰り越さないための臨時的な減額と考えることが妥当である。

 この減損を扱う海外の代表的な基準には、前述の米国基準と国際会計基準とがある。米国基準では、帳簿価額が将来キャッシュ・フロー(割引前の総額)を超えるときに減損を認識し、その資産の帳簿価額を公正価値まで切り下げる。これは減損した資産について、それまでのプロジェクトを清算し、その時点の時価で再び同じ資産を買い戻して新しい投資を始めたとみる考え方に基づいている。しかし、ある資産の帳簿価額が過大だからといって、継続している投資について、その清算と再投資を擬制にする理由や企業単位で資産価値の低下を認識して株主持分を切り下げる準更生との関係が明確でないという見方もある。

 他方、国際会計基準では、帳簿価額が回収可能価額を超えるときに、その額まで帳簿価額を切り下げる。ここで回収可能価額とは、その時点の正味売却価格と将来キャッシュ・フローの割引現在価値とのいずれか高い方の額であり、それが企業にとっての「経済価値」であると考えられている。資産の価値が問題なら、そうした考え方は当然といえるが、国際会計基準においても事業用資産を常にそのように評価するわけではなく、減損したときだけこの価値で評価される理由が明確ではないという見方もある。

 当審議会の課題の一つである会計基準の国際的調和の観点からは、基本的には上述した二つの基準と我が国の基準とに整合性を持たせることが必要であると思われる。しかし二つの基準は、帳簿価額の将来における回収可能性を問題にし、過去の回収状況を問わないという考え方を共有しながら、減損の認識や減損損失の測定では異なった基準になっている。しかも、どちらの基準も、他の基準を否定するだけの論拠が十分ではないという見方もある。どちらの基準の方式を採用するにしても、我が国の関連諸基準との関係を含めて、できるだけ合理的な理由を確認しておく必要があると思われる。

 従来、固定資産会計は、貸借対照表上の評価を含めて、減価償却による規則的な費用配分の問題を中心に議論されてきた。それに対し、減損会計は、将来の回収可能性を見直して帳簿価額を修正する点で、費用配分とは別の観点に立つ資産の評価替えと考えられることも多い。しかし、会計基準においては両者をできるだけ首尾一貫させ、全体として体系的な矛盾が生じないようにすることが望ましい。

 回収可能でない償却性資産の帳簿価額には、過去の見積りに比べて収益性が低下したことによるものもあれば、収益性に変化がなくても、事前に予想される資産価値の減耗に比べた減価償却の遅れという、規則的な償却方法の選択に由来するものもある。帳簿価額を将来の回収可能性に照らして見直すだけでは、両者を混同するおそれがあることから、減損を前者の部分に限るとすれば、過年度の回収額を含めて、投資期間全体を通じた回収可能性を評価するという観点が必要という考え方もある。」

 この辺は若干文章を整理して短縮しております。

 「また、我が国の会計慣行では、資産の著しい機能低下に対して臨時償却の考え方が適用されるなど、減価償却と減損処理とが異なる部分も見られる。このような臨時償却も、減価償却の遅れと同様、過年度修正の一種と考えられてきたが、減損会計の導入に当たっては、そうした臨時償却との関係を整理する必要がある。

 以上のような観点を踏まえ、実務上の実行可能性にも配慮しながら、減損会計に関する論点として、以下の事項を検討する必要があるものと考えられる。」

 実行可能性の部分につきましては、前のバージョンでは何カ所かいろいろなところに出てきたんですが、ここに1カ所にまとめるということでここに書いております。

(1) 基本的な論点

(1) 固定資産の評価と利益計算

 固定資産の回収可能性を財務諸表に反映させる際に、資産の評価を優先し、決算日における評価額を算定したうえで、その額まで帳簿価額を切り下げる立場がある。価値の下落した資産の評価額には、以下のような類型がありうるので、財務諸表におけるそれらの目的適合性や見積可能性等についてさらに検討する必要がある。

  イ.公正価値(時価)

  ロ.企業に固有の見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値」

 これは前回のバージョンでは資本価値と書いていたんですが、より一般化した表現に直しております。

「 ハ.見積将来キャッシュ・フローの総額

  ニ.その他(例えば、イ、ロ、ハの条件付適用、混合適用)

 資産評価額の類型の検討に際しては、資産の評価額によって将来の費用が決まることから、利益計算との関係を重視すべきであるという意見もある。この意見によれば、特に減価償却と減損処理との関係や、減損損失計上後の年度の利益計算に対する影響に着目する必要がある。

(2) 減損会計と類似の会計基準との関係

 減損会計の適用の対象となる損失の内容を明確にするために、現行の会計基準で採用されている損失の計上方法と減損会計との関係を検討する。具体的には、棚卸資産の評価損(損傷・品質低下、低価基準、強制評価減)との関係、耐用年数の短縮に伴う臨時償却の処理との関係、有形固定資産の廃棄、災害・事故による滅失による評価損との関係、偶発損失の引当処理との関係などを検討する。

(3) 減損の認識」

 前回のバージョンでは「判定」という言葉を使っておったんですが、より、何ていうんでしょうか、最近では一般的に使われている「認識」という表現、これは読んだ人にわかりやすいのではないかということで「認識」というふうに改めております。

 「減損を認識する基準については、決算日における帳簿価額の回収可能性に基づいて減損を認識する立場がある。この点については、利益計算における費用配分を重視する観点から、理念的には、投資額(取得原価)の投資期間全体を通じた回収可能性を問題にすべきとの意見もある。

 また、減損損失の測定には見積りの要素が大きいという点を考慮して、減損の存在がある程度確実な場合に限って減損を認識すべきであるという意見と、定められた減損損失の測定基準に基づいた最善の見積りであれば、その結果は常に財務諸表に反映させるべきであるという意見がある。」

 この部分につきましては新しく追加した論点でございまして、いわゆる確率基準と経済基準と呼ばれているものを論点として追加をしております。

 それからこの部分に、前回のバージョンではキャッシュ・フローの見積りとか割引率の問題とか箇条書きで書いてあったんですけれども、後で出てくるものですから、重複しているのではないかということで、そういう記載は削除をしております。

 「減損の認識基準については、以上のような観点を踏まえ検討を進める。」ということでございます。

「(4) 減損損失の測定

 減損損失の測定基準については、資産の評価を優先する立場から決算日における評価額までの切り下げによって減損損失を測定する立場がある。

 決算日における評価額までの切り下げによって減損損失を測定する場合、企業の見積りに依拠した基準ではなく、公正価値(時価)のような客観性を重視した基準を採るべきであるという立場と、帳簿価額の回収可能性に関する企業の合理的な見積りを反映した基準とすべきであるという立場がある。」

 この辺は少し文章を追加いたしまして、米国基準とか国際会計基準を少し意識したような文章を挿入しております。

 「また、利益計算における費用配分との関係で資産の評価を定める観点から減損損失を測定すべきだという意見がある。

 ここで、決算日の帳簿価額の回収可能性に基づいて減損損失を測定すると、前述のように、その損失に(i) 収益性の低下による損失と、(ii)減価償却の不足による損失との、両方が混在するおそれがあるので、本来は(i) の部分を、認識したその期の損失としてとらえるという減損概念が必要という意見もある。この意見によれば、過年度の回収額も含め、投資期間全体を通じた回収額を見積り、その価値が当初投資額(取得原価)を下回っていれば、収益性の低下によって減損が生じたとされる。このとき見積もった回収額を基に算出される未償却額が、理念的には、減損後の帳簿価額になる。」

 この部分については、前回よりもかなり文章を整理、圧縮をしております。

 「減損損失の測定については、以上のような観点を踏まえ、検討を進める。

(2) 減損会計の対象資産

 有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産が、減損会計の対象資産となると考えられるが、投資その他の資産のうち「金融商品に係る会計基準」に定められている金融資産、「税効果会計に係る会計基準」に定められている繰延税金資産、「退職給付に係る会計基準」に定められている前払年金費用については、各基準に減損や評価に関する定めがあるため、減損会計の対象資産から除くことが適当と考えられる。」

 この文章の前に海外の会計基準に準じて対象資産を検討するという趣旨のパラグラフがあったんですが、海外の基準に準じてというところの根拠が余りありませんものですから、その部分は削除しております。

 「我が国では、所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理として賃貸借処理(オフ・バランス処理)が認められている。賃貸借処理されているリース資産についても、減損会計と同様の効果をもつ会計処理が借手側で可能かどうか検討する。」

 この部分については、前回の御指摘がありまして、若干修文をしておりまして、可能かどうか検討するというトーンになっております。

(3) 減損の兆候

 米国基準や国際会計基準では、減損の有無を検討しなければならない固定資産を、減損の兆候がある資産に限っている。これは、全ての対象資産について減損の有無を検討することは実務上困難なため、減損の発生がある程度見込まれる資産に限って詳細に調査する趣旨であると考えられる。

 我が国でも、減損の兆候が存在する資産に限り、減損の有無を調査することが妥当であるかどうかを検討し、妥当であるとすれば、どのような兆候があるときに減損の有無を調査しなければならないのかを、ある程度具体的に例示するように検討する。

 休止中の固定資産や、当初計画されていたより以前に処分される予定の固定資産についても、減損の兆候の例示に含めるよう検討することが必要と考えられる。

(4) 将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率

 減損損失の測定に際して、将来キャッシュ・フローの割引現在価値を用いる場合がある。現在価値の計算は、将来の不確実な見積りに基づくものであり、測定の信頼性に欠けるという見方もあるが、今日では、市場で直接に観察可能な時価が入手できないなどの場合に、固定資産の価値を把握するための重要な計算手法となっている。

 現在価値の計算に関しては、先ず、将来キャッシュ・フローの見積方法について検討する必要がある。将来キャッシュ・フローの見積りは、現在価値の計算の目的が、公正価値(時価)の把握にあるのか、企業に固有の価値の把握にあるのかによって、市場参加者の一般的な見積りによるのか、企業固有の見積りによるのかが異なってくる。また、将来キャッシュ・フローの見積りには不確実性が伴うことから、将来キャッシュ・フローの見積額として、生起する確率分布を反映した期待値を採るのか、最も生起する確率の高い金額を採るのかという問題も生じる。

 次に、現在価値の計算に際して、どのような割引率を採るのかについても検討する必要がある。減損が生じた固定資産を公正価値(時価)で評価するという観点から、市場価格に代わるものとして現在価値を用いる場合には、当該資産に固有のリスクに見合った市場の収益率によって割り引くことが考えられる。また、その資産を企業に固有の価値によって評価する場合には、例えば、当該企業の資本コスト(平均的な収益率)によって割り引くことが考えられる。」

 ここの部分の下線は順番を入れかえただけですので、中身は変わっておりません。公正価値、それから企業に固有の価値というふうに順番をほかの部分とあわせて入れかえただけです。

 「さらに、これらの収益率が容易に入手できない場合、特定の借入資金によって当該資産を調達している場合など、当該企業の追加借入利子率が合理的と考えられる場合もありえる。将来キャッシュ・フローの見積額に当該資産に固有のリスクを反映させる場合には、リスクの要素を二重に反映させないために、無リスク利子率で割り引くという考え方もある。

 なお、将来キャッシュ・フローの見積額と割引率には、税引前のものと税引後のものとがあるが、減損損失は税引前当期純損益の計算に含まれるので、税引前の将来キャッシュ・フローの見積額を税引前の割引率で割り引いた現在価値を計算すべきであると考えられる。

(5) 資産のグルーピング、全社資産の減損及び減損損失の配分

 将来キャッシュ・フローを見積るためには、当該固定資産から生ずるキャッシュ・フローが識別可能である必要がある。固定資産は、個別の資産が独立のキャッシュ・フローを生み出す場合もあれば、複数の資産によって構成されるグループが識別可能なキャッシュ・フローを生み出す場合もある。したがって、減損の認識及び減損損失の測定に際してキャッシュ・フローを識別する場合には、合理的な範囲内で資産のグルーピングを認める必要がある。

 一方で、複数の資産グループにまたがる共用資産、本社建物等の全社資産について減損を認識すべきかどうか検討する必要がある。この点については、資産のグルーピングの単位を拡大して、セグメントなど、より大きなグルーピングの単位を認める方法、共用資産又は全社資産の帳簿価額を各資産グループに合理的に配分する方法、これら二つの方法を組み合わせる方法などが考えられる。

 さらに、資産のグルーピングを認めた場合、当該グループに生じた減損損失を各構成資産の帳簿価額にどのように配分させるかについても検討する。

 なお、我が国では、個別財務諸表が企業会計の中で大きな地位を占めていることを踏まえ、個別財務諸表と連結財務諸表の関係に留意して、資産のグルーピングの方法及び資産グループのキャッシュ・フローの見積り方法を検討する必要がある。

(6) のれん(連結調整勘定)の減損

 企業結合によって取得した資産又は資産グループについて減損を認識する場合、関連するのれんの帳簿価額を当該資産又は資産グループにどのように配分すべきかについて検討する。また、のれんの配分後の資産グループに減損損失が生じた場合、当該減損損失をどのようにグループの構成資産とのれんとに配分するかについても検討する。

(7) 減損損失の戻し入れ

 減損損失の計上後、固定資産の収益性が回復した場合、過年度に計上した減損損失の戻し入れを行うかどうか検討する。仮に戻し入れを行うとした場合、その上限は減損損失計上前の帳簿価額までか、減損損失を計上しなかったならば計算されるであろう帳簿価額までかについても検討する。

(8) 減損の会計処理及び表示

 以上の手続によって把握された減損損失については、損益計算書において費用として計上し、翌期以降の減価償却は、減損損失計上後の帳簿価額に基づいて行うものと考えられる。

 減損が生じた固定資産について、貸借対象表上、減損額をどのように表示すべきか、減損損失を損益計算書のどの区分に計上するか、減損損失の戻し入れを行うとした場合に、減損損失の戻入益を損益計算書上どのように表示するかなどの点について検討する。

 さらに、減損処理(戻し入れを含む)を行った場合に、財務諸表にどのような注記が必要かについても検討する。

2.投資不動産(注)

(1) 投資不動産の会計処理

 我が国では投資不動産について有形固定資産と同様の会計処理を行っており、米国を始め多くの国でも投資不動産と有形固定資産の会計処理は取得原価基準で統一されている。しかし、国際会計基準においては、投資不動産については公正価値による評価と取得原価基準による評価のいずれかを会計方針として選択することとされている。公正価値による評価を選択した場合、公正価値の変動は損益とされ、減価償却及び減損処理は行わない。取得原価基準を選択した場合には、公正価値を注記することが求められ、減損会計が適用される。

 国際会計基準によれば、投資不動産は賃貸収益または資本増価という形で他の資産から概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す点で、企業が自ら使用する資産と区別される。一方、我が国では投資不動産も他の有形固定資産と同じ事業用資産であるとされ、これを区分する考え方は一般的ではない。また、公正価値(時価)評価が意味を持つほどに不動産市場は成熟していないという見方もある。

 このような状況に配慮しながら、投資不動産の資産としての性格を明らかにしたうえで、企業が自ら使用する固定資産と異なった評価基準である公正価値(時価)による評価を、投資不動産に適用すべきかどうか、あるいは、そのような選択肢を企業に認めるかどうかについて検討する。

(2) 公正価値(時価)情報の開示

 近年の不動産価格の下落により、投資不動産の時価に対する関心が高まっている。このような状況を考慮して、取得原価基準による会計処理を行った場合、国際会計基準が求めているような公正価値(時価)情報の開示が必要かどうか検討する。仮に開示するとした場合、開示対象、開示内容、公正価値(時価)の算定方法などについて検討する。

 検討に当たっては、開示情報としての有用性、公正価値(時価)を算定する際の実務上の負担についても考慮する。

(注)

 投資不動産に含まれる資産の範囲については、必ずしも明確になっていないが、本論点整理においては、さしあたり、国際会計基準に準じて、企業が自ら使用するもの及び棚卸資産を除いた、賃貸収益又は資本増価を目的として保有する不動産を投資不動産としている。」

 この部分は国際会計基準の定義を正確に表現するために若干文章を変えてあります。

III.その他の指摘事項

 審議の過程で、検討が望まれるものとして指摘のあった事項は別紙のとおりである。

               その他の指摘事項

1.固定資産の取得及び処分の会計処理に関する指摘事項

(1) 支払利息の取得原価算入

 支払利息の取得原価算入を任意とする現行実務の妥当性。

 取得原価算入を行う場合における取得原価に算入すべき支払利息の範囲。

(2) 購入代金の決済期間が通常より長い場合の会計処理

 固定資産の購入取引で代金の決済期間が通常より長い場合の利息相当額の取扱い。

(3) 国庫補助金等で固定資産を取得した場合の会計処理

 国庫補助金、工事負担金等で固定資産を取得した場合の取得原価など。」

圧縮記帳等の問題でございます。

(4) 交換取引の会計処理

1 固定資産との交換

 固定資産同士を交換した場合に、交換損益を認識せずに交換に供した資産の帳簿価額の引き継ぎを認める範囲の明確化。

 収用等による代替資産の取得を交換に準ずるものとして取扱うことの妥当性。

 交換時点で公正価値(時価)が帳簿価額を下回っている場合の会計処理。

2 有価証券との交換

 有価証券との交換で取得した固定資産の取得原価が有価証券の公正価値(時価)又は帳簿価額とされていることの妥当性。」

特にこの簿価で引き継ぐということの妥当性ということでございます。

(5) 現物出資により受け入れた資産の取得原価

 現物出資により受け入れた固定資産の取得原価を、株式の発行価額としていることの妥当性。

(6) 内部生成無形固定資産の会計処理

 内部生成無形固定資産(ソフトウェアを除く)――ソフトウェアにつきましては研究開発の基準がありますので除かれています――の計上要件とそれから取得原価に算入すべき支出の範囲。

(7) 不動産の売却取引に関する会計処理

 不動産の売却取引の会計処理に関する基本的な考え方。」

売却損益の認識とか、あるいはオフ・バランスのルールの問題でございます。

(8) リース取引に関する会計処理

 所有権移転外ファイナンス・リース取引に関する賃貸借処理(オフ・バランス処理)の見直しの必要性。

 セール・アンド・リースバック取引に関する会計処理の基本的な考え方(売却損益の認識など)。」

これもやはりオフ・バランスの問題と損益と認識の問題だと思います。

「2.減価償却に関する指摘事項

(1) 償却方法の選択

 償却方法の選択に関する基本的な考え方(資産の性格に応じた合理的な償却方法の選択など)。

(2) 償却方法の変更

 償却方法の変更に関する基本的な考え方。」

我が国では会計方針の変更というのを考えておりますけれども、国際基準なんかは会計上の見積りの変更としているようでございます。

 「償却方法を変更した場合における過年度減価償却の遡及的修正の要否。

(3) 耐用年数(償却期間)及び残存価額

 耐容年数及び残存価額の見積りに関する基本的な考え方。

 営業権の償却期間、(商法の規定に基づき5年以内)と連結調整勘定の償却期間(原則20年以内)の整合性。

 営業権及び連結調整勘定以外の無形固定資産について償却期間に一定の制限を設けるかどうか。

(4) 耐用年数(償却期間)及び残存価額の変更

 減価償却における耐用年数及び残存価額の変更に関する基本的な考え方(過年度の減価償却に遡って修正するか、変更年度以降の償却計算のみに変更するか)。」

ここで、償却期間というのを入れておりますのは、これは無形固定資産もありますので、償却期間という言葉を入れている次第でございます。

 それから最後の参考資料につきましては、用語とか整理とか統一化とかそういったことをしておりますけれども、基本的に内容は変わっておりませんのて、読み上げを省略させていただきたいと思います。

 以上でございます。

○斎藤部会長 大変ありがとうございました。今、事務局から御説明いただきました論点整理ペーパーの原案について、さしあたり3点ほどコメントを追加させていただきます。趣旨は、このペーパーの性格をはっきりさせるとともに、方向性についてあり得べき誤解を避けるためであります。

 まず第1点でございますが、どのような基準にするかという基本方針をこの段階ではまだ明確にしていないということをお断りいたします。つまり、具体的にはFASBの基準とIASCの基準のどちらに近いものにするかという問題でありますけれども、その選択の方向までは示していないということであります。率直に申しまして、そのレベルでの意見の集約がまだできていないと思われます。当部会の作業が論点整理の段階にあります以上、次の段階の審議において検討されるべき問題点や考慮されるべき考え方をまとめているだけでございます。それが第1点であります。

 第2でありますけれども、ここで決めるルールが他の会計処理の基準とできるだけ整合するように留意をしているということであります。しばしば、海外の会計基準は概念フレームワークがあるから首尾一貫しているけれども、日本の基準には概念フレームワークがないから行き当たりばったりだという批判が聞かれるわけでありますけれども、しかし、概念フレームワークがあるからといって、海外の基準が必ずしも首尾一貫しているわけではありませんし、それがないからといって日本の基準が必ずしもアドホックであるとは言えないわけであります。その意味でも概念の整理を我々自身の責任で行うことは重要であるかと思います。その点はこの審議の過程でも、安藤委員始め、多くの方から指摘がなされたところであります。

 第3点でありますが、具体的な選択肢としてFASBとIASCの基準を想定しておりますが、しかし日本の基準がそのどちらかと全く同じになるべきだと言っているわけではもちろんありません。事実、IASCの基準では非常に頻繁に減損を見積もらなければならないために手間ばかりかかって、本当に意味のある情報がそれほど開示されるのかという御批判も聞くところでありますし、他方、米国基準では減損がそれほど頻繁に生じないように工夫されておりますが、その副産物として、例えばパーマネントに使える土地などの資産は売ることに決めなければ減損しない仕組みになっております。評価の基準もアメリカの基準は公正価値になっておりますために、場合によっては、継続使用するにしては切り下げ幅が大きくなり過ぎるという議論も聞くところであります。

 そういった意味で、例えば、減損のトリガーを含めて補完的なルールを加えることで米国基準とIASの基準の両者の長所をできるだけ取り入れるような工夫をする余地は全く否定されているわけではない、ということを念のためにつけ加えさせていただきます。

 それでは、ただいま事務局から紹介されました原案に関しまして、御意見や御質問のある方は御自由に御発言いただきたいと存じます。

 品川委員、どうぞ。

○品川委員 ちょっと質問させていただきますが、4ページのところで、中ほどに「我が国の関連諸基準との関係を含めて」というところがありますが、ここで今まで議論されたところで、いわゆるトライアングル体制の是非の問題も含めて、ここの関連諸基準の中には税法とか商法を含むのかどうか、純粋な会計基準の中の関連諸基準に限定されるのかどうかがちょっと疑問が残っておりますので、確認させていただければということと、もう一点、7ページのところで、減損会計の対象資産の中に、「無形固定資産及び投資その他の資産」となっているわけでありますが、この棚卸資産の問題をここに全く考えていないのかどうかということと、考えていないのであれば、この5ページのマル2の減損会計と類似の会計基準との関係で、棚卸資産の評価損の問題が触れてありますが、その関係をどういうふうに考えておられるのか、この2点についてちょっとお伺いしたいんですが。

○斎藤部会長 どうされますか。事務局から回答されますか。

○平松課長補佐 これは私の見方なんですけれども、4ページの関連諸基準というのは、一義的には会計基準のことを言っているのではないかと思います。税法というのは念頭にはないんじゃないかなというふうに思います。

 それから、棚卸資産については、固定資産の減損の問題をとりあえず扱っているということですので、対象資産のところに含めるというのは、書き方にもよるんでしょうけれども、誤解を招くんじゃないかなと思います。むしろ5ページのところに、少なくとも関連する基準と比較するという観点で棚卸資産の問題もとらえた方がいいのではないか、棚卸資産の方の、さらに発展していく問題というのがあるのであれば、この場で議論するというよりもほかの場でまた議論することになるんじゃないかというふうに、先のことになると思いますけれども、考えております。

○品川委員 分かりました。

○斎藤部会長 よろしゅうございますか。ほかに御発言ございますか。

 山田委員、どうぞ。

○山田委員 3ページの今後のあり方についての、最初のパラグラフの最後のあたりではないかと思うんですが、今後の取扱いというあたりで、今後公開される御予定ということだと思うんですが、どの程度の期間の公開――これ自身とは直接関係ないんですが――を考えられているのかというのをちょっとお聞きしたいんですけれども。

○斎藤部会長 どうぞ。

○平松課長補佐 この論点整理の公開期間についてですが、、早ければ来週中ぐらいには公表したいと思っていまして、それから、2カ月弱ぐらい、8月のお盆の期間ぐらいまでと、とりあえず考えているんですけれども。

○斎藤部会長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 非常に、ちょっと細かいところに入り込んで申しわけないんですが、8ページぐらいのところで、将来キャッシュ・フローの見積りに割引率を考慮した現在価値の考え方に二つあるというあたりの説明の整理の仕方なんですが、たしか米国基準では公正価値というものがありまして、それは本来的には市場価格、市場価格がとれない場合にキャッシュ・フローに割引率を適用してやるという、そういう筋書きだったかと思うんですが、その市場価格にかわるものが必ずしもキャッシュ・フローに割引率を適用した現在価値だけではなくて、何かほかのモデルも幾つか何か列挙されていたように記憶しておりますので、そこのところをちょっと御配慮をお願いできると、割と考え方の違いが明確に出るのかなというふうにう思います。

○斎藤部会長 それは回答されますか。

○平松課長補佐 まあ、そうですね。必ずしもアメリカ基準の説明をしているわけでもないんですけれども、うまく入るのであれば考えてみます。

○太田委員 すみません。この期に及んで。

○斎藤部会長 どうぞ、川村委員。

○川村委員 今、御指摘のあった点について補足させていただければ、アメリカの基準において、確かに幾つかの具体的な計算方法が列挙されておりますけれども、そのベースにある考え方が現在価値に割り引くという考え方でありますので、総論としてはここの部分がそれらの各種の方法をも包括するようなものになるのではないかと考えられるのではないかと思います。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

○品川委員 よろしいですか。

○斎藤部会長 品川委員、どうぞ。

○品川委員 甚だ瑣末なことになるかも分かりませんが、2ページの、これは文章だけの問題ですので、私だけがちょっと気になるのかもわかりませんが、上から5行目から6行目にかけまして、ここでは従来のいろいろな費用配分計算が行われることを論じていると思うんですけれども、「そこで、事業用資産は取得原価から減価償却等の価値減耗を引いた額で評価され、それに基づく実現利益が計上される」となっているんですが、この費用配分のことを書いて、実現利益が計上されて、今度は収益のところにとんと、この文章が飛んでいるように思うんですが、もちろんこの費用配分の結果、その差し引きの利益が計算されるということを意味しているとは思うんですけれども、それであれば、この損益が計算されるとか、この収益が実現したかどうかという問題と費用配分がどういうふうに行われていたかということは、若干この文章の中でちょっと読みにくいように思えるんですが、これは私だけのことであれば、別にそれ以上は申し上げませんが、さらっと文章をどうも読みにくいことだけを一言申し上げておきたいと思います。

○斎藤部会長 それは検討するということでいいですか。

○平松課長補佐 そうですね。検討します。

○斎藤部会長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 基本的に非常によく私は整理されているんじゃないかなというふうに、前回と比べると随分読みやすくなったというふうに感じております。

 それから、部会長がお話しになった三つの点の補足の説明を受けまして、非常によく分かったような気がいたします。

 その意味で、私としてはこのままで結構だと思いますけれども、ただ、表現上ちょっと気になるところが一、二ありまして、それをもしあれでしたら、検討してもられえればと思います。先ほどの8ページなんですけれども、いわゆる現在価値に割り引くというときに、将来のキャッシュ・フローの不確実性をどういうふうに扱うかという問題なんです。これは普通財務論では、いわゆるキャッシュ・フローそのものを確実性等価に焼き直すという考え方と、それから割引率の中に含めるという両方の考え方があるということをこの中で書かれているわけですけれども、そのときに、一番最初のところのパラグラフの5行目になりますか。「生起する確率分布を反映した期待値を」という、この生起する確率分布を反映するというと、どうもリスクまで反映しているようなニュアンスがどうしても私なんかだと受けてしまうので、単に「生起する確率分布の期待値」だけであると、私なんかは非常にわかりやすいような気がするんですけれども、その辺もちょっと検討していただきたいということが一つです。

 それからずっと下の方におりまして、「リスクの要素を二重に反映させないために」と非常に念を入れて書かれているわけですけれども、この辺もいわゆるキャッシュ・フローの見積額にリスクを反映させているわけですから、もうそこはいわゆる確実な額に変換されているわけなんで、無リスク利子率で割り引くというのは、これは財務でいえば当然の話ということになるんで、ちょっとこの部分は丁寧ではあるんですけれども、ちょっと冗長かなという感じは私は個人的にはします。その辺をもうちょっと御検討いただければというふうに思います。

 それから、これは全くどちらでもいいんですけれども、「国際的調和」というのと「調和化」というのが両方あるんですが、これは意識的に区別されているのかどうかということなんですけれども、たまたま2ページの下から3行目のところには、「国際的な調和化」というのがあって、ほかのところは全部「国際的調和」というふうに扱っているような気がしますけれども、その辺もちょっと御検討いただければと思います。

○斎藤部会長 大変ありがとうございました。

○平松委員 今ので……。

○斎藤部会長 どうぞ、平松委員。

○平松委員 大塚先生にちょっと確認を逆に…最初におっしゃった8ページの上の確率分布ですね。「生起する確率分布を反映した期待値を」というのを、今ちょっと聞き違えたかもしれない、「生起する確率分布の期待値」というふうにするということです。ただ、この期待値というのはキャッシュ・フローの期待値ということだとしたら、やはり「反映した」でないといけないのじゃないかなと今思ったので確認を。

○大塚委員 それは検討していただければと思います。

○平松委員 ありがとうございました。

○斎藤部会長 ありがとうございました。無言の行を続けるのもなかなかつらいところでございますので……。

○品川委員 もう一点、よろしいですか。

○斎藤部会長  どうぞ、品川委員。

○品川委員 その他の指摘事項で、ここに掲げられている各事項は非常に大きな問題を抱えていて、この減損会計と余りなじまない問題と、またこの本論を議論する中で関連する問題とが両方含まれていると思うんですが、このその他の指摘事項というのは、今度どういう形で検討される予定なんですか。ただ、ここでは問題点を指摘しただけで、後はもう一切議論しないということなんですか。まあ、これはちょっと余計なことかもわかりませんが、ちょっと気になりますので。

○平松課長補佐 今の段階で正式な取り扱いが決まっているわけではないんですけれども、基本的にこれを公開いたしまして、その他の事項についてのまたコメントというのがあるかもしれないということです。それで、そういったものを踏まえまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、基本的には企画調整部会の方で検討してもらうということは考えられるんじゃないかなと思います。これは私がそう思っているということなんですけれども、例えば、その問題の中に、実務指針になじむものとか、あるいは審議会の方で解釈を示すというようなことがあり得るのかどうか。あるいはもっと基準を直さなくちゃいけないのかどうかとかですね。あるいは、さらにもっといけば、新しい部会をつくってやるのかどうかとかと、そういったちょっと整理をすることが一つ考えられるのかなということでございまして、まだ正式に決まっているわけではございません。もちろん、いただいた御意見ですから、もうこのまま何もしないとか、そういうつもりはございません。

○斎藤部会長 よろしゅうございましょうか。

○品川委員 はい、結構です。

○斎藤部会長 ほかに御発言ないでしょうか。

 それでは、冒頭に申し上げました終了予定時刻まで30分を残しておりますけれども、特に御発言がないようでしたら、本日の検討はこの辺で一応終了させていただきたいと思います。

 本日御検討いただきました論点整理(案)を御了承いただいた上で、細かい表現の修正など、今後の取り扱いにつきましては私に御一任いただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

 ありがとうございました。

 早急に体裁を整えまして、皆様に御送付させていただくことにいたします。

 それでは、ここで、若杉会長から一言お願いいたしたいと思います。

○若杉会長 第一部会の委員の皆様方には、長い間にわたります審議の結果といたしまして、本日、固定資産の会計処理に関する論点整理を取りまとめていただきまして、まことにありがとうございました。皆様方の精力的な御審議に対しまして、ここで改めて厚く御礼を申し上げます。この論点整理につきましては、今後、本日いただきました御意見を踏まえまして、体裁を整えた上で、できれば、来週の末ぐらいまでに公表いたしたいと、こんなふうに考えております。

 なお、この論点整理につきましては、おおむね二月程度のコメント期間を設けまして、各界からの意見を受け付けることにいたしたいと、こんなふうに考えております。

 各界からの意見をいただいた上で、固定資産部会において、審議を進めていくことになりますので、また皆様方の御協力をお願いすることになります。

 以上、簡単ですけれども、私の方から御説明及び今後の予定につきまして申し上げました。ありがとうございました。

○斎藤部会長 大変ありがとうございました。

 最後に今後の予定を申し上げます。今、若杉会長から御説明がございましたけれども、本日の審議を一つの区切りといたしまして、今後論点整理に対する各界の意見をちょうだいした後、さらに、公開草案の策定などに向けて審議に入ってまいりたいと思います。審議の場につきましては、会長からお話がありましたとおり固定資産部会いうことになります。

 なお、当企業会計審議会は来月から金融庁に移管され、事務局は同庁総務企画部市場課参事官室となるそうでありますので、お含みおきいただきたいと存じます。

 それでは、予定の時刻より大分早いわけでありますけれども、本日の部会はこれで終了させていただきます。

 最後になりましたけれども、委員の皆様方には大変お忙しいところを約半年にわたり精力的に御審議いただきまして、まことにありがとうございました。

 本日はこれで散会させていただきます。ありがとうございました。