新 聞 発 表

平成10年10月30日

大  蔵  省

 

企業会計審議会総会の開催について

 

 企業会計審議会(会長 若杉 明 高千穂商科大学教授)は、本年4月から税効果会計に係る会計基準について審議を行ってきましたが、本日、総会を開催し、「税効果会計に係る会計基準の設定に関する意見書」を取りまとめ、公表することとしました。
 また、平成9年6月に公表された「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」の内容を踏まえ、第一部会において取りまとめられた「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」についても、併せて公表することとしました。
 なお、これらを踏まえて、証券取引法に基づく関係省令の改正が行われる予定です。

   
問い合わせ・連絡先

 大 蔵 省(TEL 3581−4111)       
金融企画局 市場課  岸 本(内線 6181)
兼 田(内線 6184)



連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の
見直しに係る具体的な取扱い

 

 企業会計審議会は平成9年6月に「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」を公表し、子会社及び関連会社の判定基準として、現行の持株基準に代えて支配力基準及び影響力基準を導入することとしたが、証券取引法に基づく関係省令の改正に先立ち、次のとおり、その具体的な取扱いについて考え方を整理した。

一 子会社の範囲

  1. 「親会社」とは、他の会社等(会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国の法令に準拠して設立されたものを含む。)をいう。以下同じ。)の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。

  2. 親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

  3. 他の会社等の意思決定機関を支配している会社とは、次の会社をいう。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の会社等の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる会社は、この限りでない。


(1)

 他の会社等(更生会社、整理会社、破産会社その他これらに準ずる会社等であって、かつ、有効な支配従属関係が存在しないと認められる会社等を除く。下記(2)及び(3)においても同様。)の議決権の過半数を自己の計算において所有している会社
(2)  他の会社等の議決権の百分の四十以上、百分の五十以下を自己の計算において所有している会社であって、かつ、次のいずれかの要件に該当する会社
(a)  自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の会社等の議決権の過半数を占めていること。
(b)  役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。
(c)  他の会社等の重要な財務及び営業又は事業の方針決定を支配する契約等が存在すること。
(d)  他の会社等の資金調達額(貸借対照表の負債に計上されているもの)の総額の過半について融資(債務の保証及び担保の提供を含む。)を行っていること(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む。)。
(e)  その他他の会社等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。
(3)  自己の計算において所有している議決権(当該議決権を所有していない場合を含む。)と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の会社等の議決権の過半数を占めている会社であって、かつ、上記(2)の(b)から(e)までのいずれかの要件に該当する会社

二 関連会社の範囲
  1. 「関連会社」とは、会社(当該会社が子会社を有する場合には、当該子会社を含む。)が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう。
      
  2. 子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合とは、次の場合をいう。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。

(1)

 子会社以外の他の会社等(更生会社、整理会社、破産会社その他これらに
準ずる会社等であって、かつ、当該会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社等を除く。下記(2)及び(3)においても同様。)の議決権の百分の二十以上を自己の計算において所有している場合
(2)  子会社以外の他の会社等の議決権の百分の十五以上、百分の二十未満を自己の計算において所有している場合であって、かつ、次のいずれかの要件に該当する場合
(a)  役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該子会社以外の他の会社等の代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること。
(b)  子会社以外の他の会社等に対して重要な融資(債務の保証及び担保の提供を含む。)を行っていること。
(c)  子会社以外の他の会社等に対して重要な技術を提供していること。
(d)  子会社以外の他の会社等との間に重要な販売、仕入れその他の営業上又は事業上の取引があること。
(e)  その他子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること。
(3)  自己の計算において所有している議決権(当該議決権を所有していない場合を含む。)と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、子会社以外の他の会社等の議決権の百分の二十以上を占めているときであって、かつ、上記(2)の(a)から(e)までのいずれかの要件に該当する場合

三 特別目的会社の取扱い

 特別目的会社(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第2項に規定する特定目的会社及び事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体をいう。以下同じ。)については、適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、当該特別目的会社の事業がその目的に従って適切に遂行されているときは、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した会社(以下「出資者等」という。)から独立しているものと認め、上記一にかかわらず、出資者等の子会社に該当しないものと推定する。

(注)  特別目的会社に資産を譲渡した会社が当該特別目的会社の発行した劣後債券を所有している場合等、原債務者の債務不履行又は資産価値の低下が生じたときに損失の全部又は一部の負担を行うこととなるときは、当該資産を譲渡した会社の財務諸表上、その負担を適正に見積もり、必要な額を費用計上することとする。

四 適用時期

 平成11年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表及び連結財務諸表から適用する。ただし、平成11年4月1日前に開始する事業年度に係る財務諸表及び連結財務諸表について適用することができるものとする。