金融機能活性化委員会(第8回会合)議事概要


                                                                              

1.日  時    平成8年10月11日(金)14時00分〜16時00分                

2.場  所    大蔵省第二特別会議室(合同庁舎4号館4F)                      

3.議  題    21世紀の金融サービスに期待される機能について                  

                                                                              

                                                                              

4.議事概要                                                                  

                                                                              

    まず、銀行局長より本委員会の審議目的等について説明があった後、香西泰委員  

  (日本経済研究センター理事長)、首藤恵委員(中央大学経済学部教授)、岡田明重

  特別委員(さくら銀行専務取締役)より意見陳述があった。                      

    各委員の意見の概要は以下の通り。                                          

                                                                              

  (1) 香西委員                                                                  

  ・  資産価格の将来を展望すると、例えば地価について言えば今やバブル以前の価格

    に戻ったと言えるが、今後、地価の上昇が望めるのかと言えば必ずしもそうではな

    い。高齢化に伴い資産の売り手が増加すること、国際的競争の激化にともなう土地

    集約型産業の衰退、海外進出の可能性等がその理由として挙げられる。また、土地

    担保力のある大企業は自分で資金を調達できる一方、今後金融機関による主要な融

    資先となると見込まれる中小企業や新規産業は基本的には土地担保力に乏しい。こ

    うしたことから、これまでとられてきた金融機関による土地担保主義は見直しを迫

    られよう。                                                                

  ・  今後は金融機関の資産・負債両面から証券化が進み、こうした観点からの金融機

    能の見直しがなされるべきであろう。おそらく、金融機関と証券会社との間が曖昧

    になり、金融機関は証券化を取り込む形で発展していくこととなろう。            

  ・  今後は金融の仲介機能の面よりも資産管理機能の方が重要になってくるのではな

    いか。                                                                    

                                                                                

  (2) 首藤委員                                                                  

  ・  これまでの金融制度改革の議論においては、市場のエンド・ユーザーすなわち小

    口の預金者等の視点に立った利用者のニーズ・利便性についての議論が曖昧だった

    との認識の下、近年の金融環境の変化が、金融システムの「市場化」を求めている。

      また、こうした市場化の下、銀行業務についても、例えば、銀行以外の決済ネッ

    トワークとの競争、預金のリスク資産化といった変質が起こり得る。            

  ・  このような市場化・情報化の下ではエンド・ユーザーには選択範囲の拡大や自己

    責任原則に伴う新たなコストが生ずる。一方で、エンドユーザーは金融機関に、安

    全資産の供給、ニーズに対応したサービスの提供、利用者の利便向上を求めている。

    このような観点から、小口預金者の代理者として政府が何らかの役割を果たしてい

    くことも考えられるのではないか。                                          

                                                                              

  (3) 岡田特別委員                                                            

  ・  21世紀に向けての金融機関のあり方に影響を与える環境要因としては、1).情

    報・通信技術の進歩、2).地球規模での市場化の進展、が挙げられる。          

  ・  情報・通信技術の進歩により、デリバティブのような複雑な金融技術が可能にな

    り、リスク管理業務を行えるようになった。今後は、伝統的なリスク仲介機能に加

    え、リスク仲介機能が主要な業務となるだろう。また、情報・通信技術の進歩は、

    金融機関が果たしてきた決済機能も大きく変革することが予想される。          

  ・  地球規模での市場化により、金融機関間の競争はもとより、各国金融制度間の競

    争が起こることから、制度はグローバルスタンダードにそったものにする必要があ

    る。こうした観点から、1).業務分野規制の撤廃(ユニバーサルバンク制はもはや

    世界の潮流)、2).金融持株会社の解禁、3).公的金融の見直し、が必要である。  

                                                                              

    こうした意見陳述を受け、自由討議が行われた。主な意見は概ね以下の通り。      

                                                                              

  (1) 市場化・情報化のもとでエンド・ユーザーには新たなコストが発生することは確

    かであるが、これは金融関連サービスへの新規参入を積極化させるということで解

    決可能なのではないかとの意見があった。                                    

                                                                              

  (2) 今後、金融の分野で成長が見込まれる分野として、個人向け金融の分野がある。

    個人金融資産は1,200兆円もあり、融資のみならず、その他様々な事業展開が

    期待できる。現在この分野においてさしたる発展が見られない理由として、規制が

    存在するからとの意見もあるようだが、現在でもかなり自由なことができる。こう

    したことを考えると規制というよりむしろピア・プレッシャー、すなわち仲間うち

    の制約が大きいのではないかとの意見があった。                              

                                                                              

  (3) インターネットについては、今後も発展するであろうが、システムを崩壊させる

    ことのできる人間が世界に100人はいるといわれており、システム自体に危険が

    ある。こうした点を考えると、決済に関して、銀行業界はもっと安全な新しいネッ

    トワークを構築していくべきではないかとの意見があった。                    

                                                                              

  (4) 金融を巡るインフラが急速に発展している中、今後のあるべき金融の姿を想定す

    ることは難しく、基本的にはマーケットに任せ、イノベーターの登場を待つという

    ことであろう。この際必要なことは規制はなるべく少なくするべきであり、その意

    味で金融制度改革も更に進め、例えば業態別規制から、機能別規制にすべきであろ

    う。また、行政も裁量の余地をなるべく狭くするということが大切であるとの意見

    があった。                                                                

                                                                              

  (5) 競争の進展によって、従来存在した預貸業務からのレントは減少し、伝統的な仲

    介機能による利益が減少するため、金融の証券化に対応する等新たな分野で利益を

    上げる仕組みに組み換える必要がある。すなわち、今後金融機関の中心的業務は、

    仲介機能から資産管理業務に移っていくだろうとの意見があった。              

                                                                              

                                                                              

    次回(第9回)会合は、10月31日(木)14時から開催予定。                

                                                                              

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         |   担当者:  大蔵省  銀行局  調査課        松  村、阿久澤       |

         |   連絡先:  TEL 03-3581-4111   (内線2801)                      |

         |                                                                |

         |     本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。         |

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