1.日時 :平成8年11月13日(水) 10時00分〜12時00分 2.場所 :合同庁舎四号館 第一特別会議室 3.議題 :これまでの審議等(一般討議) 4.議事内容 今回の会合は、これまでの審議等のまとめに向けた一般討議が行なわれた。 なお、これまで9回の審議において、これまで主として審議を行ってきた我が国市場 の現状と問題点、改革の目標、改革の基本方針等については、かなり共通認識ができて いるとの認識から、今後はこれの取りまとめの段階に入ることとされ、次回には、これ までの審議をとりまとめた論点整理等を用意して一般討議を行うこととされた。 一般討議における具体的な意見は以下の通り。 ○総合部会の審議は、金融資本市場という全体感をもって議論すべき。 ○総論的問題として、証取審で自己完結できる問題とできない問題があるが、総理の網が かかったことで、全体像をうまく進める枠組みができた。 ○証券市場一般で議論されてきたが、株式市場、公社債市場、証券業経営のあり方と区分 した方が良い。個人投資家にとって魅力ある市場と、グローバルな目で見て東京キャピ タルマーケットが魅力あるかどうかはレベルが違う問題ではないか。 ○規制緩和の目的は、競争の導入と国民に対しての選択肢の拡大であり、その結果として 国民経済の発展がある。競争の促進のための規制は、必要なものと不必要なものとを明 確にすべき。 ○環境変化はすごいスピードで進んでおり、証券市場としても迅速かつしなやかに対応を 取る必要がある。透明性を確保しつつ弾力的、迅速に対応できるしくみを作っていくこ とも必要。 ○一般投資家に対する対応の仕方として、個人の適合性の原則を考える必要がある。また これを業者に義務づけ、違反者に対し行政罰・刑事罰のみならず、民事上の手当てがで きるよう、法制等の整備が必要。機関投資家に対する対応として、中身が明確である受 託者責任を課すべき。その上で、ホールセール部分は、原則自由とし、市場規律に委ね るべき。 ○適合性原則は個人投資家にとって最も重要なものであり、現行法でも定められているが これに違反したとしても、直ぐに民事責任となるかどうかは微妙である。むしろ、自主 規制機関による合理的紛争解決手段を設け、グレーな部分については証券業協会や監督 官庁の処分に委ねたほうがよい。 ○プロの投資家とアマの投資家ではその性格の違いより、対応の仕方が変わってくるが、 これはアマの排除の論理ではない。 ○投資家の保護があまり強くでると、そこにモラル・ハザードが生じるおそれがある。ま た、自己責任というものはあらゆる経済主体にかかってくるものであり、その点を無視 するとマーケットにおけるフェアなバリューの形成において問題が生じる。そして、こ の枠組み上に、個人投資家の保護として、アナリスト機能の充実、適合性原則にかかる 市場慣行、仲介業者の破綻に伴うリスクからの遮断による顧客資産の保護、という点を 別途手当てするというアプローチが重要。 ○プロの投資家とアマの投資家を法律上区別できるかは疑問。市場サイドから見れば、投 資家保護とは、自己責任が貫徹するための仕組みがしっかりできていることが基本。そ してその柱は、(1)投資対象のディスクロージャーが充実・徹底している、(2)市場の ルールが公正・透明であること、(3)証券会社の勧誘の適正、適合性原則、の3点であ る。 ○市場メカニズムにおいて、フェア・バリューが重要。その達成のためにも、市場参加者 がレベル・プレイング・フィールドで参加できることが必要。 ○自由化、国際化の中身は、創意工夫して競争できる環境の整備である。具体例として、 デリバティブの自由化や証券総合口座を認めること、さらに市場集中義務及び有取税の 撤廃がある。特に有取税に関しては、取引業者より税を徴収するという発想は我が国独 特のものであり、市場の発展のためにはこの点を見直す必要がある。 ○株式市場にとって最も重要なファクターは、公正な価格形成と流動性であり、そのため にも不特定多数の個人投資家の市場への参入が必要。 ○個人投資家の不信感は証券業者の勧誘の仕方に問題があったことも事実。個人投資家に も使いやすい紛争処理機構を作ることが重要。企業も一般投資家を意識した経営をして いない。 ○個人投資家の投信等の間接的な投資と市場への直接的な投資の双方が政策上必要である が、間接的な投資の場合、機関投資家を通すことより、大量売買が可能な大型資本への 投資に限定されてしまう。よって、ベンチャーへの投資や価格に対する影響に鑑み、個 人による直接投資が重要である。 ○専門家の役割は今後ますます重要となる。それに伴い、機関投資家や証券会社には専門 家責任を負わすべき。また、公認会計士やアナリストの地位や責任を高めるべき。 ○業者の倫理観が維持されるようサポートするシステムを強化する方が良い。具体的には アナリストの充実だけでは十分でなく、証券会社・銀行に属さないアナリスト、英米の financial planner のような独立したアドバイザーが、証券会社・銀行に属するアドバ イザーと競合できるシステムを構築すべき。 ○個人持株比率が低い理由は、配当利回りが低いこと。配当利回りが低いのは、企業の収 益率が低く、株価が高いため。フェアバリューは個人投資家が投資可能な株価になって いるかどうかが重要。 +−−−−−−−−問い合わせ先−−−−−−−−−−−+ |大蔵省証券局総務課調査室 森田、小桐間 | |TEL 3581-4111 (内線 5434) | |本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+