2 証券会社の参入規制・監督の在り方の見直し

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┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

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┃1  参入規制の│[総合部会最終報告書(9年6月13日)抜粋]            │○  証券業の参入については、業務毎の│・元引受業務とは、引受業務の┃

┃  見直し(原則│                                              │  免許制を改め原則登録制とする。但し│うち、発行者又は証券会社以外┃

┃  登録制への移│○  意欲と能力のある者の証券業への参入が抑制さ│  、 1元引受業務、 2有価証券店頭デリ│の所有者から直接引き受けるも┃

┃  行)        │  れるようなことがあっては、証券市場の活力を維│  バティブ業務は、高度なリスク管理が│のをいう。                  ┃

┃              │  持することは難しい。証券会社が創意工夫を発揮│  必要とされるため、また、 3私設取引│                            ┃

┃              │  して、多様で魅力あるサービスを開発、提供して│  システム(電子的技術を活用した取引│・証券業の原則登録制移行に伴┃

┃              │  いくことが何よりも求められている。参入規制は│  システム。PTS)業務は、一定の集│い、金融機関の証券業の認可制┃

┃              │  、できるだけ自由な参入が保証される仕組みとす│  団的、組織的な取引の場を提供するも│は原則登録制、 1元引受業務、┃

┃              │  べきである。                                │  のであり、認可制とすべきではないか│ 2有価証券店頭デリバティブ業┃

┃              │                                              │  。                                │務は認可制となる。          ┃

┃              │○  むろん、この場合でも、証券会社は顧客の証券│                                    │                            ┃

┃              │  市場へのアクセスを提供する役割を有しているこ│○  登録制の下では、証券会社として求│・免許の基準(法第31条)  ┃

┃              │  とから、顧客の信頼にこたえ得る存在であること│  められる基準としては、登録拒否要件│・免許の欠格条項(法第32条┃

┃              │  が求められる。証券会社に求める資質を単純に引│  に一本化される。                  │)                          ┃

┃              │  き下げることによって参入の促進を図るべきでな│                                    │                            ┃

┃              │  いことは言うまでもない。証券会社が業務を誠実│○  登録拒否要件として、業務を適切に│・登録制の下での人的構成要件┃

┃              │  、確実に行っていく上で、財務面や人的な面にお│  執行する能力として最低限必要な人的│(抵当証券業法第6条)      ┃

┃              │  いて必要最低限の水準を満たし、維持されること│  構成要件を定める必要があるが、具体│「抵当証券業を適格に遂行する┃

┃              │  が求められるのは当然のことである。また、求め│  的にどこまで求める必要があるか。  │に足りる財産的基礎及び人的構┃

┃              │  られる水準は、業務の専門性や必要なリスク管理│                                    │成を要しない法人」とされてい┃

┃              │  の程度によっても異なるであろう。            │                                    │る。                        ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  投資家、資金調達者のこうした期待に沿った証│○  認可業務については、認可基準の明│・認可基準については、      ┃

┃              │  券会社が出現するための制度としては、証券会社│  確化の観点から法令に認可基準を定め│ 1元引受業務、 2有価証券店頭┃

┃              │  の専業義務の廃止や顧客資産の分別管理の徹底等│  る必要があるのではないか。        │デリバティブ業務については、┃

┃              │  の制度整備がなされることを勘案すれば、必要最│                                    │適切なリスク管理体制が整備さ┃

┃              │  低限の資質と業務水準を満たし、維持することは│                                    │れていること、              ┃

┃              │  担保される必要があるが、現行の免許制を改め、│                                    │ 3PTS業務については、その┃

┃              │  登録制を原則とすべきである。                │                                    │取引の方法、受渡し決済の方法┃

┃              │                                              │                                    │が適切に整備されていること、┃

┃              │○  その上で、店頭デリバティブ業務や引受業務な│                                    │等が考えられる。            ┃

┃              │  ど、業務の専門性やより高度なリスク管理が求め│                                    │                            ┃

┃              │  られる特定の業務については、必要な仲介者の質│                                    │                            ┃

┃              │  を確保する観点から、認可制とすることを検討す│                                    │                            ┃

┃              │  べきである。                                │                                    │                            ┃

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┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

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┃              │[市場仲介者WP報告書(9年5月16日)抜粋]          │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  証券業への新規参入はできる限り自由でなけれ│                                    │                            ┃

┃              │  ばならない。現行の参入規制については、そのよ│                                    │                            ┃

┃              │  うな観点から抜本的な見直しが必要である。現在│                                    │                            ┃

┃              │  の免許基準のうち、証券取引法第31条第1項第│                                    │                            ┃

┃              │  3号に規定されるいわゆる経済条項は、需給調整│                                    │                            ┃

┃              │  的な意味合いを持つものであり、削除することが│                                    │                            ┃

┃              │  適当である。                                │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  一方、市場アクセスのためには証券会社を介さ│                                    │                            ┃

┃              │  なければならないという証券市場の性格を考える│                                    │                            ┃

┃              │  と、証券会社は顧客の信頼に応えることのできる│                                    │                            ┃

┃              │  一定の質を有することを求められる。従って、証│                                    │                            ┃

┃              │  券会社の新規参入に当たり、一定の人的・財務的│                                    │                            ┃

┃              │  基準を満たすことを要求することが適当である。│                                    │                            ┃

┃              │  但し、このような基準が新規参入を妨げる方向で│                                    │                            ┃

┃              │  作用することのないような法制度が検討されるべ│                                    │                            ┃

┃              │  きであることは言うまでもない。              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

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┃2  業態変更認│[市場仲介者WP報告書(9年5月16日)抜粋]          │○  認可が必要な業態変更(商号、資本│・業態変更の認可(法第33条┃

┃  可等の見直し│                                              │  の額、業務の方法、店舗の変更)や合│)                          ┃

┃              │○  証券会社に対する当局の監督全般についても、│  併・営業譲渡及び承認が必要な割賦販│・合併、営業譲渡、譲受けの認┃

┃              │  一般的な事前予防的監督は最小限にしなければな│  売の取扱いは原則届出制に移行するこ│可(法第34条)            ┃

┃              │  らない。このような観点から、業務方法書の変更│  ととしてはどうか。                │・割賦販売の承認(法第66条┃

┃              │  、店舗の設置等の認可制を廃止し、届出制に改め│                                    │の5)                      ┃

┃              │  ることが適当である。但し、投資家保護という目│○  認可業務に係るリスク管理の方法、│                            ┃

┃              │  的から、市場競争を阻害しない範囲で存続させる│  PTS業務に係る取引の方法等の変更│                            ┃

┃              │  ことに意義がある監督手続きは、必要最小限の範│  については、引き続き認可制とするこ│                            ┃

┃              │  囲で存続させることとする。                  │  とが必要ではないか。              │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

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┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

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┃3  商号につい│                                              │○  証券会社の登録制への移行、業務範│・商号(法第41条)        ┃

┃  て          │                                              │  囲の自由化等諸改正の後においても、│                            ┃

┃              │                                              │  証券会社という商号を、証券会社とし│                            ┃

┃              │                                              │  ての監督に服さない者が用いることは│                            ┃

┃              │                                              │  、その社会的信用を利用した悪用が考│                            ┃

┃              │                                              │  えられるほか、悪用の弊害も大きいと│                            ┃

┃              │                                              │  考えられる。                      │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │○  証券会社に対する監督は証券業を行│・昭和40年改正前の証券取引┃

┃              │                                              │  なうことを前提とするものであり、登│法においても、登録制の下で、┃

┃              │                                              │  録制に移行したからといって商号制限│現行と同様の規定が置かれてい┃

┃              │                                              │  を必然的に廃止すべきものではないと│た。                        ┃

┃              │                                              │  考えられるがどうか。              │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

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┃4  退出の自由│[市場仲介者WP報告書(9年5月16日)抜粋]          │○  廃業、解散を認可制から届出制とし│・廃業、解散の認可(第34条┃

┃  化          │                                              │  てはどうか。                      │第2号)                    ┃

┃              │○  現行証券取引法では、証券会社の退出には当局│                                    │                            ┃

┃              │  の認可が必要とされている。退出は、本来、証券│○  但し、経営の破綻した証券会社が当│・解散、廃業の場合のみなし証┃

┃              │  会社の自由な意思に委ねられるべきものであり、│  局の処分を受けることを逃れるために│券会社(法第38条)        ┃

┃              │  顧客に損害が生じる可能性のない場合には退出は│  廃業等の届出を破綻直前に行う場合に│                            ┃

┃              │  自由とされることが必要である。              │  は、証券会社としての監督が十分に行│                            ┃

┃              │                                              │  われない可能性がある。従って、廃業│                            ┃

┃              │○  しかしながら、証券会社が顧客に損害を及ぼし│  等に際して顧客資産の適切な返還を図│                            ┃

┃              │  た状態で当局の監督下から逃れる場合には、投資│  るため、廃業等の一定期間前に公告し│                            ┃

┃              │  家保護に著しく欠ける可能性が高い。従って、証│  、顧客取引の結了、資産の返還を義務│                            ┃

┃              │  券会社の退出は原則自由としつつも、投資家に損│  づける必要があるのではないか。    │                            ┃

┃              │  害が及ぶ場合には適切な退出手続を整備し、それ│                                    │                            ┃

┃              │  に従って退出させることが必要である。        │○  また、一定期間の間に、登録取消事│                            ┃

┃              │                                              │  由に該当することが判明した場合には│                            ┃

┃              │                                              │  、登録の取消しができることとしては│                            ┃

┃              │                                              │  どうか。                          │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

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