1.取引所集中義務の撤廃に向けた環境整備

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│  項      目  │ 証取審市場WP報告(9年5月16日) │      証券取引法改正に当たっての考え方      │    備          考    │

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│(1) 総論      │○  我が国において取引所外取引を認│                                            │                      │

│              │  めていくに当たっては、以下のスキ│                                            │                      │

│              │  ームを中心に検討することが適当で│                                            │                      │

│              │  ある。今後、関係者間で実務的な検│                                            │                      │

│              │  討を進め、証券取引法の改正を含め│                                            │                      │

│              │  所要のルール整備を図った上で、で│                                            │                      │

│              │  きるだけ早期に実施に移されるべき│                                            │                      │

│              │  である。なお、法改正に先立ち、投│                                            │・取引所内取引の改善に│

│              │  資家ニーズに対応するため取引所内│                                            │ついては、既に大口売買│

│              │  取引の改善策として実行しうるもの│                                            │取引制度、バスケット売│

│              │  については早急に実施されるべきで│                                            │買取引制度の導入等が図│

│              │  あることはいうまでもない。また、│                                            │られている。          │

│              │  債券等についてはその特性等に応じ│                                            │                      │

│              │  た所要の措置がとられるべきである│                                            │                      │

│              │  。                              │                                            │                      │

│              │  (a)  取引所定款における取引所集中│                                            │                      │

│              │    義務は削除されるべきである。  │                                            │                      │

│              │  (b)  取引所外取引を行う際の取引価│○  取引所外取引を行う際の取引価格に関する値│・取引価格に関する値幅│

│              │    格は、立会時間中については、価│  幅制限等の取引ルールについては、実務的な観│制限、大口取引の水準等│

│              │    格の公正性を確保するため、取引│  点が必要であることから、自主規制機関におい│の取引ルールについては│

│              │    所における当該銘柄の価格の一定│  て定めるのが適当ではないか。              │、東証、日証協を事務局│

│              │    範囲内とする。具体的には、今後│○  取引所会員証券会社のみならず、非会員証券│とした「取引所集中義務│

│              │    の検討課題であるが、……(略)│  会社も取引所外取引を行うことから、取引ルー│撤廃に向けた環境整備の│

│              │                                  │  ルを定めるのは証券取引所ではなく証券業協会│ための研究会」が設けら│

│              │                                  │  が適当ではないか。                        │れ、実務的な検討が行わ│

│              │                                  │                                            │れている。            │

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│(2) 取引態様の│  (c)  取引の公正性・透明性を担保す│○  上場有価証券について取引所外で執行しよう│                      │

│  明示ルール  │    る観点から、証券会社は投資家に│  とする場合に、顧客の属性を踏まえ、次のよう│                      │

│              │    対して、取引態様(取引所内か取│  な規定や取引ルールを定めることにより、投資│                      │

│              │    引所外か等)を説明し、投資家が│  家の自己責任に基づく判断を担保することとし│                      │

│              │    取引所外での執行を明示的に希望│  てはどうか。                              │                      │

│              │    した場合にのみ、取引所外で執行│  イ  証券会社は、顧客が取引所外での執行を希│・取引態様の明示義務(│

│              │    するものとする。              │    望しているかどうかを、顧客の注文の受付け│法第46条)            │

│              │                                  │    時に確認し、顧客が明示的に取引所外での執│                      │

│              │                                  │    行を希望しない限り、取引所内で執行する、│                      │

│              │                                  │  ロ  取引所外取引を行う場合には、顧客にとっ│・取引の概要を説明した│

│              │                                  │    てなじみのない取引であることから、証券会│書面の交付の義務(法第│

│              │                                  │    社は顧客へ十分な説明を行うこととし、当該│47条の2)            │

│              │                                  │    取引を行う場合には取引の概要を説明した書│                      │

│              │                                  │    面の交付を義務づける、                  │                      │

│              │                                  │  ハ  顧客に対し、取引の執行場所(取引所内か│・取引報告書の交付(法│

│              │                                  │    取引所外か)を明らかにする、            │第48条)              │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │                                  │○  その他価格情報、取引の条件等の顧客に対し│・公正慣習規則第9号  │

│              │                                  │  説明を行うべき事項等については、協会の規則│(「投資勧誘規則」)  │

│              │                                  │  で対応することとしてはどうか。            │                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │                                  │○  なお、債券については、既に取引所外取引が│                      │

│              │                                  │  大宗を占めていることを考慮し、対応すること│                      │

│              │                                  │  が適当と考えられるがどうか。              │                      │

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│(3) 取引所外取│  (d)  また、証券会社は、取引所外取│○  報告義務を証券会社に課し、報告内容の公表│・価格、約定数量等の報│

│  引の報告の義│    引の内容(価格、約定数量、時間│  を行うのは、取引ルールと同様に、証券業協会│告の内容や、報告の時期│

│  務づけ及び公│    等)を直ちに自主規制機関に報告│  が適当ではないか。                        │等については研究会で実│

│  表          │    する義務を負う。自主規制機関は│    ただし、証券業協会と証券取引所とは必要な│務的な検討が行われてい│

│              │    、取引内容を原則として直ちに公│  協力を行うことが適当と考えられる。        │る。                  │

│              │    表することとする。なお、報告の│                                            │                      │

│              │    方法及び内容並びに情報の公表方│○  債券については、上述のように取引所外取引│                      │

│              │    法等については、今後、実務的に│  が大宗を占め、価格表示等も業者間で行われて│                      │

│              │    検討を深める必要がある。      │  いることから、証券会社に対し、新たな報告義│                      │

│              │                                  │  務等を課す必要はないと考えられるがどうか。│                      │

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│(4) 取引所外取│  (e)  取引所外取引についても取引所│○  現行の相場操縦等行為の禁止等の規定は、主│・相場操縦等行為の禁止│

│  引に係る公正│    と同様の公正取引ルールを整備す│  として有価証券市場における売買を対象とした│(法第159条)         │

│  取引ルールの│    るとともに、売買停止等の緊急措│  規制となっているため、有価証券市場と有価証│                      │

│  整備        │    置の実効性を確保する等所要の法│  券市場外での売買を通じた相場操縦等行為につ│                      │

│              │    整備を図ることとする。        │  いても規制対象としてはどうか。(詳細は公正│                      │

│              │                                  │  取引部会において検討。)                  │                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │                                  │○  取引所外取引の売買停止等の措置については│・証券業協会は業務の執│

│              │                                  │  取引価格に関する値幅制限等の取引ルールと同│行に関する事項、規則の│

│              │                                  │  様に、証券業協会の規則において定めることで│作成に関する事項を定款│

│              │                                  │  実効性は確保されると考えられるがどうか。  │で定めることとされてい│

│              │                                  │                                            │る。(法第74条)      │

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[続きがあります]