「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム」第4回ヒアリング議事録

1.日時:

平成22年12月16日(木曜日)16時00分~17時20分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第1特別会議室

○油布調査室長

それでは、お時間でございますので開始させて頂きたいと思います。

内閣府の末松副大臣でいらっしゃいますが、党務の関係で少し遅れてお見えになるというふうに伺っております。

それでは、ただいまより、「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム」の第4回ヒアリングを開始させて頂きます。

私は、本日の進行を仰せつかっております金融庁総務企画局企画課調査室長の油布と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、開会に当たりまして、座長でございます和田大臣政務官からごあいさつを頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○和田内閣府大臣政務官

座長を務める政務官の和田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

今日も関係者の皆様方にお集まり頂いておりますが、お忙しい中、本当にありがとうございます。

まず、前回のヒアリングを振り返ってみたいと思います。

先週、12月8日でしたけれども、開催いたしました第3回ヒアリングでは、犯罪被害者支援団体の方々や、消費者施策に携わっている方々にお越し頂きました。そして、本プロジェクトチームの検討課題の柱の一つであります、預金保険機構納付金の具体的使途についてご意見を伺いました。

伺ったご意見を大別しますと以下のようになります。

まず、第一に対象となる犯罪被害者の範囲。そして、第二に、未然防止事業を含めるかどうか。そして、第三に、個人への直接給付や犯罪被害者支援団体等の活動への支援をどう考えるべきか、という三つの論点に集約されるかと思います。

一つ目として、支援の対象とする犯罪被害者の範囲をどう考えるかという点につきましては、法律の文言上、犯罪被害者の範囲に前提を付さなかったものが立法時の意図ではないか。また、財産犯の被害者も、生命・身体犯の被害者も、同じく経済的被害や精神的苦痛を受けており、犯罪被害者全般を対象としてもよいのではないかとのご意見がございました。

一方で、やはり預金保険機構納付金の由来に鑑みまして、詐欺やヤミ金被害等の、つまり経済被害の救済活動に充てるべきではないかというご意見もございました。

そして、今度は二つ目でございますが、被害の未然防止事業も対象として支出すべきかという点につきましては、財源が限られていることもあり、現実に被害を受けた方々を優先すべきだというご意見がある一方で、消費者被害では同種の事案が多発するということがあるために、未然防止こそ最善の被害者支援対策である、というご意見もございました。

三つ目の論点として、犯罪被害者個人に対する直接給付や、犯罪被害者支援団体等の活動への給付をどう考えるべきかという点についてですが、犯罪被害者支援団体の方々からは、被害者支援においては、個人への一時的な直接給付よりも、支援団体等による中長期的なサポートが重要、あるいは、支援団体が直接給付を行っている例もあるので、この2つは両立し得る問題ではないか、というようなご意見を頂きました。

これらのご意見は、預保納付金の具体的使途を考えていく上で非常に重要な論点に関するものでございました。ぜひとも、今後の検討の参考にさせて頂きたいと思っています。

さて、本日は第4回目でございますが、本日の第4回ヒアリングでは、前回に引き続き預保納付金の具体的使途についてご意見を伺うために、今度は学識経験者や法曹関係者の皆様方にお越し頂いております。本当にありがとうございます。皆様方からのお話をお伺いしまして、その後、意見交換をお願いできればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○油布調査室長

ありがとうございました。

ただいま座長からもお話がございましたが、本日は前回に引き続きまして預保納付金の具体的な使途についてご意見等をお伺いするということで、学識経験者の方、法曹関係者の方にお越し頂いております。最初にご説明を頂きまして、その後、まとめて意見交換、ご質問の時間を設けるということにさせて頂きたいと思います。

予定といたしましては、会議全体で75分間を予定しておりますので、5時15分が終了の目途ということでございます。

それでは、早速ではございますけれども、まず、本日は日本弁護士連合会から、江野弁護士、秋山弁護士のお二人にお越し頂いております。預保納付金の具体的な使途等についてのご意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○江野弁護士

日本弁護士連合会の江野栄でございます。今日はどうかよろしくお願いいたします。

また、本日はこのような課題につきまして発表する機会を頂きましたことを感謝申し上げます。着席をさせて頂いて、ご説明させて頂きたいと思います。

まず、日本弁護士連合会とは何ぞやということは省略いたしまして、この振り込め詐欺救済法との弁護士会のかかわりを若干ご説明させて頂きたいと思います。

弁護士会では、平成13年ころからヤミ金融の問題が非常に深刻になってきたころから、ヤミ金融のツールとして預金口座が悪用されているという問題に着目しまして、個々の弁護士、あるいは弁護士会から、金融機関に対して預金口座の凍結という働きかけをしてまいりました。

平成15年9月に、当時の金融庁の全銀協への通達をきっかけに金融機関の実質的な凍結の取組みというのが非常に進歩いたしまして、以来、ヤミ金融と言えばまず口座を凍結するということになっております。

その後、ヤミ金融がだんだん架空請求とか振り込め詐欺等へ姿を変えていきまして、その後はもっぱら振り込め詐欺対策として口座の凍結というのを使われているわけでありますけれども、そうして貯まり貯まったお金が、平成18年当時で80億円近くというような報道もございましたけれども、それをどうするのかというのが問題になりまして、弁護士会では、各政党からヒアリング等を受け、その勉強会等に参加させて頂きながら、この振り込め詐欺救済法の議員立法へのお手伝いをさせて頂いたという経緯がございます。

この立法の目的は、まずこの貯まったお金をどうやって具体的に、振り込んで被害を受けた被害者へ返金するのかというのが最大のテーマでございまして、といいますのも、口座名義人の権利がございますので、金融機関では、自分のリスクで返還をするのか、あるいは被害者が口座名義人あるいは金融機関を相手に訴訟を起こして差し押さえをするなどしないと、返金を求められない。そのためなかなか返還が進まないので、どうやってより簡便に被害者の方に返金をする仕組みをつくるのかということで、この立法ができたということでございます。

そういった観点から申し上げますと、そもそもこれだけ三十数億円の預保納付金というものが残るという事態は、その当時はあまり考えていなかったというのが実情であります。

といいますのも、できるだけ金融機関のほうで被害者に連絡をして申請を促すというような、そういった取組みをするということもその当時から始まっておりましたので、これだけ残ってしまったというのは、立法する段階では予想外のことではなかったのではないかと思っております。

お手元の資料1をめくって頂きまして、「はじめに」ということで、今日は金融庁の担当者の方から3つの点についてお話をいただきたいということでお願いされておりまして、一つは留保割合の問題でございます。二つ目は、留保した金銭について、必要がなくなったときについての考え方の整理。三つ目は、これが最大の問題だというふうに認識しておりますけれども、預保納付金の具体的な使途。この三つについてお話をさせて頂きたいと思います。

めくって頂きまして、預保納付金の留保割合につきましてですけれども、法施行当時は100%留保するということはご案内のとおりでございますけれども、法施行後2年以上を経過した現状におきましては、過去の支出実績、これがわずか1件1万1,000円ということでございますので、そういったことを考えますと、今後は、当面の間はゼロにしても差し支えない状況にあるのではないかというふうに考えられます。

まためくって頂きまして、留保した預保納付金についての、「必要がなくなったとき」に関する考え方の整理でございますけれども、法20条第1項は、法25条4項の支払に要する費用、要するに預金口座名義人の救済のために支出する費用を考慮して、一定割合を預金保険機構に留保するというようなことになっておりますけれども、実際のところ、口座名義人が今後どの程度、間違って凍結されて失権してしまったということで救済を求めるのか、将来の予測に関することでございます。

そういったことに鑑みますと、この将来の予測も、過去の法施行の状況に照らして、どの程度将来に請求があるのか予測して、必要がなくなったと判断して考えてもよいのではないかと考えますと、もう既に預保留保金を今後も留保する必要がなくなったと判断できるのではないのかと、個人的に考えているところであります。

三つ目の課題、これが一番、このプロジェクトチームで最大の課題ではないかというふうに考えているところですけれども、預保納付金の具体的な使途であります。

先ほど申し上げましたとおり、この立法の最大の目的というのは、振り込め詐欺等によって預金口座に振り込んだ被害者に対してどうやって返すのか、その具体的な被害者に対して当該預金口座、凍結された預金口座から返していく。それをより簡便、効果的に行うというためにつくられた立法でございます。

ただ、その被害者に返すことができなかったものについては、預保納付金ということで預金保険機構に保管されるわけでありますけれども、そもそも振り込め詐欺被害者等に返還することのできなかった被害金から形成されたものということに鑑みますと、やはり、もし可能であれば、それは被害回復分配金をいまだ受領していない被害者に分配する手続を改めて行って、全額を返還してしまうということ、これは理想的にはこういうことが言えるのではないかと思います。

振り込め詐欺被害救済法の立法の段階で、「犯罪被害財産等による被害回復給付金支給法」という法律が、一つのスキームとして参考にされました。

この手続においては、1回目の支給手続において被害回復給付金に支給申請が少なくて残余が残った場合には、もう一度給付手続を行う、そういった規定が設けられております。

ただ、今回の振り込め詐欺救済法の場合には、少ない金額では1,000円以上からスタートする非常に少額で多数の口座について手続を行うということから、被害回復給付金の支給法よりは、手続において非常に簡便なものとされています。ですから、立法の段階においては二度目の支給手続というのは特に設けてはいなかったわけであります。

また、現実には、1,000円未満の口座についてはこの被害回復分配金を支給する手続というのは行わないということになっていますから、8月末現在でその金額も、0.5億円程度あるというようなことであります。

ですから、いずれにしても、全額を被害者に返還するというのは、現実的には不可能ということになろうかと思います。

そこで、預保納付金の具体的な使途としては、まず弁護士会では三つの線を考えております。

一つ目は、被害回復のための法的権利行使への経済的な支援であります。これは、犯罪利用預金口座に振り込んで財産を失った犯罪被害者が加害者らに対して法的手続を行使するという、そのための費用の支援でございます。

二つ目は、集団的な被害回復を図るための費用であります。ヤミ金融につきましては、山口組系の旧五菱会の事件においては集団訴訟になりましたし、また、振り込め詐欺においても、振り込め詐欺のキングに対する集団訴訟というのが起きておりまして、その過程では非常に多額の実費がかかっております。その弁護団に委任したような場合に、弁護団が多数の被害者のために証拠を収集したり、あるいは加害者の資産を調査する、あるいは資産を保全する、これにかかる諸活動の費用を支援するということが二つ目でございます。

三つ目は、既に前回のヒアリング等でも要望があったところというふうに承っておりますけれども、適格消費者団体、あるいは民間の犯罪被害者支援団体等への支援ということでございます。

そのそれぞれ三つについて、さらに詳しくご説明をしたいと思います。

まず、被害回復のための法的権利行使への経済的な支援でありますけれども、これは、振り込め詐欺とかヤミ金融、最近では未公開株詐欺等の投資詐欺においても、振込みということが使われております。そういった、被害者が犯人グループや、犯行に加担した預金口座名義人、あるいは、預金口座と同じように他人名義の携帯電話等が悪用されているという実態もございますので、携帯電話名義人の身元を確認し、資産の所在等を調査し、証拠を収集して、訴訟提起等の権利行使をするための実費、弁護士費用などを支援するということが考えられるのではないかと思います。

ただ、実際、私どもが相談を受けている現場では、こういった振り込め詐欺等の被害に遭った被害者の方に「裁判をやってどれだけ回復できるのでしょうか」というふうに問われた場合に「これは大丈夫です。戻りますよ」と言えるケースというのは非常に少のうございます。そのため、費用対効果の観点から、こういった法的権利の行使をためらう被害者というのは少なくないというのが実情でございます。

そうすると、その被害回復が仮にできなかったとしても、こういった立替えの費用の償還を不要とする仕組みというのも必要ではないかというふうに考えております。

通常、今日お越しいただいている日本司法支援センターの法テラス、これは私どもよく活用させて頂いておりますが、基本的には立替え金というのは被害者の方が月々返済していくということになっております。ですから、最終的には被害者の負担ということになるわけですけれども、償還を不要とすれば、やってみようかという被害者がふえるのではないかと思います。仕組みとしては、総合法律支援法に基づきまして預金保険機構が日本司法支援センターに上記援助にかかる業務を委託する。法テラスが、個々の申請に基づいて支出を行うということが考えられるのではないかと思います。

こういった制度が必要というのは、一つには、いわゆる経済的な犯罪被害者につきましては、犯罪被害給付制度、あるいは刑事裁判における損害賠償命令制度の適用の対象外となっております。ですから、こういった振り込め詐欺等の被害者は、まず自ら民事訴訟を起こさなくてはいけない。そうしなければ被害回復を受けることができない。そうであるならば、せめて権利行使の際のそういった費用の経済的支援というのが必要になってくるのではないかということです。

二番目は、集団的被害回復を図るための費用でありますけれども、先ほどご説明いたしましたのは個々の権利救済に係るものでありますけれども、実は、ヤミ金融とか振り込め詐欺については集団的に被害が発生するという場合も少なくないわけでございまして、こういった場合の弁護団というのができます。

弁護団では、刑事の確定記録を閲覧謄写したり、あるいは振り込みした預金口座の移動明細を調査督促で取り寄せたり、いろいろな活動をしますが、そのための実費が非常に多額に必要になってまいります。

また、仮に犯行グループに資産があるとわかった場合には民事保全の手続をするわけですけれども、民事保全をするためには、一定程度の保証金を法務局に供託することが必要になってくるわけであります。また、債権者が破産の申立をして資産を保全するという場合には、これまた数百万円から数千万円程度の予納を裁判所にする必要があります。

こういった実費につきましては被害回復ができないと戻ってくるわけではありませんし、先ほど申し上げた保証金とか予納金というものは、手続が終わった段階で戻ってくるということが多いわけでありますけれども、一定期間の立替えというのが必要になります。そのため、これらについての経済的支援の必要があるのではないかというふうに考えているところであります。

こういった弁護団への支援といった場合の審査手続とか、この支出のための手続、組織というのは今後の検討課題であるというふうに考えておりますけれども、どういった弁護団にどういった費用を支出するのが適切なのかということについては、弁護士会のほうで知見を有しておりますので、関与できるような形にさせて頂ければ適切ではないかというふうに考えているところです。

最後に、適格消費者団体、民間の犯罪被害者支援団体等への支援でありますけれども、まず、適格消費者団体は、既に前回ご説明があったということでありますので説明を簡略化したいと思いますけれども、いわゆる悪質商法に対する特商法上の差止請求というのを行使しておりますので、そういった活動に使っていくというのは一つの考え方ではないかと思っております。

また、振り込め詐欺の被害者等につきましては、財産的な被害にとどまらず、だまされたというのは非常に自尊心を損なうものでありますし、また家族からの信用を失う。おじいちゃん、おばあちゃんには財布を預けられないということで、責められる被害者も少なくありません。そういった意味では、その精神的な支援を含めて、民間の被害者支援団体が行っていくということも必要ではないかと思います。そういったものへの支出というものも、必要ではないかというふうに考えております。

ご清聴ありがとうございました。

○油布調査室長

大変ありがとうございました。

引き続きまして、常磐大学大学院から冨田教授にお越しになって頂いております。諸外国の例なども踏まえながら、ご意見を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○冨田教授

ただいまご紹介頂きました常磐大学の冨田と申します。被害者学の全般、犯罪被害者支援等を研究しております。今日はこのような機会を頂戴いたしまして、大変光栄に思っている次第でございます。

それでは、座ってお話をさせて頂きます。

お手元の資料2に沿って話を進めてまいりたいと思います。

私に求められている意見は、先ほどと同様でございまして、この被害回復分配金の支払に関する法律につきまして、預保納付金の割合。それから二番目に、必要がなくなったときに関する考え方。そして、三番目に具体的な使途でございます。

まず、その割合のことと、支払の必要がなくなったということに関しては、資料等を見ますと、1万1,000円、のケースが一つあるということだけで、非常に少ない。事後的救済の例は少なく、また今後もあまり予想されないというふうに思われますので、この留保割合ですが、ここを仮に10%といたしましたけれども、特に根拠がある数字ではなくて、わずかでもいいけれども残しておいたほうがよろしいのではないかという趣旨でございます。

二番目につきましては、もう将来もあまりそのようなことはないであろうから、支払の必要がなくなった状態にあると考えてもよろしいのではないかということで、残りの全額については、犯罪被害者等の支援の充実のために用いるというのが適当ではないかと考える次第でございます。

そこで、これが一番大きな課題かと思いますが、具体的な使い道について考えたいと思います。このときに、海外における類似の制度を参考にしたいと思います。

ここでは、よく知られておりますけれども、アメリカ合衆国の犯罪被害者基金というのと、それから、これはまだ始まっておりませんけれども、来年韓国で始まる犯罪被害者保護基金についてご紹介したいと思います。韓国につきましてはもうほとんど情報を持っておりませんで、その法律の条文を見た程度でございます。

これら、合衆国においても韓国においても、基金のもととなっているものは、罪を犯した者が支払った罰金や没収金等が財源となっているものでございます。したがって、ここで議論の対象となっている預保納付金とは性格が異なるわけです。それは本来被害者の財産であるからでして、その点の違いはあるのですが、しかし、合衆国の犯罪被害者基金の財源となっている罰金や没収金というものは、罪を犯した者が被害者から得た収益である場合もあるわけですから、この点において、元は、どの程度の割合というのはなかなか申し上げるのは難しいですけれども、被害者の財産に類するものもあるのではなかろうかということで、類似する点があると私は考えております。

そこで、次に、合衆国の犯罪被害者基金についてごく簡単にご紹介いたします。

この合衆国の犯罪被害者基金、Crime Victim Fundというのは、1984年の犯罪被害者法という法律によって設立されました。この運用は、司法省の犯罪被害者支援室、訳が適当であるかどうかは別といたしまして「OVC」と呼ばれているところが行っております。というよりも、この基金を運用するためにできた役所がOVCと言ってよろしいかと思います。

では、その犯罪被害者基金の財源は何であるのかといいますと、次のページでございますけれども、これは、ご案内のとおり合衆国の法体系は連邦法と州法に分かれますけれども、連邦法違反の事件です。犯罪、例外となる法律もあるのですけれども、そこで有罪となった者の罰金、保釈保証金、没収された犯罪収益、それから、特別賦課金というのはちょっとわかりにくいのですが、罪種ごとに25ドルとか10ドルとか、一定のプラスアルファのお金を支払わせるということです。ただ、実際には90%以上が財源は罰金であるということで、そのほかはごくわずかであるというようでございます。

この積立額がどれだけ入ったかというと、2009会計年度で17億ドルです。

ただ、罰金ですので年によって増えたり減ったりということがありますので、安定的に運用するということで、各年度用いることができる額、俗に「キャップ」と言っているのですが、それを議会が決めます。それが、2009年の会計年度では6億2,500万ドルであったと言われています。その前の年は6億ドルをちょっと下回ったかと思いますが、大体このところは6億ドルぐらいであります。ただ、将来的にこれがどれだけお金が入ってくるかというのは、だれも予測できないということでございます。

では、それはどのように使われているかといいますと、これはルールに従って配分されるわけですけれども、まず、児童虐待の捜査の改善のための費用。

それから、連邦の検察官、検察庁の被害者支援業務のために用います。これはもともと連邦法違反ですので、連邦関係の被害者支援関係の業務が優先されるということです。

それから、FBIの被害者支援業務に用いられる。

それから、被害者通知システムというのは、コンピュータを使って、被害者にID等を振り分けて、それでインターネット等で自分の事件の状況がどうなっているのかということを知ることのできる制度ですけれども、そのシステムのための費用に、まず割り当てられます。

残りが被害者支援関係に使われるのですが、その前にマル5のところですけれども、裁量補助金といいましてさまざまな、OVCの裁量によっていろいろなところに、プロジェクトでありますとか、あるいは研究のためであるとかということに使われております。

それから、その後に各州の被害者補償ですね、我が国の給付金に類似するものですけれども、これは、合衆国では被害者補償は州が行うことになっておりますので、その州の行う制度に補助するということです。州は州で独自の財源を確保しているのですけれども、これに、残った額の47.5%。

それから、7番目、これがここでもあるいは関係するかと思いますけれども、民間や、例えば地方のODAというのでしょうか、地方検察官事務所の行う支援プログラムに対して、州政府を通じて補助金を出すわけです。これが、年間約4,000ぐらいのプログラムに出しているようです。この額が、年度によって違うのですが、大体3億ドルぐらいかと思います。

そのほかに、5,000万ドルを上限として、緊急テロ対策予備費に用いられています。

では、先ほどのマル7の被害者支援プログラムはどういうところに使われているかというと、合衆国は、そこに書いてあるDV、性的児童虐待、暴行、傷害の被害者です。アメリカではDV、それから性犯罪というところが、優先的に配分される領域ということになっております。

支援内容、そのプログラムの内容というのは、情報提供でありますとか、刑事手続関係の支援、緊急カウンセリング等々、これはさまざまでございます。

これが、合衆国の犯罪被害者基金のごく概略でございます。

一方、韓国は今年犯罪被害者保護基金というのができたばかりです。3ページのところですが、施行は来年の1月1日と聞いております。

なお、この法律については、慶應義塾大学の太田教授が翻訳した法律を見せてもらいました。

それから、先ほどの合衆国、2ページの一番上のところで大事なところを言い忘れましたけれども、この犯罪被害者基金には、個人からの寄付や遺贈なども受けつけているということで、犯人からのお金だけではなくて、寄付等も受け入れているということをちょっと言い忘れておりました。

韓国も、罰金がメインになるようです。罰金の4%以上というふうに、法律には書いてあります。そのほか、寄付も受け付けるということで、この使い道ですけれども、主として犯罪被害救助金、日本の言う給付金に主として用いられますが、そのほかに、民間団体、犯罪被害者支援法人というのが韓国にあって、全国にあるのですけれども、そこに支出することが可能になっているということでございます。

では、どのぐらいの額になるかというと、これは試算で、この法律ができる前に梨花女子大学法科大学院のチョウ教授が書いたのを見ますと、750億ウォンぐらいになるのではないかというふうに書いてありました。

ここから先は私の意見です。

「犯罪被害者等の支援の充実」というふうに書いてありますので、広くというか、基本法でいう「犯罪被害者等」というのが最も適当だと私は考えておりますけれども、その支援の充実のために、預保納付金を何らかの基金に組み込んで、それを被害者支援のために使うのがいいのではないかと考えます。

その基金を新たにつくったほうがいいのかどうかという話ですが、新たにこれを設立するというのは煩雑でもありますので、既存の財団、具体的には財団法人犯罪被害救援基金などが適当ではないかと考えているところであります。

使い道でありますけれども、それはいったん救援基金のほうに入ってしまえば、そこのポリシーに従って用いられるということになるわけですが、私が期待するのは、一つは民間の、とりわけ犯罪被害者等早期援助団体や、それから、その上部団体である全国被害者支援ネットワークの活動に対して交付するのが期待されるというところであります。

民間団体の果たしている役割というのは改めてご指摘するまでもありませんで、前回のこのPTで山上先生がお話しになった資料を見ましたけれども、かなり多様な活動をしていますけれども、資金が不十分であるというところもあります。

ただ、交付に際しては、これは以前私もかかわりましたけれども、「民間団体への援助に関する検討会」の最終取りまとめの中でもはっきりと言っていることであるのですけれども、財政運営の透明性でありますとか、個人情報の管理状況だとか、事業を適切かつ確実に実施できる体制になっているかどうかということをチェックする必要があることは言うまでもありませんし、また、事後的にも、事業の適切な評価ということが必要であることは言うまでもございません。

先ほど説明もしましたけれども、合衆国においても、民間団体に対する国からの資金提供はなされているわけでございます。韓国でも、そのようになると思われます。

もう一つの具体的な使い道は、国際化に伴う問題で、国外において犯罪被害を受けた日本国民です。これに対する給付金は、犯給法の対象となっていませんので、こういうところに対しては給付するということもできるのではないかということであります。

三つ目ですが、犯罪被害者支援のあり方を検討するためには、やはり研究が重要だというふうに思います。日本でも、この犯罪被害者支援の発展の契機になったのは、この救援基金からの資金による実態調査、これがもとで大きく発展しましたので、この被害者支援のさらなる充実を目指すということであるならば、研究にも配分するというのが期待されるのではないかと思う次第です。

以上、はなはだ簡単ではございますが、私からの報告といたします。どうもありがとうございました。

○油布調査室長

大変ありがとうございました。

それでは、最後になりましたけれども、日本司法支援センター、法テラスから、北岡総務部長、佐々木第一事業部長補佐にお越し頂いております。法テラスの業務の概要や、相談受付、被害者支援の状況等、それから使い道につきましても、ご意見がございましたらよろしくお願いしたいと思います。

○佐々木第一事業部長補佐

法テラスの第一事業部長補佐の佐々木と申します。よろしくお願いいたします。

まず、資料の1ページをごらんください。法テラスとは何かというのを簡単にご説明させて頂きたいと思います。

法テラスは、平成18年4月にできた組織でございまして、平成18年10月から業務を開始しております。民事・刑事を問わず、あまねく全国において法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられるような社会の実現を目指して、総合法律支援法に基づいて設立されております。司法制度改革の一環でございまして、公的な法的サービスをさまざまなメニューで提供している組織と思って頂ければと思います。

では、どのような業務を行っているのかですけれども、本来業務として総合法律支援法に規定されている業務が主に5つございまして、まず第一に「情報提供業務」がございます。こちらは、司法の窓口としまして、法的トラブルの解決方法がわからない方に対して、解決に役立つ法制度や窓口のご紹介を行っている業務でございます。

次に、「民事法律扶助」という業務がございます。これは、資力に乏しい方、金銭的な問題で司法の利用をためらうといった方に対して、無料の法律相談を実施したり、必要に応じて弁護士費用、司法書士費用の立替えなどを行っている業務でございます。主に経済的なバリアからの司法アクセスの阻害要因を取り除く、といった業務でございます。

次いで、「国選弁護の関連業務」、これは刑事関連でございます。

それから、「司法過疎対策業務」というのもございまして、日本は司法過疎、地域によっては非常に司法サービスが利用しにくいといった地域がございます。今回の振り込め詐欺などに関しましても、情報が届きにくい地域の方々や高齢者の方が被害に遭われるという問題もあるかと思います。法テラスでは、司法過疎地域においてそのような状況を改善するというような業務を行っておりまして、スタッフ弁護士というものを各地に配置しております。

「犯罪被害者支援」も本来業務の柱として総合法律支援法に規定されております。犯罪被害者支援に関る情報を収集・整理して、提供する。また、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士のご紹介を行う。また、国選被害者参加弁護士に関する業務も行っております。

このように、さまざまな司法の支援に関する業務を一括して行っておりまして、犯罪被害者支援に関しても本来業務として扱っているというところが特徴でございます。

では、法テラスの組織というのはどのような規模かと申しますと、法テラスは全国あまねくサービスを提供することを目的にしていますので、全国に地方事務所、支部、出張所、また、過疎地域を中心に地域事務所がございます。過疎地域も含めて全国規模の組織でありまして、様々な問題に関しても全国レベルでの対応が可能となっております。

また、関係機関との連携強化確保というのも業務として定められております。さまざまな関係機関の皆様のご協力を得ておりまして、窓口のご紹介などをしております。

続きまして、資料の2ページをごらんください。まず、情報提供業務は、どのぐらいの実績があるかというところでございますが、情報提供の窓口にはコールセンターと、各地の地方事務所という2種類のチャンネルがございまして、合わせまして、平成21年度の問い合わせ件数は約65万件となっております。「困ったら法テラス」と思ってお電話なり来所して頂く方が、これぐらいの人数がいるということでございます。

一番多いお問い合わせの内容は多重債務関係の問題ですけれども、今回問題になっている振り込め詐欺ですとか、架空請求、そのような詐偽系の問題についての問い合わせの件数も、資料にお示ししたとおりでございます。

また、情報提供としましては、FAQ、よくある質問と答えというのをあらかじめシステムの中に用意しておりまして、それに応じて制度のご紹介を行っていますけれども、犯罪被害者の方への給付に関するものについてのFAQも40以上ございまして、その紹介実績もごらん頂くとおりでございます。FAQ自体は約3,500、用意してございます。

このように、いろいろな方、特に法的な問題で困ったと思われる方が法テラスにアクセスして頂いているということを考えますと、今回、この預保納付金が想定外に余っているという状況の原因としましては、制度の周知があまり行き届いていなかったのではないかという問題点も指摘されていると聞いておりますので、制度の周知、本来的な、この被害者の方にこのお金を返すという意味での制度の周知に関しましても、法テラスの情報提供というのが非常にお役に立てるのではないかと考えているところでございます。

続きまして、犯罪被害者の支援の業務についてご説明いたします。

ご承知のとおり、犯罪被害者の方々の置かれた状況はさまざまでございまして、またその人によっても、時の経過によっても変わっていくところがございます。犯罪被害者の方が、その時その時、その方に必要な支援を受けられるということが、被害からの回復にとって非常に重要であると法テラスでは認識しております。

法テラスでは、そのために、さまざまなメニューがそろっているのが特徴かと思います。情報提供はもちろんいたしますし、犯罪被害者の方に、犯罪被害の理解・経験のある弁護士をご紹介するという業務も行っております。また、経済的な面で犯罪被害の回復に困難が生じるという方につきましても、国選被害者参加制度の事務も取り扱っておりますし、日弁連様からの委託という業務もございまして、資料の3ページにあるとおりさまざまなことができるようになっております。本当に大きい事件などになりますと、マスコミの対応なども非常に犯罪被害者の方たちが心を痛めるところでございますけれども、そういったところまで含めてメニューがそろっています。

また、被害の回復という点でも、先ほど申し上げました民事法律扶助という制度がございまして、損害賠償命令以外にも訴訟で被害の回復をする、そうしたときに費用が心配でちょっとためらってしまうといった方についても、民事法律扶助という制度は非常にお役に立っているところかと思います。

このように、その時その時に応じた被害者の支援、情報の提供、経済的な問題も含めたメニューがそろっているというところをご理解頂ければと思います。

続きまして、資料の4ページですけれども、犯罪被害者支援の実績でございます。

犯罪被害者支援につきましても、情報提供という面に関しましては、コールセンターというところに、犯罪被害者支援ダイヤル、専門のダイヤルを設けております。資料の表紙を見て頂きたいと思うのですけれども、法テラスの情報提供のコールセンターでは、一般ダイヤル「0570-078374(おなやみなし)」という番号のほかに、犯罪被害者支援専門のダイヤル、「0570-079714(なくことないよ)」という語呂合わせで広報しているのですけれども、犯罪被害者支援の専門のダイヤルもございまして、そちらでお問い合わせも受け付けております。

もちろん、各地の地方事務所でも犯罪被害者支援の情報提供を行っておりまして、平成21年度は、合わせまして2万6,045件のお問い合わせの実績がございました。

また、犯罪被害者支援に理解・経験のある弁護士のご紹介ですとか、国選参加弁護士の紹介などにつきましても、ご登録頂いている数というのも、資料4ページの下のグラフを見て頂ければわかるとおり、増えているという状況でございます。

次に、資料の5ページを見て頂きますと、民事法律扶助という、これは主に経済的な被害回復のところでお役に立つ制度で、無料で法律相談ができます。一定の資力の条件はございますけれども、無料の法律相談というのを、平成21年度では約23万7,000件、実施しております。

また、具体的な裁判手続などに進んだ方への代理援助でございますけれども、昨年度は10万1,222件という実績でございました。代理援助の約7割程度が多重債務の案件でございまして、その中には、もちろん振り込め詐欺やヤミ金被害に遭われた方もいるかとは思います。

このようにいろいろな法的な支援のメニューをそろえている法テラスでございますけれども、今回の主題である具体的な使途については、少し漠然としたご提案にはなるかと思いますけれども、法テラスには受託業務というスキームがございまして、法テラスの5つの本来業務の遂行に支障のない範囲で、国、地方団体、非営利法人等から委託を受けて行うという業務ができることになっております。現在は2つの団体、中国残留孤児の関係と、日弁連様からの委託を受けてさまざまな、主に人権救済に役立つと思われるような業務を行っていますが、預金保険機構様のほうから、こういった犯罪被害者支援で役立てたいというような業務につきまして、委託を受けるということも可能なつくりとなっております。

例えば、救済法のそもそもの目的である償還制度の周知について、何か法テラスを活用されるとか、犯罪被害者支援、広く一般についてもっと活用されるとか、いろいろ考えられることはあるかと思います。受託業務というスキームもございますし、法テラスの本来業務としまして、制度の周知に役立つ情報提供ですとか、被害者支援というところも行っているところでございますので、そちらでもいろいろご相談させて頂けるのではないかと思っているところでございます。

簡単ではございますけれども、以上でございます。ありがとうございました。

○油布調査室長

大変ありがとうございました。

なお、第1回目のヒアリングのときにもうご説明は頂いておりますので、本日はご説明ということではございませんけれども、内閣府の犯罪被害者等施策推進室のほうから、本日は河原参事官にお越し頂いておりまして、もし関係するようなご質問が出た場合の質疑対応ということでご出席頂いておりますので、ご紹介させて頂きます。

それでは、ご説明を一通り頂きましたので、ご質問、ご意見等がございましたら、ご自由にお願いしたいと思います。

○末松内閣府副大臣

冨田先生のほうにお聞きしたいのでございますけれども、アメリカ合衆国の犯罪被害者基金で、連邦法違反事件の罰金が90%も基金になっている。これは、連邦法違反事件というのはいろいろな違反ということなのですか。ある程度特別な何か、金融事件とか、そういうふうな違反なのでしょうか。

これが一点で、今度は日本のほうを聞きたいのですけれども、すみません、私が不勉強で申しわけないのですけれども、日本の場合は、そういった罰金というものは、ちなみにどういう形で使われているのか、あるいはどこかでプールされているのか、これについてちょっとお聞きしたいと思います。

○冨田教授

まず、第一点についてお答えいたします。

まず、罰金については、連邦法違反で、幾つか例外はあるのですが、どれでも対象になります。ただ、実際に巨額の罰金が入るケースがございまして、具体的には我が国で言う証券取引関係でありますとかそういうところで、巨額な、何億ドルという罰金が命ぜられて、それがこの基金の中心的な部分となっております。

それから、2点目ですけれども、罰金については国庫に入るということで、法務省の方もおられますので、そちらからの説明のほうが間違いないかと思います。

○佐々木参事官

先生のおっしゃられたとおり、国庫に入りますので、特に、この罰金はこれに使うというような扱いにはなっていません。

○末松内閣府副大臣

一般の財政に乗せて、一般会計に全部繰り入れられる。そうでしたか。

○吉田財務大臣政務官

いろいろなご提言、ありがとうございました。

冨田先生のご提言の中で、誤って失権された預金者等の事後的救済のための留保率10%というお話でした。今後もそういう申し出が全くないということも、これ保証はないわけですので、わずかでも留保というご意見、ありがたく聞きました。

それから、もう一つ、既存の財団法人犯罪被害救援基金に組み込んだらどうかというご提案でした。ついては、既存のこの財団法人の今の規模といいますか、どういう財源で基金を賄っているのか、どのようなところに使っているのか、その辺がもしわかれば教えてください。

○冨田教授

前回、犯罪被害救援基金さんから説明があったかと思いますが、収入のメインは、基本的には寄付、救援基金の収入のもとは寄付でございます。

それから、使い道につきましては、一つは、大きいのが犯罪被害者遺児に対する奨学金がメインです。そのほか、それ以外の業務も今始めていると聞いております。

簡単でございますが、以上です。

○油布調査室長

ちょっと私から、これはやや技術的な質問になってしまうのですけれども、弁護士の先生方にちょっとご意見をお伺いしたいことがございまして、「支払の必要がなくなった」ときの考え方なんです。これは誤って失権されてしまった預金者を事後的に救済するために、まずいったん留保をしておいて、その留保しておいたお金がさらに「支払の必要がなくなった」と考えられるときに犯罪被害者の支援に使うという、こういう法律上の建前になっておりますけれども、ご説明の中で触れられなかった点で、私がちょっと、もしご意見があれば承りたいなと思っておりますのは、この「支払の必要がなくなった」ときというときに、まず直感的に浮かぶのは、民事債権であれば10年の消滅時効、商事債権であれば5年というのが技術的には思い浮かぶわけですけれども、その10年、5年、とっておく必要があるかどうかということについて、もし何かご意見がございましたらと思うのですけれども。

○江野弁護士

今、室長からご説明のあったとおり、法25条1項・2項の請求権というのは、恐らく、民法の考え方によると、権利を行使することができるときから10年間で消滅時効にかかるという整理になろうかと思います。

ただ、それまでずっと置いておくことが必要があるのかというのは、まさに先ほど申し上げたとおり、将来の予測に係ることだと思いますので、どの程度の請求の見込みがあるかというところで判断されていくもの、ということになるのではないかと思います。

そもそも留保する割合というのは、0%から100%まで定めることができるという制度の建てつけになっていますので、事後的に、当初の予測と違ってあまり請求がなかったということであれば、その10年を待たずに、必要がなくなったというような判断も可能ではないかと、これは私見ではありますけれども、そのように考えております。

○和田内閣府大臣政務官

それでは、私のほうからいくつかちょっとお伺いしたいと思います。まず、最初の弁護士会の皆様方と冨田先生のほうにですね、今現在での考えておられる解釈としてお伺いしたいのは、ご説明の中に、今私どもが持っておる法律の仕組みでは、預保納付金として留保しておく必要があるのかないのかということをどちらも共通にしていただきました。留保の割合が当面0%でよいのではないかというお話をしていただいたのは弁護士会で、10%程度でよろしいのではないかとおっしゃっていただいたのは冨田先生でございますが、立法論として、このようなご意見がでてくるということは、この20条第1項の留保しておくこととされているということが、実際には空文化しているという解釈をされていらっしゃると思ったほうがよろしいのか、ここは意味があるのだけれども、今のこの事態を裁くのに0%や10%というふうに考えたほうがいいと仰っているのか、そこらへんを踏み込んでお答えいただきたいのが1つでございます。

それから、もうひとつはですね、末松副大臣とお話しててですね、ちょっとお聞きしてみようかということになったのですが、今度はですね、いわゆる犯罪被害者の資産であるものがこういうことに使用されている例を色々御紹介いただきましたし、使ってよいのではないかとご提案もいただきましたが、我々が今持っている制度は、振り込め詐欺の件で生じました資産についてどう扱うかということでございますが、色々な事例をみておられる立場からですね、むしろ、犯罪というものを広くとって、(他にどんなものがあるのか私自身もわからないで申し上げているのですけれども、)犯罪行為によって、被害者がお持ちになっていた資産がなんらかの点で被害者に返らず留保されている事態が生じているもの全般をですね、今度は犯罪被害を大きくとらえて、犯罪被害者等ですから被害が生じている方々への歳出的な補填にも充てますが、その周辺部分について使ってよいのではないか、広い概念で使っていくということをお考えになっていらっしゃるのかどうか、そこをちょっとお聞かせ頂ければと思います。

○江野弁護士

まず一点目ですけれど、20条の「留保する」という規定が立法論上意味がなくなっていうのではないかというご指摘につきましては、これは私見ではございますけど、やはり、間違って口座を凍結させて失権をする、させてしまうということが想定される以上は、これはその場合に被害を受けた口座名義人を救済する必要性というのはまだあるので、立法論的には意味がないという風には考えてはおりません。これまた、私見ではございますけど、今後の留保割合が0%でもいいのではないかというふうに申し上げた点を補足させていただきますと、すでに38億円留保されてると。その現状に鑑みると、さらに今後積み増しをする必要があるのかどうかという観点でいうと、当面の間は0%でもいいのではないのかという意見でありまして、さらに8月末38億円ある、これをさらに積み増ししないと今後10年間困るということにはならないのではないのかという予測でございます。ですから、もう一度結論ではございますけれども、留保をするという規定自体は、口座名義人の権利救済ということが必要である以上は必要であるということになります。

二点目のご質問は非常に難しいご質問で、質問の意味を私のほうで、きちんと受け止めたお答えになるのかどうかわかりませんけれども、これも私の私見ということでお答えさせていただきたいのですが、そもそも振り込め詐欺救済法というのは、振り込め詐欺の被害を受けた個人に対し被害回復分配金を支給するという、個人への給付を通じて被害回復をしていくというような法律だと理解しております。といいますのも、もう少し具体例を述べますと、振り込め詐欺犯が使用している口座にAさんが100万円振り込みましたと。犯人はすぐに引き下ろして残高が0円になりましたと。その次に、Bさんが100万円振り込みましたと。その時点で口座が凍結されたと。この場合このお金をBさんに返すのか、それともAさんにも返していいのかどうか、これは立法段階で議論になっておりましたが、これはAもBも被害を受けた金額の割合でプロラタで案分して給付しましょうと、こういうことになっております。ですから、振り込んだ預金口座にあるお金は、直接AさんBさんのお金ではないんだけれども、政策的に被害回復分配金という一種の給付金として個人へ給付すると。その場合には振り込んだお金の時期がいつなのかということによって、たまたまそこに残っている口座のお金との結びつきだとか、そういったことを捨象してですね、単に振り込んだお金、被害額に案分して分配すると、そういった仕組みの法律ではないかと理解しております。ですから、これは被害者の財産を直接、被害を受けた被害者の方に返すということはすでにその時点である程度抽象化されているのではないかと思います。

それで、そういった意味では、前回議論になったと承っているのですけど、個人へ直接給付するのか、支援団体を通じてなのかという議論に関わっているものだと思いますけれども、そもそも振り込め詐欺救済法というのは、被害回復分配金というものを個人に支給して救済するという法律です。それで、この分配しきれなかったものをどうするのかと。その場合には被害者支援の充実のために使うと。一種の次善の策ということで整理をしているのではないかと理解しているところです。ですから、被害の財産と被害者の対応関係なんですけれども、ちょっと話はそれるかもしれませんが、この法律を作るときに参考にしたのは、国が刑事裁判で詐欺等の犯人に対して有罪判決をする際に被害者の財産を没収追徴することができると。そういうことにしたうえで、犯罪被害財産を被害者に被害回復給付金として給付しましょうと。そういう立法は平成18年になされております。その際に、被害者に返しきれなかったお金はどうするんだという議論がありまして、最終的にそれは国庫に帰属するという形になったんです。といいますのも、没収・追徴という有罪判決でいったん国庫に入ってしまったものは、これはやはり国庫になるのだという理解なんですが。ただ、立法の際国会でいろいろ審議されまして、附帯決議ではそれについては今後検討しましょうということになりまして、その後にこの振り込め詐欺救済法という議員立法が実現した際には、国に行くよりは被害者の支援に使用したほうがいいのではないかという、そういう議論になったとおおまかに理解しております。ただ、その振り込め詐欺救済法を立法する時の段階では、金融機関や警察等の様々な取組みにより今後預金口座が犯罪に利用されていくことは少なくなっていくだろうと。預金口座の開設等がどんどん厳しくなっていき、悪用するのもどんどん凍結していくと。いずれ、こういった預金口座が凍結されて余りがでてくるのは少なくなっていくだろうと。ただ、今回は法施行前に凍結したものに対して、周知が完全ではなかったこともあって、大きく残っていると。今後振り込め詐欺対策が進んでいけば少なくなっていくはずの預保納付金を恒常的な財源としてどこまであてにしていけるのかというのが今回の議論の一つではないかと思います。話がずれて大変恐縮なのですけれども、振り込め詐欺対策が浸透、進展し、また第2回のところで議論されました返金率の向上、これもワークするとですね、預保納付金というものは一気に縮小していくものだと思いますので、そういった予測が正しいのだとすると、それにふさわしい使い方が一つ考えられて然るべきではないかと考えているところでございます。

○和田内閣府大臣政務官

ありがとうございました。

○冨田教授

ごく簡単にお答えいたします。一点目のご質問ですけれども、改めて申し上げるまでもなく、預保納付金は誤って失権した場合のために用意しているお金ですので、それ自体の意味がないとは当然のことながら考えておりません。ただ、実際の運用状況を見てみますと、非常に少ないので、今後も、おそらく、そういうことは少ないだろうと単なる予測に基づいて申し上げただけでございます。

それから二点目でございますけど、この法律では、「犯罪被害者等の支援の充実」という文言ですね。私はこの場合先ほども申し上げましたけど、犯罪被害者等については、立法者の意思をどれだけ推測できるかにかかわりますが、ここでおそらく想定していたのは、犯罪被害者等基本法にいう犯罪被害者であって、そこは犯罪被害者等基本法に書いてあるように犯罪の被害者及び、それに類似する心身に悪影響を受けた被害者ということを想定しているのではないだろうか。広くその被害者でとりわけ支援を必要としてる人に手当てのために用いるのが望ましいのではないかと思っています。合衆国の例でも、そもそもの財源と対象となる被害者というのは非常にズレが大きいわけですけども、それについても、とりたてて問題であるという議論はなされていないわけでございます。以上でございます。

○末松内閣府副大臣

ちょっと二人にお聞きするのですけど、江野弁護士のほうからは、振り込め詐欺に限っての使われ方を直接に関連付けて議論をされていましたけど、ざっくりとですね、アメリカの犯罪被害者基金ですね、そのような犯罪被害者の救済という観点から考えてみた場合、こういう犯罪被害者基金という形でですね、罰金とか色んな振り込め詐欺とかを一括で扱うような基金を日本で作るという考え方についてはどのように考えられますか。冨田先生にもお聞きしたいのですけど。

○江野弁護士

この1点も私見ということでお答えさせていただきたいのですけど、そのような犯罪者から徴収した罰金を被害者の支援にあてるという考え方には違和感はございません。今回、振り込め詐欺救済法の預保納付金について、振り込め詐欺被害者の救済に関わるものを先に述べさせていただきましたけれども、もとより、私どもは犯罪被害者等といった場合に経済的犯罪被害者に限られるというふうには理解はしておりません。ただ、一定の財源が限られてくるであろうということと、もう一つは振り込め詐欺被害者が奪われたお金でございますので。

○末松内閣府副大臣

それはね、もともとね。あまり悪乗りするなというような、そんな感じですけれどもね。

○江野弁護士

ええ。そういった観点から言うと、対象は広く考えたとしても、自ずと政策上のプライオリティというか、優先順位というものは整理されていかなくてはいけないことなのだろうと思います。

○冨田教授

アメリカの場合は、そもそも被害者支援のために税金を使わないということが大きなポリシーであったためこのような基金を作ってということで始まりました。我が国については、犯罪被害者に対する施策の中心は、犯罪被害者等給付金の支給ですけれども、これはもちろん一般財源でございますし、その背景となっている理念というのは国民の連帯共助の考え方であるわけです。

ここにその全体的に給付金の財源を罰金等に求めるということになりますと、今までの理念というかコンセプトが根本から変わることになりますので、かなり大きい議論になるかと思いますので、今ここで合衆国と同じような基金を使ってそこに罰金等を入れてですね、それで給付金も含めて被害者支援全般に用いるというのは直ちに賛成しかねるというところでございます。

○秋山弁護士

弁護士の秋山です。江野弁護士の申し上げたことと、若干重なる、言葉を変えていうだけかもしれませんが、このできるだけ振り込め詐欺の被害者に救済、予防にできるだけ使いたいというのはですね、我々の問題意識として、8月までで38億円ですけど、今後このようなお金が恒常的に大きなお金が生産されていくのは非常に望ましくない、本来は被害者に返るべきであって、もっとこういった振り込め詐欺のような被害がなくなっていって、まず、パイというものが小さくなっていく。それで被害者にたくさん返っていって小さくなることが必要であると考えております。

罰金ですと、それはもう既に国庫に帰属したお金であり、犯罪捜査が功を奏したといいますか、きちっと摘発が進んで、犯人にお金を払わせたということでございますので、それは犯罪被害者に広く支援に使うというのは施策上妥当なことだとは思うのですが、これは被害者に本来還るべきお金であって、なるべく小さいほうが望ましい。それによって犯罪被害者の支援が充実することになるというのは、どうもやはり食い違いますといいますか、筋がちょっと異なるのではないかと思います。すいません、補足でした。

○油布調査室長

ありがとうございました。

大分時間も超過しつつありますので、それでは、よろしければ、座長の和田政務官から閉会のごあいさつを頂きたいと思います。

○和田内閣府大臣政務官

皆様、お忙しい中をお集まり頂きまして、本当にありがとうございました。特に、今日ご説明頂いた方々には本当に感謝申し上げます。

今ご議論頂きました中にも出ておりましたとおり、預保納付金を犯罪被害者等の支援の充実のために支出するという規定が置かれておりますが、この文言に沿って使い道を考える際に、できるだけ国民の皆様方にご納得して頂けるような公正な使い方が求められているということが、改めて認識されたかと思います。

また、いかにしてこの犯罪被害者等の、これから定めてまいろうと思っているわけですが、支援の充実のために使っていく預保納付金が、きちんとした使い道に使われているのかということを、しっかりと国民の皆様方にご理解頂けるように対処していくことも大切であろうと思っておりまして、これは、両面から引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。

このプロジェクトチームで行ってまいりましたヒアリングは、一応、今回をもちましてひとまず終了とさせて頂こうと考えています。本当に関係者の皆様方、ありがとうございました。

そして、今後は、この頂いたご意見を、我々のほうでしっかりと検討を進める材料とさせて頂きまして、年が改まって1月以降できるだけ早い段階で中間論点整理ということで作成させて頂きまして、それをパブリックコメントに付していきたいと考えております。

実際に振り込め詐欺等の被害に遭われた方々も含めまして、国民の皆様方から広く、この預保納付金の使途について幅広いご意見をちょうだいしたいと考えている次第でございます。

また皆様方、本当にどしどしご意見をお寄せ頂ければ幸いでございます。

本日は、どうもありがとうございました。

午後5時20分 閉会

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課調査室
(内線3647、3524)

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