(1) 公正取引ルールの整備

 ○  公正取引ルールについて



                 (a)  証券取引一般に適用される規制 

                 ┌――――――――――――――┐

                 │157条  不正取引行為の禁止│

                 │158条  風説の流布等の禁止│

                 └――――――――――――――┘

                   ┌――――┼――――┐

                   │    │    │

                   │    │    │

      (b) 相場操縦関連規制   ↓    │    │

┌―――――――――――――――――――――┐ │    │

│159条  相場操縦等の禁止・安定操作の規制│ │    │

│160条  相場操縦等による賠償責任        │ │    │

│161条  自己売買・過当数量売買の制限    │ │    ↓  (d) 広義の不実表示禁止規制

│162条  空売り・逆指値注文の禁止        │ │  ┌―――――――――――――――――――┐

└―――――――――――――――――――――┘ │  │168条  虚偽記載文書の作成・頒布禁止│

                        │  │169条  証券記事の制限       │

                        │  │170条  有利買付け等の表示の禁止    │

                        │  │171条  一定の配当等の表示の禁止    │

                        │  └―――――――――――――――――――┘

                        │

                        │

        (c)インサイダー取引関連規制   ↓

            ┌―――――――――――――――――――――┐   

            │163条  会社役員等の売買報告義務        │        

            │164条  会社役員等の短期売買利益返還義務│  

            │165条  会社役員等の空売りの禁止        │      

            │166条  (狭義)インサイダー取引規制    │     

            │167条  公開買付者等関係者の禁止行為    │      

            └―――――――――――――――――――――┘





┌─────────┬──────────────────────┬─────────────────────────────┬──────────────────┐

│    項  目      │          証券取引審議会報告書抜粋          │             証券取引法改正にあたっての考え方             │              備    考              │

├─────────┼──────────────────────┼─────────────────────────────┼──────────────────┤

│                  │[総合部会最終報告書(9年6月13日)抜粋]          │[公正取引ルールの整備の観点から検討すべき項目]          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │  今後、新たな商品やサービスが開発・導入され│I  公正取引ルール全般に係わるものとして                  │                                    │

│                  │取引が高度化・複雑化していく中にあって、投資│┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓│                                    │

│                  │家にとって信頼され得る市場とするための公正取│┃(1)有価証券店頭デリバティブ取引の解禁に伴うもの       ┃│                                    │

│                  │引ルールの整備を進めていくことが極めて重要で│┃(2)取引所集中義務の撤廃に伴うもの                     ┃│                                    │

│                  │ある。                                      │┃(3)有価証券の定義の拡大に伴うもの                     ┃│                                    │

│                  │                                            │┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛│                                    │

│                  │  証券会社の業務範囲の拡大、                │  を検討する必要があるのではないか。                      │                                    │

│                  │  インターネットを始めとする電子取引の利用の│                                                          │                                    │

│                  │拡大、                                      │                                                          │                                    │

│                  │  有価証券関連店頭デリバティブ取引の導入等に│II  個別の公正取引ルールに係わるものとして                │                                    │

│                  │見られる取引形態の多様化                    │┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓│                                    │

│                  │  等に対応し、利益相反行為の防止、相場操縦禁│┃(1)相場操縦禁止規定について                           ┃│                                    │

│                  │止やインサイダー取引禁止等について、関連する│┃    異なる市場(現物市場と先物市場等)をまたがる相場操┃│                                    │

│                  │ルールを拡充・整備していくことが必要である。│┃    縦への適用の明確化                                ┃│                                    │

│                  │                                            │┃                                                      ┃│                                    │

│                  │                                            │┃(2)インサイダー取引規制について                       ┃│                                    │

│                  │                                            │┃  (a)連結ベース中心へのディスクロージャー制度の転換    ┃│                                    │

│                  │                                            │┃    に伴う重要事実の範囲拡大                          ┃│                                    │

│                  │                                            │┃  (b)持株会社の解禁等に伴う会社関係者の範囲拡大        ┃│                                    │

│                  │                                            │┃  (c)インターネット等による不特定の情報受領者に係る問題┃│                                    │

│                  │                                            │┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛│                                    │

│                  │                                            │  を検討する必要があるのではないか。                      │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

└─────────┴──────────────────────┴─────────────────────────────┴──────────────────┘



┌─────────┬──────────────────────┬─────────────────────────────┬──────────────────┐

│    項  目      │          証券取引審議会報告書抜粋          │             証券取引法改正にあたっての考え方             │              備    考              │

├─────────┼──────────────────────┼─────────────────────────────┼──────────────────┤

│I (1)有価証券店頭│[デリバティブ特別部会報告書(9年5月20日)抜粋]  │[改正の方向]                                            │                                    │

│  デリバティブ取引│                                            │                                                          │                                    │

│  の解禁に伴うもの│  ……公正な取引のためのルールについては、店│(a)証券取引一般に適用される規制について、有価証券店頭デリバ│(a)証券取引一般に適用される規制      │

│                  │頭デリバティブ取引についても、その特質に応じ│  ティブ取引を規制対象取引として追加してはどうか。        │  157条(不正取引行為の禁止)    │

│                  │つつ、原則として少なくとも現行証券取引法に定│                                                          │  158条(風説の流布等の禁止)    │

│                  │められた規制と同様の規制が課されるよう所要の│[例]157条1号(証券取引に関スル詐欺的行為の包括的禁止)│                                    │

│                  │整備を図る必要があるが、その中で、特に以下の│                                                          │                                    │

│                  │点については留意を要する。                  │(現行)  有価証券の売買その他の取引─┐                  │                                    │

│                  │                                            │          有価証券指数等先物取引等    ├───不正の手段、│                                    │

│                  │                                            │          有価証券オプション取引等    │につ  計画、技巧を│                                    │

│                  │○相場操縦規制                              │          外国証券先物取引等        ─┘いて  すること    │                                    │

│                  │  現物有価証券の価格、証券取引所でのデリバテ│                    ↑                                    │                                    │

│                  │ィブ取引の価値、店頭デリバティブ取引の価値は│(追加)┌─────┴─────────┐                │                                    │

│                  │相互に密接に関連することから、              │        │有価証券店頭デリバティブ取引等│                │                                    │

│                  │  例えば、店頭オプション取引の一方の取引当事│        └───────────────┘                │                                    │

│                  │者が、当該オプション取引の決済を自己に有利に│                                                          │                                    │

│                  │するために原資産である有価証券の相場を操縦す│                                                          │                                    │

│                  │る、といったように、異なる市場をまたがる相場│                                                          │                                    │

│                  │操縦的行為が行われる可能性がある。          │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │  こうした行為は、現行証券取引法において禁止│(b)相場操縦関連規制のうち、159条2項1号(変動操作)、3│(b)相場操縦関連規制                  │

│                  │されている相場操縦行為と同様に、公正な価格形│  項(安定操作)について、有価証券市場等の相場を変動又は安│  159条(相場操縦等の禁止・安定操│

│                  │成を阻害するものであることから、正当な取引を│  定させるべき「上場有価証券に係る有価証券店頭デリバティブ│            作の規制)              │

│                  │抑制することとならないように充分に留意しつつ│  取引」を規制対象取引として追加してはどうか。            │  160条(相場操縦等による賠償責任)│

│                  │かかる行為を禁止対象とするルールを整備する必│                                                          │  161条(過当数量売買等の制限)  │

│                  │要がある。                                  │[例]上場株式Aの売買を誘引する目的をもって、上場株式Aの│  162条(空売り等の禁止)        │

│                  │                                            │   相場を変動させるべき「上場株式Aに係る有価証券先渡取引」│                                    │

│                  │                                            │   を行う場合を相場操縦規制の対象とする。                 │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

└─────────┴──────────────────────┴─────────────────────────────┴──────────────────┘

┌─────────┬──────────────────────┬─────────────────────────────┬──────────────────┐

│    項  目      │          証券取引審議会報告書抜粋          │             証券取引法改正にあたっての考え方             │              備    考              │

├─────────┼──────────────────────┼─────────────────────────────┼──────────────────┤

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │○インサイダー取引規制                      │(c)インサイダー取引関連規制について、「上場会社等の発行する│(c)インサイダー取引関連規制          │

│                  │  現行証券取引法においては、インサイダー取引│  有価証券に係る有価証券店頭デリバティブ取引」を規制対象取│ 163条(会社役員等の売買報告義務)│

│                  │規制の対象は、株式等に係る現物有価証券取引及│  引として追加してはどうか。                              │ 164条(会社役員等の短期売買利益 │

│                  │び証券取引所でのデリバティブ取引等となってい│  (上場デリバティブ取引についても同様)                  │            返還義務)              │

│                  │るが、脱法的行為を防ぎ、証券取引に対する信頼│                                                          │ 165条(会社役員等の空売りの禁止)│

│                  │を確保する観点から、店頭デリバティブ取引もイ│[例]会社関係者が、重要事実を知って、その公表前に、自社の│ 166条(会社関係者の禁止行為)   │

│                  │ンサイダー規制の対象に含める必要がある。    │    株券の価格を対象とした有価証券価格先渡取引を行う場合を│ 167条(公開買付者等関係者の禁止 │

│                  │                                            │    インサイダー取引規制の対象とする。                    │                               行為)│

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

└─────────┴──────────────────────┴─────────────────────────────┴──────────────────┘



┌─────────┬──────────────────────┬─────────────────────────────┬──────────────────┐

│    項  目      │          証券取引審議会報告書抜粋          │             証券取引法改正にあたっての考え方             │              備    考              │

├─────────┼──────────────────────┼─────────────────────────────┼──────────────────┤

│I (2)取引所集中義│[市場WP報告書(9年5月16日)抜粋]              │                                                          │                                    │

│  務の撤廃に伴うも│                                            │○  相場操縦関連規制については、取引所集中義務の存在を前提│                                    │

│  の              │  我が国において取引所外取引を認めていくに当│  として、主として有価証券市場における売買を対象とした規制│                                    │

│                  │たっては、以下のスキームを中心に検討すること│  となっている。                                          │                                    │

│                  │が適当である。                              │    従って、取引所集中義務の撤廃に伴って、上場有価証券の有│                                    │

│                  │                                            │  価証券市場外における売買を通じた相場操縦等についても、規│                                    │

│                  │                 (中略)                   │  制対象としてはどうか。                                  │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │(e)  取引所外取引についても取引所取引と同様の│[例]159条3項(安定操作の規制)について              │                                    │

│                  │  公正取引ルールを整備する……等所要の法整備│                                                          │                                    │

│                  │  を図ることとする。                        │(現行)  規制対象取引=有価証券市場における売買          │                                    │

│                  │                                            │                                  ↑                      │                                    │

│                  │                                            │(追加)      ┌─────────┴──────────┐│                                    │

│                  │                                            │              │上場有価証券の有価証券市場外における売買││                                    │

│                  │                                            │              └────────────────────┘│                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│I (3)有価証券の定│                                            │○  インサイダー取引関連規制について、上場会社等以外の者が│                                    │

│  義の拡大に伴うも│                                            │  発行する有価証券でも、DR(預託証券)のように、その移転│                                    │

│  の              │                                            │  が当該上場会社等の発行する有価証券の移転と同一視できるも│                                    │

│                  │                                            │  の等を規制対象有価証券に追加してはどうか。              │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

│                  │                                            │[例]会社関係者が、重要事実を知って、その公表前に、自社の│                                    │

│                  │                                            │    株券に係るDRの売買を行う場合をインサイダー取引規制の│                                    │

│                  │                                            │    対象とする。                                          │                                    │

│                  │                                            │                                                          │                                    │

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[続きがあります]