VI.改革を進めるに当たって考慮すべき点

                                                                              
 (1)  これまでの制度の見直しにおいても、各金融機関による自主的な経営改革が必ずし
    も進んでこなかったとの指摘があることに鑑み、今般の金融システム改革において自
    由化の遅れを取り戻し、利用者の立場に立った真に思い切った改革とするためには、
    2001年までのスケジュールを明示しつつ、実施していくことが重要である。また、そ
    の際には、98年4月に「外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律」が施行
    されることについても十分念頭に置きつつ進めていく必要がある。              
                                                                              
 (2)  また、この改革を進めるに当たっては、一方で、金融システムの安定を損なわない
    よう細心の注意を払っていくことが重要である。このため、先般整備されたいわゆる
    金融三法を最大限利用しつつ、金融システムの安定を図っていくと同時に、今般の改
    革の進展を展望しつつ、引き続き金融システム安定のための施策について更なる検討
    が進められることが望まれる。                                              
                                                                              
 (3)  郵便貯金等公的金融については、経済社会情勢の変化等に応じ不断に見直していく
    必要がある。とりわけ、今般の金融システム改革の趣旨に鑑みれば、市場原理の徹底
    を図る観点からの検討が進められるべきである。しかしながら、この問題は単に金融
    制度の問題に止まらないものであるため、そのあり方等について調査会のみで検討を
    行うことは難しく、むしろ、調査会の場では、民間分野で差し迫って解決を迫られて
    いる問題について検討を急ぎ、金融市場の活性化を図っていくことに優先的に取り組
    むべきではないかと考えられる。                                            
      なお、現在、郵便貯金等公的金融については、総理大臣直属の機関である行政改革
    会議においても議論されており、また、財政投融資については、資金運用審議会の懇
    談会において、制度・運営のあり方についての検討が97年2月より進められていると
    ころであり、こうした検討をはじめ、様々な場における本問題の論議が進展すること
    を期待する。                                                              
                                                                              
 (4)  今回示す2001年までの改革の姿は、現時点における我が国金融をとりまく状況をも
    とに、早急に何らかの措置を講ずることが必要と考えられるものを取りまとめたもの
    であり、今後、通信・情報技術の革新や金融機能の高度化等が一段と進展することを
    考えれば、必要に応じてプランを見直し、追加措置を検討していく必要がある。

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