第2回「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム」議事録

1.日時:

平成27年12月16日(水)16時04分~17時35分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 金融庁共用第3会議室

【錦織室長】

それでは、ただいまより開会させていただきたいと存じます。私は本日の司会進行役を務めさせていただきます、金融庁総務企画局企画課調整室長の錦織と申します。よろしくお願いいたします。

開会に当たりまして、本PTの座長でいらっしゃいます金融担当の牧島かれん内閣府大臣政務官、御挨拶をよろしくお願いいたします。

【牧島座長】

本プロジェクトチームの座長を務めさせていただいております金融庁担当の内閣府大臣政務官の牧島かれんと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

出席者の皆様におかれましては、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。先月、11月19日に開催いたしました、第1回会合においては、主に関係府省庁等から振り込め詐欺救済法や、犯罪被害者等支援施策に関する制度の説明をいただいたところです。

本日の会合においては、こうした諸制度の概要を踏まえた上で、実際に預保納付金事業や、犯罪被害者等支援施策に携わっておられる方々や、金融業界からヒアリングをすることとしております。まず預保納付金事業の現在の担い手であります日本財団より、これまで預保納付金事業として行ってきた奨学金事業と、団体助成事業の状況について御説明をいただきます。今後の検討を進めていく上で、実際に業務に携わっていらっしゃる皆様のお話を伺う貴重な機会だと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

以上です。

【錦織室長】

ありがとうございました。

また、本日も内閣府からは犯罪被害者等施策担当の高木宏壽内閣府大臣政務官にも御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

【高木政務官】

よろしくお願いいたします。

【錦織室長】

それでは、説明に先立ちまして、本日の関係府省庁等からの出席者を御紹介させていただきます。

まず私の右手からのほうでございますが、内閣府犯罪被害者等施策推進室の及川参事官でございます。

【及川参事官】

及川でございます。よろしくお願い申し上げます。

【錦織室長】

続いて、財務省大臣官房信用機構課機構業務室長の和佐室長です。

【和佐室長】

よろしくお願いいたします。

【錦織室長】

続きまして、左側のオブザーバーについて御紹介いたします。警察庁長官官房給与厚生課の坂口課長です。

【坂口課長】

よろしくお願いします。

【錦織室長】

法務省大臣官房秘書課政策評価企画室の福原室長です。

【福原室長】

よろしくお願いします。

【錦織室長】

預金保険機構金融業務支援部の世取山部長です。

【世取山部長】

よろしくお願い申し上げます。

【錦織室長】

さて、本日のヒアリングの進め方について御説明いたします。今回はテーマが多岐にわたりますことから、テーマごとに入れかえ制で関係者の方々をお呼びさせていただきます。各テーマごとに御説明終了の後で、質疑応答の時間を設けておりますので、その都度、御自由に御質問等いただきたいと思います。

また、本日使用いたします資料は会議終了後、金融庁ホームページに掲載し、議事録についても同様の公表とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

それでは、預保納付金事業の担い手である、日本財団の皆様から同事業の現状等につき御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【芳川チームリーダー】

それでは、日本財団より報告と要望についてお話をさせていただきます。パワーポイントを使いましてお話をさせていただきます。

日本財団は2012年4月に担い手に選定いただきました。事業開始当初、日本財団は総額52.5億円の預保納付金を受け入れましたが、その際、指定された使途については、奨学金に40億円、助成事業に7.5億円、予備資金に5億円というものでした。

そして外部委員会の設置が決められています。現在、弁護士、企業、非営利団体、マスコミ、関係者により構成されています。

奨学金事業の概要です。まごころ奨学金は犯罪被害に遭われた子供を対象にした、無利子貸与の奨学金です。御覧の金額を上限に、1万円単位で設定が可能です。

申請方法ですが、随時受付という形をとっています。また募集要項とチラシは犯罪被害者が最もアクセスする市町村窓口や警察署を優先し、配布しています。

また御覧のとおり、専用ホームページを立ち上げまして、情報発信を行っております。

また、フェイスブックやツイッターを開設しまして情報発信に努めるとともに、プレスリリースを全国新聞各紙、雑誌など、合計90社に対して配信しています。

審査方法ですが、御覧のとおり、申請書など提出資料を確認の上、全件ヒアリングを行っております。

まごころ奨学金の貸与者の数ですが、現在、新規貸与の方が25名程度、継続の方が30名程度で推移しています。現在、合計60名の方が貸与を受けています。これを被害態様別でまとめますと、殺人や傷害などに加えまして、詐欺やDVなどといった被害者が多い状況です。

また、学校種別でまとめますと、大部分の方が大学に通うため、奨学金を貸与されている状況です。

現在の返済状況です。既に返済が始まっている方が16名います。そして、これとは別に8名の方が返済猶予の状況です。返済されている方は月額5,000円、または1万円を10年、もしくは20年かけて返済される方が多い状況です。まだ事業開始から2年半ということで、貸与総額は多くはない状況ですので、月額が御覧の金額となっておりますけれども、もし仮に高校から大学院まで全て貸与された場合は、月額2万5,000円を30年かけて返済することになります。

現在、8名の方が返済猶予の状況ですが、7名の方が高校から大学、大学から大学院など、進学のために継続してまごころ奨学金の貸与を受けています。なお、1名の方が経済的困窮を理由に、返済を猶予しています。

そして、まごころ奨学生の家庭状況ですが、約6割の方が母子家庭、あるいは両親がいない子供となっています。約2割の方が所得ゼロ、もしくは生活保護家庭です。そして平均所得は169万円となっています。

また、約4割がほかの貸与型奨学金と併用しています。御覧のとおり学生支援機構などの奨学金を併用して貸与している状況です。寄附型奨学金を受けているまごころ奨学生も6名おりまして、犯罪被害救援基金や、企業からの給付型奨学金などを受けている状況です。

奨学金事業の課題です。お話しさせていただきましたとおり、まごころ奨学生は厳しい経済状況に置かれています。この貸与型奨学金はさらに負担を強いている状況です。高校から大学院卒業まで貸与の場合は、卒業と同時に900万円の返済額が発生します。また現段階では前のプロジェクトチームにより示された、想定される貸与人数よりも利用者が下回っておりまして、奨学金資金が十分に活用できておりません。現在、奨学金の残高は39.1億円となっています。

続いて、助成事業の概要です。日本財団は24時間365日、犯罪被害者を支える日本をつくることを目標に、御覧の4つの支援の柱を設けています。1つ目が犯罪被害者支援団体の財政基盤を強化する事業である、自立に向けた基盤づくり事業、2つ目が犯罪被害相談員に対して研修などを実施する人づくりの事業、3つ目が犯罪被害支援活動の充実のために取り組む事業。4つ目が新規事業開発など、先駆的な取組みへの支援となっており、これら4つを支援の柱として、助成事業を行っています。

現在、犯罪被害者支援団体が抱える大きな問題の1つが、財政基盤の脆弱という点です。それが原因で人材不足の問題を抱えています。具体的には、事務局長は約2年周期で交代しておりますので、長期にわたり組織運営の中核を担う人材が不足しています。また犯罪被害相談員は常勤での雇用が難しいため、ほかの仕事とかけ持ちの方がいるなど、質、量ともに高い支援活動ができる人材が不足しています。

また、犯罪被害相談員の多くは60代が中心となっていまして、若手の人材が不足している問題があります。その結果、組織運営が安定せず、質、量ともに十分な支援活動ができていない現状があります。

このような背景から助成事業の考え方としては、まず財政基盤が脆弱という問題解決のために、団体運営の自立に向けた取組み、いわゆるファンドレイジング事業に注力しています。また助成事業は、いずれはなくなる不安定な資金でもありますので、この助成金資金の特徴からも、現在、団体運営の自立に向けた取組みに注力をしている状況です。

続いて、これまでの助成実績です。2015年度は84事業、約3億5,000万円の助成を行っています。具体的な事業内容については次に御紹介します。

団体運営の自立に向けた基盤づくりの事業においては、各犯罪被害者支援団体さんに中期的収支計画と目標の作成をお願いしています。そして、ファンドレイザーの雇用を行っていただき、また広報・啓発活動の実施を行っています。そして相談員のレベルアップにおいては、全国標準のカリキュラムの作成や、全国研修会の開催を行っています。そして直接的支援の普及と定着の分野においては、犯罪被害者等早期援助団体指定に向けた体制構築を目指す事業を行っています。

助成事業の募集については、専用ホームページでの告知、全国新聞各紙、雑誌合計90社へのプレスリリースの配信、主要6地域での説明会を実施し、周知に努めています。

申請は毎年1回、10月に行っています。審査方法は全件ヒアリングを面会もしくは電話で行っています。犯罪被害者支援センターにおいては、全てのセンターを訪問しまして、直接お話を伺いながら、現場での確認を行っています。また全国被害者支援ネットワークの各会議に出席しており、それらを通して助成事業の内容把握に努めています。

事業決定後の流れですが、御覧のとおりになっております。日本財団は全ての助成事業、一番最後の部分ですけれども、各団体を伺いまして、帳簿と領収書の確認など、実地監査を行っています。また現在、第三者評価機関による、先ほどお話をさせていただいた、ファンドレイジング事業について、事業評価も実施しています。

事業のフォローアップとしては、取材を行い、新聞記事への投稿ですとか、ウェブマガジンを通しての情報発信、また現在、各団体の自立に向けた取組みに注力しておりますので、そのバックアップのために、ファンドレイジングの考え方や手法を伝授するワークショップを自己資金により開催しています。また周知・啓発においても、全国的な取組みが必要であるため、全国キャンペーンを企画し、全国の犯罪被害者支援センターの若手代表を集め、ワーキンググループを立ち上げ、企画・実行に向け、準備を進めています。

助成事業の課題としては、まず助成金資金がいずれはなくなり、中長期的に見込みが立てにくい性格の財源であることにあります。御覧のとおり、来年度以降の金額がわからない状況です。

そして、犯罪被害者支援団体の課題として、先ほど申し上げたとおり、課題は大きく2つあり、1つ目の財政基盤が脆弱という課題については、ファンドレイジング事業において対応しておりますけれども、こちらの組織運営や支援サービスの質、量を充実させるための人材の雇用と育成においては、人材育成には時間がかかりますので、いずれはなくなる財源ですと難しい状況です。そのため、人材の雇用と育成のためには中長期的に安定した財源が必要な状況となっています。

以上を踏まえて、日本財団からの要望です。まず奨学金事業においては、貸与型から給付型への変更を要望します。また助成事業においては、奨学金資金の一部を中長期的財源として助成事業に活用できるよう、要望いたします。

最後に日本財団会長、笹川よりお話をさせていただきます。

【笹川会長】

日本財団の会長を務めております笹川と申します。

ただいま、担当者から縷々説明をさせていただきましたけれども、若干、私のほうからも追加をさせていただきたいと思います。3分間の時間をいただいておりますので、その範囲で説明をさせていただきます。

日本財団は、預保納付金事業において金融庁から、また外務省あるいは国土交通省、厚生労働省などから公金をお預かりいたしておりまして、各省庁の御指示の事業をコスト管理を徹底しまして、特に透明性と説明責任をきちっと果たしながら事業を行っているところでございます。

特に日本財団は、日本はもとより世界の人材育成のために健常者から障害者に至るまで、45の奨学金制度を実施してまいりました。したがいまして、奨学金制度につきましては、世界でも有数のノウハウを持った団体だというふうに、私どもは自負をいたしております。

日本財団は1997年から独自の財源で、犯罪被害者支援活動に取り組んでまいりました。全国に48の犯罪被害者支援センター及び全国被害者支援ネットワークを設立し、支援をしてまいりました。その総額は10億4,000万円でございます。これらの経験から、2012年に金融庁から預保納付金事業の担い手として御指名を賜り、さらなる犯罪被害者支援の充実のために、一層の努力を続けてまいったところでございます。

金融庁から御依頼を受けて以来、全額を犯罪被害者に活用をするよう、この間接経費は全て日本財団の資金で負担をしてまいっております。その間接経費の総額は6,500万円であります。今後とも日本財団は、間接経費の全てを負担し、この事業の充実・発展のために努力をさせていただきたいと願っております。

日本財団の先ほど申し上げました45の奨学資金は、このまごころ奨学金を除き、全て給付型であります。そして給付が終わった後も、この奨学生たちとの連絡、そしてネットワークを構築しまして、卒業後の人生もしっかりと我々との連絡によって、財団とともに成長をしていくというのが、私たちの事業の趣旨でございます。まごころ奨学金40億円のうち、現在、懸命の努力をしているのは、ただいま担当者が説明したとおりでございますけれども、残念なことに、1億円程度しか使えていないのが現実であります。全て近年は、世界的傾向を見ましても、奨学金制度は給付型に移行をしているのが現状でございますので、ぜひとも御理解を賜って、貸与から給付に変更をお願いをしたいと思います。

もう一つは、もし先生方の御事情が許しますれば、先ほど申し上げました犯罪被害者の支援センターというものは、全国に私ども立ち上げてきたわけでございますけれども、やっぱり人材が不足し、組織が脆弱であることは否めません。したがいまして、この40億円の一部を犯罪被害者支援活動に活用できるように御検討をいただきたいというのが2つ目のお願いでございます。

ありがとうございました。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして御質問等、よろしくお願いいたします。どうぞ。

【牧島座長】

御説明、ありがとうございました。間接経費についても御負担いただきながら、大変丁寧にお一人一人のお話を聞いていただき、面談もされているというお話を伺いまして、ありがたいなというふうに思いながら、お話を伺わせていただいております。

その中で、それぞれの御家庭の状況についての御説明がございました。御両親がいらっしゃらなかったり、また母子家庭であられたり、さらには生活保護世帯であるというような方々もいらっしゃるという、御説明でございますが、これはやはり犯罪の被害に遭ってしまったことをきっかけとして、生活が大変困窮されているということを証明する1つの指標になっているのかどうかの確認をさせていただければというふうに思っております。

また、給付型であると、どうしても自立することを促さないのではないかという御批評をされる方がいらっしゃるので、今、会長のほうから、そんなことはないのですよという、ネットワークもその後も一緒に人生の成長を見守っていくんですというお話をいただいたんだと思いますが、その違うお考えを持っていらっしゃる方たちに対して、どのように私たちは受けとめればいいのかというのを2点目、伺わせてください。貸与型から給付型にというふうになった場合に、どのような方法で既にお返しになった方と向き合えばいいのかという点、既にアイデアをお持ちでございましたら、参考までにお聞かせいただきたいと思います。

【錦織室長】

どうぞ、お願いします。

【芳川チームリーダー】

まず1点目の現場のお話からさせていただきたいと思っております。6割が母子家庭、両親がいない子供、2割が所得ゼロ、生活保護家庭ということですけれども、このまごころ奨学金は、殺人ですとか傷害もありますけれども、DVですとか、そういった被害を受けてお申込みをされる方が比較的多い状況です。そうなりますと、よくお電話で聞く話は、もとの旦那、内縁の夫でもいいんですけれども、その男性から逃げてきまして、県を移りまして、遠い、知らない場所に移ってきましたと。それでもともと専業主婦をされていたり、またはパートという女性の方が多いですから、新たな地に入ってきて、かつ子供もいますので、またゼロから全て人間関係も含めてやっていかれているという状況です。

ですので、非常に仕事の人間関係も全くない状況ですし、またそのお母さん自身も自分が犯罪被害を受けて、子供に迷惑をかけているということで、大変後ろめたさをもっている状況ですので、なので仕事をしよう、逆に追い詰めていくような形になっているのが現状となっています。なので犯罪被害を受けると、精神的にも、物理的にも非常に大きな被害を受けていると、まず御理解をしていただけたらなというふうに思っています。

【佐藤常務理事】

2点目の御質問についてですけれども、その前提となりますのが、そもそも被害に遭われた御子弟であるということでございまして、一般の健常の方と全く違う状況だと思っています。我々の基本的な考え方は、そもそもそういう方々なので、これ以上の負担を負わせていいのだろうかと。私ども東北大震災のときにも、いろいろな事業を展開してまいりましたけれども、その多くが大体企業、その他もろもろの方々からの給付型の奨学金、いわゆる自然災害でさえ、給付型の奨学金をそこで提供されてきた。一方では、犯罪という、いわれのない被害に遭われた方に、これ以上の負担を強いていいのかというのがまず前提にあると思います。

そのことと自立ということは全く違うことだとは思います。自立につきましては、先ほど、うちの笹川のほうから申し上げましたとおり、貸与だとか給付だと、そういったことは全く別のことだと私どもは考えております。その方たちが本当に人生どのように生きていくのか、寄り添っていけるのかどうか、そういったことが自立していけるのか、いけないのかということに関係しているというふうに理解しております。

【芳川チームリーダー】

最後の3点目についてですけれども、まだこれは素案というか、我々もアイデアベースと御理解いただければと思いますけれども、運用利息というものがあります。現在、奨学金の運用利息が約2,000万円、それで助成金では36万円、少額になっておりますけれども、そういったところで活用できるのではないかと。これはまだ素案の、本当にアイデアベースですけれども、そのようなことも考えております。

【牧島座長】

ありがとうございました。

【錦織室長】

そのほか、いらっしゃいますでしょうか。どうぞ。

【高木政務官】

まずは犯罪被害者の支援事業の担い手として、御活動いただいていることに敬意を表したいと思います。ありがとうございます。

その上で、今、佐藤常務理事さんからも、ある意味御回答をいただいたと思うんですけれども、改めて、今、日本財団さんが手がけている45の奨学金の全てが給付型ということでございます。唯一、貸与型はこの犯罪被害者の奨学金ということである中で、当時、なぜ貸与型にしたかといいますと、御承知のように、学業を終えた後、自らが社会に支えられたことを思い起こす機会を提供しようと。そして、子供たちに自立するインセンティブを付与することが重要ではないかというような考え方に基づいて、貸与型にしたわけです。改めてその自立と、そうした貸与か給付かということは全く別物なんだよという、先ほどのお話だったわけですけれども、犯罪被害に遭ったということ自体が、普通の何らかの事情で奨学金を受けられている状況と全く違うということに尽きるのか、その辺、もう一度御回答いただけたらと思います。

【笹川会長】

ただいま、佐藤のほうからお答えしましたように、第1点は御指摘のとおり、給付を受けるスタート時点で、もう大きなハンディキャップを彼らは負っているというのは、今までの説明で御理解をひとついただけるのではないかということと、もう一点は、この預保納付金事業が始まった当時から、非常に短期間ではありますが、さまざまなところに、この奨学金が集まるようになりました。このたったわずかな期間に、当初のつくった計画と相当社会状況が変わってきたということも、ひとつ先生方の考慮の中に入れていただければありがたいと思います。

【錦織室長】

そのほかございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、お時間も参りましたので、ここで御説明につきましては終了とさせていただきたいと思います。日本財団の皆様、ありがとうございました。

【笹川会長】

どうもありがとうございました。

【牧島座長】

ありがとうございました。

(説明者退室)

(説明者入室)

【錦織室長】

それでは続きまして、全国各地の被害者支援団体を取りまとめ、支援されているNPO法人全国被害者支援ネットワーク、そして預保納付金事業を活用している現場の被害者支援団体でいらっしゃいます、公益社団法人被害者支援都民センターの皆様から、犯罪被害者支援の状況等についてお伺いいたします。それでは、牧島政務官、一言御挨拶をお願いします。

【牧島座長】

私、本プロジェクトチームの座長を務めさせていただいております金融担当の内閣府大臣政務官、牧島かれんと申します。

今日はお忙しいところ、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。今、司会のほうからございましたとおりでございますので、早速お話を聞かせていただきたいと思います。心から感謝申し上げます。

【平井理事長】

全国被害者支援ネットワークでございます。本日はこういった機会をお与えいただきまして、誠にありがとうございます。感謝申し上げます。

早速でございますが、お手元の資料に基づきまして御説明申し上げます。

表紙に「全国どこにいても、いつでも求める支援ができる体制を目指して」とございますが、これは基本法、基本計画にございますように、必要な支援を途切れることなく受けることができるようにと、また具体的にその支援を継ぎ目なく体制づくりをする、それは民間団体とともにやっていくんだということが、基本法、基本計画で定められているところでございます。これは添付資料の1ページ目でございますが、このように定められておりまして、我々としては3年前から、こういった目標を定めて取り組んできたところでございます。

お手元資料の1ページ目でございますが、私ども全国被害者ネットワーク等、それぞれ都道府県にございます被害者支援センターの役割でございます。これも恐縮でございますが、添付資料の12ページを御覧いただきますと、全国の地図がございます。そこにございますように、全国で北海道だけが2カ所の48のセンターがございまして、それぞれセンターで電話相談あるいは面接相談、あるいは直接的支援ということで被害者に寄り添う活動をしているのが各都道府県のセンターでございます。私ども全国被害者支援ネットワークは、その活動が円滑に、また充実するように広報活動あるいは研修活動等々を支援しているということでございます。今年の6月でちょうど早期援助団体という仕組みができまして13年目になりますけれども、この47の都道府県で指定を受けることができた。そういう意味で、基本法で定められております「全国どこにいても」という体制は今年で整えられたということが言えるかと思います。

お手元資料の2ページ目でございますが、我々の役割でございます。御存じのとおり、犯罪被害者は、被害に遭ったときから悩み、苦しみ、そういう意味で生涯、その苦しみに耐えるということでございます。そのことがまた添付資料に被害者の声をつけておりますので、御覧いただきたいと思いますが、私自身も長男を殺害された被害者でございます。私と妻と娘、3人ともそういう意味で被害の内容も、被害の程度も、全く異なります。そして、もう19年になりますが、それは癒えることがないということでございまして、私の経験からすれば、生涯この悩みは続くということだと思います。

そういう意味で、我々の被害者支援団体は、この2ページの後段にございますように、途切れなく、きめ細やかに支援をするという役割でございます。基本計画ができまして、警察はもちろん検察、裁判所、弁護士、地方公共団体、それぞれ被害者について、あるいは被害者支援について御理解を深めていただいて、適切な対応をしていただけるようになっております。しかし、それはそこで役割が完結するわけでございまして、別に裁判が終わったからといって、被害者の悩みが終わるわけではございません。その活動をそういう意味で生涯続けるというのが民間団体でございます。

ぜひ、この役割を御理解賜りたいと思いますし、その活動している多くのほとんどの方がボランティアでございます。この2ページの下にございますように、人の心を癒やすのは、人の心の温かさだということで被害者がおっしゃっておりますけれども、まさにボランティアこそ、そのことが可能なんだと、こういうように考えて活動しているところでございます。

それで私ども、これは添付資料で恐縮でございますが、7ページでございます。相談件数がこういった形で、約1万7,000件弱ということで推移しております。御存じのとおり、日本の犯罪被害、これは毎年減ってきております。交通事故も減っております。しかし、我々の支援はどちらかというと増えてきているということでございます。中身も、現在は性犯罪被害が、この全体の35%ぐらい、殺人等身体被害が約30%ぐらい、交通被害が14%、振り込み詐欺等の財産的な被害が6%ぐらいということでございまして、そういう活動をしているということとあわせて、新しい基本計画ができまして、被害者の裁判等への参加ということが可能になりましてから、裁判所への付添い等の直接的支援が、現在このように、右側のように急増しているということでございます。そういった活動をしているわけでございますが、それは被害者支援をする相談員、支援員の人たちでございます。

その人たちは、ページ3にございますように、専門的な知識と経験が必要でございます。添付資料に移りまして恐縮でございますが、17ページにその仕組みを書かせていただいております。17ページには、こういった形で知識と経験を重ねて援助する、そういう担当と、それから直接的支援をする担当と、そして相談を担当するという形で、被害者及び被害者支援、あるいは法律関係の知識を学びながら、また経験を積みながら、こういう形で人材育成がそれぞれのセンターでなされているということでございまして、次のページの添付資料の18ページで、全国の被害者支援の活動をしていただいている方々、大体今、全国で1,440名ぐらいでございます。

御覧いただきましたらわかりますように、ここ4年間ほぼ横ばいでございます。その下の棒グラフを御覧いただきますと、真ん中の赤い棒グラフが直接的支援でございます。これは人数が増えてきています。先ほど申し上げましたように、直接的支援が急増しておりますので。しかし、誠に残念なことだと思っておりますけれども、相談経験を重ねて、そして実際に被害者の電話相談、面接相談を担当する相談員が微減しております。しかもこの人たちは60歳以上が54%、そして平成24年に全体で離職された方が90名でございましたが、25年には100名、26年には130名ということで、年齢とそしてさまざまな経済的な問題等も理由になっておりますけれども、この肝心の相談員がこういう状態でございますので、我々としては、今、10年計画を立てつつございまして、右側に薄く書いておりますが、いずれにしても増員を図っていかなければ、日本の被害者支援は先細りになるということは見えておりますので、そのことに力を入れていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

お手元資料の4ページを御覧いただきますと、今回のテーマでございます預保の納付金でございます。私ども、3年前からこの助成を受けることができるようになりまして、一言で申し上げれば、被害者支援センターそれぞれが、自分たちの財政基盤を構築して、そして組織的に自立していくということに関しては、大きく、この預保納付金が寄与したものと、それぞれのセンター、また我々ネットワークも大変深く感謝しているところでございます。

しかしながら、この3年間、ここにございますように、どちらかというとお金、物でございまして、今最大の問題である人について、これはこの3年間では助成を受けられておりません。したがって、我々としては何としても、この相談員の人材の確保と育成、そして24時間365日の体制をどうつくるか、ここにぜひ預保納付金の奨学金の活用も含めて、御支援を賜りたいと思っている次第でございます。

そういったことから、我々としては、10年計画というのを今立てておりまして、添付で詳細はまた御覧いただきたいと存じますけれども、時間の関係で、ポイントだけ申し上げます。どうしても24時間365日体制を目指して、我々としては進めたいと思っております。しかしながら、今申し上げた実状でございますので、おそらく48のセンターに、どこかがやっていただきたいと声をかけましても、おそらくどこからも、それは無理だということになると予測しております。我々がセンターの声を聞いておりますけれども、したがって、我々としては何としても、ネットワークとセンターがそういう意味ではこれまで23年間の支援活動の経験がございますので、一緒になってこのコールセンターを立ち上げられないかということで考えているところでございます。

ただ、本来は全センターが24時間365日を目指すべきだと思っております。したがって、今、休日や夜間の活動センターも徐々に増えてきております。ですから、その活動を進めるとともに、我々の全国でいつでも応えられるセンターをどこか1カ所に、最終的には我々の10年構想では、東北・関東等をブロックごとに6カ所という想定をしておりますけれども、とにかく1カ所のコールセンターを立ち上げられないか。

それとともに、それが実行できるためには、センターの相談員の増員が不可欠でございます。あるいは、これは基本計画の連携に関する検討会の提言でもございますが、資料の31にそのことは書かせていただいております。支援活動責任者とここで書いておりますが、要するにセンターで活動する統括責任者、この方を常勤で、専属で配置するということは、これはもう欠かせない。

今、まだ半数弱しかそういった組織はできておりません。しかも処遇も不十分でございます。ですから、我々としてはそういったことを組織としても、また活動費としても、そこに充てたいと思っておりますし、残念ながら活動いただいているボランティアの方に交通費も支払えていないセンターがございますし、まして、若干の手当でも出せていないセンターもございます。約3分の1ぐらいはそういうセンターでございますので、我々として、あわせて、少なくとも何も出せていないセンターについては、若干の手当といいますか、活動費をお出ししたいと思っております。

この我々の今計算しました計画値では、相談員の増員で、年間、初年度で約1.2億円、そして支援活動責任者の配置で約1.2億円。これは30ページに詳細がございますので、また後ほど御覧いただきたいと思いますけれども、そのぐらいの費用が必要だと。こういうことも相まって、どちらも我々としては重要であって、こういうことなくしてコールセンターも、私は立ち上がっていかないと思います。ぜひ、あわせて相互関係の中で御理解いただきまして、預保納付金の奨学金の見直しの活用も含めて、このことを御理解いただいて、御支援賜りたいと思っております。

時間の関係で、はしょって恐縮でございますが、ぜひ御理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【渋谷専務理事】

被害者支援都民センターの渋谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

当センターの活動等について、御説明をさせていただきます。配付させていただいております資料の1枚目、被害者支援センター都民センター概要を御覧いただきたいと思います。センターの沿革等につきましては、記載のとおりでございますが、特徴といたしまして、平成20年4月から東京都との協働事業として、犯罪被害者支援のための総合相談窓口をセンター内に設置しております。この事業により、精神科医等によるカウンセリング等、精神的支援もあわせて行っております。

次に体制でありますが、2枚目の組織構成図もあわせて御覧いただきたいと思います。役員につきましては、理事長以下18名、監事2名、顧問8名となっております。職員は17名で、総務課、相談支援室の2つに分かれておりますが、いずれの事務局長も空席でありますので、専務理事が事務取扱となっております。

支援室は、犯罪被害相談員等、これは直接的支援員もおりますが、10名の体制でございます。精神的ケアとして、臨床心理士の4名の14名体制でございますが、常勤は相談員1名ということで、他については全て非常勤という形で勤務していただいております。ボランティアは22名登録されておりますが、このうち8名は、週1日、当センターで研修をしていただいております。

次に事業につきましては、1枚目の資料のとおりでありますが、平成26年度の活動結果につきましては、資料の3枚目を御覧いただきたいと思います。相談受理総件数は5,381件で、平成22年度から5,000件台で推移しております。内訳といたしましては、電話相談は3,570件、全体の約66%でございます。面接相談は1,311件で、約25%、直接的支援は500件で約9%となっており、昨年と比べまして、直接的支援が増加しているというような特徴がございます。

詳細につきましては、資料に記載しておりますが、簡単に説明させていただきますと、電話相談回数は1日平均14.6回、面接回数は1人当たり約7.1回、支援回数は1人当たり約4.2回となっております。

被害別では、性被害が約40%、交通被害が約21%、殺人が14%、その他ということになっております。

次に預保納付金事業でありますが、1に記載のとおり、会員管理等ファンドレイジング全般を担当する職員1名を採用しております。

2の設備整備ですが、御支援をいただきまして、施設やシステムの改修、整備等を行いましたので、支援環境は飛躍的に改善されております。

3の人材育成につきましては、全国の犯罪被害相談員等を対象に、直接的支援実地研修を年10回、20名に対して実施しております。研修に参加した相談員等からは、地方に比べて支援事例が多く、各段に違うということで、非常に勉強になったということで、好評をいただいております。

次に当センターにおける人材育成でございますが、1に記載しております、被害者支援セミナー、これはボランティア候補者研修といいますが、これを毎年、公募により実施しているほか、受講生の中から選考の上、さらにステップアップ研修、これは大体1年半ぐらい要するのですが、ということで研修をさせていただいています。さらには、センター研修、これは職員として採用できる候補者ということで、それを経て随時採用という形にしております。

また職員を対象とした内部研修にも、センターで研修しているボランティアが参加して、こういったスキルアップも図っているというようなことでございます。当然、職員の内部研修につきましても、資料記載のとおり、計画的に実施をいたしまして、それぞれレベルアップを図っているというようなところでございます。

最後に、業務運営に関しましては、当センターの業務運営の内容でございますが、会員の年会費、寄附、それと東京都との協働事業をしていますので、これの負担金、あとは広報・啓発ということで補助金をいただいております。それで日本財団からの当然助成金というものをいただいておりますし、あと職員の講演とか講習における謝金というような形で、対応してございます。ただ、昨今の民間企業の財源の節減というような形だとか、世代交代ということも相まって、非常に財源の確保については困難を来しているということから、人員の採用についても非常に困難を来しているというような状況でございます。

被害者支援都民センターからは以上でございます。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして御質問等、よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

お話を聞かせていただきまして、特に平井理事長におかれましては、御自身のお話も、私たちにお聞かせいただいたことに心から感謝を申し上げたいと思っております。多くの被害に遭われている方たちを、政治や行政のみならず、ボランティアの方たちのお力もお借りしながら、何とかお救いできるところ、頑張っていかなければいけないなということを改めて感じさせていただいております。

また、お電話の相談をされているボランティアの方のお話も伺うことがありますけれども、どうしても夜中にお電話をする、また心細くなっていく時間帯が昼間とは限らないということもあるでしょうし、24時間の対応というのは望まれるところだろうというふうに、私自身、個人的には大変強く思っているところです。

そこで、人材の育成も進めていかなければならないという中で、ボランティアをされている方たち、そして直接支援をされている方、またそれをマネジメントする指導者的な役割を果たす方、3つのレイヤーのような形での御説明をいただきました。どの人材もおそらく必要なんだろうとは思うんですけれども、それぞれの課題とか、特にここに今、力を入れなければならないのだというようなことがありましたらば、お聞かせいただきたいというのが1点目です。

もう一つは、被害者支援都民センターさんの活動の御報告のほうで、お聞かせいただければと思ったんですけれども、3ページ目に電話等の御相談と面接の御相談それぞれの内訳が記載されています。お電話での御相談のところですと、虐待とかDVとかストーカーのお電話の御相談が多く、面接の御相談ですと、ストーカーとかDV、虐待が数字としてはあまり出てきていないのは、このお電話ではストーカー等の相談をしても、その後、御自身が面接まで望まれないというようなことがあるのか、気になりました。

それから、財産的被害というのも、お電話の御相談で、面接にはあまり移行されていないように思ったので、その背景を教えていただければと思います。

【平井理事長】

まず私のほうから御説明申し上げたいと思いますが、添付資料の18ページを御覧いただきたいと思います。先ほど御説明を若干させていただきましたが、今御質問がございましたように、いわゆる補助者といいますか、と直接的支援される方と電話相談、それが先ほど御説明しましたように、経験を重ねていくごとに、そういうステップを上っていくというか、そういう育成の仕方、あるいは活動の仕方になっているわけでございますけれども、この図を先ほど御説明しましたように、一番重要な電話相談、これは一応法律で決められておりまして、時間数で言いますと、約1,800時間の経験が必要だということでございます。

つまり、3年間毎日おいでになるという方は少のうございますので、最低3年間は継続しないと、なかなか電話相談員にはなっていただけないというような実状でございまして、先ほど申し上げましたように、60歳以上が54%、そして離職者が年々増えていると申しましたら、何を置いても、このブルーをいかに増やすかと。したがって、私どもは右側にちょっと薄い形で書いておりますけれども、やはり800…。イギリスは1万5,000名です。日本は1,450名です。他の国といろいろな制度、仕組みも異なりますので、決してそれを単純比較するつもりはございません。ですけれども、この姿を見たら、私は何としてもここを増やす、それはなぜかという原因を考えていきますと、やはりそこにリーダーがいない。それではやめていかれることも、育つこともない。

しかもこれは基本計画の連携の検討会で、このコーディネーターが重要だということを明記されているわけです。ただ、残念ながら今、今日まで10年たちますけれども、このコーディネーターの育成というのはできておりません。ネットワークで我々が認定している、ネットワークの認定のコーディネーターが今全国で8名でございます。この方々がそれぞれブロックごとにおられて、人材育成なり支援活動の指導助言をしているという実態でございまして、我々としては何としても、ここに限ると。このためには、先ほど申し上げたような責任者と、そしてせめて御苦労さまでしたねと示せる、それだけを望んでいるわけでございます。ぜひ御理解賜ればと思います。

【秋葉専務理事】

あと直接面接相談、面接相談は、やはり経験がないとなかなか難しい。電話もそうですけれども、やっぱりそこが先ほど理事長が言った形でやってもらえると、非常に育っていくのかなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

【渋谷専務理事】

都民センターのほうから御説明させていただきます。

先ほど、虐待とかDVとかストーカーの電話相談の割には面接の回数が少ないではないかという御質問でございますが、当センターでは電話の相談を重視しております。ですから、電話を受ける相談員を経験の豊富な、そこで判断できる相談員を充てています。ですから、ほとんどの相談につきましては、いろいろな手続の教示だとか、あとどちらのほうに対応させていいかとか、そういう形のものが当然多いということでございます。

それで、その中から相談員が日を決めて、面接をしていただくということになるんですが、その場合については、当センターにつきましては、件数の割にはそういった深く御支援するとか、あとは当然、精神的なケアも必要であれば、その段階で相談員と臨床心理士を帯同させまして、それと精神的ケアも必要かどうかという判断も一緒にその段階でやるという形をとらせていただいておりますので、数字には特段そういった形であらわれていないというのが実態でございます。

【牧島座長】

わかりました。ありがとうございます。

【錦織室長】

そのほかございますでしょうか。よろしいですか。

それではこちらで、活用団体からのヒアリングを終了させていただきます。全国被害者支援ネットワークと被害者支援都民センターの皆様、どうもありがとうございました。

【平井理事長】

どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

ありがとうございました。

(説明者退室)

(説明者入室)

【錦織室長】

それでは、本日最後になりますが、一般社団法人全国銀行協会の皆様から銀行界における振り込め詐欺の被害者に対する返金率向上に向けた取組みの現状等につきまして、御説明いただきます。御説明の前に、牧島政務官から一言お願いいたします。

【牧島座長】

今日はありがとうございます。本プロジェクトチームの座長を務めさせていただいております金融担当の内閣府大臣政務官、牧島かれんと申します。どうぞ、今日はよろしくお願いいたします。

【錦織室長】

それでは、どうぞ。

【岩本理事】

全国銀行協会の岩本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は当協会並びに会長会社であります、みずほ銀行の金融犯罪対策担当とともに出席をさせていただいております。よろしくお願いします。

それでは、資料に沿って、前回の平成22年の預保納付金プロジェクトチーム以降の銀行界の取組みを中心に御説明をさせていただきます。

このページでは、振り込め詐欺の被害に遭われた方に対する振り込め詐欺救済法に基づく返金実務の流れを記載してございます。主な流れといたしましては、まず一番上のところで、警察からの連絡等に基づきまして、迅速な口座凍結を行うというのがまず最初であります。

次に、預金保険機構のホームページで権利消滅の公告が行われます。ここで、自分は正当な預金名義人であるというような預金の権利行使のお申し出がない、通常、犯罪利用ですので、名乗り出る場合が少ないんですけれども、この届け出がなかった口座について、預金債権は消滅するということになります。

続いて、これを受けて、金融機関のほうは振り込め詐欺等の被害者に対しまして、個別に連絡を行います。被害者に分配するための手続の案内を個別の被害者に連絡をとって行うということであります。その後、預金保険機構のホームページで資金分配の公告が行われ、被害者からの支払い申請を受け付けた上で、分配金の支払いが行われるということになります。

最後ですが、残余資金の処理として、残余金を預金保険機構さんに納付をし、一連の手続が終了するという流れであります。

次のページ。このページでは直近3年間における振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の被害金額について警察庁公表の統計資料をもとに、グラフにしたものであります。これによりますと、グラフが下の近年になるにしたがって長くなっておりますが、被害金額が増加傾向であります。一番下の平成26年は合計約566億円というふうになっています。このうち、オレオレ詐欺や、架空請求詐欺、青色で塗ってある部分ですね。ここが約380億円、金融商品等、取引名目の特殊詐欺をはじめといたします、振り込め詐欺以外の特殊詐欺の被害金額が赤で塗っております186億円余りというふうになっております。振り込め詐欺が増加する一方で、振り込め詐欺以外の特殊詐欺は減少傾向にあるというのが見てとれます。

次のページです。このページでは振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺につきまして、被害者の方が犯人にどのような形態でお金を渡してしまったかということを警察庁公表の統計資料をもとに、直近2年間の状況をグラフ化したものであります。これによりますと、下の段の平成26年のグラフでは、一番左の振込型、これが108億円。真ん中の一番大きいところですが、現金手交型、現金を手渡すようなことが237億円、一番右の現金を直接送るという方法が217億円となっておりまして、現金を直接手渡すというのが一番多く、現金を送るというものも急増しております。一方、銀行口座を使う方法というのは少ないという状況であります。振り込め詐欺救済法の対象となりますのは、このうち銀行口座を利用する振込型ということになります。

次の4ページ目であります。増加する特殊詐欺被害でありますが、警察と金融機関をはじめとする民間との連携によりまして、水際阻止の取組みも効果を上げてきているところであります。金融機関で言えば、一定年齢以上の御高齢のお客様が高額の預金の払い戻しにいらっしゃるとか、あるいは振込みをしたいというようなことで、窓口にいらっしゃった場合、窓口の職員が声がけする、あるいは警察に通報するなどの取組みによりまして、被害を未然に防ぐというようなことが行われております。こうした取組みによりまして、警察発表によりますと、平成26年では一番右のグラフでありますが、297億円の被害が阻止できたということでございます。

次のページをお願いします。これは今回のプレゼンテーションに当たりまして、当協会の会員銀行のうち、大手行をはじめといたしました14行を対象に実態調査を行いました。この結果であります。このグラフの一番下の(注)にありますとおり、前回のPTで、預金保険機構さんから出された資料を見ますと、平成26年度に預金保険機構における支払手続の終了公告が行われた金融機関の数は信用金庫、信用組合等を含めまして409ございましたが、このサンプル的に私どもが調査いたしました14行というのは、消滅預金等の債権の額で見ると、全体の74.6%、預金保険機構への納付予定額で見ますと、73.5%をこの14行で占めているということで、一応この14行をとりあえず調査をいたしましたけれども、この14行の状況で全体の傾向がわかるのではないかというふうに考えております。

グラフでございますけれども、この14行が凍結をいたしました預金口座のうち、振り込め詐欺救済法の対象になると考えられます口座数を犯罪種類別に調査し、集計したものであります。この調査結果によりますと、直近3年度とも、一番真ん中の少し緑色がかったところですが、マル3のヤミ金融に係る凍結口座が40%強を占めるという状況であります。また傾向といたしましては、左から2つ目のマル2、振り込め詐欺以外の特殊詐欺、これが減少しておりますほか、新たな犯罪類型であります、右から3つ目、マル4のネットショッピング詐欺に悪用され、凍結した口座数が最近急増しているという状況であります。

次のページをお願いします。これは実態調査を行った14行における凍結口座について、滞留していた資金総額を犯罪種類別に調査したものであります。ここで滞留している金額というのが振り込め詐欺救済法に基づく被害者への返金の原資になるものであります。被害者にもし返金できなかったという場合は、預金保険機構さんに納付されるということになります。3年度分をグラフでお示ししてございますけれども、一番下の平成26年度につきましては、調査した14行の合計で約16億8,000万円という金額になります。

この調査結果によりますと、資金ベースでは、グラフの一番左側のマル1の振り込め詐欺及びマル2の振り込め詐欺以外の特殊詐欺の合計が各年度とも50%を超えております。このマル1マル2の形態の詐欺に関しましては、この次のページでまた数字をお示しいたしますが、これらの犯罪類型に係る口座滞留資金の80%は被害者の方に返金できているという実態がございます。

一方でありますが、直近3年度とも、マル3のヤミ金融に係る凍結口座の滞留資金が十数パーセントありますほか、新たな犯罪類型でありますマル4ネットショッピング詐欺、それからマル5のインターネットバンキング不正送金に悪用され、凍結した口座に係る滞留資金が急増しているという状況であります。

次のページをお願いします。これは14行における凍結口座について口座利用停止時点を基準に、平成27年9月末までに振り込め詐欺救済法に基づく失権手続が終了した口座に係る滞留資金について調査をいたしまして、計算をいたしました、いわゆる返金率であります。被害者にお金を戻せた割合のグラフであります。これによりますと、グラフの一番上、直近平成26年度は上から2つ目になっていますけれども、マル1の振り込め詐欺、それからマル2の振り込め詐欺以外の特殊詐欺に係る凍結口座の滞留資金は、各年度とも80%を超えて被害者の方に返金できております。

一方、直近3年度とも、その下のほうにあります、一番下のグラフでありますけれども、マル3のヤミ金融に係る凍結口座の返金率は40%台と、相対的に低い。あるいは新たな犯罪類型であるネットショッピング詐欺に係る滞留資金の返金率も、4割から6割台ということで、全体の平均であります70%台の数字と比較すると、これらのヤミ金融、ネットショッピング詐欺といったものに係る滞留資金については、半分以下しか返せていないという状況であります。これらの犯罪類型に係る返金率が低い理由は後ほど御説明をいたします。

次のページをお願いします。ここでは私ども全銀協における被害者の方への返金に係る手続の周知の取組みについて書いてございます。全銀協では振り込め詐欺救済法の施行前に、銀行共通の手続として、「被害回復分配金の支払等に係る事務取扱手続」というのを制定いたしまして、これにあわせまして、ここの(1)に箇条書きで記載してございますような具体的な返金手続をリーフレット、あるいはウェブサイト等で周知・広報しておりますほか、実際に被害に遭われた方については、当協会のウェブサイトの振込先銀行の電話連絡先一覧、これを御覧いただけば、振込先銀行にお問い合わせいただき、被害回復分配金の受け取りに関する手続を御案内してさしあげることができるというようになってございます。

次のページをお願いします。この全銀協の事務取扱手続では、被害が疑われるお客様、潜在的被害者に対して、振込先金融機関から連絡をとるように努める旨を記載しております。この潜在的被害者の連絡等に関し、近年、下の表に記載のとおり、2回ほど改善を行っています。特に直近では先ほど御説明のとおり、被害が急増しておりますネットショッピング詐欺などの犯罪被害者に係る周知について、事務取扱手続に具体的な要件を追加いたしましたほか、銀行界全体の返金率を底上げを図るという観点から、返金率が高い銀行の好取組み事例を会員銀行に周知するといったような取組みを、この5月にも行っているところであります。

なお、これらの改善内容等々につきましては、私どもの会員銀行の間で共有するだけではなくて、私どもの会員ではありませんけれども、信用金庫とか信用組合等の業態にも参考として説明をしているところであります。

次のページを御覧ください。私ども銀行界として、返金率をさらに向上させるための取組みとして、目下、2つのポイントがあるというふうに認識をしております。1つ目は、銀行界全体に関連するものとして、各会員銀行における潜在的被害者への連絡、掘り起こし、これを推進することが1点目。2点目は、銀行界の中でも一部の銀行におきまして、返金率が相対的に低いといったところがあります。こういった銀行に対して取組み強化を促すということであります。返金率の向上につきましては、銀行界としても重要なテーマというふうに認識しておりまして、全銀協の事務局といたしましても、返金率が低い銀行を訪問して注意喚起をしたり、あるいはその銀行とディスカッションの場で、他の会員銀行の好取組み事例を紹介するなどして、対応を促す取組みを実施しているところであります。

次のスライドで、会員銀行における潜在的被害者への連絡に関する課題について御説明をいたします。この11ページ目ですが、潜在的被害者への連絡に関する課題といたしましては、振込先の金融機関が被害者の方に連絡する場合に、振込元の金融機関から電話番号等の連絡先情報を得たくても、振込元の金融機関にとって、一見の顧客であった場合には、連絡先の情報が得られないということがあります。また、連絡先の情報が振込元の銀行にあったとしても、電話番号が変わったとかいったような変更手続がとられておらず、電話がつながらないというケースも多うございます。

一方、被害者の方のほうが連絡を希望されないと、もう連絡しないでほしいと言っておられるケースもございます。犯罪の類型によっては被害のことはもう思い出したくないんだと。またわずかな返金しか見込めないから、もう連絡しなくていい、あるいは家族に被害のことを知られてしまうのが嫌だというような理由がございます。

次のページであります。先ほどのスライドにもありましたけれども、ヤミ金被害者の返金率が低くなってございますが、この背景といたしましては、そもそも御本人が被害者であるという認識をされていないという方が多い。単に金を借りて返しただけだというような認識の方が多いと。あるいはヤミ金に悪用された口座というのは、非常に多数の振込みがあるというケースが多いわけでございまして、なかなか被害者、振込みした人への連絡の範囲にも一定の限界があるという実務上の問題もございます。

その他の課題といたしましては、特にネットショッピング詐欺のような場合、詐欺の被害に遭った被害者と商品代金の決済のための通常の振込みを行っただけの利用者が混在しておりまして、口座の動きからだけではそれを見分けるのが困難だという部分もあります。

さらにネットショッピング詐欺では、先ほどのヤミ金以上に振込人が非常に多数であるということ、あるいは個々の振込人が振り込んだ金額が1万円未満の少額であるというようなケースということで、分配しても戻ってくる金が非常に少ないということで、被害者の方に連絡がついたとしても、手続が煩わしいから、もう連絡しなくてもいいよと言われるケースが非常に多くなっていること等があります。

次のページをお願いします。銀行界では返金率の向上に向けた取組みに加えまして、振り込め詐欺という犯罪の被害自体を減少させるべく、さまざまな取組みを行っております。まず口座開設の受付時には警察当局と連携いたしまして、いわゆる凍結口座名義人リストを活用するなど、不正利用口座の作成を未然に防止しております。このリストの活用の当初でありますが、振り込め詐欺に悪用されたことを理由に凍結された口座名義人の情報を警察庁経由で全銀協を通じて、全会員銀行に共有をしておりましたけれども、その後ヤミ金や利殖勧誘事犯などに悪用されたものにつきましての口座名義人情報につきましても、警察庁から情報をいただき、銀行界で共有をしております。

また警察庁の説明によりますと、このリストは銀行界との共有からスタートをいたしましたが、現在では預金取扱金融機関全体の業界に提供されているということであります。このほか、銀行界として口座開設に係る本人確認の徹底を図るべく、折に触れ通達を出すなどの取組みを行ってきているところであります。

次に14ページでありますが、今度は口座を開設した後の口座の動き等の期中の管理であります。ここでも警察当局と連携し、お客様への声かけと警察への通報を行うこと等によりまして、先ほどのように、かなりの水際阻止ということをやっているというところであります。

それから、先ほど救済法のまず一番最初の手続でありますけれども、警察からの要請があれば、不正利用口座を速やかに凍結するというような動きを推進しております。さらに、システム的な監視といたしまして、通常の銀行取引とは異なると推測されるような、異常な取引が検知された場合、そういったものをシステム的にモニタリングをして、口座凍結に結びつけているといったようなことをやっている銀行もございます。

あるいは、万が一被害に遭われた場合の抑制策といたしまして、お客様にATMの利用限度額の引下げをお勧めするといったようなこともございます。こうした振り込め詐欺被害の防止につきましては、全銀協として金融犯罪の防止啓発イベントといったようなものを主催をいたしまして、広く一般の方に啓蒙しておりますほか、警察、金融庁さんとも連携して、ポスター、リーフレットを作成するなどして、周知・広報に努めているところであります。

最後、15ページでありますけれども、銀行界における今後の取組みであります。3点書いてございます。先ほどにも触れましたけれども、振り込め詐欺をはじめとする犯罪に悪用され、凍結された口座数が増加傾向にありますことから、まずは口座開設をする段階での審査を徹底して行っていく。あるいは口座を売買することは犯罪行為であるということを広く啓蒙するなどをいたしまして、まずは銀行口座が犯罪に利用されないようにしていくというのが1点目であります。

次に警察との連携等によりまして、振り込め詐欺被害の未然防止活動を引き続き継続し、被害の抑制を図っていくこと。最後に、被害に遭われた方の口座を速やかに凍結して、その返金率の向上を図っていくということでありますが、先ほど御説明いたしましたとおり、金融機関によりまして、返金率にばらつきがありますので、返金率が相対的に低いという銀行について、いろいろな情報提供並びにノウハウの提供等を行いまして、全体的に底上げを図っていくという取組みを今後も引き続きやっていこうというふうに考えているところであります。

長くなりましたけれども、私の説明は以上であります。ありがとうございました。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等、よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

御説明ありがとうございました。先日、新聞記事でも振り込め詐欺について被害に遭われた方、そしてその御家族の状況が書かれていたものがありました。高齢者の方が被害に遭ってしまって、それを御家族の方がどうしても、「何でだまされてしまったんだ」というふうに責めてしまう。そうすると、家族の中でも孤立してしまう。場合によっては、自殺をしてしまうこともある。そうすると自殺をさせてしまったのは自分なのではないかと、家族が思ってしまうというように、大変不幸な事態が起きてしまっているので、何としてもこの犯罪はとめていかなければならないと思っておりますし、御協力いただいていることにも感謝申し上げます。

資料の最後にありましたとおり、この3点を進めていくというのはそのとおりだと思います。特に返金率がまだ向上していない金融機関の皆さんに対しての働きかけというのを強化しなければならないのではないかなというふうに思っています。

その中で、何でこれだけ広報活動をしているのに、なくならないのかというので、お客様への窓口でのお話、お声がけなどもしていただいていると思うんですけれども、この5ページのところにもございますとおり、振り込め詐欺というのは、どうしても数字が多くなってきてしまっている。もちろん、このネットショッピング詐欺の御説明もありましたが、手口が巧妙化しているというのもあるのかもしれませんけれども、もう一歩広報活動として、何をしたらいいかというものが、御示唆ございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

【岩本理事】

これは地道に、私ども全銀協も、それから直接お客様との接点がある会員銀行のほうも、その地域のいろいろな、例えば消費生活センターとか、御老人の集まりだとかというところで、私なんかも各地に行って、最近はこういう類型、手口の振り込め詐欺が多いんですよというようなことを地道に周知していくということだと思うんですね。

いろいろな手口があるんですけれども、結局最後は金を渡せというか、振り込めとかいうようなことにつながってくるわけなので、やっぱりお金を欲しいと言われたらやっぱり疑ってくださいというところを粘り強く、特にお年寄りの方に伝えていくという活動が重要なのかと思います。

【錦織室長】

どうぞ。

【高木政務官】

金融機関として、被害の未然防止とか、返金率の向上に取り組んでいただいていることに感謝申し上げたいと思います。そこで、この預保納付金の原資というのは、振り込め詐欺等の被害に遭った方の資金でありますから、本来は全額返金できれば一番望ましいわけでございます。そこでいろいろと理由をここに記載されているわけなんですけれども、返金率を上げる上での一番のボトルネックといいますか、隘路になっているのは、例えば振込先がわからないというのが一番大きいのか、何が一番の課題だと考えているんでしょうか。それが1点。

あと、やはり金融機関によって非常にばらつきがございます。その低いところの底上げというのが私も非常に重要だと思いますが、そこに対する対応として、どういうことを考えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。

【岩本理事】

振り込め詐欺のように、1人御老人がだまされて、そこから1件で多額の金を振り込ませるというのは、割と被害に遭った方も見つかりやすい。結構まとまった金を取られていますので、返金ができるんだったらしてほしいということで、この手続に乗ってくるんですけれども、やっぱり少額を多数から集めるタイプですね。1人数万円、有料サイトを見たでしょうというような形でやられたものは、本人もやや後ろめたいところがあって、もう銀行から連絡は要らないよとか、家族に知れたら嫌だよとかというような話とか、あるいはヤミ金とかの場合は、いわゆる正規の業者だろうが、ヤミ金だろうが、金を借りたものを返さない、返したなどで、別に自分は詐欺の被害に遭ったつもりじゃないというような方も多いというところですね。ですから、後者の多数から少額を集めるような詐欺が増えてくると、やっぱり返金が非常に難しいということにつながってくるんだろうと思います。

【高木政務官】

返金率の低いところは。

【岩本理事】

そこはやっぱり、これは各銀行のノウハウの蓄積だと思うんです。私どもは振り込め詐欺救済法をつくった時点で関わりがありましたけれども、当時からやっぱり大手の銀行さんは、今日もいらっしゃっていますけれども、金融犯罪対策室といったような、専門の部署をつくって、それなりの人数を張りつけて怪しい口座の動きをしているもののモニタリングから、いろいろなノウハウ、それをもうシステムでアラームが鳴るようにしているようなところを組んでいるようなところまで整備されているところが大手銀行さんですけれども、やはりそれ以外のところは、まだまだそういったノウハウの蓄積が途上だというところもあるのが実態でございます。そういったところは私どもの事務局の人間なんかも、返金率が低いというところにお邪魔をして、こういうシステムで大手行はやっていますよというようなことをいろいろ教えたりしているところです。

【錦織室長】

そのほかございますでしょうか。よろしいですか。

それでは第2回ヒアリングにつきまして、ここで終了させていただきたいと思います。最後に牧島政務官から閉会の御挨拶を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

本日はお忙しいところ、お話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。今後の検討を進めていく上で、関係団体の皆様から有益なお話を聞くことができたというふうに思っております。

まず最初に日本財団からお話を伺ったんですが、奨学金事業について、これまで貸与を受けてこられた奨学生が大変厳しい経済状況に置かれているという現状を踏まえて、貸与から給付に変更すべきといった御提案がございました。スタート時点から犯罪被害者であるというハンディを負っていらっしゃる方たちであるということ、さらには給付型であっても、連絡を取り続けるなどして、見守ることはできるのではないかといったお話も聞かせていただきました。また団体助成事業については、犯罪被害者等支援団体の組織経営が安定しておらず、人材の面でも不足があるという御指摘がありました。

また、次に伺いました全国被害者支援ネットワークと被害者支援都民センターからは、24時間365日の相談体制という目標に向けての取組みの御紹介がありました。ネットワーク認定のコーディネーターの数が大変限られておりまして、直接支援員、ボランティア支援員など、定着に向けて預保納付金事業についての御要望がありました。

最後に全国銀行協会から、最近の振り込め詐欺等の状況、また金融機関として被害者の方への返金率を向上させるために行ってこられた取組みについて、さらには返金率のばらつきが見られることへの対処など、今後の取組みについてもお話を聞かせていただきました。振り込め詐欺等が発生してしまった場合、まずは被害者の方に返金するということが重要であると考えております。そのためには引き続き金融機関において返金率の維持・向上に向けた不断の取組みを行っていただくことをお願いさせていただきたいと思います。それでもなお、被害者の方々にお返しできず発生してしまった預保納付金の使途については、本来減少していくことが望ましいという預保納付金の性格や、事業の優先順位等を勘案しつつ、検討する必要があります。

本日、皆様からいただいた御説明は検討に当たって、大変参考になるものでございましたので、これからの次の課題に向けて答えを出していきたいと思います。

次回の会合は、来月ごろの開催を予定しておりますが、詳細につきましては後日、事務局から御連絡いたします。

本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

以上です。

以上

お問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課 調査室

電話番号:03-3506-6000(代表)(内線3647、3524)

FAX番号:03-3506-6299

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