2.取引所市場のあり方の見直し

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│  項      目  │ 証取審市場WP報告(9年5月16日) │      証券取引法改正に当たっての考え方      │    備          考    │

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│(1) 証券取引所│○  証券市場改革に当たって、競争促│○  今後、情報通信処理技術の発達による、新し│・免許要件(法第83条)│

│  の新規参入の│  進は不可欠な要素である。競争は、│  いタイプの取引所の参入も考え得ることから、│                      │

│  促進        │  市場仲介者間のみならず市場間にお│  証券取引所の設立にかかる規定に関し、新規参│                      │

│              │  いても促進される必要がある。    │  入を阻害することのないよう手当てすることが│                      │

│              │                                  │  適当と考えられるのではないか。            │                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │○  取引所が自主性を発揮できるよう│○  免許要件のうち、その地方における証券会社│・経済条項(法第83条第│

│              │  、取引所の参入退出のあり方を含め│  の数、有価証券の取引の状況、上場予定会社の│1項第3号)          │

│              │  、取引所市場の法的枠組についての│  数、その他その地方における経済状況に照らし│                      │

│              │  見直しを行っていく必要がある。  │  審査するといういわゆる経済条項については、│                      │

│              │                                  │  これを削除することとしてはどうか。        │                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │                                  │○  証券取引所の新規設立にかかる手続きが現在│・その他規定することが│

│              │                                  │  法律上明示的に定められていないことから、創│考えられる条項        │

│              │                                  │  立総会の招集手続き、決議事項などについて所│  ・出資の払込時期    │

│              │                                  │  要の規定を整備することとしてはどうか。    │                      │

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│(2) 証券取引所│○  取引所が自主性を発揮できるよう│○  現在は、証券取引所同士が合併しようとして│・不都合な例          │

│  の合併に係る│  、取引所の参入退出のあり方を含め│  も合併に関する規定が設けられていないことか│  ・資産の引継ぎの際、│

│  規定の整備  │  、取引所市場の法的枠組についての│  ら、現状では以下のような措置を講じざるを得│    資産の再評価が必要│

│              │  見直しを行っていく必要がある。  │  ず、不都合な面がある。                    │  ・株式の上場承認とい│

│              │                                  │  イ  合併しようとする各取引所がいったん解散│    う地位の承継が困難│

│              │                                  │    し新たな取引所を設立する、              │  ・先物の建玉の引継ぎ│

│              │                                  │  ロ  一方の取引所が解散し、解散した取引所の│    が困難            │

│              │                                  │    会員が他の取引所に新たに加入する、      │                      │

│              │                                  │    このため、合併の手続き、資産・権利義務等│・その他規定することが│

│              │                                  │  の継承に関する手続きなどについて所要の規定│考えられる条項        │

│              │                                  │  を整備することとしてはどうか。            │  ・合併時の公告      │

│              │                                  │                                            │  ・合併の効果        │

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│(3) 証券取引所│○  証券市場改革に当たって、競争促│○  市場間競争のためには、各証券取引所におい│                      │

│  の業務の制限│  進は不可欠な要素である。競争は、│  て効率的な市場運営が求められるとともに、投│                      │

│  の緩和      │  市場仲介者間のみならず市場間にお│  資者への多様なサービスの提供が図られること│                      │

│              │  いても促進される必要がある。    │  が期待される。このため証券取引所の公共性を│                      │

│              │                                  │  勘案しつつ、取引所が自主性を発揮できるよう│                      │

│              │                                  │  証券取引所の業務に関し種々の規制を行ってい│                      │

│              │                                  │  る規定を見直すことが適当ではないか。      │                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │○  今後、国内の様々な証券市場では│○  証券取引所は営利を目的とせず、有価証券の│・営利目的の禁止(法第│

│              │  、市場参加者の多様なニーズにこた│  売買取引等を行うために必要な市場を開設する│86条第1項)          │

│              │  え、いかに魅力ある取引サービスを│  ことを目的として、その業務を営んでいるが、│・証券取引所(法第2条│

│              │  効率的に提供しうるかについての競│  「その目的を達成するために直接必要な業務」│第11項)              │

│              │  争が支配的とならなければならない│  以外の業務を行うことが禁じられている。    │・業務の制限(法第86条│

│              │  。                              │    しかし、証券取引所がその市場機能をより効│第2項)              │

│              │○  それぞれの市場がそれぞれの機能│  果的・効率的に発揮するためには、市場の開設│                      │

│              │  をより発揮していけるようにする必│  には必ずしも直接必要ではないが、有益な業務│                      │

│              │  要がある。                      │  を行ない得るよう、業務の制限についてはこれ│・例えば証券取引所が、│

│              │                                  │  を削除してはどうか。                      │通常業務として、会員間│

│              │                                  │                                            │の取引の履行確保を目的│

│              │                                  │                                            │として、決済に関して自│

│              │                                  │                                            │らが権利義務を行使する│

│              │                                  │                                            │主体となることなどが考│

│              │                                  │                                            │えられる。            │

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│(4) 市場開設の│○  情報伝達手段が高度に発達した今│○  現在、証券取引所は2以上の有価証券市場を│・市場開設の制限(法第│

│  制限の緩和  │  日においては、むしろ重要なのは価│  開設することを禁じられている。しかし、仮に│87条)                │

│              │  格情報の報告・集中・公表であって│  同一の取引所が物理的に2以上の取引の場を設│                      │

│              │  、取引執行の取引所への集中ではな│  けたとしても、それぞれの価格が瞬時に公表さ│                      │

│              │  い。                            │  れ、投資者が直ちに知り得るような体制が採ら│                      │

│              │                                  │  れるなど価格形成機能を損なわない形で行われ│                      │

│              │                                  │  るような場合には、これを禁止する必要はない│                      │

│              │                                  │  のではないか。                            │                      │

│              │                                  │    投資者等の利便を考慮して、より良い取引所│                      │

│              │                                  │  市場の提供を行う工夫の余地を広げられるよう│                      │

│              │                                  │  、市場開設の制限を削除してはどうか。      │                      │

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│(5) 証券取引所│○  取引・気配情報へのアクセスの改│○  証券取引所の価格情報の公表等に関しては、│・総取引高等の掲示及び│

│  の価格情報等│  善は、取引所等が投資家ニーズを踏│  現在、総取引高等の掲示及び相場表の公表など│相場表の公表(法第122 │

│  の公表等    │  まえ、会員証券会社の合意に基づき│  が定められているが、                      │条)                  │

│              │  自主的かつ積極的に取り組んでいく│  イ  価格情報の速やかな公表が義務づけられて│・大蔵大臣への取引高報│

│              │  べきものである。しかし、取引所集│    いない、                                │告書の提出(法第123条)│

│              │  中義務撤廃後のスキームにおける価│  ロ  気配値が含まれていない、              │                      │

│              │  格情報の報告・集中・公表の重要性│  などの問題があると考えられる。            │                      │

│              │  等にかんがみれば、情報の公共財的│    価格情報の公表等については、システム対応│                      │

│              │  重要性は一層高まるものと考えられ│  が必要である等に留意しつつ、速やかな公表を│                      │

│              │  る。したがって、今後、証券取引法│  義務づけるなど所要の見直しを行うこととして│                      │

│              │  においても、情報提供義務に関する│  はどうか。                                │                      │

│              │  規定を整備する方向で検討を進め、│                                            │                      │

│              │  市場の透明性及び市場参加者の利便│                                            │                      │

│              │  性向上を図ることが適当である。  │                                            │                      │

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│(6) その他    │                                  │○  証券取引所における会員の有価証券の売買取│・会員信認金(法第97条│

│              │                                  │  引等の債務の履行を確保するなどのために、会│第2項、第3項)      │

│              │                                  │  員は取引所に対し会員信認金を預託することが│・会員信認金の運用の制│

│              │                                  │  求められている。                          │限(法第105条)       │

│              │                                  │    この会員信認金の預託については、有価証券│                      │

│              │                                  │  による代用などが認められているが大蔵大臣の│                      │

│              │                                  │  承認が必要とされており、また、取引所が預託│                      │

│              │                                  │  を受けた会員信認金の運用は国債等に限定され│                      │

│              │                                  │  ている。安全性等の確保は重要であるが、より│                      │

│              │                                  │  効率的・機動的な運用を行ない得るよう、所要│                      │

│              │                                  │  の見直しを行うこととしてはどうか。        │                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │                                  │○  現在、証取法においては、証券取引所におい│・「開設する有価証券市│

│              │                                  │  ては物理的な立会により有価証券の売買取引等│場の所在の場所」(法第│

│              │                                  │  が行われることを想定した規定振りとなってい│82条)                │

│              │                                  │  ると考えられる。                          │・「立会の開閉」「立会│

│              │                                  │    しかし、物理的な立会により売買取引等を行│の停止」(法第108条) │

│              │                                  │  うことが証券取引所の要件とも考えられないこ│                      │

│              │                                  │  とから、証券取引所の変革の妨げとならないよ│                      │

│              │                                  │  う、所要の見直しを行うこととしてはどうか。│                      │

│              │                                  │                                            │                      │

│              │                                  │○  この他、証券取引所がその市場機能をより効│・受託取扱場所の制限  │

│              │                                  │  果的・効率的に発揮できるよう、所要の見直し│(法第128条)         │

│              │                                  │  を図ることとしてはどうか。                │                      │

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[続きがあります]