いわゆるバブル経済の発生とその崩壊という経験を通じて、我が国の経済社会システム 全体の見直しが国民共通の緊急課題となっている。 我が国経済が21世紀の高齢化社会においても活力を保っていくためには、経済社会シス テムの構造的な改革が必要であり、経済の基盤ともいうべき金融システムについても、21 世紀の我が国経済を支えるに足る優れたものへと変革しなければならない。 金融制度調査会(以下「調査会」という。)は、95年6月1日、21世紀の金融サービス に期待される機能等について検討するため金融機能活性化委員会を設置した。同委員会は、 95年8月28日の第1回会合以来、幅広い検討を行ってきたが、こうした中、96年11月、橋 本総理大臣より金融システム改革についての指示がなされ、これを受け、直ちに2001年ま でに改革が完了するプランの検討を行うこととし、鋭意審議を重ねてきた。 今般、この審議結果が「我が国金融システムの改革について───活力ある国民経済へ の貢献」と題する報告書として取りまとめられ、調査会において報告、了承された。同報 告書が金融システム改革を進めていく上での具体的提案であることを考慮し、調査会はこ れを調査会答申としてここに提出する。 今後、政府においては、本答申に基づき、所要の措置を講ずることにより、金融システ ム改革を着実に進めていくことを強く期待する。 昨今金融機関を巡る様々な不祥事が発生していることは極めて遺憾であり、企業として の倫理の徹底により一刻も早い信頼回復を図る必要がある。 自由化にはそれに見合う高い自己規律が求められるのは当然であり、改革を達成するた めには金融機関自身による厳しい経営改革努力がまずもって重要である。活力ある国民経 済に向けた今般の改革における金融機関の果たす使命の重さに鑑みれば、金融機関経営の あり方について利用者たる国民の声に謙虚に耳を傾け、今後の経営や業務運営に反映させ る必要がある。金融機関は、その社会的責任と公共的使命を今一度自覚し、21世紀の金融 システムにふさわしい金融機関となることを目標として経営に当たることを調査会として 強く要望したい。