改訂「連結財務諸表原則注解」(案)

                                                                                
  注解1  重要性の原則の適用について(第二の一及び三)                        
          連結財務諸表を作成するに当たっては、企業集団の財政状態及び経営成績に
        関する利害関係者の判断を誤らせない限り、小規模子会社の連結の範囲からの
        除外、持分法適用の範囲からの除外、子会社の決算日が連結決算日と異なる場
        合の仮決算の手続、連結のための個別財務諸表の修正、子会社の資産及び負債
        の評価、連結調整勘定の処理、未実現損益の消去、連結財務諸表の表示等に関
        して重要性の原則が適用される。                                        
                                                                                
  注解2  連結のための個別財務諸表の修正について(第二の二)                  
          親会社及び子会社の財務諸表が、減価償却の過不足、資産又は負債の過大又
        は過少計上等により当該会社の財政状態及び経営成績を適正に示していない場
        合には、連結財務諸表作成上これを適正に修正して連結決算を行わなければな
        らない。ただし、連結財務諸表に重要な影響を与えないと認められる場合には、
        修正しないで連結決算を行うことができる。                              
                                                                              
  注解3  子会社に該当しない会社について(第三の一の2)                      
          更生会社、整理会社、破産会社等であって、かつ、有効な支配従属関係が存
        在せず組織の一体性を欠くと認められる会社は、子会社に該当しないものとす
        る。                                                                  
                                                                              
  注解4  議決権のある株式又は出資の実質的所有について(第三の一の2の・)    
          議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等会社以外の者となっていて
        も、会社が自己の計算で所有している場合には、当該会社が実質的に所有して
        いるものとする。                                                      
                                                                              
  注解5  支配している一定の事実について(第三の一の2の・)                  
          他の会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合とは、
        例えば、次の場合をいう。                                              
        (1) 議決権不行使株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続
          的に占めることができると認められる場合                              
        (2) 役員、関連会社等の協力株主の存在により、株主総会において議決権の過
          半数を継続的に占めることができると認められる場合                    
        (3) 取締役会の構成員の過半数を、出資会社の役員又は従業員である者又はこ
          れらであった者が継続して占めている場合                              
        (4) 重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合          
                                                                                
  注解6  小規模子会社の連結の範囲からの除外について(第三の一の4)          
          子会社で、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集
        団の財政状態及び経営成績に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏
        しいものは、連結の範囲に含めないことができる。                        
                                                                              
  注解7  決算日の差異がある場合の取扱いについて(第三の二の2)              
          決算日の差異が三か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎とし
        て連結決算を行うことができる。この場合においては、決算日が異なることか
        ら生ずる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致についてのみ、必要
        な整理を行う。                                                        
          子会社と連結会社以外の会社との取引、債権債務等については、連結決算日
        までに重要な変動がある場合を除き、そのまま連結決算を行うことができる。  
                                                                              
  注解8  子会社の資産及び負債の評価について(第四の二の1)                  
          部分時価評価法を採用している場合であっても、連結計算の結果が著しく相
        違しない場合には、支配獲得日における時価を基準として、子会社の資産及び
        負債のうち親会社の持分に相当する部分を一括して評価することができる。  
                                                                              
  注解9  株式の取得日又は支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合の取扱い
        について(第四の二の1及び2)                                        
          株式の取得日又は支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合には、当
        該取得日又は支配獲得日の前後いずれか近い決算日に株式の取得又は支配獲得
        が行われたものとみなして連結を行うことができる。                      
                                                                              
  注解10  投資勘定と資本勘定の相殺消去について(第四の三の1)                
        1  部分時価評価法によっている場合には、株式の取得日ごとに算定された資
          本勘定のうち親会社の持分に相当する部分を投資勘定と相殺消去し、株式の
          取得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金
          として処理しなければならない。                                      
        2  全面時価評価法によっている場合には、支配獲得日において算定された資
          本勘定のうち親会社の持分に相当する部分を投資勘定と相殺消去し、支配獲
          得日より後に生じた親会社の持分に属する子会社の剰余金は、連結剰余金と
          して処理しなければならない。                                        
                                                                              
  注解11  少数株主持分について(第四の四の1)                                
        1  株式の取得日又は支配獲得日の当該子会社の資本金及び剰余金は、当該取
          得日又は支配獲得日において、親会社に属する部分と少数株主に属する部分
          とに分け、前者は親会社の投資勘定と相殺消去し、後者は少数株主持分とし
          て処理する。                                                        
        2  株式の取得日後又は支配獲得日後に生じた子会社の剰余金は、親会社に属
          する部分と少数株主に属する部分とに分け、前者は連結剰余金として、後者
          は少数株主持分として処理する。                                      
  注解12  支配獲得後の子会社株式の追加取得について(第四の五の1)            
        1  部分時価評価法によっている場合には、追加取得した親会社の持分相当に
          ついて追加取得日の時価により評価し、取得差額から評価差額を控除した残
          額を連結調整勘定として処理する。                                    
        2  全面時価評価法によっている場合には、取得差額を連結調整勘定として処
          理する。                                                              
                                                                              
  注解13  支配獲得後の子会社株式の一部売却等について(第四の五の2及び3)    
        1  部分時価評価法によっている場合には、売却持分に対応する連結調整勘定
          を子会社株式の売却損益の修正として処理するとともに、売却持分に対応す
          る評価差額を少数株主持分と相殺する。                                
        2  子会社の時価発行増資等に伴い生ずる差額の計算については、上記に準じ
          て処理する。                                                        
                                                                              
  注解14  債権と債務の相殺消去について(第四の六)                            
        1  相殺消去の対象となる債権又は債務は、確定金銭債権又は確定金銭債務以
          外に、前払費用、未収収益、前受収益及び未払費用で連結会社相互間取引に
          関するものを含むものとする。                                        
        2  連結会社が振出した手形を他の連結会社が銀行割引した場合には、連結貸
          借対照表上これを借入金に振替えるものとする。                        
        3  貸倒引当金は、連結会社相互間の債権又は債務を相殺消去した後の債権を
          を基礎として、連結上これを調整する。                                
        4  引当金のうち、連結会社を対象として引当てられたことが明らかなものが
          あるときは、連結上これを調整する。                                  
        5  連結会社が発行した社債で一時所有のものは、相殺消去の対象としないこ
          とができる。                                                        
                                                                              
  注解15  一時差異について(第四の七の2)                                    
          一時差異には、例えば、次のものがある。                              
        (1) 収益又は費用の帰属年度の相違により生じる各連結会社の課税所得の合計
          額と連結財務諸表上の税金等調整前当期純利益との差額                  
        (2) 将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金                              
        (3) 子会社の資産及び負債の時価評価を行った結果生じた評価差額のうち、課
          税所得の計算に含まれていないもの                                    
                                                                              
  注解16  繰延税金について(第四の七の3)                                    
        1  繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込
          まれる期の税率に基づいて計算するものとし、繰延税金資産については、将
          来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならない。          
        2  一時差異のうち重要性が乏しいものについては、繰延税金資産又は繰延税
          金負債を計上しないことができる。                                    
                                                                              
  注解17  持分法について(第四の八の1)                                      
        1  持分法とは、投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち投資会社に帰
          属する部分の変動に応じて、その投資勘定を各期ごとに修正する方法をいう。
        2  持分法の適用に際して使用する被投資会社の財務諸表は、資産及び負債の
          評価、税効果会計の適用等、原則として、連結を行う場合と同様の配慮を行
          うものとする。ただし、重要性が乏しいものについては、これらの処理を行
          わないことができる。                                                
        3  持分法の手続は、次のとおりである。                                
          (1) 投資会社の投資日における投資勘定とこれに対応する被投資会社の資本
            勘定との間に差額がある場合には、当該差額は投資勘定に含め、連結にお
            ける連結調整勘定と同様に処理する。                                
          (2) 投資会社は、当該投資の日以降における被投資会社の利益又は損失のう
            ちの投資会社の持分又は負担に見合う額を認識して、当該投資の貸借対照
            表計上額を増額又は減額し、かつ、当該増減額を当期純利益の算定に含め
            る。また、連結調整勘定に相当する部分の償却は、当該増減額に含める。
          (3) 投資の増減額及びその当期純利益への影響額を認識する場合には、連結
            会社と持分法適用会社との間の取引による資産に係る未実現損益を消去す
            るための修正を行う。                                              
          (4) 被投資会社から配当金を受取った場合には、当該配当金に相当する金額
            を当該投資の貸借対照表計上額から減額する。                        
        4  持分法の適用に当たっては、投資会社は、被投資会社の最近の財務諸表を
          使用する。ただし、決算期に差異がある場合で、その差異の期間内に重要な
          取引又は事象が発生しているときには、投資会社に帰属する損益に関し誤解
          を生ずることを避けるために必要な修正又は注記を行う。                
                                                                              
  注解18  持分法適用の範囲からの除外について(第四の八の1)                  
          持分法の適用による投資勘定の増減額が、連結財務諸表に重要な影響を与え
        ない場合には、持分法を適用しないことができる。                        
                                                                              
  注解19  関連会社に該当しない会社について(第四の八の2)                    
          更生会社、整理会社、破産会社等であって、かつ、当該会社の財務及び営業
        の方針決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社は、
        関連会社に該当しないものとする。                                      
                                                                                
  注解20  重要な影響を与えることができる一定の事実について(第四の八の2の・)  
          他の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができ
        る一定の事実が認められる場合とは、例えば、他の会社の財務及び営業の方針
        決定に重要な影響を与える契約が存在する場合等をいう。                  
                                                                              
  注解21  連結貸借対照表の表示方法について(第四の九)                        
        1  連結貸借対照表の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎
          としなければならないが、企業集団の財政状態について誤解を生ぜしめない
          限り、集約して表示することができる。                                
            例えば、商品、製品、原材料等は一括してたな卸資産の科目で表示する等
          である。                                                            
        2  連結調整勘定は、無形固定資産又は固定負債として表示するものとする。
          なお、連結調整勘定が借方及び貸方の双方に生ずる場合には、これを相殺し
          て記載することができる。                                            
        3  売却目的の自己株式及び子会社が所有する親会社の株式は、流動資産とし
          て表示するものとする。                                              
                                                                              
  注解22  会社相互間取引の相殺消去について(第五の二)                        
          会社相互間取引が連結会社以外の会社を通じて行われている場合であって  
        も、その取引が実質的に連結会社間の直接の取引であることが明確であるとき
        は、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するものとする。          
                                                                              
  注解23  連結損益計算書及び連結剰余金計算書の表示方法について                
          (第五の四及び第六の二の2)                                        
        1  連結損益計算書の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎
          としなければならないが、企業集団の経営成績について誤解を生ぜしめない
          限り、集約して表示することができる。                                
            例えば、売上原価に関しては、たな卸計算方式によらないで売上原価の科
          目だけで記載する等である。                                          
        2  主たる営業として製品又は商品の販売と役務の給付とがある場合には、売
          上高及び売上原価を製品等の販売に係るものと役務の給付に係るものとに区
          分して記載するものとする。                                          
        3  連結損益及び剰余金結合計算書を作成する場合には、原則として、次の形
          式で記載するものとする。                                            
                                                                              
          当期純利益                                      ×××              
          連結剰余金期首残高                    ×××                        
          連結剰余金減少高                                                    
            配当金                    ×××                                    
            役員賞与金                ×××                                  
            資本金                    ×××    ×××    ×××              
          連結剰余金期末残高                              ×××

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