第2回公正取引部会議事要旨




                                                                                

1.  日  時  :平成9年9月29日(月)  14時30分〜16時00分                  

                                                                                

2.  場  所  :合同庁舎4号館4階  大蔵省第2特別会議室                          

                                                                                

3.  議  題  :臨時国会提出予定法案等について                                    

                                                                                

4.  議事内容:                                                                  

    事務局及び自主規制機関である日本証券業協会から、証券不祥事を巡る最近の動きと

  対応等について報告が行われた。これに対し、以下のような意見が出された。        

                                                                                

  ○  今般の会員証券会社による不祥事は社会的影響の非常に大きいものであり、証券市

    場に対する不信感を引き起こした。こうした不祥事が繰り返されることがないよう、

    今後、自主規制団体の会員規律の一層の強化、過怠金の上限の引き上げ等を図ること

    が必要なのではないか。                                                      

                                                                                

  ○  今度の法改正の内容は概ね妥当であると思う。法定刑の引き上げ幅に関して、イン

    サイダー取引については大幅引き上げになるが、それも結論としては妥当であると考

    えている。ただ、この点については、最初、これを犯罪としたときに、上限を6か月

    以下の懲役、50万円以下の罰金と低く定めていた理由として、今まで犯罪でなかっ

    たものをはじめて犯罪にしたという理由の他に、犯罪構成要件がいわゆる形式犯的で

    あるということが挙げられると思う。今回の法的刑の引き上げは結論としては妥当で

    あるが、将来的に構成要件の定め方をより明確で適用が容易なものにしていく必要が

    あるのではないか。                                                          

  ○  これまでのインサイダー取引の摘発の事例を見ると、形式的に構成要件に該当する

    というだけでなく、実質的にインサイダー取引としての不正が行われているものなの

    で、実際問題として、摘発されている事例を見れば、3年という厳しい罰則が必要な

    のではないかと考えられる。                                                  

  ○  損失補填については、証取法上、利益の没収規定があるが、インサイダー取引につ

    いては規定がないことをどう考えるべきか。                                    

                                                                                

  ○  検査にあたっての報告徴求において、報告に虚偽があれば2億円の罰金ということ

    になるようであるが、これは憲法で禁止されている自白の強要にあたるおそれはない

    のか。                                                                      

  ○  検査に対する虚偽報告については、新設される金融監督庁では、不正をしているか

    していないかといった単純な質問の形式を取らず、具体的な事実関係等を念頭に置い

    て検査が行われるのではないか。                                              

                                                                                

  ○  現実問題として、罰則の適用があっても取引先が取引をやめるということは考えに

    くいし、違法行為を行った証券会社のほうも罰金は簡単に払えてしまう。公の存在で

    ある証券会社、銀行が違法行為を行うことはとんでもないことだという認識を広める

    必要がある。                                                                

  ○  罰則が強化されたが、これは法人についていえば、簡単に払える額であり、十分で

    あるとはいえないと思う。しかし、株主代表訴訟とも関連して、個人にかかってくる

    なら、これは非常に強い抑止力になると思う。                                  

  ○  各国の制度を見ると、行政処分と罰則についてはそれぞれ考え方が違うようである

    アメリカの制度では日本のような制度にプラスして、民事制裁金がある。もちろん、

    行政処分により業務停止もできるが、基本的には罰金がメインとなっている。この点

    については十分考えていく必要があるのではないか。                            

  ○  法令違反をしたとき顧客からどのように対処されるかは、各国により異なっている

    今回の不祥事では、海外の投資家は投資収益を第一に考え、捜査の段階ですぐに取引

    を止めるということはしなかった。一方、国内の投資家はすぐに取引を停止するとこ

    ろが多かった。この点でも海外と国内の投資家では考え方が違っているといえる。  

                                                                                

  ○  金融機関と、金融機関を脅迫する者との刑罰が同列に置かれいてよいのか。脅迫し

    た者は、脅迫されて利益を供与した者より重い刑罰が課せられるべきだと思う。    

  ○  利益供与は株主総会を穏便に済まそうとする会社側の安易な気持ちから始まってい

    るのであり、出す方よりたかる方により重い刑を課すべきという考え方を、必ずしも

    とる必要はない。                                                            

  ○  利益を供与した段階ではなく、要求した段階で抑えてしまうと良いのではないか。

  ○  利益を供与する方ともらう方とどちらがより悪いかというのは難しい問題である。

    商法の考え方では、会社の経営に携わる者が、会社の金で株主権の行使に影響を与え

    ることは悪いことである、というところから始まっており、まず、出すほうが悪いと

    いう考え方があった。それに加えて、もらう方も悪いという考え方がされるようになっ

    た。特に、ある総会屋を抑えるために別の総会屋を使うという事例では、出す方とも

    らう方のどちらがより悪いとは一概には言えない。                              

  ○  今回の事件から総会屋がかなり儲けているのが分かったので、総会屋に関する届出

    をしやすくし、また、通報義務を課そうという考え方がされている。総会屋が要求し

    た段階で未遂形態として捕らえられれば、企業の方も要求があった段階で届出をすれ

    ば被害者となるだけで刑罰は課せられない。                                    

                                                                                

  ○  証取法158条の機能の見直しも必要である。158条は暴行・脅迫をする者に関

    する規制を定めているが、暴力団絡みの犯罪が多い事実をみると、刑法犯にならない

    ものを規制するものとして、この158条を機能させることも必要である。

 

問い合わせ先

大蔵省証券局調査室  森田、御厩

TEL03(3581)4111  内線2709

本議事要旨は暫定版であるため今後修正があり得ます。