3 証券会社に対する業務規制の見直し

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃1  業務の多角│[市場仲介者WP報告書(9年5月16日)抜粋]          │                                    │                            ┃

┃  化          │                                              │                                    │                            ┃

┃(1) 証券業務の│○  新規の取引形態の導入は、投資家や資金調達者│○  証券業務に次の業務を追加する。  │・証券業務の内容(法第2条第┃

┃  拡大        │  のニーズに応えることができるだけでなく、証券│   1有価証券店頭デリバティブ取引    │8項)                      ┃

┃              │  会社にとっても業務の幅を広げることができると│   2PTS業務                      │                            ┃

┃              │  いうメリットがある。このような観点から、個別│                                    │                            ┃

┃              │  株式オプション取引の導入や有価証券関連店頭デ│                                    │                            ┃

┃              │  リバティブ取引に関する法令整備等は、証券業務│                                    │                            ┃

┃              │  の多様化として歓迎すべきものである。        │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  ブローカレッジ業務の補完として位置づけられ│○  証券会社がディーリング業務を主た│                            ┃

┃              │  てきたディーリング業務を、今後は、業務の多角│  る業務の一つとして行えることは、当│                            ┃

┃              │  化や市場の厚みを増すという観点から、他の証券│  然である。(別途、利益相反取引等の│                            ┃

┃              │  業務と並ぶ主たる業務の一つとして位置づけるこ│  規制は必要)                      │                            ┃

┃              │  とが必要である。                            │    なお、これまでディーリング業務を│・免許の条件(法第29条)  ┃

┃              │                                              │  ブローカレッジ業務の補完として位置│                            ┃

┃              │                                              │  づけていた免許の条件は、免許制から│                            ┃

┃              │                                              │  登録制への移行に伴い廃止される。  │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  証券会社の業務展開の方法については、各証券│○  証券会社がそのバックオフィス部門│・これまで証券代行会社等への┃

┃              │  会社が自主的に業務展開の道を探っていくことと│  をアウトソーシングすることについて│バックオフィス部門のアウトソ┃

┃              │  なる。例えば、ブローカレッジ業務に特化したデ│  は、法律改正は不要と考えられる。  │ーシングは進んでいる。      ┃

┃              │  ィスカウント・ブローカーとしての業務展開を選│                                    │                            ┃

┃              │  択する証券会社の出現も予想される。このような│○  なお、証券会社が他の証券会社のア│・店舗設置は、平成8年3月の┃

┃              │  自主性に基づく業務展開のために、アウトソーシ│  ウトソーシングを引き受けることは、│店舗通達の改正により、自由化┃

┃              │  ング(業務の外部委託)や自由な店舗設置による│  業務の多角化の観点から望ましいと考│されており、既に、いわゆる1┃

┃              │  業務展開の多様化を可能にすることが必要である│  えられることから、その他業務として│人店舗も現れている。        ┃

┃              │  。                                          │  位置づけてはどうか。              │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃(2) 付随業務の│○  現在、証券会社は、証券業務及び大蔵大臣の承│○  現行兼業業務とされている業務であ│・付随業務としては例えば、  ┃

┃  明確化      │  認を得て行う兼業業務以外に、証券業務に付随す│  っても、実質的に証券業に付随する業│  ・有価証券の保護預かり    ┃

┃              │  るいわゆる付随業務を行っている。証券会社の付│  務は付随業務とし、その明確化を図る│  ・有価証券の貸借及びその媒┃

┃              │  随業務は法令上明確でなく、その範囲は相当に制│  ため、法令に例示してはどうか。    │    介、代理                ┃

┃              │  限的なものとなっているため、証券業務に付随す│                                    │  ・信用取引に付随する金銭の┃

┃              │  る業務であっても、兼業業務として行っている例│                                    │    貸付け                  ┃

┃              │  が多い。顧客のための事務代理等の付随業務につ│                                    │  ・有価証券に関する顧客の代┃

┃              │  いては、その業務に何ら制限を付すことが適当で│                                    │    理                      ┃

┃              │  ないため、付随業務の概念を明確化した上で、自│                                    │等が考えられる。            ┃

┃              │  由に行えるようにすることが必要である。      │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃(3) 専業義務の│○  証券会社の専業制は廃止し、証券会社の業務の│○  リスクが健全性規制(自己資本規制│・兼業業務の禁止(法43条)┃

┃  見直し      │  内容については、原則として自由に行えるように│  )に的確に反映することが可能と見込│                            ┃

┃              │  することが必要である。但し、証券会社の投資家│  まれる業務のうち、証券業と関連があ│・その他業務としては例えば、┃

┃              │  と市場とを結ぶという性格を考えると、証券会社│  り、証券業と併営することが予想され│  ・金融先物取引業          ┃

┃              │  の全ての業務のリスクが健全性のチェックにおい│  る業務を「その他業務」として法令に│  ・投資顧問業              ┃

┃              │  て正確に反映されなければならない。このような│  幅広く規定し、届け出て行うことがで│  ・投資信託委託業          ┃

┃              │  観点から、健全性のチェックを十分に行うことが│  きることとしてはどうか。          │  ・貸金業                  ┃

┃              │  可能な業務を幅広く法令上規定し、個別承認を不│                                    │  ・商品取引業              ┃

┃              │  要とすることが適当である。さらに、法令上個別│○  その他業務を行うに際しては、各業│  ・他の証券会社のバックオフ┃

┃              │  承認が不要とされる業務以外の業務についても、│  法で求められる監督に服することが適│    ィス業務                ┃

┃              │  承認を得て行うことができることとする。この場│  当であると考えられる。            │等が考えられる。            ┃

┃              │  合、リスク算定が困難な業務や投資家保護又は公│                                    │                            ┃

┃              │  益に反する業務に限り、承認しないことができる│○  法令で列挙されない業務は、個別承│                            ┃

┃              │  こととすべきである。                        │  認を必要とするが、透明性の観点から│                            ┃

┃              │                                              │  、公益に反する場合又はリスク算定が│                            ┃

┃              │                                              │  困難な業務であること等投資家保護に│                            ┃

┃              │                                              │  支障が生じると認められる場合を除き│                            ┃

┃              │                                              │  拒否できないことを法令上明確にする│                            ┃

┃              │                                              │  必要があるのではないか。          │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃              │○  資産運用サービスの中でも、米国で行われてい│○  ラップ・アカウント方式の資産運用│・顧問サービスとは、有価証券┃

┃              │  るラップ・アカウント方式の資産運用サービスは│  サービスのうち、証券会社が本体で顧│の価値等及び価値等の分析に基┃

┃              │  、証券会社の手数料獲得目的の短期売買の危険が│  問サービスを行うものは投資顧問業と│づく投資判断を行うものである┃

┃              │  少ないため、投資家のメリットが大きい。また、│  なり、外部の顧問業者を紹介するもの│と考えられる(投資顧問業法第┃

┃              │  証券会社にとっても、ラップ・アカウント方式の│  は付随業務として位置づけられると考│2条)。                    ┃

┃              │  資産運用サービスは、営業の多様化につながると│  えられる。                        │                            ┃

┃              │  いうメリットがあり、今後幅広く利用されること│                                    │                            ┃

┃              │  が期待される。                              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  証券会社の証券業務以外の業務のリスクを把握│○  証券業務以外の業務についても、業│                            ┃

┃              │  するために、証券業務以外の業務についても適切│  務のリスクを把握するために、報告義│                            ┃

┃              │  な報告義務等を課すことが必要である。        │  務を課すこととしてはどうか。      │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃2  役職員の兼│[市場仲介者WP報告書(9年5月16日)抜粋]          │○  銀行と証券会社の役職員の兼任を除│・取締役の兼務、兼業の禁止(┃

┃  職規制の見直│                                              │  き、届出制としてはどうか。        │法第42条)                ┃

┃  し          │○  証券会社の取締役等の兼職の禁止について、業│                                    │・取締役又は監査役の兼職の禁┃

┃              │  務の自由な展開を阻害することのないようにその│                                    │止(法第42条の2)        ┃

┃              │  見直しが必要である。証券会社の取締役と銀行等│                                    │・取締役の兼務、兼業及び取締┃

┃              │  の金融機関の取締役との兼職禁止は弊害防止の観│                                    │役又は監査役の兼職の承認制限┃

┃              │  点から存続が適当であるが、その他の兼職禁止は│                                    │(法第42条の3)          ┃

┃              │  原則廃止することが適当である。              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃3  利益相反の│[市場仲介者WP報告書(9年5月16日)抜粋]          │○  証券会社の業務の拡大に伴う利益相│                            ┃

┃  防止に関する│                                              │  反となるものについて、例えば次のよ│                            ┃

┃  行為規制の整│    ディーリング業務とブローカレッジ業務やアン│  うな業務の間において行為規制を課し│                            ┃

┃  備          │  ダーライティング業務との間には、利益相反や情│  てはどうか。                      │                            ┃

┃              │  報の共用等の問題点がある。従って、効果ある利│  ・アンダーライティング業務、ブロー│                            ┃

┃              │  益相反防止措置等の整備が必要である。例えば、│    カレッジ業務等とディーリング業務│                            ┃

┃              │  顧客情報を利用したディーリング(フロントラン│  ・証券業と投資顧問業              │                            ┃

┃              │  ニング)の禁止、担当部門の明確な区分(チャイ│  ・証券業と投資信託業              │                            ┃

┃              │  ニーズ・ウォール)等のより一層の強化が必要に│  ・証券業と貸金業(信用取引以外の形│                            ┃

┃              │  なる。                                      │    態による株式取得目的での融資)  │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

┏━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┓

┃  項    目    │      証券取引審議会報告書抜粋                │      法改正に当たっての考え方      │        備   考          ┃

┠───────┼───────────────────────┼──────────────────┼──────────────┨

┃              │○  証券業務と投資顧問業務との併営については、│○  チャイニーズ・ウォール規制は、利│                            ┃

┃              │  投資一任が原則禁止とされた経緯、投資顧問業に│  益相反取引の事前予防の観点から、取│                            ┃

┃              │  関する様々なルールや証券業務と投資顧問業務と│  次ぎ部門、売買部門及び引受部門等を│                            ┃

┃              │  の間の利益相反の規制等を考慮して、利益相反防│  それぞれ組織上(人的)及び部屋の間│                            ┃

┃              │  止規制、チャイニーズ・ウォール規制の明確化の│  仕切り等形式的に隔壁を設けることを│                            ┃

┃              │  他、ルール違反の場合の処分・罰則を充実させる│  いうが、法令上規制を設けることが必│                            ┃

┃              │  ことが必要である。                          │  要かどうか。                      │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  ラップ・アカウント方式の資産運用サービスに│○  利益相反に係る行為規制違反に対し│                            ┃

┃              │  は、証券会社が本体で顧問サービスを行うものと│  て、厳正に対処することは当然に必要│                            ┃

┃              │  、外部の顧問サービスを利用するものとがあり、│  である。                          │                            ┃

┃              │  それぞれの方式について、利益相反の防止等のル│                                    │                            ┃

┃              │  ールを明確にしていくことが必要である。      │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │○  持株会社の枠組みを通じた業務の多角的展開等│                                    │                            ┃

┃              │  の結果、利益相反等により顧客の利益が損なわれ│                                    │                            ┃

┃              │  てはならない。また、他の兄弟会社のリスクを被│                                    │                            ┃

┃              │  ることにより投資家が不測の損害を被ることがあ│                                    │                            ┃

┃              │  ってはならない。                            │                                    │                            ┃

┃              │    従って、持株会社の下での証券会社等に対して│                                    │                            ┃

┃              │  充分な健全性のチェックを行ったり、あるいは効│                                    │                            ┃

┃              │  果的な利益相反防止の為の方策を手当てすること│                                    │                            ┃

┃              │  等が必要である。                            │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┃              │                                              │                                    │                            ┃

┗━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━┛

[続きがあります]