金 融 商 品 部 会 議 事 要 旨

 


1.

日時:

平成11年9月3日(金) 午後2時〜4時

2.

場所:

大蔵省第4特別会議室

3.

議題:

外貨建取引等会計処理基準の見直しについて

4.

内容:

公開草案に対する意見の紹介の後、外貨建取引等会計処理基準の修正事項に関する審議を行った。


(公開草案に対する主な意見)

 固定資産等に再投資する目的の満期保有外貨建債券の換算差額は繰り延べできるとしているが、外貨建預金等も同様の処理ができるとすべき。
 ヘッジ会計を適用できるかどうかの要件は金融商品の会計基準によることとなっているが、実勢レートから乖離したスワップは振当処理を認めないことを明確にすべき。
 債権等の償却原価による償却額は、年間にわたって発生していると考え、期中平均相場により換算すべき。
 債券は、時価評価する場合でも、取得時の元本部分の換算差額と時価の変動部分の評価差額とは区別して、元本部分の換算差額は為替差損益として計上すべき。
 子会社資本に係る為替換算調整勘定をヘッジするための外貨借入や為替予約から生じる換算差額は、子会社投資に対するヘッジとして、連結上、為替換算調整勘定に計上することを認めるべき。
 在外支店の外貨建財務諸表の換算においては、非貨幣性項目に重要性がない場合でも、損益項目は期中平均相場による換算を原則とすべき。
 在外支店と在外子会社は国際会計基準のように経済実質で区分すべき。
 少数株主持分の換算方法も規定すべきではないか。
 為替換算調整勘定については、税効果会計を適用すべきではない。
 為替換算調整勘定については、税効果会計が適用できるとすべき。
 連結中心の情報開示においては、在外子会社の保有する外貨建資産等を注記する意義は薄いので、外貨建金銭債権債務に関する注記は必要ない。
 金融機関には独自の会計処理方法も認められる余地がある。


(主な意見)

 意見書の前文は、固定資産等に再投資する目的の外貨建預金等の換算差額も繰り延べできるという趣旨であると考えている。

 実勢レートから乖離したスワップは振当処理ができないことは合意されているので、説明を加えてはどうか。

 償却原価法に基づく外貨建ての償却額は、期中平均相場で換算するほうが合理的と考える。

 換算差額と評価差額とを区別するかどうかは、厳密には、売買目的有価証券にも同じ問題があるが、損益計上するかどうかという点をどう考えるか。

 債券については金銭債権と同様の観点から、換算差額は損益に計上するというのがIASの考え方であるが、公開草案では煩雑性や米国基準との関係から評価差額に含めるとしていた。実務的に合理的であれば再検討してはどうか。

 子会社への純投資に係るヘッジにより生じる換算差額は、諸外国でも資本項目にしているので、我が国でも為替換算調整勘定に入れてもよいのではないか。

 子会社への純投資に係るヘッジにより生じる換算差額を為替換算調整勘定に入れることは連結上の処理である。連結重視といっても、実態としてそういうヘッジが必ず行われているとは思わない。

 個別財務諸表では子会社株式は原価評価なので、子会社投資に対するヘッジ取引があったとしても個別財務諸表では損益に反映されるので、ヘッジ関係を認定して為替換算調整勘定に入れる処理を強制しない方がいいのではないか。

 在外支店の財務諸表の損益項目の換算に関しては、原則は本店と同様に発生時の為替相場である。特例の場合も、基本は期中平均相場で換算するというのが適切である。諸外国も同様である。

 税効果会計をいかなる場合に適用すべきかはケース・バイ・ケースであろう。

 注記事項については、金融商品全体の注記の中で考えていくこととして、ここでは特定しなくてもよいのではないか。

 子会社と支店を分けるかどうかよりも、実務的には、在外支店が現地通貨以外の財務諸表を作っている場合にも直接円換算してもよいことが分かればいいのではないか。多通貨会計の範囲等実務的な事項については、今後、実務指針で検討すればよいのではないか。