企業会計審議会総会・第一部会 議事要旨

 

1.日    時:平成8年6月21日(金)  14時00分~15時05分                            
                                                                              
2.場    所:合同庁舎4号館12階  共用第1特別会議室                            
                                                                              
3.議    題:第一部会の審議状況及び今後の企業会計審議会の運営について          
                                                                              
4.議事内容                                                                    
・  第一部会における「連結財務諸表を巡る諸問題」の審議について、これまでの中間
  的な取りまとめとして、「連結財務諸表を巡る論点の整理について」が報告された。
・  今後の企業会計審議会の運営として、金融商品・企業年金・研究開発費等に係る会
  計処理基準のあり方について検討するため、「特別部会」を設置し、本年7月より審
  議を行うことが決定された。                                                  
                                                                              
                                                                              
主な意見は次のとおり。                                                          
                                                                              
(連結財務諸表を巡る論点の整理について)                                        
                                                                              
○  論点の整理の基本的考え方は、連結情報が投資及び企業経営の判断資料として重要
  であるとの認識から、国際的比較可能性を確保する視点を踏まえており、これには全
  面的に賛成である。連結キャッシュフロー、中間連結財務諸表の導入や税効果会計の
  推進などは大変望ましいことであると考える。                                  
                                                                              
○  監査の観点から見ても、連結に係るルールの明確化が図られることは大変重要なこ
  とである。また、連結の充実に当たっては、企業の事務負担にも配慮して単体情報の
  簡素化を考えることはわかるが、開示を省略した単体情報の部分に問題が生じる場合
  もあり得ることを踏まえ、連結と単体のバランスを考えるべきである。            
                                                                              
○  今後の審議においても、グローバル・スタンダードを十分踏まえ、連結情報が主に
  なっていくという観点から、財務諸表の利用者のニーズと作成者の負担のバランスを
  考えた上で議論を進めていただきたい。                                        
                                                                            
(企業会計審議会の今後の運営について)                                          
                                                                              
○  金融商品・企業年金・研究開発費等は、いずれも国際的にも基準の設定や見直しが
  行われており、大変時宜を得た課題である。特に、デリバティブ取引等の金融取引の
  多様化は著しく、時価を踏まえた会計基準の設定は重要であると考える。          
                                                                            
○  企業年金については、積立不足の補填問題等新聞でも大きく取り上げられている。
  我が国のディスクロージャーは投資情報としても不十分な面があるだけでなく、企業
  自体も知らないうちに大きな負担を負うことになりかねず、早急に検討が必要であ  
  る。会計・ディスクロージャーの問題で、証券市場、引いては我が国の経済に悪い影
  響が出ることのないよう議論が必要な時期に来ている。                          
                                                                              
○  日本の会計は諸外国と異なっているというようなことも聞くが、会計は何のためか
  ということを考えると、投資家にとって適切な投資判断ができる情報を出し、不必要
  な情報は簡略化し、グローバルな視点から、我が国企業のディスクロージャーの信用
  が得られないような状況にならないようにしていくことが重要である。