企業会計審議会金融商品部会 議事要旨

 

1.日時:平成11年5月14日(金)  16時00分〜18時00分

2.場所:大蔵省第三特別会議室

3.議題:「外貨建取引等会計処理基準」の見直しについて

4.議事内容:外貨建取引等会計処理基準の改訂案の検討



 外貨建金銭債権債務の換算は、短期・長期の区別をせず決算時の為替相場による円換算額を付すこととする。



 金融商品の会計基準におけるヘッジの要件を充たしている場合には、為替予約等についての振当処理を引き続き認める。なお、為替予約差額のうち、取引発生時と為替予約時の為替相場の差額(直々差額)は為替予約の属する期の損益とし、残額(直先差額)は期間配分することとする。



 外貨建有価証券は決算時の為替相場により換算する。ただし、子会社株式及び関係会社株式は取得時の為替相場によることとする。
 なお、換算差額について、その他有価証券に属する債券の換算差額は、損益として認識する方法と評価差額として資本直入する方法が考えられる。



 為替換算調整勘定については、従来どおり資産又は負債に計上する方法と資本の部に計上する方法が考えられる。



 金銭債権債務の換算基準の変更及びヘッジ会計の導入等により不要となる規定(金銭債権債務の長短区分、為替予約等の個別要件、重要な為替差損の認識等)を整理する。

5.主な意見


 ヘッジ会計は金融商品の会計基準におけるヘッジ会計を前提として、外貨建取引については振当処理も認められるという関係を前文で明らかにしてはどうか。


 満期保有目的の債券の換算差額を損益計上するならば、その他有価証券に属する債券の換算差額も損益認識されるのではないか。


 債券について満期以後も円転せずに外貨のまま再投資するようなものについて、換算差額を直ちに損益計上することは実態にそぐわないのではないか。


 金融商品の会計基準における評価基準を前提とすれば、その他有価証券に属する債券の換算差額は時価による評価差額として取り扱うべきである。


 評価と換算を区別すると、外貨による時価の変動部分は評価差額として処理し、為替相場の変動部分は換算差額として処理することになるが、実務上煩雑である。


 国際的な会計基準との調和からみても、為替換算調整勘定は資本の部に計上する方法に変更する必要がある。


 為替換算調整勘定を資本の部に計上するときには、本来、税効果会計が適用されるが、米国でも為替換算調整勘定が損益として実現する可能性については非常に慎重に取り扱っていることを考慮すべきである。