未 定 稿

第23回金融審議会第一部会議事要旨


1.

日  時:

平成12年4月28日(金) 10時00分〜12時00分

2.

場  所:

大蔵省第四特別会議室

3.

議  題:

(1)

 「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」における裁判外紛争処理制度のあり方に関する検討状況について

(2)

 「CPのペーパーレス化に関する研究会」報告書について

(3)

 「金融サービスの電子取引等と監督行政に関する研究会」報告書
 「金融サービスの電子取引と監督行政」について

4.

議事内容


 はじめに、事務局から「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」における裁判外紛争処理制度のあり方についての検討に係る報告が行われるとともに、「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」進行役の岩原紳作[いわはらしんさく]委員から、以下のような補足的説明が行われた後、自由討議が行われた。


 裁判外紛争処理制度のあり方を論じる場合、理想論を戦わせれば各論者の立場からいくらでも問題・不満を提起することができるわけであるが、「ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ」においては、そうではなく、少しでも現状を改善していく方向での議論を行うべきであると考えている。


 そのためには、第一に、既存の裁判外紛争処理制度を前提として、それを少しでも改善するために当面可能である措置は何かを考えることである。


 第二に、中長期的な裁判外紛争処理制度の改善のために検討が必要な論点を整理・提示することによって、7月以降に金融庁に発足する新たな審議機関に、裁判外紛争処理制度に関する検討を引き継いでいくためのレールを引くことである。


 なお、その際には、単に裁判外紛争処理制度プロパーの問題だけを視野に入れるのではなく、その前提として存在する取引ルール・業者ルール・市場ルール等のあり方についても論じていく必要がある。


 短い期間ではあるが、なるべく広い視野から、将来の議論をし易くするような論点提示を行い、新たな審議機関に引き継いで参りたい。


 次に、事務局から、大蔵省と法務省が共同で設置した「CPのペーパーレス化に関する研究会」の報告書の概要についての説明が行われるとともに、質疑が行われた。


 最後に、金融監督庁から、金融監督庁が設置した「金融サービスの電子取引等と監督行政に関する研究会」報告書「金融サービスの電子取引と監督行政」の概要についての説明が行われるとともに、質疑が行われた。


 上記自由討議の内容は、以下の通り。

<金融関連の裁判外紛争処理制度に関する主な意見>

(1)  総論的意見


 裁判外紛争処理機関の運営は、金融業者の自主規制団体ではない、中立的な組織によるべきではないか。


 裁判外紛争処理機関の中立・公正性を確保するとともに、適切な人材確保の問題を解消するために、一定の消費者法等の知識を有する人に資格を付与し、その資格を持った者が裁判外紛争処理機関による紛争処理に参加できることとした上で、その資格の付与・剥奪を通じて裁判外紛争処理機関の質をコントロールする制度を導入することを中長期的には検討すべきではないか。

(2)

 裁判外紛争処理制度に対する金融業者の参加の確保に関する意見


 既存の裁判外紛争処理機関に見られる、「紛争当事者の一方により訴訟・民事調停が提起された場合には、紛争処理手続を打ち切ることが出来る」との内部規定は、金融業者にとっての「抜け穴」となりかねず、問題ではないか。


 資力のない顧客等にとっては裁判制度による紛争解決は相対的に不利であるということや、裁判制度による紛争処理には時間がかかるといった点を考慮すれば、顧客が紛争処理に当たって裁判外紛争処理機関を利用しようとすることには合理性がある。従って、金融業者が、訴訟・民事調停の提起を理由として裁判外紛争処理機関における紛争処理手続を打ち切ることができるとする制度は、フェアではないのではないか。


 金融業者と顧客との間のあらゆる紛争を裁判外紛争処理制度により紛争解決する方向で金融業者に法的義務を課していくのは、難しいのではないか。


 金融業者と顧客との間の紛争に関して、金融業者は自身に落ち度がないと判断するからこそ裁判外紛争処理機関での紛争解決に止まらず裁判まで争おうとするのであり、業者が裁判外紛争処理制度よりも裁判による紛争解決を選好するからと言って、一概に業者が裁判外紛争処理機関での紛争解決に非協力的であるとは言い切れないのではないか。また、コンプライアンス体制を強化した金融業者ほど自身の過失の不存在に自信があるため、その交渉態度が「硬直的」に見られかねないのではないか。


 紛争当事者の一方が訴訟を利用したいにも拘わらず、裁判外紛争処理機関を利用した紛争処理を進めることは現実的には難しく、むしろそうした手続打切り規定のない裁判外紛争処理機関の方がワークしない可能性があるのではないか。


 自主規制団体設置の裁判外紛争処理機関において、加盟業者の裁判を受ける権利を制度的に制限することは、あらかじめ金融業者が紛争発生時の処理を裁判外紛争処理機関で行う旨を顧客との契約に規定している場合等でない限り、難しいのではないか。


 金融業者の裁判外紛争処理機関における紛争処理に対する参加姿勢を論じる際には、例えば、証券会社と顧客との紛争に関して、行政当局が裁判外紛争処理機関での決定に従って支払われた賠償が形を変えた顧客に対する損失補てんではないかとの疑義を持ち、行政上の問題とすることがあることを考慮に入れておく必要があるのではないか。

(3)

 裁判外紛争処理機関における専門性の確保に関する意見


 金融関連の事案処理経験が乏しい弁護士会仲裁センターと、銀行協会よろず相談所・信託協会と提携しているというのは、専門性の確保等の点で問題があるのではないか。

<「CPのペーパーレス化に関する研究会」報告書に関する主な意見>

 「CPのペーパーレス化に関する研究会」の斬新な点は、電子債権登録機関の性質について、公益法人とするか、それとも営利法人による営業を認め、競争を容認するかについての議論のあった点であり、こうした議論を今後の立法作業で生かすべきではないか。


 「CPのペーパーレス化に関する研究会」における検討の成果を、現在第一部会のワーキンググループで検討されている、証券決済システム全体のあり方についての議論においても活かしていくべきではないか。

<「金融サービスの電子取引等と監督行政に関する研究会」報告書「金融サービスの電子取引と監督行政」に関する主な意見>

 「金融サービスの電子取引等と監督行政に関する研究会」報告書「金融サービスの電子取引と監督行政」が、国際機関等に置かれた研究会の成果等と平仄が取れており、グローバルスタンダードに合致したものであることは、評価できる。


 金融サービスの電子取引に関する報告書を日本の行政当局が公表したのははじめてのことであるから、積極的に国際発信すべきではないか。


 電取研における議論の共通の前提は、紙ベースの取引に関するルールを電子ベースの取引に適用して不均衡が発生する領域を検討対象とするというものであったが、それ以外の電子取引を巡る問題領域(電子取引固有の問題等)も数多く、今後も検討を重ねるべきではないか。


 組織犯罪対策法の規定等を前提とした場合、電子媒体での金融取引は、刑事的な観点からは、深刻な問題を孕むようになるものと考えられる。こうした刑事上の問題について、今後とも引き続き十分な検討を行う必要があるのではないか。

(以上)

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