平成12年3月29日(水)

 
公認会計士審査会

第3回試験制度に関する検討小グループ議事録


於 大蔵省第四特別会議室
(本庁舎4階)

大蔵省金融企画局市場課
  


午後2時0分開会

神崎座長  予定の時間も参りましたので、ただいまから「試験制度に関する検討小グループ」の第3回会合を開催いたします。
 本日は、日本公認会計士協会の方から御意見をお伺いした後で、事務局から概要等の説明をいただいた後に、第1回会合においてお諮りしたとおり、当小グループにおける検討テーマであります「公認会計士の質及び数の充実に向けて」に関しまして、「試験制度改善の基本的な考え方について」御討議いただきたいと存じます。
 「試験制度改善の基本的な考え方について」は、公認会計士の質と数の関係、特に業務内容との位置づけにおいて、どの程度の公認会計士数が必要かといった基本的な考え方について、公認会計士の登録制度のあり方を踏まえ、議論を深める必要があるとされたところであり、その後、この基本的な考え方に沿った試験制度・試験実施のあり方を検討してまいることとなっております。
 それでは、最初に、日本公認会計士協会の御意見の報告をいただきたいと思います。日本公認会計士協会においては、試験制度に関しまして、協会内に専門のプロジェクトチームを設置して、公認会計士試験制度に関しましても検討を行っておられると伺っておりますので、当小グループの検討における基本的な考え方の「どの程度の公認会計士数が必要か」といったことを含めまして、公認会計士協会の御意見をお伺いしたいと思います。
 日本公認会計士協会の常務理事でもあります福田委員より御説明いただきたいと思います。福田委員、よろしくお願いいたします。


福田委員  では、「資料1−1」、「資料1−2」と「資料1−3」、それに追加いたしましたプロジェクトチームの報告の目次について御説明いたします。
 まず、資料1−1ですが、公認会計士試験制度をこの小グループで検討するということから、協会としても考え方を作ろうということで検討を行い、骨子というようなものを考えまして、これをとりまとめたペーパーです。これに沿って御説明します。
 まず、改革の目的ですが、公認会計士試験制度改革に当たっては、会計・監査制度のグローバル化を考慮し、諸外国の公認会計士試験制度との同質性を確保する必要があるということで、いろいろほかにも目的はあると思われますが、これに絞って書いてあります。
 それと、「 II  試験制度改革に対する基本姿勢」ということで、幾つか挙げてあります。
 まず、1.最近の公認会計士第2次試験合格者の就職状況から第2次試験合格者の不足は明らかであるが、さらに今後我が国の監査レベルを国際水準に押し上げるため及び既存の監査以外の新たな分野での監査等へ対応するために、引き続き第2次試験合格者の増加が必要と考えられるということです。
 今後我が国の監査レベルを国際水準に押し上げるために不足している公認会計士・会計士補の数は、約6,000人と推定され、試験制度の改革を行い早期に充足する必要があると考えられます。
 仮に6,000 人の不足人数を5年間で充足するとした場合、公認会計士の行う業務の拡大を考慮すると、毎年1,500人程度の第2次試験合格者が必要とされ、昨年11年度の第2次試験合格者は786人、その前の年は680人ぐらいですから、今後約2倍の合格者を必要とするということになります。
 それで、まず、この6,000人の数字の考え方について、次の「資料1−2」で御説明したいと思います。
 この資料は、現状の監査時間がどのくらいかということをまず分析しておりまして、次に、2ページにございますように「監査時間を2倍とする理由」ということで、2倍とする場合、何人ぐらい必要か、結果的に言いますと6,000人ということになっておりますが、そういう順序でこの資料は構成されております。
 現状の監査時間は、日本公認会計士協会において「監査実施状況調査」というのが毎年行われておりまして、その平成9年4月期から平成10年3月期までの調査を対象とした結果によれば、監査時間は約840万時間という数字が出ています。
 これは大蔵省に提出されている証券取引法監査の監査概要書の写しが協会に提出されますから、その写しと、商法監査、学校法人監査については、監査実施報告書というものが作成されて、それが協会に提出されますから、その提出された報告書に基づき監査時間を集計した結果です。証券取引法監査の個別財務諸表だけの会社と連結財 務諸表を作っている会社とに分けていますが、監査時間としては、個別財務諸表で1,495社、131万1,000時間、連結財務諸表を作っている会社で2,615社、405万3,000時間、合わせて536万4,000時間というのが証券取引法監査の監査時間です。
 商法単独の監査がその次に書いてありますが、資本金5億円以上で商法監査に該当する会社が5,419社、監査時間は204万3,000時間、200億円の負債基準で商法監査に該当する会社が1,234社、42万6,000時間という監査時間が集計されています。商法監査単独の合計では 246万 9,000時間という監査時間になっております。
 私学振興助成法の学校法人監査については、文部省所管と知事所管とに分かれています。これは幼稚園法人も入っていまして、法人数は5,646法人と非常に多いわけですが、監査時間合計では59万4,000時間ということになっております。この三つの監査全体で842万7,000時間、約840万時間という監査時間が現在の監査時間だということになります。
 次に監査従事者数の推計というのは、何人ぐらいで監査しているかというのをある程度推計しないと、必要とされる人数が算出できないことから、相当と考えられる推定値を入れて計算しています。その結果、概ね8,200人ぐらいが監査に従事しており、この840万時間という監査時間が達成されているという推定ができるということです。
 これは相当割り切った計算をしておりまして、11年11月末現在の公認会計士の年齢別の資料によれば、公認会計士は1万2,718人おりまして、そのうち55歳未満が9,194人となっております。この55歳未満の人が監査における実際の実働部隊で、そのうち60%が監査に従事していると推定されることから、公認会計士については9,194人×60%で5,500人ぐらいが監査に従事しているものと考えられます。先ほどの840万時間なる時間は、実際に会社に行ったり、事務所の中で監査に従事した実際の稼働時間ですから、公認会計士の年間就業時間を1年間約1,800時間が所定時間と考えると、5,500人が1,800時間の50%ぐらい監査に従事している時間ということで、495万時間が公認会計士によって監査されている時間と推定されます。
 会計士補の場合も同じような計算をしておりまして、会計士補3,788人のうち35歳未満が3,211人となっております。会計士補の場合は、監査法人に勤めている人がほとんどということもあるので、そのうち85%が監査に従事していると推定され、3,211人の85%、2,700人が監査に従事していると推定されます。会計士補は、公認会計士より監査に対する稼働時間の割合が高いわけですから、2,700人に1,800時間の70%、340万時間が会計士補によって行われているだろうということで、合計しますと8,200人で835万2,000時間という監査時間が計算できるわけです。
 これは、もともとそれぞれに確かな資料があるかと言われますと、公表されている資料はないわけですが、例えば、会計士補のうち、大手の監査法人の会計士補の稼働率を考えますと、70%ないし、もうちょっと高いという推定もできることから70%ぐらいが相当であると考えられます。公認会計士の場合は、年齢が高くなるほど監査法人の管理業務等に従事する割合が高くなるということと、独立した会計士なり、中小の監査法人では稼働時間は50%というように低くなっているだろうと考えられます。多くの人に聞くと、このくらいだろうというような推計ができるということで、8,200人、835万2,000時間というのは、ある程度納得できる数字だと考えています。
 なお、今言った年間の就業時間は、1日の就業時間7時間×1カ月21.5日×12カ月で1,800時間と算出しています。
 これが現在の約840万時間という実際の調査結果と、会計士・会計士補がどのような形で稼働しているかという人数、8,200人、835万2,000時間という数字が出ている根拠です。
 次に3番目の監査時間を2倍にするということについての説明をいたします。監査時間をどうして2倍にする必要があるかといいますと、まず、日本公認会計士協会に「我が国企業の財務情報の信頼性回復のための対応策プロジェクトチーム」が設置されておりまして、いわゆる英文財務諸表にレジェンドという警告文を監査報告書に書くような事態になったということを踏まえまして、そのような警告文を取るためには、どういうふうにしたらいいかということをいろいろな面で検討しており、そこから「我が国の監査の信頼性を回復するための提言」という中間報告が出ています。その中に、我が国の公認会計士監査を欧米並みにするためには、金融機関は少なくとも3倍から4倍、その他の監査で1.5倍から2倍に監査時間を増加させる必要があるという提言があるわけです。それで必要とする監査時間を現状の監査時間840万時間の2倍である1,680万時間とし、これをどういう形で監査をやる、そのためには更に何人公認会計士等が必要かというような計算をしているわけです。
 それから、もう一つお配りしています「我が国の監査の信頼性を回復するための提言」につきましては「会議終了後返却」ということになっておりますが、これは一部でありまして、全体を別の機会に発表する予定がありますことから、説明に必要なところだけを抜き出した形にしております。きちんとした形で公表したときに、改めてお配りしたいと思いますので、とりあえずは必要な部分だけ抜き出してきたということです。
 資料番号が書いてない目次を配布させていただいておりますが、これが提言の全体像でございまして、「日本の監査規範整備の必要性」というものと、第2部として、「日本の監査実務に対する信頼性を回復するための監査時間数の増加の必要性」というもので構成されております。今回はこの第2部の方だけを返却資料ということで配布させていただいております。
 これは監査規範設定主体に対する提言、監査人の独立性の監視機関に関する提言、監査基準・準則、実務指針と監査規範の整備全般に関する提言というようなことをセットに考えておりまして、そのような状況の中で監査時間数も増加しなければいけないというような内容になっています。
 それで、「資料1−3」の監査時間数増加の必要性につきましては、日本の監査とアメリカ、ドイツの監査を同じような規模の会社の監査時間で比較し提言しております。
 調査対象は、アメリカとヨーロッパを代表するドイツの両2カ国について、金融業、製造業、サービス業その他、更に大規模会社と中規模の会社という、六つに区分して調査をしています。それぞれビッグ・ファイブというワールドワイドの会計事務所に所属している現地の事務所に問い合わせた結果でございます。
 2ページを見ていただきますと、アメリカ及びドイツにおける監査時間数の調査結果がございますが、平成11年3月期時点の日本の監査時間数の平均値は、総じて、アメリカ及びドイツと比較してかなり少ないという傾向が認められております。ただし、ドイツに関しては十分な回答が得られなかったので詳細な検討は省略しており、アメリカ企業との比較がこの下の表になっているということです。
 監査時間数の倍率ですが、日本の基準にして何倍ぐらいの監査時間かということを、金融業、製造業、サービス業についてそれぞれ中・大という形で六つに分けて調べてあります。売上高平均をベースに比較した場合は、金融業の中規模企業では7.15倍、製造業の中規模企業では1.52倍、サービス業その他の中規模企業では4.16倍というような監査時間を要しアメリカでは監査を実施しているということです。総資産平均をベースにした場合でも、金融業の中規模企業では6.25倍、製造業の中規模企業では1.58倍、サービス業その他の中規模企業では3.69倍というような数値がでており、今、中規模企業の数値だけ申しましたが、大規模企業の数値についても差があるということで、日本の監査時間はアメリカに比べて少ないという調査結果がでております。特に金融業の監査時間数の少なさが際立っているという結果になっております。
 次に、我が国における監査環境の変化と監査時間数増加の必要性が2ページの下の7行目から書いてあります。
 今、我が国の監査において、会計及び監査制度の急速な整備が進められており、連結財務諸表監査の充実、その次のページにありますように、中間連結財務諸表監査の開始、新たな会計基準の整備、財務諸表の開示項目の増加というような形で、監査対象が広がるということがありまして、会計制度なり監査制度が整備されたことなどの結果、監査時間を増やしていかなければならないだろうということがこの辺に書いてあることです。
 それと、4ページの(2)に「日本企業及び公認会計士を取り巻く環境の激変」ということで、リスク・アプローチの重要性、内部統制の検証手続の充実の必要性、監査の品質管理、公認会計士監査に対する期待の高まり、十分な監査証拠の入手と監査調書の充実、専門家の利用というようなこともあり、監査そのものも、先ほどは開示項目なり、新しい財務諸表ができるということで監査時間を増やさなければいけないということがあるわけですが、監査そのもののリスク・アプローチとか、内部統制が変化しているということから監査時間を増やさなければいけないというような内容について、次に書いてあります。
 それで、結果として、6ページの4からですが、「日本の監査実務に対する信頼性を回復するための監査時間数増加のための提言」ということで、結論的に「今回の調査結果を勘案すると、一般論として、金融機関については少なくとも3〜4倍、その他については 1.5倍〜2倍程度の監査時間数を増加させることにより、我が国の監査の信頼性を回復させることが必要である。」というような形の結論になっているわけです。
 それで、その次の7ページですが、それを何年間で達成するかということについては、「各監査事務所は、現行の監査の実施状況を自ら点検し、本報告書が提言するような充実した監査が実施できるような経営計画を早急に策定のうえ、順次実施に移し、概ね3〜5年を目途に計画を達成すべきである。」というのが結論になっています。
 その後ろに平均値の比較とかそういう表なりグラフが書いてありますが、結論的には、今申しましたように金融機関には少なくとも3〜4倍、その他については1.5倍〜2倍ということから、これを丸めた格好で先ほどの監査時間を2倍にしたいということで、監査時間を2倍にするのに何人必要かという計算をしたということです。それで、概ね3〜5年を目途に計画を実施ということなわけですけど、それを長い方の5年という形で計算して6,000人を増やすためには、5年で毎年1,500人という形に作ったのがこの提言です。
 それで、先ほどの「資料1−2」に戻っていただきまして、2ページ目の4ですが、監査時間を倍増するために必要な公認会計士・会計士補の数の試算ということであります。
 この必要追加監査時間500万時間と340万時間の合計840万時間というのは、その前のページにあります、公認会計士が行っている495万時間を切り上げて500万時間とし、会計士補は340万2,000時間という監査時間を340万時間として、合計で840万時間が必要な追加監査時間ということです。
 この監査時間を増やすに当たって、現行の人員による追加というのがあります。これはその下の注にも書いてありますが、公認会計士・会計士補の年齢の若手化及び大手監査法人勤務者の増加を考慮し、稼働割合の増加を見込んでおります。公認会計士について先ほどの説明では、50%ぐらいが稼働割合としておりますが、それが50%から60%になるだろう、また、会計士補も70%から75%に上げられるだろうと考えております。この100万時間というのは、公認会計士5,500人に対して1,800時間が1年の仕事の所定時間と考えていますから、会計士の場合は稼働率が10%増えると、それが100万時間ということになります。会計士補の場合は2,700人のうち1,800×5%という数字を新たに追加するということで、24万3,000時間となり、現行の人員がもうちょっと稼働率を上げることで、124万3,000時間は人を増やさなくてもどうにかなるだろうと考えられます。そうすると、必要とされる監査時間からこの時間を差し引いた時間が合格者増による追加と考えられ、公認会計士の場合400万時間、会計士補の場合は315万7,000時間、合計715万7,000時間が合格者の増による追加の監査時間ということになります。これを会計士は1,800 時間の60%、会計士補の場合は1,800時間の75%で割りますと、公認会計士は3,700人、会計士補は2,300人、合計6,000人が必要だという必要人員数が出るということになります。
 こういう形で840万時間という現在の監査時間を倍にするには、公認会計士・会計士補合わせて6,000人が必要だろうという算定ができるということです。
 それで、先ほどの「資料1−1」に戻っていただきまして、 II の1の約6,000人が不足しているというのが今の根拠に基づいて出ているということです。それで、6,000人を5年で充足するとした場合、毎年1,500人程度の2次試験合格者が必要となる。これは減る人数もいますし、1,500人合格しても全部が監査を行うわけではないということもあるので、全部で7,500人合格すれば6,000人の監査の人員が確保できるだろうという意味で、6,000人を5で割って1,200人ということではなくて、1,500 人ぐらいが必要だろうという計算をしています。
 次に、今度は試験制度に関係するわけですが、合格者の質を低下させないで毎年1,500人の第2次試験合格者が出せる試験制度を検討する必要があると考えております。
 3.我が国の監査制度の信頼性を確保するためには、公認会計士の数だけでなく、その質が重要であるということが基本姿勢ということです。
 それで、 III が「試験制度改革の骨子」ということで、現時点では大まかな考えとなっておりますが、今言った基本姿勢を満たすための試験制度は、こういうものではないかと考えられます。
 まず、第2次試験。
 第2次試験合格者確保のため、第2次試験に必須科目合格制を導入する。必須科目合格制という、科目合格制を導入してはどうかと考えているわけですが、必須科目というのはその(2)に書いてありまして、現行の第2次試験の試験科目は、会計学(簿記、財務諸表論、原価計算及び監査の基礎理論)、今でも法律ではそうなっていますが、4科目を合わせて一つの会計学ということになっており、あと商法、経済学、経営学、民法となっております。試験科目については今後検討したいと考えておりますが、このうち、会計学を必須科目として、必須科目合格者について3年有効の科目合格制を採用してはどうかということです。そういう意味で、商法とか経済学が受かっても科目合格にはならないわけですが、会計学4科目について受かれば、その後3年の間にそれ以外の科目を合格すれば会計士補になれるという科目合格制を採用してはどうかということです。
 今7科目同時に合格しなければいけないわけですが、この科目合格制を導入すると、4科目合格すれば、あとの3科目は3年間でということになります。
 次に(3)第2次試験は、多肢選択問題と記述問題の併用とし、多肢選択問題で一定以上得点した受験者のみ記述問題を採点することとしてはどうかということです。なお、それぞれの問題は、普遍的な内容の出題とし、過去に出題された問題を勉強すること等で合格可能な内容とするということで、アメリカなどで採用しているような多肢選択問題の採用と、試験委員の本を読まなくては受からないというような形の問題を少なくしたいということで、普遍的な問題の出題にしていただきたいということです。
 その次のページの一番上ですが、第2次試験を年2回実施することが望まれる。その下に骨子作成の理由ということも書いてありますが、試験が年2回行われるということは受験者の受験リスクが低減されるということで、年2回実施することが望まれるということです。
 それで、最初に申しましたように第2次試験合格者を1,500人とするということで、この1,500人というのは5年間で計算していますが、6年目から元に戻すということでなくて、1,500人を維持するなり、その段階になれば更に増やして2,000人とかそういう数字にしたいと考えております。現時点では、5年間は1,500人、その後は、それを維持するないしはプラスアルファで増やしたいという気持ちですが、1,500人というのは、6,000人を充足するためのものですから、一応5年間だけのことしか書いてありません。
 それで、今の第2次試験制度については、骨子作成の理由が2ページの真ん中ぐらいから書いてありますけど、ちょっと飛ばして、そちらの方を説明いたします。
 まず第2次試験は、大学3年で受験可能な現行の第2次試験制度を維持し、試験の年2回実施、必須科目合格制の導入、出題内容の改善、必須科目合格者に対する業務補助の開始、これはインターン期間のところにちょっと入りますが、監査法人等への就職を可能とすることにより、受験者の受験リスクを低減し、企業等へ就職する大学生、他の国家試験受験者が、第2次試験を受験するよう仕向けるということで、今は7科目一遍にというのが響いているわけですが、そういうような形の受験リスクを減らして、企業等に就職する人、他の国家試験、税理士試験などを受験する人が2次試験を受験するようにしていこうということです。
 (2)必須科目合格により監査法人等へ就職可能とする結果、企業等に就職している社会人の受験者が増加するものと考えられる。
 今は受験期間が終わらないと、すなわち、2次試験に合格しないと監査法人等に勤められないということですが、科目合格になった段階で監査法人に就職できるような道を開こうということで、社会人が受験期間中、例えば3年かかるといったら、3年間は収入なしでやらなければいけないというリスクがあるわけですが、それを防ぐということで、こういうような制度を導入すれば、社会人からの受験者が増加するだろうということです。
 それで、(3)は、(1)及び(2)により第2次試験受験者の増加が見込まれ、結果的に合格者のレベルが維持できると考えられるということで、受験者が増加すれば合格人数を増やしても大丈夫だろうというのが、この(3)の考えです。
 それで、上の方に戻りまして、インターン期間中というのが書いてあります。そちらの方をご説明いたします。
 まず(1)が、第3次試験の受験資格として、3年間の業務補助と2年以上の実務補習を義務付けることとしてはどうかということです。今は2年間の業務補助と1年以上の実務補習ということになっておりますが、3年間の業務補助と2年以上の実務補習を義務付けるということです。なお、必須科目合格者は業務補助を開始できることとするということで、会計学を受かった人は、その段階で業務補助が開始できる。そして監査法人等が必須科目合格者を採用するように努めるということで、その段階から採用しようということです。業務補助は必須科目合格後からできることとするが、実務補習は第2次試験合格後に開始できることとするということです。それで、業務補助と実務補習の期間の重複を認めるということで、一遍に合格すれば3年間の業務補助と2年間の実務補習が重複できますから、3年間のインターン期間で3次試験を受けられることになります。必須科目に合格して、その段階で監査法人に入って、業務補助を始めていれば、翌年に他の科目に受かれば、その時点から実務補習が始まりますから、合計3年で3次試験を受けられることになります。
 必須科目合格後2年とか3年後に合格しますと、業務補助を3年やっても実務補習はそれからやらなければいけないということで、4年ないし5年かかるという格好にはなりますけど、一遍に受かった人、翌年に合格した人の場合は今と同じ3年間ということです。
 業務補助は、業務補助の指針とその結果の報告を制度化するということで、今、業務補助については、必ずしも明確な基準がないことから、きちんとした制度化をする必要があるのではないかということです。
 実務補習は、補習内容、補習方法について改善を図る。なお、実務補習は、日本公認会計士協会が設置する実務補習所のみならず、原則として実務補習団体である大手監査法人が、その東京事務所で実務補習を実施することとしてはどうかと考えております。
 今、公認会計士協会では新しい会館を造るということで、新しい会館の中には、300人程度入る教室を二つ造ることにしていますが、今と同じ方式で実務補習をやる場合は、1,500人合格して、そのうち1,100人とか1,200人ぐらいが東京だということを考えますと、協会だけでは実務補習が実施できないことが考えられるので、大手監査法人の東京事務所の場合は独自にやる。場所が必要なら協会の教室を貸すということも含めて、独自にやってもらうような制度にしてはどうかということです。
 インターン期間中、作成骨子の理由が下の2に書いてあります。
 まず、第2次試験合格者のレベルは維持できると考えられますが、第2次試験に科目合格制を導入することにより受験勉強の期間が短縮されることも予想されるため、現状の実務補習制度を維持する必要があると考えられます。
 業務補助については、実施内容にばらつきがあると考えられるため、効果のある内容に改善するということでインターン期間中の制度を変えているということです。
 第3次試験は、実務経験が必要な監査の理論と実務、先ほどの2次試験の科目は監査の基礎理論ということで、監査について2次試験と3次試験の内容を分ける必要があるということで、監査の理論と実務、税に関する実務及び論文とし、記述と口述により実施することとしてはどうかということです。
 こういう形でいくと分析についてはここでは除いた格好になっていますが、分析を不要だと考えているわけでもないので、今後もう一回検討し直さなければいけないと思っています。3次試験についての骨子の理由ですが、一番下の2行目から、3次試験について、監査実務、税法等2次試験で実施するのが適当でない試験科目があるため、3次試験は行うものとする。3次試験は不要だというような考え方も結構あるわけですが、やはりこういう科目は2次試験の段階ではできないことから、税とか監査の実務というものは3次試験でやるのが適当だろうということで、2次試験、3次試験制度を残してもらいたいということです。
 それで、説明能力等公認会計士に必要な能力を確かめるため、口述試験は今後も実施するものとするということで、口述試験についても3次試験に残していただくというようなことを考えています。
 これが非常に粗っぽいんですが、協会として提案いたします試験制度改革の骨子でございまして、大まかなことを考えてこういうペーパーを作ったということです。
 以上で御説明を終わりたいと思います。


神崎座長  ありがとうございました。
 ただいまの日本公認会計士協会の御意見につきまして、御質問・御意見がございましたらお伺いしたいと存じます。いかがでしょうか。
 三原委員、どうぞ。


三原委員  監査時間のことなんですけど、時間で言われるとちょっとぴんとこないんですが、例えば一つの会社に平均的に何人で、何日間今までやっているんだけれども、これを倍にすると何日ぐらいになると、その辺がイメージとしてつかめられればいいんですが、そういう把握の仕方はしておられないですか。


福田委員  ここに会社数があり、会社数で割れば時間なり日数が出るわけですが、会社の規模に大きな差がありますので、平均を出しにくいということがあるわけです。


三原委員  平均という聞き方はまずかったかもしれませんが、その辺の情報というか知識がないものですから、では、大きな企業に対する監査人、日数は、現在どのぐらいなんでしょうか。それを倍にしようというように考えてよろしいわけですね。


福田委員  例えば、大きな金融機関が平均で3,000時間やっているとすれば、金融機関についてはもっとやっているということがあるのかも分からないですけれど、そういう意味でいくと3,000時間の倍にする。
 例えば、連結をやっている会社がありますね。証券取引法の連結のところで1,000億円以上の資本金の一番大きな会社の平均でいけば、5,000時間ぐらいです。単純にすれば、5,000時間ぐらいを1万時間というような形で、その5,000時間を1日7時間で割れば、800日という日数をやっている計算になりますから、800日なら1,600日とか、そういうことになります。小さい会社は、うんと少ないのもありますし、45日ぐらいでやっているなんていうのもあることはあるんですけれど、それは会社の規模によって比較ができないぐらい差があります。


神崎座長  森田委員、どうぞお願いします。


森田委員  合格者を増加させる人数のことなんですけど、これはどういうことですか。このいただいた「資料1−2」で、要するに監査時間を倍増するためには6,000人増やさなければいけないということですね。


福田委員  はい。


森田委員  それを5年間で増やすのは、1,500人を5倍すると7,500人になるけれども、それは別として、それで増えるわけですね。


福田委員  一つは、今の形の監査のままでやっていれば840万時間なんですけど、いろんな要素があって、項目も増えるというのもありますし、欧米に比べて。


森田委員  その問題ではなくて、毎年1,500人ぐらいの2次試験の合格者を出せば、5年で監査を担当できる人数が6,000人増えるであろうという計算と解釈していいんですね。


福田委員  そうです。


森田委員  そうすると、昨年は786人が2次試験の合格者ですけど、このくらいの合格者を続けていくと増えないということが前提ですか。


福田委員  それでは増えないということですね。


森田委員  そうすると、毎年合格者を1,500人必要とするのではなくて、それプラス780人、2,000幾人の合格者を出さないと計算が合わないんじゃないんですか。


福田委員  今の人数プラスでやって、現在840万時間やっているわけですから、これに6,000人分が必要だ、840万時間を増やしたいというときに、今と同じ人数なら、750 人なら750人は合格していくから増えるところもあるわけですけど、それでは足りないよということで、1,500人合格にならないと倍にはできないということなんですけど。今の合格者の水準でいったら、今と同じかといったら、やっぱり増えることは増えるし、それ以外の仕事もあるから、840万時間にするには1,500人の合格者が必要だということですね。
 そういう意味で、監査時間、いろんな項目が増えるから、新しい人も含めて、合格者が増えればそれだけの人数が増えますけど、監査から抜ける人もいるということもあるので、今のでいくと、倍ぐらい増やして、やっと6,000人が確保できるだろうというので5年間ですね。そのぐらい増やさないと監査時間が欧米並みにならないし、監査の内容も評価されないというような格好になるだろうという計算でこういうふうにしているんです。


森田委員  そうすると、1,500人を増やすということではなくて……


福田委員  毎年の合格者を1,500人にするということです。


森田委員  はい、分かりました。


神崎座長  木下委員お願いします。


木下委員  提言の中で、年間2回の試験実施を前提としてのことですよね。


福田委員  はい。


木下委員  現実問題として、2回実施するようなことになると、実施側からすれば大変なことだと思うし、試験委員自体も今の段階でも、夏休みは完全に採点でつぶれているわけでしょう。そうすると、試験委員を引き受けてくれる先生方がいなくなってしまうのではないでしょうか。


福田委員  試験委員なり実際に試験を担当される方が大変だというのはもちろん分かっているわけで、「望まれる」という表現もそういうところもあるわけですが、アメリカが場所も広く、3万人ぐらい受けていながら、年2回やっているわけですから、日本もできたら、お願いしたいということもあるわけです。
 ただ、そういう意味で、今は短答式の合格者に対して論文式試験を実施するというところを、論文式試験では、科目ごとに多肢選択問題という方式の分をまず採点して、そこで合格しない人はそれより先を採点しないということで、短答式と論文式の二段階やるのと似たような方式にすることが考えられます。
 それと、多肢選択を中心にすれば、センター試験のように、非常に採点が早いということもあるので、その部分については早くできるだろうということです。


神崎座長  どうぞ。


木下委員  今の御説明の多肢選択問題と記述問題の併用というのは、現行の短答式と論文式と二段階でやっているのとどこが違うんですか。


福田委員  多肢選択問題としてわざわざ短答式と書かなかったのは、簿記の問題なんか特にそうなわけですけど、今の試験というのは簿記の問題を、昔の短答式でないときの簿記というんですか、そういう簿記の問題と同じ問題を出して、答を5種類書いておいて、その5種類のうちどれだというような形の問題の部分が結構あるわけです。そういうのはどちらかというと、ここで言う多肢選択問題ではなくて、普通の問題を答を五つ最初から作ったという方法で採点がしやすくなっているという方法で短答式と言っていますけれど、ここで言うのはアメリカみたいな格好で選ぶということだけを中心に考えている問題なんですね。だから、マルチプルチョイスというような形なので、あえて短答式のそのままだというわけではない問題ですね。


神崎座長  ほかに御質問、御意見ございませんですか。
 森田委員、どうぞ。


森田委員  細かいことになりますけど、必須科目の合格制というのは、例えば会計学の科目で合格していれば、あと2年間有効ということですか。


福田委員  それも3年間ということです。


森田委員  そうすると、例えばそれを、これも細かいことですけれども、今まで全体として平均点が一定の合格点以上取れていればいいとされ、1科目でも一定の点数以下があればだめだということになっていますよね。


福田委員  はい。


森田委員  そうすると、その会計科目で非常に良い点を取っている人の場合には、それは悪い科目の方に少し点を分けられるということですね。科目合格制ということで会計学関係の科目を免除してもらうと、それはもう受けないわけですね。両方受けて、今までのものと今度受けたものとで点数の良い方を取ってもらうなんていうことはできないわけですね。この考え方は。


福田委員  先生おっしゃるように、これでいくとかえって難しくなると言う人がいるんですね。経済なら経済を合格点取らなきゃいけないので、非常に難しくなるということもあるんです。過去のと合わせて判定するかとか、余り技術的なことは考えていないのですが、この考えは、今7科目を4科目。特に4科目のうち商法とか経済学だけでは困りますが、会計学の4科目がちゃんとできていれば、既に科目合格者として使えるのではないかという考え方からきておりまして、試験の技術的なことは余り考えていないんですが、7科目を4科目にするということで相当負担が軽くなるし、それ以後の勉強は、実務補習が始まっていないですから、夜やればいいわけです。この段階では、受験者の負担が軽くなるということを重点にして、余り採点のことを考えていないのですが、確かに個々の科目でやりますと難しくなるのではないかということも言われているんです。


森田委員  今の説明と直接は関係ないかもしれないですけれども、この科目合格だけだと会計士補ではないわけですね。


福田委員  そうですね。


森田委員  それを監査法人の方で受け入れることについて問題はないんですか。仕事をさせられるかどうかについて。


福田委員  何か名前でも付いた方がいいという意見があります。准看護婦がありますから、「准会計士補」という名前を考えている人もいるんですが、この段階で実際に仕事をさせることについては、会計学の四つが合格していれば、余り困らないだろうという認識で考えているんですけれど。


森田委員  はい、ありがとうございました。


神崎座長  加古委員お願いします。


加古委員  今の問題ですけれども、会計科目とその他選択科目で、会計科目だけを合格させて、あとは部分的にステップ・バイ・ステップでとっていく方が易しくなるんじゃないか、負担が少なくなるんじゃないかというお話で、実はそうじゃないという話もあるんだということなんですが、これは実はそのとおりで、会計に強い学生にとっては、例えば、会計科目で80点取って、あと選択科目で40点ずつ取れば合格できるということで、全科目一遍に挑戦できる方が、特に現役の学生なんかにとってははるかに楽なんですね。ですから、ステップ・バイ・ステップ方式をとれば当然に負担が軽くなるということにならないという点については御留意いただきたいと思います。実際やってみますと、選択科目全部一つ一つ合格点を取るというのは並大抵なことじゃないということが一つです。
 それから、二つ目ですけれども、2ページの一番下に示されているのは、言ってみれば2次試験、3次試験のすみ分けの問題だろうと思うんですね。例えば監査などについては基礎理論をちゃんと2次試験でやっておいて、3次試験ではかなり高度の専門的な実務について問うということで、このすみ分けをするという発想は一つのアイデアだろうというように思います。
 そこで、前の問題に戻りますけれども、会計科目に合格すれば、ある程度大法人でも業務補助ぐらいできるんだということになると、試験の制度として、会計学だけでまず2次試験をやって、その他選択科目を3次試験の方に回すというような形で、2次試験、3次試験の科目のすみ分けを行うという点について、もう一度見直してみるのも一つの検討方法かなという気がいたしますが、いかがでしょうか。


福田委員  試験科目については今後協会としても検討したいということが2次試験の箇所にも書いてあります。これは今の商法、経済、経営、民法という、今の科目をそのままやっているわけですが、例えば経営学が今は難しい。試験委員によって随分出題内容が変わるということがありますので、これの見直しをする必要があるのではないかと思っています。今言ったように試験科目については分析がなくなったりしていまして、こういうような試験制度の見直しだということなら、またその段階で考えたいと思っているんです。
 監査だけについては、いきなり実務をやっていない人に難しい問題をやってもしようがないということで、こういう形に分けたわけですが、ほかの科目もその方がいいということであれば、3次試験の方に持ってきたいということもあるんです。ただ、3次試験の方が沢山ありますと、また実務補習なりいろいろなことをやりながら受験だということになりますので、余り3次試験へ持っていくと、仕事をやりながらやるというのが相当難しくなることもあるので、どの辺がいいのか、決めかねているわけです。ただ、先生おっしゃったように、もうちょっと科目そのものは考えなきゃいけないなと思っています。


神崎座長  どうぞ。


関委員  私もたくさん意見があるんですが、後の方の意見を今言うのがいいのか、それとも、後の考えられる論点を御議論してからした方がいいのか、ちょっと私自身迷っているんです。


神崎座長  後で御発言いただく、あるいは御意見いただくということにしてはどうかと思います。


大藤大臣官房参事官  事務局からちょっとご質問があります。


神崎座長  はい、お願いします。


大藤大臣官房参事官  一つは、インターン期間のところで、現在2年間の業務補助と1年間の実務補習をそれぞれ3年間と2年間というように延ばしておられますけれども、私どもは、規制改革委員会等との関係では、むしろここら辺を短縮できないかということを問題提起されておりまして、これを長くするということについてどう考えるべきか。
 それから、例えば1回で受かったような人がやはり3年間とか2年間の業務補助とか実務補習を受けなければいけないということで整理されているのかどうかという点についてちょっとお考えを確認したいということでございます。
 それから、実務補習について、大手監査法人が受け持つということになっております。その実現可能性というか、対応力というか、協会としてのお感じをお伺いしたい。


福田委員  まず、最初の延長したということですが、実務補習は現実に会計士協会がやっているのは2年でやっていますから、同じだということと考えています。また、業務補助も基本的に監査法人に入っているというのがほとんどなので、3年間やっているという意味では、現状と余り変わらないというように思うわけです。
 今2年間の業務補助とされていますが、現在は合格者がほとんど大手法人に入っていますし、それ以外の人でも法人に入っているわけですから、法人で3年間勤めるというのがイコール業務補助となり、結果として現状とは余り変わらないという認識が一つあるわけです。
 それと、大手法人が実務補習をやることについては、これは実務補習所の収容能力の問題でそういうことを考えているわけです。1,500人の合格者のうち、今の状況でいけば1,100人なり1,200人が東京だということになると考えられますが、1,200人集めて実務補習をするのが非常に大変ですし、場所も非常に限られるので大手法人に頼むよということです。今度合併しますと大手法人が四つになるわけで、大手法人は1,500人ですと、200人とか300人を採用する訳で、1,500人のうち300人〜350人 が1法人に来るというと、とんでもない数字が来るわけですけど、そのうち東京が250人とかそのくらいがいれば、法人の予算で、専任の人を置いたりして、実務補習を自分でやるというのがむしろ合理的じゃないかということです。最初はカリキュラムの作成なり協会の方でやらなきゃいけないこともあるでしょう。


神崎座長  ありがとうございました。
 続きまして、事務局の方から、委員の皆様の審議の参考となるよう「試験制度改善の基本的な考え方について」の概要及び考えられる論点などについて説明をいただきます。どうぞよろしくお願いします。


大藤大臣官房参事官  それでは、議論の素材ということで事務局でまとめたペーパー「資料2」でございます。「試験制度改善の基本的な考え方」の概要及び考えられる論点ということでまとめてございます。
 まず、「1.検討事項の概要」ということで、(1)で、皆様もう既に御承知のことかと思いますけれども、現行試験制度及び登録制度について簡単にまとめております。
 公認会計士試験は、第1次試験(筆記試験)、第2次試験(短答式及び論文式による筆記試験)及び第3次試験(筆記試験及び口述試験)により行われておりまして、第2次試験に合格した者は「会計士補」、第3次試験に合格した者は「公認会計士」となる資格を有するということになっております。
 試験ごとに、試験の目的、受験資格、試験科目、試験方法、試験免除等が定められておりまして、例えば、第3次試験について見ますと、公認会計士となるのに必要な高等の専門的応用能力を有するか否かの判定を目的といたしまして、1年以上の実務補習と2年以上の業務補助等の受験資格要件を満たす者に対し、筆記及び口述による試験を実施しております。
 第2次試験合格者は、平成6年度以降、約700人から800人程度で推移しており、平成11年度は受験者1万265人に対し合格者は 786人ということになっております。
 第3次試験の合格者は、平成6年度以降、約600人から700人程度で推移しておりまして、10年度は受験者1,150人に対し合格者は651人ということになっております。
 公認会計士又は会計士補となる資格を有する者が、公認会計士又は会計士補となるには、公認会計士名簿又は会計士補名簿に氏名等の事項の登録を受けなければならないとされておりまして、平成12年1月末の公認会計士登録者数は1万2,706人という数になっております。会計士補登録者数は4,076人ということでございまして、これを合わせますと、1万6,782人というオーダーになっているわけでございます。
 ちなみに、4ページに過去10年の公認会計士試験実施状況ということで、受験者数、合格者数、合格率の状況の暦年比較を載せております。それから、5ページには、公認会計士の登録状況ということで、いわゆるストックと申しましょうか、その推移を載せております。それから、6ページには、年齢階層別の人員の分布状況を載せてございます。
 1ページに戻っていただきまして、公認会計士等の業務内容についてでございますが、公認会計士は、財務書類の監査・証明業務(法2条1項業務)のほか、公認会計士の名称を用いて財務に関する調査・立案・相談等の業務(法2条2項業務)を行うことができるということになっておりまして、2項業務等も今後、需要の増加等が見込まれるところでございます。
 会計士補は、公認会計士となるのに必要な技能を修習するため、会計士補の名称を用いて、監査・証明業務について、公認会計士を補助するほか、会計士補の名称を用いまして、財務に関する調査・立案・相談等の業務を行うことができるということになっております。
 なお、近年、公認会計士に対しましては、財務書類に係る監査業務だけでなく、地方自治体の外部監査や会計に関した経営上の助言など多様な会計サービスの提供等が社会・企業から求められておりまして、公認会計士の行う業務範囲が拡大しているところでございますけれども、その傾向は、今後一層強まることが予想されるのではないかというように考えております。
 「考えられる論点」ということで2に簡単にまとめてございます。まず・でございますが、公認会計士数の増加が必要とされる基本的な考え方について。
 これにつきましてはいろいろな考え方があろうかと思いますが、一応の整理として、我が国経済社会の高度化、国際化等の進展に伴い、公認会計士監査等に対する社会的要請が急速に高まってきており、公認会計士については、人数面における十分な規模の確保と資質的にも深い専門的知識と幅広い識見が従来にも増して必要とされていると考えられる。
 それから、(2)でございますが、先ほど公認会計士協会からも意見がございましたけれども、業務内容と必要とされる公認会計士数についても議論する必要があるのではないかということでございます。
 業務内容との位置づけにおいて、どの程度の規模の公認会計士を適正数と考え、その適正数を確保するため、どの程度の公認会計士数の増加が必要と考えるかということでございます。
 マル1でございますが、監査・証明業務のみで考える場合でございます。
 日本公認会計士協会のただいまの意見によりますと、監査・証明業務において、現行の我が国の監査レベル(監査実施時間)を国際水準並みに引き上げるためには、約6,000人程度の増員を必要とし、これを仮に今後5年間で充足するとした場合、毎年1,500人程度の第2次試験合格者を確保する必要があるとされておりますけれども、これについてどう考えていくかということでございます。
 それから、監査・証明業務にそれ以外の業務を含めて考えるということも考えられるのではないかと思っております。
 監査・証明業務に限定することなく、2項業務や今後の業務範囲の拡大等も踏まえまして、中長期的な視野に立って必要とされる公認会計士の数を検討すべきとの考えがあるがどうかということでございます。
 それから、(3)でございますが、必要とされる公認会計士数と会計士補の比率、年齢層についてでございます。
 日本公認会計士協会の意見によりますと、必要とされる6,000人のうち、公認会計士は3,700人、会計士補は2,300人ということで、現在の割合をベースに考えておられますが、これについてどのように考えるかということでございます。
 また、公認会計士の場合には、実査等を行う補助者クラスの年齢層が求められているのか、あるいは会社のトップ等と交渉する社員クラスの年齢層が主に求められているのかということでございまして、ここら辺につきましても、チーム編成と申しましょうか、そういうようなものでどこら辺が特に求められているのかということについても考えてみる必要があるのではないかということでございます。
 それから、どのような人材の公認会計士が必要とされているかということでございますが、暗記中心の専門学校偏重受験教育等によって会計士業務に必要不可欠な思考能力、判断力を有した公認会計士が生まれていないのではないかという懸念があることなどから、企業に在籍している社会人など多数の多様な人材を公認会計士として求めるべきとの考えがあるがどうか。そういう方々が公認会計士資格を有するような方向でいろいろなことが考えられないかという問題意識でございます。
 それから、企業等に在籍していて公認会計士としての業務を行わない資格者を増加させることも、公認会計士あるいは我が国企業会計水準の向上という観点からは有効ではないかとの考えがあるが、これについてどう考えるかということでございます。
 次に、公認会計士の質の充実についてということでございますが、必要とされる公認会計士数の増加の要請を満たしながら、一方において、公認会計士の質の低下を招くことがないよう留意する必要があるというように考えております。
 公認会計士の質の維持・向上を図るためには、どのような公認会計士試験制度・試験実施のあり方が望ましいと考えられるか。
 次に、受験者数を増加することにより合格者数が増加しても、合格率を維持することが必要ではないか。
 次に、公認会計士の職業に対する魅力を向上させる必要があるのではないか。
 また、いろいろな意味での広報活動が重要ではないかということでございまして、質の充実・維持につきましてはいろいろな論点があろうかと思いますが、とりあえず整理させていただいております。
 以上でございます。


神崎座長  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の御説明をいただいた論点等に従って、御議論をお願いしたいと思います。
 関委員、どうぞよろしく。


関委員  私は企業にいる人間ですから、企業にいる人間の実感から言って御意見を述べることが私のここに出席している意味合いだろうと思いますので、少し長くなりますけれども、そういう観点から感じていることを申し述べたいと思います。
 今、企業で起こっていることというのは、御案内のとおり非常に経済が厳しくなってくるものですから、相当大きな合理化をやるとかいうことになってきているわけですが、その中で、従来は会計あるいは経理、そういった人たちというのは、その専門領域だけに限らないんですけれども、企業が時間をかけて育てていっているわけですね。大学を出ても、日本の大学は非常にレベルが低いわけで、使い物にならないわけですから、企業が時間をかけていろいろな仕事をさせながら、会計なら会計の専門家を育てていくと、こういうことでやってきたわけですが、私どもの実感から言うと、もうそんな余裕が企業自身に、これはどこもそうですけど、なくなってきているわけですね。
 ですから、就職のときでも、どんな仕事をしたいかなんていうことよりも、「あなたは会社に入ってきて何ができますか」こういうことが問われているとよく言われますけれど、そういう意味では、会社自身にゆとりが全くなくなってきているということが一つあるということを御承知おきいただきたいということが一つです。
 それから、もう一方では特に会計で言えば、高度な専門的な知識がなければ、これはもう仕事ができないような状況がどんどん出てきておりまして、これからは、会社、事業の提携であるとか、それから、会社組織の変更であるとかということがどんどん行われていく。そういうときに会計の専門的な知識あるいは税の専門的な知識が非常に強く求められておりまして、そういう人材が端的に言えば、極めて不足している、少ないというようなことが実態だと。どうしたらいいかということが私どもの悩みになっているということをもう一つ御理解いただきたいなということなんですね。
 このようなことを考えますと、公認会計士のような資格を持った人たちが会社の中に何人もいるというようなことが、これからの国際競争力を考えると必要になるわけですね。何も公認会計士、監査法人の人たちだけではなくて、それと同等の能力のある人が企業の中にかなりたくさんいるということが、ある一つの社会全体の仕組みの中で担保できれば、私が先ほど言った二つの悩みというものはある程度緩和されてくることになるのではないかと思います。
 従って、監査法人の方もそうですし、我々の企業側もそういう人たちがたくさんいるということが日本全体の、社会全体の会計というか、ビジネスの厚みとしてやっぱりあるということが今後の国際社会の激しい競争にビジネス社会が立ち打って勝っていく要件になるのではないかなというように考えて、数の議論や質の議論をすべきなのではないかと思います。
 ですから、私のイメージで言うと、公認会計士の資格を持った人が会社にもいると、そしてその人たちが場合によっては監査法人の方にも転職できる、行ける。あるいは監査法人の人も会社の方に籍を移して仕事ができると、こういう交流のようなものができる。そのことが監査法人自身の業務の質の向上にもつながるし、それから、企業自身の会計のスタッフの充実にもつながる。こういう関係をぜひ構築していくという視点で考えるべきではないか。そういうふうに考えますと、やはり相当量は増えるのではないか。
 それから、一方、私は、監査法人の方も先ほどありましたように監査の信頼性を確保、これはミニマム・リクワイアメントでありますが、やはり世の中というのは、M&Aだとか、あるいはM&Aでなくとも、いろんな事業提携だとか、あるいは事業提携をしなくても会社の組織の分割だとか、事業組織の変更だとかいうようなことを考えると、私どもはそういう監査法人に対しても、ただ監査を的確にきちっとやってくれと、これは当然のこととして、やはりM&Aだとか、コンサルタントだとか、それから、タックス・プランニングといいますか、タックスについても相当専門的な立場で関わっていただきたいなと、こう思うことが多いわけですね。
 そうすると、監査法人自身の業務も、監査をきちっとやるという先ほど話があったようなことだけではなくて、やはり新しいそういう社会的なニーズだとか、ビジネス社会がグローバルになっていって、非常にビビッドに活動していく上で必要な専門的知識を提供していくというような役割を担っていくということであるとすれば、そういう面からも人数は増えるのではないかというように考えております。では、どういうように人数をイメージするかということでありますけれども、私は、協会のおっしゃったような6,000人とか、およそそんな程度では全くない、1桁違うのではないのかなと、こういう実感を持っておりまして、ぜひそういうことについて思いをいたしていただいて、御議論していただきたいと思うわけです。
 それから、もう一つは、今のような流れで議論しますと、やはり会社にいる人たちが試験が受けられる。何も予備校に行って専門的に勉強して、そういう人たちしか通らない。通ったら世の中のことなんか何も分からなくて、高い立場で非常に胸を張って仕事をするというようなことではなくて、やはり会社にいる人が受けられるということにしなければ質の確保もできないのではないか。受験勉強のうまい人たちだけが、特に会計の受験勉強のうまい人たちだけが通るというようなことでは、私は全体としての質も確保できないのではないかということで、ぜひ実務界の人たちが公認会計士の試験を受けて、そういう専門的な立場で仕事をできるようなことにしていただきたいなと、こういうことがもう一つ。考え方だとか、大きいところでは、その2点であります。


神崎座長  どうもありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問ございましたら、ぜひ御発言いただきたいと思います。
 三原委員お願いいたします。


三原委員  今の関委員の御意見、非常に私もよく分るような気がします。先ほど会社の監査の日数のことをちょっと聞いたのは、公認会計士協会としては監査日数を増やすという観点から合格者の数を決めていくということなんでしょうけど、もっと広く、社会的にどのぐらいの人が今要求されているかということからこの問題は考えていかなくてはいけないと思っております。
 それで、今の2倍に監査時間を増やすということで、これからの合格者の数を考えるというようにもしここでそのような結論が出ますと、監査時間を倍にするということをオーソライズするような感じになるものですから、果たして会社に対する監査時間が倍になることが認められるかどうかということはもう少し議論していかなければいけないなと思っております。
 私も会計検査院の出身なんですが、検査をするときに常に考えることは、検査の責任を果たすことができるかどうか、その必要な最小限の時間は必要だと。一方、できるだけ相手に負担をかけないという、これは相手をするという時間的なロスもありますし、それから、監査の場合には経費もそれだけかかるということなんですが、そういう相手の負担との兼ね合いということも考えていかなければいけないと思うんですけれども、そういう意味では、アメリカの例が倍以上あったということで単に倍と考えていいのかどうか。今の話でもアメリカだけですね、その倍にする根拠として。それから、イギリスだとかフランスだとか、ほかの例もどうなっているのかというところもよく見なければいけないと思うので、その辺はもう少し議論する必要があるのではないかなと。
 単に一つの会社に対する監査時間を増やすという観点からだけじゃなくて、社会的にどのぐらい必要とされるかということから議論することに私も賛成でございます。


神崎座長  ほかに御意見等ございますでしょうか。
 加古委員お願いいたします。


加古委員  ただいまの三原委員の文脈の続きかもしれませんですけれども、国際的な公認会計士業務の水準を評価するのに監査時間なり監査日数で評価しているわけで、これは一つの計量化という意味では意味があるだろうと思いますけれども、もう一点、従って、人数が2倍必要であるというふうに計算してきて、一番肝心なところは、その受け皿は大丈夫かといいますか、制度だけ先行して、その2倍の公認会計士が行き場を失うようなことになってはならないということです。もう数年前でしょうか、折角2次試験に合格しても実務補習をする法人もなかったということで、学生たちが途方にくれたという経験を私ども持っているわけですけれども、そういった受け皿の方の体制も試験制度とは別に、もし監査制度の改革を考えるのであれば、そこまで手当てするような配慮を同時進行的に進めていかなければならないんじゃないかというような気がしております。


神崎座長  どうぞ。


福田委員  今いろいろなお話をお聞きしているんですが、人数を2次試験合格者を増やしてということなので、いきなり責任者みたいな人がこれで増えるわけではないわけです。今、監査時間を倍にということで、会社の数が極端に言って同じという前提で増やすということなら、責任者というのが現実にあるわけで、どうしても補助者という形の人数がまず増えるという制度、これを2,000人にしても3,000人にしても、やっぱり最初は補助者しか増えないわけですよね。
 そういう意味で、責任者なり、いきなり仕事ができる人がこれではできないということは確かなわけです。それは今、企業の方にとか、そういうお話もあるんですが、監査というのはそういう部分ばかりじゃないんですけれど、作業を含めて時間がかかるので、40にも50にもなってやるものでもない。本当に監査が実質的にできるのは最初の10年ぐらいというような話もあるので、そのぐらいになった人がどこに行くか。企業に行くなりします。アメリカなんか特にそうなっていますけど。
 今2次試験合格者を企業に採用してもらっても、いわゆる期待されているような形の公認会計士としての能力はないわけですから、合格者というだけなので。そういう意味で監査法人に今ほとんど勤めるわけですが、法人に何年か勤めた人が、その次にどこかへ行くということで公認会計士の役割が果たせるんじゃないかと思うんです。
 それで、今、何人ぐらいというところに、先ほど言ったように大手の監査法人に今みんな勤めたいということもあり、教育制度とかいろいろな制度がほかの中小法人よりできているということで、大手の法人に入りたいという状況です。大手の法人が今四つになってしまうわけですから、四つになった法人で、その中で例えば2,000人合格したら、極端に言うと500人ずつ毎年採るというような数になるわけで、500人ずつ採って大丈夫かなということなんです。
 やはり1,500人ぐらいが今の規模からいけば、そのうち、各法人300人なり350人、ほかの企業へも行く人がいるでしょうから、そのくらいが今のマックスじゃないかというので1,500人という数字を出したところもあるわけです。1,500人合格して、本当は残っていてもらってもいいわけですが、どんどん回転していくようなシステムができるわけで、何年かすればやめる。やめた人は個人で独立するというより、いろいろな企業に行くなり、いろいろなことをやる人が多くなりましたから、そういう意味で、そういう教育を受けた人が社会に出ていくという形のシステムができれば、比較的企業との関係はうまくいくんじゃないかということを考えているわけです。
 あと、加古先生がおっしゃったように、昔そういうことが2回ばかりあったわけですが、現状でいけば余りそういう心配はないだろうと思っていますし、監査時間を増やす。黙っていて監査時間が増えるということじゃなくて、やはりこういうものもやらなきゃいけない、ああいうものをやらなきゃいけないという形で。監査時間というのは、今年1,000時間やっている会社を来年から2,000時間やるというようなことじゃなくて、監査のやり方自体を改善して、協会がこういうものもやらなきゃいけないという形で、新しい内容のものを含めて監査をやるわけなのです。そういう形には一遍にはできないで、5年ぐらいやればちょうどそういう形になる。監査の時間を増やすということが、そういう要請でやるわけだから、採用せざるを得ないということに結果的になる。合格者だけ増やして、実際の仕事のやり方を余り言わないということなら、余っちゃいますけど、今は監査のやり方を、こういう形もしなきゃいけないという状況のため、監査時間そのものを増やす必要性というものをきちんと認識してもらえ、それで監査時間が増える、その結果合格者も採用するという形にしていくということでいけば、急に倍になるわけじゃないですから、収容能力は相当あるんだろうと思うんです。


神崎座長  木下委員お願いいたします。


木下委員  この3ページにある「どのような人材の公認会計士が必要とされているについて」ここは本当に我々会計士自身もこのとおりだと思います。
 企業に在籍しているいわゆる企業をよく知っている人たちが監査人になることが、より効果的な質の高い監査ができるのであって、今まで我々の中で見ていますと、企業を知らない状態で会計士の世界に入っていってしまうという部分も相当あったわけで、これは裾野を広げていく、また、人材を求めていくというときに、社会人、企業に勤められている優秀な方々が我々の世界に入ってきやすくするような方向で試験制度を改革するというのが大事なんじゃないかと思います。


神崎座長  関委員お願いいたします。


関委員  私が申し上げたかったことも木下先生の意見と一緒でありまして、確かに新しく大学を出て公認会計士になる人がどっと増えるということになると、大きな監査法人が四つしかないし、どこへ、誰が面倒見るんだという話になるんですが、私のイメージはむしろ、我々の会社の中に優秀な人が公認会計士のような資格を取りたいなと。それで、場合によっては監査法人でも働きたいなというような思いの人は随分いるんですよね。それはそれぞれものすごい優秀な高い能力を持った人なんですよね。だから、そういう人たちが合格して、そしてそういう人たちが監査法人に別に行かなくとも、会社の中にそういう立派な公認会計士になって、あるいは会計士補かも分かりませんけれども、在籍しているということが、そして会社の中に公認会計士の人がたくさんいるということが一つのきっかけになるんじゃないか。就職のことを考えなくてもいいわけですから。それで、場合によっては監査法人の方に行くと。そうすると、監査法人の方からも我々は受け入れるということだって当然できるわけですから、そういう双方向の仕掛けを作るということだと思うんですね。
 ですから、優秀な人が公認会計士の試験を受けて、自分は資格を取りたいなというのは相当いると思いますよ。その人たちに門戸を開くというようにぜひしていただいたら、企業の会計スタッフの質も上がりますし、そういう交流が行われてくるということも考えられまして、監査法人の業務の質も向上するということになるんじゃないかなと、こういうことです。
 繰り返しですけれど。


神崎座長  ありがとうございました。
 今、関委員が、企業の中にいる人が試験を受けて仕事できるようにしたらいいんじゃないかと、こうおっしゃったわけでございますけれども、そのためにはどういうことをしたらよいと、あるいは試験制度についてどのような仕組みを確立したらいいというようにお考えでしょうか。


関委員  先ほど福田先生からお話がありましたけれども、一つは、一括して7科目全部というのは、これはとてもじゃないが、無理だということで、会計学を1回でというお話もあって、それがかえって試験を難しくするんじゃないかという御指摘もありましたけど、私は、一つ一つ合格していくという、1科目でも試験が受かれば、それは1科目受かったというのは大事にして、権利にしてあげるというようなことが、考えられるのではないか。何年間か有効だとして、ある期間が経過すれば流れてしまうということも考えられますけれども、ある期間内に一つ一つ合格したら、それは認めてあげるというのが賢明なのではないかなと思いはあります。


神崎座長  加古委員お願いいたします。


加古委員  関委員のおっしゃるように企業の会計マンといいますか、経理・財務の専門家を受け入れるというのは非常に有用だと思うんですね。この誘導の仕方といいますか、どういう仕方で会計士の門をくぐっていただくかというのが座長の御質問であったように思いますけれども、先ほど申しましたように、1科目ずつ受けるのは、時間がかかる割になかなか難しいという問題が確かにあるんですね。税理士などは全くそのとおり1科目受けると合格していくんですけれども、会社員の中から税理士試験に受かるという人数がそんなに多くないという実績から見ても、1科目ずつ合格するというのは非常に困難な面があるんですね。
 この前、正確じゃないかもしれませんけれども、司法試験の方でロースクールという制度があって、そこからの卒業生といいますか、修了者については特別枠で、ある程度合格率を高めながら合格させていくというようなアイデアがあるようですけれども、それと、森川参考人にお話をお聞きしたときに、例えば、ロースクールに対応するアカウンティング・スクールというような構想も考えてみたらどうかというような示唆があったように思います。
 これは私の拙い経験ですけれども、筑波大学に社会人を対象とする大学院、高度の専門知識を教授する大学院があったわけですけれども、確かに各企業の相当優秀な方たちが勉強するために再入学してくるんですね。もしアカウンティング・スクールというようなことが成功すれば、十分に企業の実態も分り、しかも会計について体系的な知識をある程度積んでいる人たちに対して、別枠で会計士の試験を行うというようなことも考えていっていいのではないかというふうな気がいたします。3ページの先ほど指摘のあった・のところですけれども、現に企業に在職している人について再教育を加えた上で、特別の枠で合格させる道も、第三の道といいますか、第二の道といいますか、そのようなものをじっくり考えてみる必要があるんじゃないかという気がするんですね。


神崎座長  ありがとうございました。
 ほかに御意見等ございましたら、ぜひ御発言いただきたいと思いますが……。
 では、私から1点お聞きしたいと思います。
 司法試験の改革を促した事柄の一つに、フレッシュで優秀な人材を確保することが難しくなってきた。そこで、フレッシュで優秀な人材を確保するためにどうしたらよいかということで、例えば、特別枠の問題等が考えられたわけでありますが、公認会計士については、今申しましたフレッシュで優秀な人材を確保することが試験制度の故に難しくなったというようなことがあるのか、あるいはないのか、お尋ねできればと思います。


福田委員  よろしいですか。


神崎座長  はい、どうぞ。


福田委員  公認会計士の今のフレッシュの方だけのことですが、司法試験の場合は受験勉強の期間が長いということで合格者の年齢が非常に高いということがフレッシュな人材ということになったと思うんです。公認会計士の2次試験合格者は、それが悪いことにもなるわけですが、大学に在学中なり、卒業しても就職をしないで受験学校へ行っているというような人が合格する割合が多いということで、合格者は非常に若い。優秀かどうかは別にしまして、フレッシュの方だけでいくと、年齢的には若いということが言えると思うんですね。


大藤大臣官房参事官  ちなみに、合格者の平均年齢でございますが、平成11年で第2次試験でございますけれども、26歳ということでございますので、かなり難しくて、ある程度の年齢ということだと思いますが、司法試験のような状況にはなっていないと思います。


神崎座長  ほかに御意見等ございますでしょうか。
 加古委員お願いいたします。


加古委員  確かに平均年齢は若いんですけれども、我々の経験から言えば、完全に受験予備校に牛耳られているという事実も見落としてはいけないと思いますね。試験委員としての経験から申し上げますと、試験問題を出すときに、受験学校とのせめぎ合いになるんですね。相当ひねって出題しても、あっという間にそれを解くための受験技術を伝授しておりまして、ここからここまで暗記すればいいと。出題委員の著書を読まないでも、受験学校の参考書だけを見れば合格してしまうというようなことがありますので、若いというのは、まさにそのような仕方で若い人の合格率が高いという結果になっているんだということは正しく認識しておく必要があるんじゃないかと思います。


関委員  若い人でないと通らないということですね。


神崎座長  お願いいたします。


大藤大臣官房参事官  協会の「会議終了後返却」というペーパーの中で触れておられますけれども、監査の質を高めていくという観点で、公認会計士の数を増やしていくということはなかなか短期間では無理だといたしますと、専門家の利用ということを5ページで指摘しておられますけれども、ここら辺についてどういうようなお考えか。あるいはアメリカ等では、監査のチームを編成する際に公認会計士の資格を有さないけれども、例えば金融に対する専門的な知識を持っているとか、そういったような方が日本以上に活用されているのかどうかとか、そこら辺のアメリカの状況等との比較も含めて、ちょっとお伺いできればと思うんですが。


福田委員  「専門家の利用」ということでここに書いてありますけど、システム監査なら情報技術士ですか、退職給付会計の年金計算がこれからやらなきゃいけないということですけど、そのために保険数理人を採用しているというような形で、専門家を何人か入れています。例えば、監査対象の全部の企業の年金数理をその人に頼むというような格好で採用するわけじゃなくて、みんなができるような、普通の一般的な人ができるような形にその人たちに監査のシステムを作ってもらうということで専門家を使っております。専門家に任せるということだと監査の責任もとれないということもあるので、内容的には良くなるんですが、人数的に専門家で合格者の不足をカバーするというような格好では使いにくいんだろうと思っています。
 アメリカもそういう意味では同じで、何人かもちろんいますし、分からないことがあれば提携しているようなところから来てもらって、やってもらったりしていますが、これはあくまでもそういう専門家がいれば、いろんなことができるということで、その人が全部やるというわけではないんです。


加古委員  今の点についてですけど。


神崎座長  はい、どうぞ。


加古委員  確かに監査はもちろん専門外ですからやらないでしょうけれども、会計の領域としては、公認会計士とともに、この種の専門家というのは、需要はほぼ比例してというように言っても言い過ぎでないくらい重要になるんじゃないでしょうか。6ページの専門家の話ですね。もちろん監査という意味では、直接関与しないかもしれませんけれども、監査領域が拡大して監査日数が増えていくのと同じような意味で、この手の専門家はますます必要なので、公認会計士の数を増やす、監査日数を増やすということと同時に、こういう人たちの手当ても考慮していかなければならないんじゃないかということなんです。


福田委員  それは監査、例えば、今、退職給付でしたら、そういうような形の監査をしなければいけないということで、そういう人を採用しまして、その人が、年金数理の計算ができるようなシステムを作っちゃうわけですから、1回作れば、あとの人はそれを使ってできるというぐらいのつもりでいます。そういう人は重要なんですけれど、日常業務にそんなに必要だということは余りないということなんですね。


神崎座長  木下委員お願いします。


木下委員  私が公認会計士で協会に所属していて、こんなこと言うと、協会の中から袋だたきにされるようなことなんですけれども、我々はどうしても今の試験制度を前提として、2次試験を通って、3次試験を通って会計士というパターンを描いているわけですよ。バイパスで、例えば弁護士の資格を持っている、そういう方々が監査業務に経験2年なり何なりというものをした場合には、3次試験を受験できるとか、それから、企業の方たちにおいても、例えば業務補助の中に実務従事というのがありましたよね。あれと同じように企業の実務に就いている経験が10年以上で、そういう人たちが何年間か監査業務に従事した場合には3次試験を受けられるということを考えていくと、質の違った方たちが我々の中に入ってこれるんですね。
 ところが、今の我々、どうしても自分たちが2次試験をちゃんと通って、正規のルートで通っているからというので、違った道から特別の方法で受験資格を与えていくということに対してすごく抵抗してしまうんですけれども、協会の方ではその点についてやはり相変わらずそういう方向が強いのではないかと思うんですが、どうなんですかね。


福田委員  余り科目・試験の免除という話を検討したわけではないんですが、先ほども企業にというお話がありますけど、アメリカなんかですと、やはり会計事務所にいて、それから企業へという人が基本的に多い。無資格で会計事務所へ入って、そこで試験を受けて、合格して、それから企業に行くという形が基本的なやり方だ。公認会計士の3分の1ぐらいが企業の中にいるわけですが、そういう人は企業の中にいて、独自で試験を受けて会計士になったわけじゃなくて、アメリカも実務経験の要件がありますから、会計事務所に1度はいた人だというのが基本的なパターンだと思うんですよね。
 そういう意味で、企業の人がそのまま受かって会計士になるというのももちろん必要なのかもしれませんけれども、監査をやるという意味でいくと、基本的には監査をやるというのが公認会計士の仕事だとすれば、そういう合格者が例え増えたとしても、監査の充実には直接結び付かないようなところがあるので、余り今の段階で検討していません。どうしたら受験者が増えるかというのを中心に考えています。企業にいる人が科目合格したら、そこでやめて監査法人に就職ができるようにするという形が唯一ここに入っている企業の人に対する配慮というのは、そういうことだと思ってこれを作っているわけです。


木下委員  よろしいですか。


神崎座長  はい。


木下委員  3ページの(4)のところで言っている「企業に在籍している社会人」というところがありますよね。そして、そういうところに人材を求めるといったときに、2次試験というレベルは非常に若いときの時間的な余裕がある人たちでないと、なかなか受けにくい。ところが、3次試験という問題で考えてもらえれば、企業をよく知っている人たち、実態をよく知っている人たちが我々の中に参加してくるという意味では、監査が無経験では困りますけれども、ですから、実務従事の中で何年間かは監査に従事することを条件にして、3次試験の受験資格を与えるとかということが、恐らく拒否反応を起こすのは、現在の会計士の人たちだろうと思うんですけれども、そういう点では、本当に企業に裾野を広げていくという意味でも、何か考えていく必要性があるんじゃないか。また、他の資格の人たちの参加も、弁護士とか、税理士とかという資格を持っている人たちに広げていくということも考えるべきではないかと思うんですけれども。


神崎座長  私から一つお尋ねしたいのですが、考えられる論点の一つとして、公認会計士についても深い専門的な知識と幅広い識見を持った人が活躍できるということは良いことだと言われております。私もそのとおりだと思いますけれども、それを確保するためには、一体どういう仕組みをとる必要があるのか、あるいは現行制度にない改革をどのようにしてやったらいいのかということも一つの問題だと思いますが、もし御意見等がございましたらお教えいただきたいと思います。
 あるいはまた後の会合において御議論いただくということもいいのではないかと、こう思います。
 どうもありがとうございました。
 それでは、予定の時刻も参りましたので、本日の会合はこのあたりで終了させていただきたいと思います。
 次回は、本日に引き続き、「試験制度改善の基本的な考え方について」御討議いただいた後、試験制度改善の基本的な考え方を実現するための「試験制度のあり方」について御討議いただきたいと思います。
 なお、第1回会合でお諮りいたしました試験制度のあり方の各項目に関しまして、参考人の方から御意見を伺った方がよいと思われる場合には、私と事務局の方で検討させていただき、参考人の方をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次回会合の日程につきましては、事務局の方から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の「試験制度に関する検討小グループ」を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後3時55分閉会