III.具体的な改革                                                                    

                                                                                        

        こうした我が国の目指すべき市場の姿を達成していくに当たっては、投資対象としての商

      品、需給突合の場としての市場、資産運用取引サービスを提供する仲介者及び公正、効率か

      つ競争的な取引を担保する行政のあり方について、具体的な改革を進めていかなければなら

      ない。そういった具体的な措置は、改革が指し示す目標に照らせば、次のような方向性を  

      持ったものとなろう。                                                              

      (多様な選択ができること)                                                        

        市場関係者が多様な選択ができるよう、市場の可能性を広げる方向での改革。市場利用者

      の多様化するニーズに幅広く応えていく可能性を広げていくことで、それぞれの市場利用者

      にとっての利便性が向上し、結果として、市場の厚みを増すことにつながろう。          

      (利用者を引きつける魅力があること)                                              

        付加価値が高く、革新性のある、もしくは顧客のニーズにきめ細かく的確に応えうるよう

      な商品・サービスが提供されることを通して、我が国市場や仲介者の魅力と競争力を向上さ

      せる方向での改革。このように、商品とサービスの魅力と競争力が高められることにより、

      我が国市場が競争力を持ち、利用のしがいがあり、内外の市場利用者を引きつける魅力のあ

      る市場となろう。                                                                  

      (公正で信頼されること)                                                          

        市場参加者のそれぞれに自己責任原則を貫徹し、明確・透明なルールの下、市場の信頼を

      高める方向での改革。行政としても、投資家保護についての考え方を、リスクから投資家を

      遠ざける考え方から脱却し、むしろリスクを投資家に周知徹底することに力点を置いていく

      べきであろう。公正で信頼される市場を確保することにより、証券投資そのものに対する国

      民の信頼を回復させ、かつ国民に一層身近なものとしていくことができよう。              

                                                                                        

        上記のような改革の基本的方向に照らせば、具体的には、商品、市場、仲介者の各般にわ

      たり、行政のあり方を含む規制の枠組みを変更していくことをはじめとして、以下のような

      課題について、検討する必要があると考えられる。我が国証券市場を21世紀に目を向けて

      再生させていくには、こうした課題に総合的に取り組んでいくことが求められているわけで

      あり、それぞれの課題について、今後、総合部会として議論を深めていくことは勿論である

      が、関係各位の自主的かつ積極的な対応を望みたい。                                  

        なお、もとより、ここに掲げた以外の項目について検討を排除するものではなく、必要に

      応じ新たな項目も追加され、議論されることを歓迎する。                              

                                                                                        

                                                                                        

        1.投資対象=(魅力ある投資対象の提供)                                        

                                                                                        

        2.市場=(信頼できる効率的な取引の枠組みの提供)                              

                                                                                        

        3.市場仲介者(証券会社、資産運用業者)=(高い付加価値を持った多様な資産運用  

            サービス等の提供) 

 


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