第208回証券取引審議会議事要旨


                                                                                

1.日時  :平成8年12月13日(金)  14時00分〜15時30分                               

2.場所  :合同庁舎四号館4階  第二特別会議室                                  

3.議題  :(1) デリバティブ特別部会・公表文について                            

            (2) 総合部会・論点整理について                                      

4.議事内容                                                                    

    まず、デリバティブ特別部会より公表された、個別株式オプションの導入の意義と導

  入にあたっての留意点についての説明がなされた。                                

    次に、総合部会・論点整理及び総合部会の今後の審議の進め方についての説明及び討

  議がなされた。                                                                

                                                                                

<主な意見>                                                                    

(1)デリバティブ特別部会公表文について                                            

  ○個別株オプションのような新商品導入に当たっては、マーケットに需要があるかどうかが

    重要。証券業者ではなく、個人を含め、投資家サイドから強いディマンドがあるのか。  

                                                                                    

(2)総合部会・論点整理について                                                    

  ○従来様々に指摘されていた問題点が幅広く公平に整理されており、高く評価したい。    

  ○今までのお役所文書より進んでおり、読みやすく評価できる。                        

  ○目指すべき全体像をはっきりさせた上で、その手順、スケジュールを明確にし、重点序列

    をつけて早急に実施することが肝要。有取税の廃止、MTNの導入、自己株取得・保有の

    自由化によるストック・オプション制度の拡充、投信販売チャネルの多様化など、早急に

    実施する手順が大事。                                                            

  ○できるものからやるべきであるが、総合的な市場改革論議を期待したい。              

  ○イギリスのビッグバンもそうだが、蛮勇を持って、一時に大きなことをドンとやることが

    大事。                                                                          

  ○市場の最終的受益者は国民であると唄っているので、この観点を強く打ち出していただき

    たい。                                                                          

  ○空洞化が起こっていることに鑑み、グローバル・スタンダードで、世界が既に行っている

    ということを念頭に置いていただきたい。                                          

  ○法改正の遅れが改革の進展を遅らせることを懸念。例えば、自己株式の買入消却について

    平成6年の商法改正によって可能となったが、税法の改正が伴わず、実務上は実行不可能

    であった。民商法については、学問的な議論に時間を要し、法律は時代の変化に全く対応

    していない。今回の改革に関連する法改正については、迅速な対応を強く要望したい。  

  ○個人投資家にも言及しており、評価できる。特に、高齢化社会における資産運用という点

    にも言及されており、このあたりで新しい方向へ乗り出してくれることを期待する。    

  ○自己責任原則は重要であるが、そのためにはリスクの周知徹底と魅力の周知徹底が必要。

    また、従来は投資家への「適合性原則」という点が抜けていた。自己責任原則のみが一人

    歩きしない基盤整備、特に個人投資家周辺の基盤整備をしっかり配慮していただきたい。

  ○「投資家の民事的救済」に関し、「監視・処分及び紛争処理体制の充実」がわずかしか触

    れられていない。「証取審は大口投資家の利益・利便しか念頭にない」と批判されないよ

    う、この面の検討を十分行う必要がある。                                          

  ○全体としてよく整理されている。投資家の視点が明確に出されている。一方、発行者の視

    点も明確に入れてほしい。社債等は発行市場の整備が行われたが、株式市場は事実上機能

    停止したまま動いていない。                                                      

  ○アメリカではmarket corporate control(株式市場を通しての企業活性化)の考え方があ

    り、M&Aなどが盛ん。日本では持合いがあるために、このようなことが機能していない

    企業のリストラの観点からも必要であり、もう少し掘り下げて議論していただきたい。  

  ○持合いは重要なポイント。日米間でも、貿易のインバランスの問題より投資のインバラン

    スの問題の方が大きな問題となろう。(対外直接投資が)日本からアメリカには13行き

    アメリカから日本には1しか来ていないというインバランスは空洞化の原因にもなってい

    る。その観点からも持合いの指摘は意味がある。                                    

  ○発行者、投資家とも、多様な証券の発行ニーズが出てこよう。証取法は投資者保護の観点

    から網をかけているが、従来の証券の範囲に入らない商品が出てきた場合、やはり証取法

    の網をかけた方が、投資家・発行者の観点から望ましい。有価証券の定義を広げる検討が

    必要。                                                                      

  ○商品の新しいものに網をかけるのも良いが、予防的なものからの脱却という面もある。何

    でも行政のスクリーンを経なければ物事が運ばないという原則禁止型の体制からは抜け出

    す必要がある。自己責任原則の強調は必要。                                        

                                                                                    

                                                                                

                                                                                

                                                                                

                          +−−−−−−問い合わせ先−−−−−−−−−−−−−+

                          |大蔵省証券局総務課調査室      森田、小桐間        |  

                          |TEL 3581-4111    (内線  5434)                     |  

                          |本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。|

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