V.新株発行の弾力化

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│  項  目  │証取審報告書(平成9年6月13日)抜粋│                措置に当たっての考え方                  │     備    考     │
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│新株発行の│○  公告方法の弾力化                  │○  これまでのところ、発行予定株数及び払込期日について、│                  │
│弾力化    │  発行予定株数及び払込期日について合理│  幅のある取締役会決議(商法第280条の2)及び公告(商法第280│                  │
│          │的な範囲内で幅のある記載をすることによ│  条の3の2)を行うことは、既存株主の権利を害するおそれが │                  │
│          │り発行までの期間を実質的に短縮し、市場│  あるため認められない、との考え方がとられてきた。      │                  │
│          │環境の変化に応じたより機動的な株式発行│                                                        │                  │
│          │を実現することができると考えられる。  │○  しかしながら、発行予定株数については、定款で授権され│                  │
│          │                                      │  た株数の範囲内での発行は取締役会に委ねられており(商法 │                  │
│          │                                      │  第166条、第280条の2)、その範囲内で幅をもった発行予定株│                  │
│          │                                      │  数を公告したとしても、既存株主は不確定ながら受け得る不│                  │
│          │                                      │  利益の最大値を知りうることとなるので、既存株主の権利を│                  │
│          │                                      │  害することにはならない、と解釈することも可能である。  │                  │
│          │                                      │    また、払込期日については、不公正な株式発行により既存│                  │
│          │                                      │  の株主が不利益を受けることを避ける観点から認められてい│                  │
│          │                                      │  る株主の新株発行差止請求権(商法第280条の10)の行使を判 │                  │
│          │                                      │  断するための2週間の公告期間(商法第280条の3の2)が確保 │                  │
│          │                                      │  されている限り、幅をもった記載をしたとしても既存株主の│                  │
│          │                                      │  権利を害することにはならない、と解釈することも可能であ│                  │
│          │                                      │  る。                                                  │                  │
│          │                                      │                                                        │                  │
│          │                                      │○  以上の観点から、公告方法の弾力化は証取法の改正をせず│                  │
│          │                                      │  に、商法の解釈によって実現が可能であると考えられ、今  │                  │
│          │                                      │  後、発行予定株数及び払込期日に幅を持たせる際の合理的範│                  │
│          │                                      │  囲について、検討を進める必要がある。                  │                  │
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│  項  目  │証取審報告書(平成9年6月13日)抜粋│                措置に当たっての考え方                  │     備    考     │
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│          │○  オーバーアロットメントの導入      │○  オーバーアロットメントについては、引受証券会社による│                  │
│          │  欧米市場においては、新株の募集直後か│  超過販売分の買い付けが株式発行後の株価安定を図るもので│                  │
│          │ら流通市場における需給関係が悪化するの│  あることから、価格維持のための相場操縦に該当するおそれ│                  │
│          │を防止する観点から、オーバーアロットメ│  があると考えられる。                                  │                  │
│          │ント(注)という手法が用いられているが│                                                        │                  │
│          │ 、今後、我が国においてこのような手法 │○  しかしながら、この点については、証取法に基づく同施行│                  │
│          │を導入することについての法的問題点を早│  令において、安定操作取引をすることができる場合として明│                  │
│          │急に整理していく必要がある。          │  記されている「有価証券の募集または売出しを容易にするた│                  │
│          │(注)引受証券会社が発行株数を超える株│  め」の場合と同様に扱うことにより、相場操縦の例外として│                  │
│          │    数の販売を行い、超過販売分の調達  │  証取法上認められている安定操作取引の一種として整理する│                  │
│          │    は、引受証券会社が募集後の株価の状│  ことも可能ではないかと考えられる。                    │                  │
│          │    況によって、市場から買い付けるか  │                                                        │                  │
│          │    (株価が発行価格を下回っていると  │○  ただし、その場合であっても、具体的にどのような場合で│                  │
│          │    き)、発行会社に追加発行させる(株│  あれば相場操縦の例外として認め得るか等の点について、今│                  │
│          │    価が発行価格を上回っているとき)こ│  後、検討を進める必要がある。                          │                  │
│          │    とによって行う方法をいう。        │                                                        │                  │
│          │                                      │○  なお、発行決議をしたにもかかわらず、追加発行が募集後│                  │
│          │                                      │  の株価に状況によっては発行されないこともあり得る。こう│                  │
│          │                                      │  いった点について商法の考え方を整理しておくことも必要か│                  │
│          │                                      │  。                                                    │                  │
│          │                                      │                                                        │                  │
│          │                                      │                                                        │                  │
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