II.証券投資信託制度等の改革

1.商品の多様化

 (1)私募投資信託の導入                                                                                                                

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

┠───────┼──────────────────┼───────────────────────┼──────────────┨

┃(1)私募投資信託│[証取審総合部会報告(抜粋)]      │(1)私募投資信託の法的位置づけ                  │                            ┃

┃  の法的位置づ│・投資信託の利便性を高め、商品の多様│i)証券投資信託の定義                        │○  投信法第2条(定義)[現┃

┃  け          │化を進めるとの観点からは、私募投資信│・証券投資信託という集合投資のメリットは、受益│  行]                      ┃

┃i)証券投資信│託の導入を行うべき。                │  者が「不特定かつ多数」の場合(現行の証券投資│・証券投資信託とは、─その受┃

┃    託の定義  │・私募投資信託の導入により、投資信託│  信託制度)に限られるものではなく、「特定又は│  益権を分割して不特定かつ多┃

┃              │のより効率的な運用が行い得る仕組みを│  少数」を対象とする場合についてもこうした集合│  数の者に取得させることを目┃

┃              │構築していくべき。                  │  投資のメリットが及ぶようにすべきではないか。│  的とするもの。            ┃

┃              │                                    │  そのためには、証券投資信託法に私募投資信託を│                            ┃

┃              │[投資対象・市場仲介者WP報告書(抜│  位置づける必要があるのではないか。          │                            ┃

┃              │粋)]                              │→  証券投資信託法(以下「投信法」という。)に│                            ┃

┃              │・投資家の多様な資産運用ニーズに応え│  私募投資信託を位置づけるため、証券投資信託の│                            ┃

┃              │ていく観点から、いわゆる私募投資信託│  定義(第2条)を改正してはどうか。          │                            ┃

┃              │をわが国に導入することは意義がある。│                                              │                            ┃

┃ii)私募投資信│・私募投資信託については、受益者に対│ii)私募投資信託の設定                        │                            ┃

┃    託の設定  │する忠実な運用、投資信託としての公正│・私募投資信託を設定する場合であっても、有価証│                            ┃

┃              │取引ルールが適用される必要がある。こ│  券投資に係る運用判断に当たり、専門性が求めら│                            ┃

┃              │のような観点から、私募投資信託を証券│  れること等から、投信法の下で適格性を有する者│                            ┃

┃              │投資信託法に明示的に位置づけ、制度化│  により行われることが適当ではないか。        │                            ┃

┃              │することが適当。                    │→  「証券投資信託委託業への参入・退出等」参照│                            ┃

┃              │・但し、私募投資信託の性格に着目すれ│                                              │                            ┃

┃iii)「私募」概│ば、運用規制やディスクロージャー等の│iii)「私募」概念                              │○  証券取引法上の公募・私募┃

┃    念        │面においては、現行法に基づく各種ルー│・私募投資信託の「私募」概念は、証券取引法の「│  の定義                    ┃

┃              │ルをそのまま適用することまでを求める│  私募」概念を適用してはどうか。              │ (a)「b 以外のもの」        ┃

┃              │必要はない。                        │                                              │    →公募                  ┃

┃              │・また、こうした業務を行うことについ│                                              │ (b-イ)「適格機関投資家以外の┃

┃              │ては、より広く適格性を有する者に認め│                                              │    者に譲渡されるおそれが少┃

┃              │られるべき。                        │                                              │    ないもの」              ┃

┃              │・したがって、現行投資信託制度や関連│                                              │ (b-ロ)「多数の者(50人以上)┃

┃              │法制との関係を踏まえ、私募投資信託固│                                              │    に譲渡されるおそれが少な┃

┃              │有に適用されるべきルールの整備を行う│                                              │    いもの」                ┃

┃              │必要がある。                        │                                              │    →以上、私募            ┃

┃              │                                    │                                              │[参考]                    ┃

┃              │                                    │                                              │・投資一任業務~認可制      ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

                                                                                                                                      

                                                                                                                                      

 (1)私募投資信託の導入(続き)                                                                                                        

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

┠───────┼──────────────────┼───────────────────────┼──────────────┨

┃(2)私募投資信託│                                    │(2)私募投資信託と従来の投資信託(公募投資信託)│                            ┃

┃  と従来の投資│                                    │i)運用規制                                  │                            ┃

┃  信託        │                                    │・私募投資信託と公募投資信託は、委託者による運│                            ┃

┃i)運用規制  │                                    │  用指図等の点は同じであるが、受益者の数が「特│                            ┃

┃              │                                    │  定又は少数」か「不特定かつ多数」かの違いがあ│                            ┃

┃              │                                    │  る。また、私募投資信託は、その商品設計等にお│                            ┃

┃              │                                    │  いて相対的にはオーダーメイド的な性格が強くな│                            ┃

┃              │                                    │  るものであることから、受益者保護のための規制│                            ┃

┃              │                                    │  も異なるものと考えられないか。              │                            ┃

┃              │                                    │→  運用規制(例:流動性の乏しい資産の組入れ)│                            ┃

┃              │                                    │  については、公募投資信託より緩やかなものとし│                            ┃

┃              │                                    │  てはどうか。                                │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃ii)ディスクロ│                                    │ii)ディスクロージャー                        │                            ┃

┃    ージャー  │                                    │・ディスクロージャーについては、証券取引法上の│                            ┃

┃              │                                    │  公募有価証券と私募有価証券の取扱いを適用する│                            ┃

┃              │                                    │  こととしてはどうか。                        │                            ┃

┃              │                                    │→  「信託約款の承認制の見直し」参照          │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃iii)行為規制  │                                    │iii)行為規制                                  │                            ┃

┃              │                                    │・受益者保護の観点から、ファンド運用に係る公正│                            ┃

┃              │                                    │  取引ルール等の行為規制については、公募・私募│                            ┃

┃              │                                    │  で区分しないこととしてはどうか。            │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃(3)他の資産運用│                                    │(3)他の資産運用業との関係                      │○  投信法第3条(証券投資信┃

┃  業との関係  │                                    │・私募投資信託を投信法上位置づける場合の証券投│  託以外の有価証券投資を目的┃

┃              │                                    │  資信託類似行為に係る禁止の範囲については、他│  とする信託の禁止)[現行]┃

┃              │                                    │  の資産運用業との関係も考慮して検討する必要が│・何人も証券投資信託を除くほ┃

┃              │                                    │  あるのではないか。                          │  か、信託財産を主として有価┃

┃              │                                    │                                              │  証券に対する投資として運用┃

┃              │                                    │                                              │  すること─を目的とする信託┃

┃              │                                    │                                              │  契約を締結してはならない。┃

┃              │                                    │                                              │  ただし、信託の受益権を分割┃

┃              │                                    │                                              │  して不特定かつ多数の者に取┃

┃              │                                    │                                              │  得させることを目的としない┃

┃              │                                    │                                              │  ものについては、この限りで┃

┃              │                                    │                                              │  ない。                    ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛



 (2)会社型投資信託の導入                                                                                                              

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

┠───────┼──────────────────┼───────────────────────┼──────────────┨

┃(1)制度の創設  │[証取審総合部会報告(抜粋)]      │(1)制度の創設                                  │                            ┃

┃              │・投資信託の利便性を高め、商品の多様│・会社組織を利用した集合的な証券投資制度を確立│                            ┃

┃              │化を進めるとの観点からは、会社型投資│  するとともに、投資者の権利保護を図ることによ│                            ┃

┃              │信託の導入についても検討を行うべき。│  り、投資者による証券投資を容易にするため、主│                            ┃

┃              │                                    │  として有価証券投資を行うことを目的とした特別│                            ┃

┃              │[投資対象WP報告書(抜粋)]      │  な法人制度を創設することとしてはどうか。    │                            ┃

┃              │・会社型投資信託においては、投資家は│→  新法の制定                                │                            ┃

┃              │株主権を有しており、株主総会(等)と│                                              │                            ┃

┃(2)概要        │いったコーポレートガバナンス(会社運│(2)概要                                        │                            ┃

┃              │営)の枠組みの下での私的自治による投│(a) 「会社」の種類                            │                            ┃

┃              │資家保護が図られるといったメリットが│  ・次のいずれを採るか定款で規定。            │                            ┃

┃              │ある。また、長期的運用にも資すること│    *オープン・エンド型(「株主」の請求に応じ│                            ┃

┃              │が期待される。                      │      「株式」の払戻しを行う。)              │                            ┃

┃              │・会社型投資信託の実現のためには、会│    *クローズド・エンド型(存続する限り「株式│                            ┃

┃              │社型投資信託のための特別の法人制度を│      」の払戻しを行わない。)                │                            ┃

┃              │創設することも検討すべき。投資家によ│(b) 設立                                      │                            ┃

┃              │るガバナンス機能(私的自治)が、円滑│  ・「発起人」による定款(投資方針を含む。)の│                            ┃

┃              │な運営の下で適切に発揮されるような仕│    作成、「株式」の募集、「会社」の設立登記  │                            ┃

┃              │組みを法制的に検討すべき。          │  ・設立に必要な出資金総額、常時保持すべき最低│                            ┃

┃              │・あわせて、投資信託の機能にふさわし│    純資産額を設ける。                        │                            ┃

┃              │い税制が確保されることも必要。      │(c) 営業の登録                                │                            ┃

┃              │                                    │  ・主務大臣への登録(有価証券投資開始の要件)│                            ┃

┃              │                                    │(d) 「株式」                                  │                            ┃

┃              │                                    │  ・無額面式・記名式                          │                            ┃

┃              │                                    │(e) 機関                                      │                            ┃

┃              │                                    │  ・「株主総会」(定款変更、「役員」の選任・解│                            ┃

┃              │                                    │    任、会計監査人の選任・解任、資産運用会社の│                            ┃

┃              │                                    │    選任の承認、合併・解散等について決議)    │                            ┃

┃              │                                    │  ・「役員」(代表取締役の機能を持つ者と、資産│                            ┃

┃              │                                    │    運用会社等と利害関係を有しない者から選任さ│                            ┃

┃              │                                    │    れ、取締役と監査役の役割を兼ね備えた機能を│                            ┃

┃              │                                    │    持つ者を設置)                            │                            ┃

┃              │                                    │  ・「役員会」(「会社」の重要な業務を決定し、│                            ┃

┃              │                                    │    代表取締役の機能を持つ者の職務執行を監督)│                            ┃

┃              │                                    │(f) 会計監査                                  │                            ┃

┃              │                                    │  ・会計監査人による会計書類の監査            │                            ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

                                                                                                                                      

 (2)会社型投資信託の導入(続き)                                                                                                      

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

┠───────┼──────────────────┼───────────────────────┼──────────────┨

┃              │                                    │(g) 「株式」の新規発行                        │                            ┃

┃              │                                    │(h) 「株式」の払戻し(オープンエンド型)      │                            ┃

┃              │                                    │(i) 計算                                      │                            ┃

┃              │                                    │  ・保有有価証券等の時価評価                  │                            ┃

┃              │                                    │  ・会計監査人による監査を受けた計算書類の「役│                            ┃

┃              │                                    │    員会」による承認                          │                            ┃

┃              │                                    │  ・計算書類の「株主」への送付                │                            ┃

┃              │                                    │(j) 金銭の分配                                │                            ┃

┃              │                                    │  ・「役員会」の決議により、定款に定めた方針に│                            ┃

┃              │                                    │    従って分配                                │                            ┃

┃              │                                    │(k) 解散、合併等                              │                            ┃

┃              │                                    │(l) 業務の範囲及び「会社」の業務を遂行するため│                            ┃

┃              │                                    │    に必要とする機構                          │                            ┃

┃              │                                    │  ・資産運用会社、保管会社                    │                            ┃

┃              │                                    │(m) 監督、証券取引法上のディスクロージャー  等│                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃(3)発起人      │                                    │(3)発起人                                      │                            ┃

┃              │                                    │・「会社」を設立(投資方針等を定めた定款を作成│┐                          ┃

┃              │                                    │  し、資金を集めてファンドを設定)し得る者とし││                          ┃

┃              │                                    │  てどのような者が適当か。                    ││                          ┃

┃              │                                    │                                              ││                          ┃

┃(4)資産運用会社│                                    │(4)資産運用会社                                ││具体的には法律又は政令で規┃

┃              │                                    │・資産運用会社については、その担い手としてはど│├定してはどうか。          ┃

┃              │                                    │  のような者が適当か。                        ││                          ┃

┃              │                                    │                                              ││                          ┃

┃(5)保管会社    │                                    │(5)保管会社                                    ││                          ┃

┃              │                                    │・保管会社については、その担い手としてはどのよ││                          ┃

┃              │                                    │  うな者が適当か。                            │┘                          ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

[続きがあります]