4.競争の促進

 (1)証券投資信託委託業への参入・退出等

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┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

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┃(1)参入・退出  │[証取審総合部会報告(抜粋)]      │(1)参入・退出                                  │                            ┃

┃i)認可制    │・資産運用業においても、競争を一層促│i)認可制                                    │○  投信法○条(認可基準)[┃

┃              │進しつつ必要な投資家保護を担保する観│・参入時における適格性の確保の観点からは、資産│  イメージ]                ┃

┃              │点からは、証券会社に対する参入規制改│  運用業者の専門性に鑑み、証券業における引受業│・以下の要件を満たす株式会社┃

┃              │革の考え方も踏まえれば、業務の専門性│  務と同様に委託業を認可制としてはどうか。    │  及び外資系支店            ┃

┃              │が要請されている資産運用業者である投│  (注)投資顧問業法上、投資一任業務は認可。  │ (a)財産的基盤              ┃

┃              │資信託委託業の参入規制についても、認│                                              │  ・収支見込み、資本金      ┃

┃ii)設立母体概│可制とすることを検討すべき。        │ii)設立母体概念等の廃止                      │ (b)人的要件                ┃

┃    念等の廃止│                                    │・委託業への参入に当たっては、運用能力が重要で│  ・経営、業務執行体制(ファ┃

┃              │[市場仲介者WP報告書(抜粋)]    │  あることから、設立母体概念及び実績要件は廃止│    ンド・マネージャーの数)┃

┃              │・資産運用会社の参入規制のあり方につ│  し、資本金等の財産的基礎及び人的要件を満たす│                            ┃

┃              │いても、競争を一層促進しつつ、必要な│  者が参入することを可能としてはどうか。また、│○  投信法7条(免許基準)[┃

┃              │投資者保護を図るための適格性を確保す│  いわゆる「経済条項」は廃止してはどうか。    │  現行]                    ┃

┃              │る観点から、見直しを行う。          │・財産的基礎のうち、資本金については、設立当初│・免許申請者の営もうとする業┃

┃              │・委託会社の免許制等を維持すべきかど│  のランニングコストを賄えるものとして必要な額│  務が、証券投資信託及び証券┃

┃              │うかについては、証券会社に係る参入規│  を設定することとしてはどうか。              │  市場の状況に照らし、必要か┃

┃              │制についての議論も踏まえ検討されるべ│                                              │  つ適当なものであること。  ┃

┃iii)投資一任業│き。                                │iii)投資一任業への参入                        │                            ┃

┃    への参入  │・資産運用会社の適格性としては、運用│・併せて、助言業者が一任の認可を取得する際の実│                            ┃

┃              │能力が重要。また、投資家の資産に重大│  績要件も廃止してはどうか。                  │○  左における(a) のイメージ┃

┃              │な影響を与える可能性のある業務である│                                              │┌─┬──┬─────┬─┐┃

┃iv)委託業の位│こと等を十分に踏まえる必要があり、一│iv)委託業の位置づけ                          ││種│委の│基本の変更│退│┃

┃    置づけ    │定の人的・財務的要件を満たすことが諸│・上記の場合、公募投資信託を取り扱う委託業と私││  │託参├─┬─┬─┤  │┃

┃              │外国においても基本。                │  募投資信託を取り扱う委託業を制度的に分ける必││  │業入│業│資│商│  │┃

┃              │・例えば、財務・経営の健全性が確保さ│  要があるかという問題がある。委託業への参入、││類│へ  │方│本│号│出│┃

┃              │れていること、業務の遂行にあたって受│  継続的監督及び退出に当たって、公募委託業と私│├─┼──┼─┼─┼─┼─┤┃

┃              │益者本位の運用が確保されていることな│  募委託業を分けるべきとする考え方と分ける必要││公│一認│認│認│認│認│┃

┃              │どが求められる。                    │  はないとする考え方のどちらを採るべきか。    ││募│種可│可│届│可│可│┃

┃(a) 公募委託業│・このような適格性の審査が競争制限的│(a) 公募委託業と私募委託業を分ける考え方      │├─┼──┼─┼─┼─┼─┤┃

┃    と私募委託│とならないような参入の仕組みとすべき│    投信法上保護されるべき受益者数に格段の差が││私│二認│認│届│届│届│┃

┃    業を分ける│。                                  │  生じ得るものであり、こうした受益者に対する信││募│種可│可│出│出│出│┃

┃    考え方    │・同時に、資産運用業務の適正な運営が│  託財産の適正な運用管理という点では、私募投資│└─┴──┴─┴─┴─┴─┘┃

┃              │確保されるためのルールや事後的な監督│  信託に比し公募投資信託は負担が大きく、その意│(注1)「業方」は業務の方法。┃

┃              │について、整備・充実する方向で検討す│  味では、より高い基準の適格性が求められる。し│(注2)公募の資本の額の変更は┃

┃              │ることが必要。                      │  たがって、公募投資信託と私募投資信託を扱い得│    増資は届出、減資は認可。┃

┃              │・証券投資信託法に定める委託会社の参│  る業者を区分(第一種と第二種)し、それぞれに│                            ┃

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 (1)証券投資信託委託業への参入・退出等(続き)                                                                                        

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┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

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┃              │入規制におけるいわゆる「経済条項」に│  ついて適格性をチェックするための認可基準、継│○  左における(b) のイメージ┃

┃              │ついては、廃止することが適当。      │  続的監督の方法及び退出を定めることとしてはど│┌─┬──┬─────┬─┐┃

┃              │・また、委託会社の参入の際の具体的な│  うか。                                      ││  │委の│基本の変更│退│┃

┃              │基準におけるいわゆる設立母体概念につ│                                              ││  │託参├─┬─┬─┤  │┃

┃(b) 公募委託業│いては、資産運用分野における専門制等│(b) 公募委託業と私募委託業を分けない考え方    ││  │業入│業│資│商│  │┃

┃    と私募委託│を確保する観点から、これに代わる明確│    委託業として求められる開業時の適格性及び継││  │へ  │方│本│号│出│┃

┃    業を分けな│な基準を設けるべく、その見直しを行う│  続的監督の方法は、公募委託業か私募委託業かに│├─┼──┼─┼─┼─┼─┤┃

┃    い考え方  │ことが適当。                        │  よって明確に異なる基準を設ける必要性は低い。││委│認  │認│認│届│届│┃

┃              │                                    │  加えて、退出についても電力業等のように供給義││託│可  │可│届│出│出│┃

┃              │                                    │  務がなく、かつ顧客の資産を預かっていないこと│└─┴──┴─┴─┴─┴─┘┃

┃              │                                    │  から、委託業の退出は届出とすることが考えられ│(注1)「業方」は業務の方法。┃

┃              │                                    │  る。したがって、公募投資信託も私募投資信託も│(注2)資本の額の変更は増資は┃

┃              │                                    │  扱い得る業者として委託業者を位置づけてはどう│    届出、減資は認可。      ┃

┃              │                                    │  か。                                        │                            ┃

┃              │                                    │                                              │(参考)                    ┃

┃(2)標識の掲示(│                                    │(2)標識の掲示(商号)                          │○  投資顧問業法11条(標識┃

┃  商号)      │                                    │・現行では、委託会社の商号について、通達により│  の掲示)                  ┃

┃              │                                    │  一定の規制を行っているが、投資一任業との併営│・投資顧問業者は、営業所ごと┃

┃              │                                    │  や「アセット・マネジメント」等の商号使用の広│  に、公衆の見やすい場所に、┃

┃              │                                    │  まり等の状況からは、商号に一定の用語の使用義│  省令で定める様式の標識を掲┃

┃              │                                    │  務を求めることは適当ではないのではないか。  │  示しなければならない。    ┃

┃              │                                    │・投資家保護上の観点から、委託業者の営業所に一│・投資顧問業者以外の者は、前┃

┃              │                                    │  定の様式の標識を義務付け、委託業者以外の「類│  項の標識又はこれに類似する┃

┃              │                                    │  似標識の禁止」の規定を設けてはどうか。      │  標識を掲示してはいけない。┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃(3)外国業者の参│                                    │(3)外国業者の参入                              │(参考)                    ┃

┃  入          │                                    │・現行投信法上は、委託会社は「株式会社」でなけ│○  投資顧問業法24条(認可┃

┃              │                                    │  ればならないとされていることから、外国業者に│  )                        ┃

┃              │                                    │  ついても、株式会社形態のみでの参入が求められ│・認可を受けようとする者は、┃

┃              │                                    │  ている。しかし、投資一任業、証券業等について│  株式会社(外国の法令に準拠┃

┃              │                                    │  はこうした要件はなく、投資一任業者との併営を│  して設立された法人について┃

┃              │                                    │  行い得る状況では、株式会社形態のみとすること│  は、株式会社と同種類の法人┃

┃              │                                    │  は適当でないことから、ltd,inc等の形態│  で国内に営業所を有するもの┃

┃              │                                    │  を認め外資系支店形態での参入を可能としてはど│  )でなければならない。    ┃

┃              │                                    │  うか。                                      │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

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5.投資家への適正な開示

 (1)信託約款の承認制の見直し                                                                                            

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

┠───────┼──────────────────┼───────────────────────┼──────────────┨

┃(1)投資家への開│[投資対象・市場仲介者WP報告書(抜│(1)投資家への開示の在り方                      │                            ┃

┃  示の在り方  │粋)]                              │i)証券取引法のディスクロージャー等          │○  ディスクロージャーの導入┃

┃i)証券取引法│・証券投資信託約款の承認制度について│・行政による事前予防的監督の観点による信託約款│  (証券取引法)[現行]    ┃

┃    のディスク│は、投資家に対するディスクロージャー│  の承認制(証券取引法のディスクロージャーの適│・有価証券届出書及び有価証券┃

┃    ロージャー│を一層徹底する等、所要の制度の整備を│  用除外)から、投資家への十分な開示を前提とし│  報告書の提出、監査証明等  ┃

┃    等        │行った上で、届出制等に移行することが│  た委託業者の創意工夫による適時な商品設計を行│→証券取引法上の公募・私募に┃

┃              │適当。                              │  い得る制度に転換してはどうか。              │  対する開示規制の適用の違い┃

┃              │                                    │    なお、外国投資信託、会社型投資信託とも平仄│  から、公募有価証券と私募有┃

┃              │                                    │  のとれた制度とする必要があるのではないか。  │  価証券信託では異なる扱いと┃

┃              │                                    │→  信託約款の承認制を廃止した上で、証券取引法│  なる。                    ┃

┃              │                                    │  のディスクロージャーの適用を行うこととしては│                            ┃

┃              │                                    │  どうか。あるいは、信託約款の承認制の代わりと│                            ┃

┃              │                                    │  して、証券投資信託協会による審査の導入等は考│                            ┃

┃              │                                    │  えられないか。                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃ii)公認会計士│                                    │ii)公認会計士の監査                          │                            ┃

┃    の監査    │                                    │・証券取引法のディスクロージャーを適用すること│                            ┃

┃              │                                    │  とした場合には、信託財産について、ディスクロ│                            ┃

┃              │                                    │  ージャーの透明性の確保を図るため、公認会計士│                            ┃

┃              │                                    │  による監査を受けなければならないこととなる。│                            ┃

┃              │                                    │→  公認会計士の監査上の基準作成・体制整備等の│                            ┃

┃              │                                    │  問題もあることから、十分な経過措置を設けるこ│                            ┃

┃              │                                    │  ととなるのではないか。                      │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃(2)運用報告書の│                                    │(2)運用報告書の作成等                          │                            ┃

┃  作成等      │                                    │i)運用報告書の作成・交付義務                │○  運用報告書の作成等[イメ┃

┃i)運用報告書│                                    │・受益者の保護を図る観点から、受益者に対して、│  ージ]                    ┃

┃    の作成・交│                                    │  運用報告書の作成・交付を義務づけてはどうか。│・運用報告書の作成、交付義務┃

┃    付義務    │                                    │                                              │・信託約款(変更、解約を含む┃

┃ii)信託約款の│                                    │ii)信託約款の届出等                          │  )の事前届出              ┃

┃    届出等    │                                    │・委託業者の監督上必要な情報を採り得る仕組みと│・著しく受益者保護に欠ける場┃

┃              │                                    │  し、投資家被害が発生し得ることが明らかに予想│  合等の内閣総理大臣による販┃

┃              │                                    │  される場合や現に発生している場合に、受益者保│  売差止命令                ┃

┃              │                                    │  護の方策を採り得る仕組みとしてはどうか。    │                            ┃

┃              │                                    │→  信託約款の事前届出制及び一定の場合に販売差│                            ┃

┃              │                                    │  止を行い得ることとしてはどうか。            │                            ┃

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 (2)外国投資信託の国内販売                                                                                                            

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┃  項    目    │    証取審総合部会報告(9年6月13日)    │  証券投資信託制度等の改革に当たっての考え方  │        備        考        ┃

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┃(1)外国投資信託│                                    │(1)外国投資信託の国内販売の法制化              │○  外国投資信託の国内での販┃

┃  の国内販売の│                                    │i)現行の外国投資信託に対する規制            │  売に係る規制[現行]      ┃

┃  法制化      │                                    │・外国投資信託の国内販売については、証券取引法│(公募の外国投資信託)      ┃

┃i)現行の外国│                                    │  上のディスクロージャーの適用のほか、従来国内│・外貨建てで、円資産の組入れ┃

┃    投資信託に│                                    │  投資信託の形骸化防止等の観点から、公募の外国│  50%以下                ┃

┃    対する規制│                                    │  投資信託について円資産の組入れを50%以下と│・わが国証券取引法上の有価証┃

┃              │                                    │  する等の規制が行われてきた。                │  券に50%以上運用        ┃

┃              │                                    │                                              │・当初募集額の1/6以上は海┃

┃ii)外国投資信│                                    │ii)外国投資信託の取扱い                      │  外で募集                  ┃

┃    託の取扱い│                                    │・今後は、外国投資信託を投信法に位置づけ、販売│(私募の外国投資信託)      ┃

┃              │                                    │  しようとする外国投資信託について、投信法上の│・私募の外国投資信託は2名以┃

┃              │                                    │  国内投資信託に係る届出、販売の差止め命令等と│  上                        ┃

┃              │                                    │  同様の規制とすることで投資家保護を図ってはど│                            ┃

┃              │                                    │  うか。                                      │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃iii)現行の規制│                                    │iii)現行の規制の取扱い                        │                            ┃

┃    の取扱い  │                                    │・現行の規制は、今回の法改正により国内の委託業│                            ┃

┃              │                                    │  への参入が容易になること、外為法が改正され内│                            ┃

┃              │                                    │  外の資金移動が自由化されたこと等を踏まえ、廃│                            ┃

┃              │                                    │  止してはどうか。                            │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

┃              │                                    │                                              │                            ┃

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[続きがあります]