第3回「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム」議事録

1.日時:

平成28年2月2日(火)13時59分~15時19分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 金融庁共用第3会議室

【錦織室長】

それでは、ただいまより開会させていただきます。

私は本日の司会進行役を仰せつかっております、金融庁総務企画局企画課調整室長の錦織と申します。よろしくお願いいたします。

開会に当たりまして、本PTの座長でいらっしゃいます金融担当の牧島かれん内閣府大臣政務官から御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

ありがとうございます。

本プロジェクトチームの座長を務めさせていただいております金融担当政務官の牧島かれんと申します。本日はお忙しい中お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。

本PTでは、これまで2回にわたり会合を行ってまいりました。昨年12月に第2回の会合を行いましたときには、預保納付金事業の担い手や犯罪被害者等支援団体の皆様からのヒアリングをさせていただいております。

本日の会合におきましては、これまでヒアリングを行ってきた犯罪被害者等支援に関する制度の概要や実情を踏まえ、有識者の方々からお話を伺うこととしておりまして、中央大学法科大学院の小木曽教授、東京大学大学総合教育研究センターの小林教授、そして犯罪被害救援基金の黒澤専務理事に御出席をいただいております。

預保納付金事業に関する検討を進めていく上で、奨学金や団体助成などの犯罪被害者支援に造詣の深い先生方から、直接お話を伺えるのは大変ありがたいことだと思っておりますので、何とぞ今日はよろしくお願い申し上げます。

以上です。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それでは、カメラと記者の方々はこちらで御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

【錦織室長】

本日は、3名の有識者の方々においでいただいておりますので、御説明の順に御紹介申し上げます。まず、中央大学の小木曽教授です。

【小木曽教授】

よろしくお願いします。

【錦織室長】

続いて、東京大学の小林教授です。

【小林教授】

よろしくお願いします。

【錦織室長】

そして、犯罪被害救援基金の黒澤専務理事です。

【黒澤専務理事】

よろしくお願いします。

【錦織室長】

それでは、本日のヒアリングの進め方について御説明申し上げます。有識者の方々には、それぞれ御専門のお立場から、預保納付金事業のあり方について御意見を賜りたいと思います。

まず最初に、この後、御所用のため途中で御退席される小木曽教授から御説明いただき、その後引き続き質疑応答の時間に入らせていただきたいと存じます。それが終わりましたら、小林教授と黒澤専務理事より続けて御説明をいただき、お二人の御説明が終わりました時点でまとめての質疑応答の時間を設けさせていただいております。

また、お手元にクリップでとめてある資料の一番下の部分でございますが、資料4というものを置いております。この中では、前回PTのヒアリングで関係団体から要望のございました事項の概要と預保納付金事業を検討するに当たって、留意すべき点につきまして記載しておりますので、参考資料として御利用いただきますようよろしくお願いいたします。

なお、本日使用いたします資料は、会議終了後金融庁ホームページに掲載し、議事録につきましても同様の公表とさせていただきますので、その点につきましてもよろしくお願いいたします。

それでは、中央大学の小木曽教授から、犯罪被害者支援団体への助成事業のあり方につき、御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【小木曽教授】

こんにちは。中央大学の小木曽でございます。

私は専門が刑事訴訟法、犯罪捜査や刑事裁判を専門といたしております。その関係で、犯罪被害者との関わりがある部分についても守備範囲といたしておりますので、本日はそのような観点から、主に制度論という意味で若干意見を申し上げたいと思います。

お手元に資料1としてレジュメを配付させていただきました。それに従って申し上げます。まず、一番目です。犯罪被害者支援というのは、三つ柱があると言われてきました。一つは経済的な支援であります。二つ目の精神的な支援といいますのは、現在では全国に支援団体がございますけれども、そうした機関などを通じた支援、あるいは警察の捜査、あるいは裁判での付き添い等々の精神的な支援です。そして被害者が直接刑事裁判に関わるという点、この三つがあると言われて参りました。本日の議論はそのうちの経済的な支援と精神的な支援などに関わるものであると考えております。

二番目です。その経済的支援と精神的支援などというレジュメの項目です。マル1に経済的支援と書いてあります。レジュメには記載いたしませんでしたが、およそ犯罪といいますのは、自らが正当に取得することが本来は許されない何らかの利得を他人の犠牲の上に得るという行為であります。ここで問題になっていますような財産犯ですと、そのことはより顕著であります。本来、正当な対価を払って入手すべきものを、不当に被害者の犠牲の上に入手するという行為でありますから、これを元に戻すのが正しい。そのためには、加害者からその不当利得を剥奪して、被害者側に返すというのが原則の形であるはずです。これを最も直接的な形でやるのが民事裁判です。それを国が支援するという仕組みとして、現在では損害賠償命令や、それから刑事和解といった制度が用意されております。

しかし、このような方法はあまり実効性が高くありません。加害者が見つからない場合はもちろんですけれども、加害者に資力が無いといった場合も多くあります。ここまでがレジュメに記載しなかった点です。

そこで、何らかの法的な仕組みによる経済的支援の枠組みが、どの国でも考えられて運用されるに至っております。現在、我が国にあるそのような仕組みとしては、まずは犯罪被害者等給付金がございます。こちらは国からの見舞いというような性格のものであると説明されております。それから、犯罪被害救援基金がございます。レジュメに書いてあるような内容の事業ですけれども、こちらも国からというわけではありませんけれども、社会の連帯の印として、そのような目に遭った人々に支援を提供するという意味では、犯給制度の理念に近いものであるように私には思われます。それから、被害回復給付金という制度がございます。こちらは刑事裁判によって、犯人から没収・追徴した財産をその事件の被害者に給付する制度でありまして、こちらは法務省が所管しているものであります。それから、預保納付金と、このような制度があります。

それでは、これらの制度の理念はどこにあるのかということです。レジュメ3のところで、預保納付金に基づく事業についてという項目のところに理念を記してあります。先ほど申しましたように、2のマル1の(ア)と(イ)ですね、犯給制度と犯罪被害救援基金は、おそらく社会の連帯といったような考え方に基づくものであろうと思われます。それから、被害回復給付金につきましては、これは加害者からの不当利得の剥奪とその被害者への返還という考え方に近いであろうと思われます。

では、この預保納付金はどのような性格のものであるのかを考えますと、それ以外の制度とは若干性質を異にしている。といいますのは、振り込め詐欺救済法の被害者救済手続を経ても被害者に返金されなかった残金を、奨学金その他被害者の支援事業に用いるということですから、私はレジュメではこれを経済的支援のところにくくってしまっておりますが、直接被害者に奪われた金銭を返すというわけではありませんから、経済的支援のところに入れるのがいいかどうかという問題はあるようには思います。しかし、それを財源として被害者支援のための事業を展開するという意味では、広くとらえると経済的支援、あるいは経済的支援「等」というように考えてもいいのではないかと思います。

ですから、この制度は加害者と被害者を一対一でとらえて、ある事件の加害者から利得を剥奪してその事件の被害者に返すというよりは、加害とその被害を集合的にとらえて、加害によって得られた利得をプールし、被害者の側も集合的にとらえて、それを奨学金事業なり被害者支援の団体の各種の事業の資金にするというものです。その意味では、一対一の不当利得の剥奪と返還という関係ではありません。しかし、これを集合的にとらえて、加害者側からの不当な利得を被害者側の何らかの利益になるように使うという意味では十分正義にかなう。つまり、自己が所有することに正当な理由のないものをその者から奪い、そしてその犠牲になった人々にこれを何らかの形で返還するという意味では、十分正義にかなう制度であると思います。

このような制度は、よその国にもあります。最近話題になったものとしては、「サムの息子法」というのがアメリカにはあるという報道がしばらく前にありました。これなどはその例であります。これは組織犯罪、コーサ・ノストラ、マフィアのボスなどが自叙伝を書いたりしまして、それが本になる、あるいは映画になる。そうすると、その印税収入がいわば犯罪者の手元に残るわけですね。しかし、その多くの被害者を出した組織犯罪の被害者は打ち捨てられていると。一方で、犯罪者の側には人を傷つけた上に印税収入が入ると。こんな馬鹿なことはないだろうということで、その印税収入を剥奪して被害者のために用いるという、こういう制度であります。ですから、これもいわば加害と被害を集合的にとらえた制度であるということができるのではないかと思います。

では、理念がそのようなものであると理解するとして、それを何に使うのがいいのかということであります。レジュメの使途についてというところに記載してあります。まず、全国にあります支援団体の組織はその組織を事務的に回していく、運営していくための事務的な仕事をする職員と、それから犯罪被害者の相談に当たる相談員という人々で成り立っております。

特に、このうち相談員になる方々は一定のトレーニングを受けて、被害者の支援に当たるとともに、自分の後継者も育てるという役割が期待されているわけですけれども、これがなかなか定着しない。また、高齢化が進んでいるといったことも聞いております。これはその職につく人々の経済的な基盤が安定しないことが大きな原因であると聞きます。ですから、特にこの相談員になる人々の人件費、それから、その人が後継者を育てるための費用に、この預保納付金の資金を充てることが重要であると考えます。

それから、24時間365日ということが言われております。こちらは標語的に24時間365日であろうと思うのですが、要するに相談時間を延長する、週末、祝日に延長する必要があることを現場から聞いて参りました。犯罪の類型としては、とりわけ、性犯罪についてはすぐに相談したいというニーズがあるわけですけれども、これが夜間あるいは祝日になると事務所が閉まっている。性犯罪専門の体制を取っているところはこのような問題はないわけですが、全国に性犯罪専門の窓口があるかというとまだそこまでいっていません。性犯罪専門の窓口がないところでは、一般犯罪と合わせた相談窓口ができるだけ長い時間開いているのが望ましいと聞いております。ですので、24時間365日というのは、実際に24時間365日でなくとも、できるだけ相談の体制が充実して整えられるように、もし余裕があればこの資金を回すのがよろしいのではないかと考えます。

それから、緊急支援金ですけれども、こちらも現場あるいは被害者の皆様の声を聞きますとニーズは高いと思います。全国の自治体がそのための努力をしておられるとは思いますけれども、その体制が整うまでもし余裕があるのであれば、そのような資金、費用をこちらから捻出することがあってもよいのではないかと考えております。

ですから、優先順位をつけるとすれば、私はまず相談員の人件費はぜひこの事業から支出できるように御検討いただければと思います。それから、相談時間の延長という順序であろうかと考えている次第でございます。

私からは以上でございます。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それでは、ただ今の御説明につきまして、御質問等よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

御説明ありがとうございました。大変理念的な概念の整理を先生にはしていただいたと思っております。理念のところで加害と被害を集合的にとらえて、そして不当利得を返還していくと、それも理念に基づくと何に使うのがよいのかというところで、先生は相談員になる人の人件費などが優先順位が高いというお話でございました。一般的に、先生のお話を今聞いていただいた方は分かりやすいのかもしれませんが、この集合的にとらえたときに人件費となると、これが少し被害者の方から距離のある間接的な支援になるのではないかという指摘が出た場合に、どのように回答するのがわかりやすいのかということを御質問させていただきたいのが一つです。

それから、現在、奨学金事業を行っています。それについてのコメントがありましたらば、お聞かせください。

【小木曽教授】

まず、被害者にとっての直接的な支援にならないのではないかという点です。直接的にその被害者の、例えば経済的な支援をする制度としては犯給法や、それから被害回復給付金といったものが既にございます。これがまさに個々の被害に遭われた方に国庫からなり、その犯罪の収益なりを給付ないしは返還するという制度です。そのような直接的な制度のほかにこの預保納付金があるわけです。直接の金銭的な給付ではないけれども、精神的な支援も被害者にとって極めて重要であります。そこに携わる人々の活動資金にこのようなお金が振り向けられるというのは、まさに間接的ではありますけれども、しかし重要な正義にかなったお金の使い道であろうと考えます。

それから、二点目の奨学金です。いろいろな犯罪の被害に遭われた方のお話を聞きますと、本当に被害によって、例えば親御さんが働けなくなるようなことがある。まさに生活保護を受けなければならないような実態に至ってしまうという話を、何ヶ所かで聞きました。そのような家庭のお子さんたちに就学の機会を与えるというのは、非常に意義のあることだと思います。

これは始まったときには、給付ではなくて、貸与にして返還義務を課すことが、要するにもらったものを返す努力をするというプロセスが自立へのきっかけになるということで、あえて貸与という制度を選んだ経緯があったように記憶しております。それももっともだと思います。ですから、給付になったらなったで、ではお金をあげてそれでおしまい、ではいけないのではないか。どのようにフォローしていったらいいのかについて、私は具体的な案を持っているわけではありませんけれども、とにかくお金をあげるからこれで被害者支援はピリオドというようなことにならないような制度運営を考えていく必要があるように思っております。

【牧島座長】

ありがとうございます。

【錦織室長】

そのほかございますか。

【及川参事官】

内閣府の担当参事官の及川でございます。

先生のお話の中で、専任の支援員の確保のお話がございました。支援員の中には、直接犯罪被害者の方に接する方もいらっしゃれば、あるいは支援活動の責任者的な立場でいろいろ支援のコーディネートをされる方もいらっしゃいます。このPTのヒアリングの中では、相談員、直接支援に当たる支援員だけではなくて、そういった支援活動責任者に対しても、ぜひこの預保納付金のお金を使って欲しいというようなお話があったのですが、その点について先生はどのようにお考えになっておられますでしょうか。

【小木曽教授】

正直にと言いますか、直截に申しますと、財布との相談かという気はするのですが、エクスパティーズを持ってトレーニングを受けて被害者の相談に当たる人がまず第一だろうと思います。プラスその人達をコーディネートして、支援団体を円滑に運営できるようにしていく人々の人件費も出せれば、それは出したほうがいいとは思います。ただ、これがやがて無くなっていく予定の資金であることを考えると、これが無くなったから支援団体も無くなりますということでは困ります。そうすると、組織を維持する人件費については別の手当を考えるという行き方の方がいいように思っております。

【錦織室長】

ありがとうございました。

そのほかございますか。よろしいですか。

それでは、ありがとうございました。ここで小木曽教授は御退席になります。小木曽教授、ありがとうございました。

【牧島座長】

ありがとうございました。

(説明者退席)

【錦織室長】

それでは、続きまして、東京大学の小林教授から、まごころ奨学金事業のあり方についてお伺いいたします。

それでは、よろしくお願いいたします。

【小林教授】

東京大学の小林でございます。資料2に従って御説明いたしたいと思います。何しろ時間が限られておりまして、資料はたくさん作っておりますが、全て説明することはできませんので、省略した分は後で、質疑等で補っていただければと思います。

私の方は、特にまごころ奨学金のあり方に関連いたしまして、奨学金のあり方を広く考えてみようということで説明資料を作っております。その上で、最後に、まごころ奨学金のあり方について少し私の考え方を述べたいと思います。

教育費負担の軽減のための方法という2ページのところから説明します。小木曽教授が理念のことをお話されましたので、私も少しだけ理念のことを、ここにはないのですがお話しておきたいと思います。なぜ教育費負担の軽減が必要かというと、これは教育機会の均等を実現する、格差を是正するということであります。教育機会の均等というのは社会、経済的な格差の是正のための重要な手段であるからです。これは個々人の問題としてだけではなくて社会全体にとっても非常に大きな問題であります。それから、近年では少子化の問題としても教育費負担の軽減が大きな焦点になっていることを申し上げたいと思います。

その上で、どういう方法があるかということですが、そこにありましたように、様々な方法があります。学費の無償化や低授業料というような政策を採っている国もありますし、給付奨学金、あるいは授業料減免という形で給付を行っている国もありますし、貸与奨学金、これは国際的にはスチューデントローンと言われておりますが、そういった貸与奨学金、それ以外にもそこにあるような様々な手段があります。

その中で給付と貸与の奨学金について御説明していきたいのですが、3ページを御覧ください。奨学金の分析軸といたしましては、誰がそもそも出すのかという支給主体の問題、それから奨学金の種類、今申しました給付か貸与かという問題、それから奨学金の受給基準です。ニードベースというのは、奨学と申しまして経済的に困窮の人達を助けるという意味合いのものであります。メリットベースというのは、何らかの業績、これは学業成績だけではなくて、例えばスポーツ等も入るわけですが、何らかのメリットに対して受給基準を設けるものであるということです。それから、もうひとつ重要な論点といたしまして、奨学金の受給対象と奨学金一人当たりの金額をどのように設定するかということであります。これは奨学金の総額が決まっていますので、両者の関係というのはちょうどトレードオフになります。したがって、広く薄く奨学金を出すのか、それとも狭く厚く、つまり少数の方に多額の額を出すのかということが選択になります。それから、奨学金の決定時期でありますが、在学中に決まるということになりますと、進路選択に対しては影響が非常に限られております。進路決定以前、入学以前にということが望ましいと言われております。

では、次に参ります。まず貸与型のメリットとデメリットです。これは財源が少額で済む、あるいは多額を支給することができる、または対象者を多くすることができることが最大のメリットです。無利子や低利子の場合には、利子補給という形で公的な負担、公的支援がなされることになります。日本学生支援機構奨学金の場合には、第一種は無利子でありますし、第二種は3%の上限がついておりまして、完全な無利子貸与は国際的には主要国ではドイツぐらいしかこういうことをやっている国はありません。それから、返済のための手続が煩雑になることが最大の問題点でありまして、返済及び管理のコストが発生することです。それからもう一つ大きな問題といたしましては、必ず未回収の問題、デフォルト問題が生じまして、その対応が非常に大きな問題になっております。これは国際的に見ると、大きな問題ですが、日本は今のところかなり回収率はいい方であります。それから、大きな問題として最近注目されているのは、ローン回避と申しまして、将来の返済を恐れてそもそも奨学金を申請しないことが各国で起きておりまして、これが大きな問題になっております。

それに対しまして、給付型奨学金のメリットとデメリットは、ちょうど逆の関係になりまして、進学や修学支援の効果は非常に大きいわけであります。渡し切りのため、回収の問題は発生いたしません。それから、授業料減免のような使途を指定した方法ができるということです。ただ、最大の問題は財源でありまして、財源が限られておりますから、貸与型に比べて、少額あるいは少数者にしか支給できないわけです。それから、もう一つ、効果が大きい分、誰にそれを支給するのかが非常に大きな問題になることです。うまく受給対象者を絞らないとなかなか受給対象資格者全員に渡らないので、優先順位をつけざるを得ないということが起きて参ります。それからもう一つは、渡し切りのため公平性の観点から支給の理由を明確にする必要があります。これは直接の給付になりますので、なぜ奨学金を出すのかということをはっきりさせることです。それから、奨学金の効果について、卒業後の状況等に対して、どの程度効果があるか把握することが重要なのですが、これは現在の所、余り具体的になされていないと思っております。

それから、6ページに参ります。ローンの拡大だけでは学生支援としては不十分だということは先ほど申し上げたとおりです。特に低所得層ほどローンの負担感は強いことがありまして、片方でローンの未返済に対してペナルティが強化される傾向にあります。こういったことでローン回避傾向が低所得層で多くなります。それから、もう一つ大きな問題といたしまして、情報ギャップといわれる問題が各国で問題になっています。これはこういった金融知識というものが複雑なものでありますので、どうしても行き渡らない。特に所得の低い人達にとっては、こういう知識が十分に無いことが問題になっております。

私たちの調査でも、7ページですが、所得が低い人達ほど将来返済できるかどうか不安で奨学金を申請していないということが出ております。

時間の関係で、各国の奨学金制度改革については簡単に申し上げます。各国とも非常に大きな問題になっております。それはどうしても公財政が逼迫している国が多いわけでありまして、その中で大学進学率が伸びています。それに対して授業料を徴収したり、値上げせざるを得ないという問題が起きております。これに対応して、どこの国でも奨学金制度の改革や整備がなされているわけです。日本の場合では、今ちょうど所得連動型返還制度の改革を文部科学省で進めております。しかし、日本は比較的授業料の高騰問題に対応するのが遅かったということが言えます。

その改革の焦点ですが、大きなトレンドとしてはグラントからローンへの移行です。これは給付奨学金の場合には財源問題が非常に大きいので、ローンに切りかえていくことも各国で行われています。ただし、先ほど申し上げましたように、最近になりますとローンだけではどうも問題は解決しない、むしろローン回避というようなことが起きますので、グラントへの重視が各国とも進められている状況です。

その一例としまして10ページです。アメリカの連邦政府の奨学金で最大のものがペル給付奨学金と呼ばれます。これがオバマ政権になって著しく拡大している状況について見たものです。最近になって減っておりますけれども、これは資格取得者が全部申請しているというわけではなくて、給付奨学金でもらえるのですが、申請しない人がいることがむしろ問題になっています。最近は減っているというのはそういう傾向があるということです。

それから11ページに参ります。現在各国でローンの改革として進められておりますのは所得連動型と言われているものであります。これはローンの負担を軽減させて回収率を上げるということと、一種の保険として機能するといわれております。卒業後の所得に応じて返済するために低所得層ほど負担感が少ないという特徴があります。

そこにありますような所得連動型の6つの要素ですが、この要素全てを各国とも取り入れているわけではなくて、これを組み合わせて行っております。所得に応じた返済額、あるいは一定所得以下で返済を猶予する、あるいは免除するような仕組み、それから一定期間あるいは年齢で帳消しルールというのは、この仕組みといたしまして、低所得の人は返済額が少ないので返し終わらないということが必ず発生いたします。そこで、一定期間あるいは年齢で帳消しのルールを作っているというような国があります。それから利子の補給はどうしても返済期間が長くなりますので、利子負担が重くなります。それに応じて利子を補給する、公的に負担することがイギリスやオーストラリアのような国では行われております。それ以外に家族の人数など、ほかの要件も考慮する場合があります。それから、イギリスやオーストラリアの場合ですと、源泉徴収で行われておりまして、これは所得の把握をしてそれに応じて源泉徴収することが行われております。当然ですが、所得の把握、源泉徴収には、マイナンバーのような仕組みと国税当局の協力が不可欠となります。

日本の場合ですが、日本学生支援機構の奨学金は一時期返還率が落ちまして、それが大きな社会問題となりました。2008年くらいから回収を非常に強化しております。それに対して、社会的にはちょうど不況期だったこともあって反発が起きました。ただ奨学金の回収率は、先ほど申しましたように、新規で現在95%で、国際的にはこれは非常に高い水準です。

もう一つ大きな問題といたしましては、返還免除制度があったわけですが、これは1997年度に教育職について廃止されまして、2004年度については研究職についても廃止されました。現在では、大学院の優秀者免除という制度が残っているのみであります。

それに対しまして、実質的に給付奨学金に当たるものといたしましては、大学の授業料減免制度がございます。もう一つは最近大学がそれぞれ独自の給付奨学金制度をかなり出しております。これは学生の確保のためという点も大きいわけですけれども、かなり拡大している状況がございます。先ほど申しました会議のもう一つ前の会議で、文部科学省「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」がありました。ここで所得連動型返還制度を導入するということ、給付奨学金の必要性ということ、情報ギャップへ対応することが重要であるということで、現在の会議で検討が進められているところであります。

大学独自の奨学金についてです。そこにありますように、最近大きな奨学金を大学が作っていることと、地方創生の関係で奨学金の返還免除という形で行われていることがあります。

それでは14ページに参ります。授業料減免制度は、現在設置者別に大きく異なっていることが大きな問題であります。国立大学の場合には大体300億程度の規模があるわけですが、私立大学は120億程度しかない。私立大学は学生数で約4分の3を占めているわけですけれども、金額は小さいということと、これは2分の1補助でありまして、大学側が2分の1負担するという制度です。それから、公立大学の場合には地方交付税交付金の中に算定されておりますので、実際の使途は各地方自治体によって異なっているという問題があります。

それから返済の免除制度です。各国ともそこにありますような制度が導入されております。日本の場合、先ほど言いましたように、大学院生にはありますけれども、学部生にはこういった制度がないことが大きな問題であろうかと思っております。

16ページは情報ギャップの問題であります。先ほども申し上げましたとおり、こういった複雑な金融知識をなかなかこれだけ制度が複雑になりますと、全ての国民の方が持つことが非常に難しいことがきわめて大きな問題になっております。以上が奨学金をめぐる国内外の一般的な状況です。

ここから、まごころ奨学金のあり方について、私の考え方を少し述べさせていただきたいと思います。第一に強調したいことは、先ほども少し議論がございましたが、貸与型ではなくて給付型が望ましいということであります。これはローンあるいは貸与型では進学や就学支援の効果に乏しいことがあります。実際笑えない話ですが、奨学金を借りながらそれを貯蓄に回している学生がかなり多いわけです。これは現在のような就職が不安定な状況では、奨学金の返還が滞ることを恐れて、奨学金を借りながらそれを貯金して卒業後に返すような、そういうことをしている学生もおります。このような形では奨学金の本来の意味からするとかなり外れているのではないかと思われます。それから、大きな問題になっているのは、最近大学生の中退が増えています。この大きな原因の一つとして、経済的な苦しさが文科省の調査では中退理由の約二割として挙げられているわけです。私たちはこの問題についても調査をしておりますが、間接的に経済的な理由で中退している者、つまりアルバイトをし過ぎて単位が取れなかったというような学生まで入れますと、かなりの人が経済的な問題を抱えていると考えられます。

まごころ奨学金について資料を拝見いたしましたところ、対象者は既に日本学生支援機構の奨学金などを貸与している者もおりますので、その上にまた貸与になりますと、一種の多重債務になります。これはそういう意味でも望ましくないと考えております。それからもう1つ大きな課題として、給付型の場合ですが、基金の運用益の範囲内で実施することが給付型の原則です。これは、どうしても取り崩しになりますと永続性が保証されませんので、アメリカなどで大学が行っている奨学金は、大体こういう形で基金の運用益でやっているわけであります。現実の問題として、日本の今のような低金利ではなかなかこういったことが難しいことは承知しておりますけれども、原則としてはそういうことだとご理解いただければと思います。

それから、受給基準ですが、これは優先順位を設定する必要があるかもしれません。先ほど申し上げましたように、額と人数の組み合わせをどのように考えるかにも関係します。もし対象者が限られてくることになりますと、どういう基準を設けることが必要か検討する必要があるかと思います。そのためには必要度、困窮度、必要経費、そういったことを考慮することも重要であろうと思っております。このためにはどうしても選考のための委員会のようなものも作る必要があると考えます。

それから、支給方法です。日本では、入学時に非常に大きな学費がかかるのが大きな特徴です。初年度納付金と言われるもので、入学金が現在30万円ほどかかっておりますし、それに授業料、それからアパートなどに住む場合にはその費用もかかります。これに対して、ほとんど大きな支援がなされていないことが問題であります。その辺りは非常に難しい問題でありまして、多額の奨学金を一遍に出すことになりますと、財源が限られておりますので少数にしか渡せないという問題があります。ですから、その辺りをどう考えるかが大きな課題であろうと思います。それから、もう一つ大きな問題といたしましては、大学に直接支給するという方法、授業料減免という方法になるわけですが、この場合には効果が目に見えにくいという特徴があります。直接お金が渡るわけではないので、なかなか実感できないことが言われております。

それから、もう一つ最後に大きな問題として御提案したいのは、既に返済している方への対応が必要であることです。これは公平性の観点から、今までと制度の変更をされるわけでありますので、どうしても不利益を生じる方が出てきます。既に猶予している方もいらっしゃるということなので、こういった方には返済を免除することが必要であります。既に返済している方についても、これはまだ人数、額ともそれほど大きくないというようにお聞きしておりますので、返済額を返還するような仕組みが必要であると思います。これは法的には私は詳しいことは分かりませんが、別に給付奨学金をこの方たちのために創設するなど、何らかの形でこの既に返済している方については、返済額を返還することを新たに給付奨学金を作ることとセットにしないと、公平性の観点から非常に大きな問題が生じるのではないかと思います。

それから、情報ギャップを緩和するためには、十分にこういった金融知識のための教育も併せて行っていくことが必要ではないかと思います。

私からは以上です。ありがとうございました。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それでは、最後に公益財団法人犯罪被害救援基金の黒澤専務理事から、同基金における奨学金給与事業及び犯罪被害者等に対する救援事業の概要につき御説明をお願いします。よろしくお願いします。

【黒澤専務理事】

私からは資料に基づきまして、当基金の概要及び奨学金給与事業、その他の救援事業の概要、この点について御説明申し上げまして、御参考に供したいと思います。

まず1ページでございます。基金の発足・発展の経緯です。昭和55年に犯罪被害者等給付金支給法が成立いたしました。その際、衆議院及び参議院両議院におきまして、附帯決議がなされております。犯罪被害者の遺児等に対する奨学金制度等に関する救済措置に関してでございます。経済的に困難な状況にある犯罪被害者の遺児等に対する学費給与等の救援事業を行うために、昭和56年5月になりますけれども、民法に基づきまして公益法人として当基金は発足をいたしました。発足時資産は約1億ちょっとでございまして、主に全国警察職員による寄付でございました。昨年末の基本財産は、約35年経っておりますけれども、50億を超える額になりました。昨今の債券高の状況も相まってでございますけれども、これは全て民間の浄財でございます。

資料に書いてございませんけれども、設立趣意書を御紹介いたしたいと思います。当時犯罪被害者に対しまして給付金を支給するというのは、この制度の創設は極めて画期的なものでございまして、設立趣意書にも、この制度の創設は画期的なものと言えるでありましょうと。しかしながら、この制度における給付金の額、受給権者の範囲等にはおのずから制度的な限界があり、これだけでは必ずしも犯罪被害者及びその遺族の救済に十分でない面もあると思われます。犯罪により、親や保護者を失ったいわゆる犯罪被害遺児が、その多くが経済的理由により就学援助を必要としている実情を考えますと、これらの遺児たちの就学について何らかの援助を行う必要があると痛感される次第です。ちなみに法の制定に際しまして、政府は本法施行前に犯罪被害を受けた者及びその遺族に対しては、別途奨学金制度などの救済措置の実現に努めるべきである旨の衆参両議院における附帯決議がなされたものも同様の趣旨によると思われます。そこで、今般広く国民各層からの浄財を募り、これを基金として財団法人犯罪被害救援基金を設立し、先程来お話が出ております社会連帯共助の精神を基盤として、犯罪被害遺児等に対する学資の給与等の救援事業を行い、もって我が国における犯罪被害者に係る救済制度のより一層の充実に寄与しようとするものであります。

つまり、この給付制度は大変画期的なものでございましたけれども、それでは必ずしも十分でないのではないかということで、このような附帯決議がなされまして、当基金が誕生したわけでございます。その後、平成4年になりまして、後ほど助成事業の方で申し上げますが、民間の被害者支援団体の育成強化のための助成等を平成4年から開始いたしております。なお、今日に至るまで行っておりますけれども、平成9年から14年度までは当時の日本船舶振興会、現在の日本財団でございますが、ここの助成を受けまして当基金において実施をいたしているところでございます。

さらに、平成19年11月の犯罪被害者等施策推進会議、当然、犯罪被害者等基本法が制定された後でございますけれども、この推進会議におきまして、公的な救済の対象とならない犯罪被害者等であって、個別の事情に照らし何らかの救済の手を差し伸べないと犯罪被害者等基本法の趣旨を全うできないと思われる特別の理由がある者に対して、金銭給付を行うような仕組みを構築すべきである旨の決定がなされまして、それを実現するため平成20年12月支援金支給事業を開始いたしております。被害者の支援業務をいろいろ行っておりますが、この奨学金給与事業、それから民間団体の助成、そしてこの給付支援金の支給事業、これが当基金の三本柱でございます。平成23年の4月には、公益財団法人へ移行いたしております。

2ページですが、基金のあらましでございます。平河町にございます。理事長はトヨタ自動車の張理事長でございます。理事長代行は國松孝次NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク会長でありまして、元の警察庁長官でございます。組織・機構ですが、3ページに図表を掲げてございます。評議員10名、理事9名、監事2名、奨学生選考委員会委員5名、支援金支給審査委員会委員7名で、事務局とともにこのような組織・機構となっております。それから、事業概要ですが、ここに書いてありますのは過去3年間の平均実績でございます。三本柱の一つ、奨学金等給与事業でございますが、317人約7,100万円余になっております。助成事業と支援金支給事業、柱と申し上げましたが、さしたる額ではございません。助成事業が207万円、支援金支給事業が217万円となっております。そのほか各種事業を行っているところでございます。

4ページに基金の特徴を列挙してみました。まず、基金は犯罪被害者等の支援だけを目的としている組織でございます。被害者等の視点に立って、全国の関係機関・団体と連携し、被害者や支援団体等のために事業を永続的に展開している公益財団法人でございます。二番目、犯罪情報というのは究極の個人情報でございます。扱いには慎重な対応が要求されるわけですが、警察と連携をしまして万全を期しております。それから三番目は先ほども申し上げましたが、国や地方自治体からの財政援助は受けておりません。民間の浄財のみで運営されております。基金の名のとおり、運用益と寄付で賄っております。

若干事業の内容についてお話させていただきますと、奨学金の給与事業は約35年になります。それから、民間被害者支援団体の助成は約25年になります。それぞれ実績があるものと密かに自負をいたしております。知識、経験を有するスタッフのもと、組織としてのこれらのノウハウの蓄積があるものと考えております。

奨学金事業、給与事業は一番の柱でございますが、団体助成につきましては、平成3年に開催されました当基金と被害者学会共催によります被害者給付制度、それから基金が創立されて10周年を記念いたしましてシンポジウムを開催いたしました。その際に、御案内のとおり、画期的な制度ではあったのですが、お金を給付するという制度です。犯罪被害者の方から、金銭給付だけではなくて、より広範囲な支援の必要性の問題提起がなされたのがこのシンポジウムでございます。

そのシンポジウムをきっかけといたしまして、当基金におきまして、民間の専門家グループへの各種調査研究の委託やこれは被害者の実態把握、あるいは精神面の支援の必要性、こういったことについて助成をいたしますとともに、それから犯罪被害者相談室を開設されるということで後ほど若干触れたいと思いますが、そういった関係でも助成を行ってきておりまして、それが平成3年のシンポジウムをきっかけにということで、平成4年以降民間支援団体の助成を行ってきております。

特に、平成13年からは、犯罪被害者等早期援助団体を目指す全国の民間被害者支援団体等に助成を行ってきたと書いてございますが、平成13年、それからさらに平成20年に犯罪被害者等給付金支給法の改正が行われました。これは標語的にいいますと、「給付法から支援法へ」と言われるものでございます。平成13年には、民間団体を公安委員会がその能力等があることを認めることが当然の前提になりますが、早期被害者援助団体として公安委員会が指定をいたしました。そこへ犯罪被害情報を提供して、被害者支援に民間の方々にしていただく制度ができたのが、この平成13年及び平成20年の給付法の改正でございます。

この間、当基金としては、民間被害者支援団体は、官ばかりでは被害者支援に万全を期すことはできないわけでございまして、民間支援団体の支援を行ってきました。額はともかくといたしまして、こういった事業展開が給付制度をいわば奨学金制度によって補完する、そればかりか官と民が連携して被害者支援の推進の一助にもなったものと考えております。

次に5ページ、4の奨学金等の給与事業、一番の柱でございます給与事業について御説明をさせていただきます。発足以来の奨学生の採用状況でございます。これは昨年の12月までの数字です。まもなく2,000人の奨学生ということになる、1,996人になっておりまして、総額で24億余を給与いたしております。ちなみに、平成26年度は297人、約6,800万円を給与いたしているところでございます。

それから、右に表が載っておりますが、罪種別の採用人数でございます。この4の(2)の支給要件のマル3を見ていただきたいのですが、支給対象者として、人の生命または身体を害する行為により、死亡または障害の程度が1級から4級までに掲げる身体上の障害を受けた者もしくは同様の事情にあった者の子、孫、弟妹等を支給対象者といたしております。殺人を初めとする凶悪犯罪が主でございます。

それから、(2)のマル3のイに支給要件がございます。小学校から大学に在学する者です。専修学校につきましても、専門課程または高等課程に在学する者が対象です。除外される者は記載のとおりです。

6ページでございます。それでは奨学生をどうやって採用しているのかという手順です。まず、警察からの連絡と願書の受付でございます。犯罪被害遺児等を把握した都道府県警察本部の担当者が、保護者の同意を得た上で、基金へ必要事項を連絡するとともに保護者に対して願書申請の教示を行い、申請用紙を手渡していただきます。保護者は書類を作成しまして、直接または都道府県警察を通じて当基金に郵送していただきます。

それから、奨学生選考委員会の開催と奨学生の選考でございます。冒頭に申し上げましたように、定款に基づいて選考委員会を設置いたしております。この選考委員会で、志望者が奨学規程に規定する資格を備えるか否かを審査し、奨学生を選考いたします。この委員会の選考を経まして、理事長が奨学生の採用を決定しまして、その結果をお知らせするという手順でございます。

(4)は奨学金の月額及び入学時に大変お金がかかることもありまして、一時金ということでそれぞれ記載しております。右の表は小学校から大学まで在学した場合の、これは私立と国立で額が違いまして、私立の場合の数字でございます。小学校入学から大学卒業までの支給総額、仮に小学校から全部給与を受けているとすると、370万余円、私立での計算ですがそのような数字になります。

7ページですが、これは現在までの奨学金等の給与総額と人員の棒グラフでございます。人員と給与総額は値上げの関係もありまして、必ずしも一致いたしておりません。人数ですが、犯罪自体が減少しておることと子供さんが少なくなっておることも影響しているかと考えておりますが、人数につきましては減少傾向にあることがこの棒グラフから見て取れると思います。

それから、8ページでございます。卒業奨学生等からのお便りです。「ふれあい」という機関紙がございますが、そこで奨学生の皆様方、保護者も含めまして、いろいろな方々が交流などしております。いろいろな手記、手紙なども寄せられます。

最初だけ御紹介申し上げますと、支援学校の教師として、この方は卒業した方でございます。「基金の皆様お元気ですか」というお手紙です。「今私は横浜で特別支援学校の教師をしています。手や足を動かすことが難しい子供、呼吸や食事を1人で食べることが難しい子供、様々な障害を持つ子供と毎日過ごしております。どの子供も笑顔がステキでとても可愛い子供ばかりです。私は幼い時に父を亡くしました。母や祖母やそしてまわりの人達の温かい励ましや基金の方々のおかげで、何不自由なく生活し働くことができています。可愛い子供達とともに生活できているのも、皆様方からの御協力・御援助があったからこそと思いとても感謝しています」。下の二つは、いずれも保護者の方からのお便りでございます。

9ページの5の助成事業でございます。先ほど若干御説明申し上げたところではございますが、重複する部分もありますが、簡単に申し上げさせていただきます。平成3年10月になりますが、先ほど申し上げました基金と被害者学会が共催したシンポジウムがございました。この際、被害者の方からの御発言で、より広範囲な、特に精神的被害のフォローをしていただきたいという問題提起がなされまして、これがいわば民間支援のスタートとなった訳でございます。

平成4年から8年に、先ほど触れました犯罪被害者相談室の開設、これは現在、被害者支援都民センターの理事長をされております東京医科歯科大学の山上先生が、犯罪被害者の相談室を開設されまして、ここに援助をいたしております。それから同じく平成4年から8年、慶応大学の宮澤先生、それから山上先生としておりますが、要するに警察としても必ずしも被害者の実態が当時よく分からないという面もありまして、また精神面の支援の必要性についても、余り深い認識はありませんでした。この当基金による委託調査研究の結果で、そういったこと、必要性がわかりまして、警察庁の被害者対策要綱、平成8年2月に策定されたものと承知をいたしております。

さらに平成8年の9月になりますが、当基金のお金はたいしたことはありませんので、このときに先ほど申し上げました日本船舶振興会に対してお願いをいたしまして、カウンセリング委託等の事業をしようということで、平成9年から15年まで記載のような事業が行われました。

平成16年4月には、先ほど申し上げました早期援助団体の育成等基金の助成事業を記載のとおり行っております。その後も今年度末までに、記載のとおりの助成事業を行っております。なお、この間、平成10年に全国被害者支援ネットワークが設立されまして、平成17年には犯罪被害者等基本法が施行になりました。21年7月には、47都道府県全ての都道府県センターが全国被害者支援ネットワークに加盟をいたしまして、昨年6月には全ての都道府県センターが、一つだけ例外がございますが、先ほど申し上げた公安委員会の指定を受けました。

最後になりますが、支援金支給事業、これは冒頭に申し上げましたとおり、犯罪被害者等施策推進会議の決定に基づいて行われることとなった訳でございます。支援金の支給規定を設けまして行っております。これは一口で申し上げますと、海外で犯罪被害に遭った、あるいは国内で遭ったのですが、働き盛りで一家を支えなければいけないというような方が大変な障害を受けて就労不可能だと、そういった公的な支給がない、あるいは保険も出ない、あるいは給付金が出たけれども大変なお金がかかる、そういったような特別な状況にある場合に、そしてまた現に著しく困窮していると認められる場合には、支給を100万円以上500万円の範囲内で支援金を支給しております。平成20年度から始めまして、海外での殺傷事件の被害者等4人と現に著しく困窮している被害者等4人に約2,000万弱を支給しております。

以上が奨学金給与事業及びその他の救援事業、基金の概要でございます。御参考にしていただきたいと思います。

【錦織室長】

ありがとうございました。

それではただいまお二人の御説明につきまして、御質問等ございますればよろしくお願いいたします。

【牧島座長】

御説明ありがとうございました。お二方ともに同じような御質問をさせていただきたいと思っております。

先に黒澤専務理事から御回答いただければと思います。中身の話になりますが、受給基準をこれから検討していくときに優先順位の設定をどのようにするか、広く薄くか、狭く厚くかというお話が、両方の御説明の中で共通の課題として出てきたかと思います。そこで、こちらの犯罪被害救援基金の方でございます。5ページに書かれてありますとおり、小学生から大学生までという大変幅広い対象で支給要件の設定をしていただいていると思います。その中で、学業、人物ともに優秀であるというこの要件をどのような形で確認をされているのか教えていただければと思います。

もう一点は、小学生から大学生まで入学一時金と月額の奨学金がそれぞれ異なります。これは何らかの基準で決められたと思いますので、その基準にもし参考とすべきものがあれば教えてください。同時に、小学生から大学生までトータルでは16年間となります。この16年間ずっと受け続けている方がどれくらいいらっしゃるのかというデータがあれば教えていただければと思います。

関連して、小林教授にも、こちらでは比較的大学・短大・専門学校というお話でございました。これを高校・中学、さらには小学生まで拡大することについて、お考えがあれば教えていただければと思っております。

以上です。

【黒澤専務理事】

学業・人物ともに優秀でかつ学費の支弁が困難と認められる者、これは学校から書類などをもらい、それから願書の中に家庭の状況や生活の状況など、そういった書類を全部いただいてその上で支給の決定をいたしております。学業・人物ともに問題で選考から落ちたという事例は少なくとも私が就任してからはございません。また、受給基準につきましては、貸与を含めました他の機関の水準を勘案し、それから当初に決めた額、必ずしも十分とは言えないですけれども、社会情勢の変化の中で何回か上げてきて今日に至っております。給付としてはそんなに低いレベルではないのではないかと、このように考えております。

それから、基金で運用して事業資金といたしておりますので、例えば、どこからか多額の莫大な寄付があったからといって、一挙に上げてしまおうということは、特に月額の場合にはできないものと考えております。一時金の場合には、状況を見ながらある程度、月額よりは厚くできるのではないかと考えております。

それから、それぞれ小学から大学までの金額についても、これも歴史的に経済的に社会情勢的に、自然と今日に至ったという額でございまして、余りそういう意味では理論的ではないのですが、ほかと比べて大体こういうものかという気がいたしております。

それから、小学から大学まで完全にという方は、そんなにたくさんはいないと思います。被害に遭われる時期があって、例えば、3人子供さんがいて一番小さい子が未就学児だったというような場合にはいくのですが、申しわけありませんが、数字は、今、把握いたしておりません。

【牧島座長】

ありがとうございます。

【小林教授】

私からは、受給基準は先ほどから強調しておりますように、なかなか難しい問題です。一つ御参考になることとして、一律かそれとも額を変えることも検討の対象になると申し上げたいと思います。これはアメリカやイギリスで給付奨学金の基準とされている方式です。必要額、学費や生活費です、それから負担できる額を引きまして、さらに他の支援があればそれを引いた額が必要額となります。それに応じて額を変えていくというような方式が取られております。この場合でいいますと、かなり必要度が高い人から額を変えていくことも一つ考えられるのではないかということです。

それから、学業の優秀性についてですけれども、これは大学生の場合には日本学生支援機構で適格認定という制度があります。これは大学が実際行っております。そこで成績等を判定して適格であることを毎年審査しております。

それから、最後の御質問で高校から以下についてです。今日は資料としてはお出ししていないのですが、可処分所得に対してどの程度教育費がかかるかという家計の年齢別のグラフがございます。それを見ますと、日本では圧倒的に教育費の負担が多いのは就学前教育と高等教育です。小学校、中学校については、義務教育でかつ公立が多いということがありまして、そういう意味では必要度が、教育費の負担という意味では少ないのではないかと考えております。高校につきましても就学支援金が出されるようになりましたので、かなり負担が減っている。それに対して、就学前教育と高等教育は私立が多く、授業料が高く公的支援が少ないため、非常に教育費負担が重たい。特に高等教育が重たいということがあります。私としては、少ない財源で重点的に支援するという意味では、高等教育に支援することが効率的でかつ公正であると考えております。

【牧島座長】

ありがとうございます。

【錦織室長】

どうぞ。

【中島参事官】

奨学金の関係でそれぞれお二方にお伺いします。まず、小林先生の17ページの資料の中で、既に返済をしている方への対応についてです。ここは仮に今後貸与制から給付制に切り替えた場合には、どう考えたらいいのかというのは非常に悩ましいところだと思っております。特に、既に卒業されて実際に返されている方、例えばその方が一生懸命返すだけのそれなりの所得もあって返している。一方で当時よく考えてみると、その方が借りて返すつもりだったと。先ほどもあったようにローン回避した方というのも一方でいて、その方は借りたいけれども借りずにアルバイトをしていた、いろいろな方との公平性が常にこういうものを考えるときには出てくると思います。もともと返すつもりで借りていて、実際返し始めた方に対して、返済というかあえて贈与といいますか、返還額を返還というところが先ほど言ったローン回避した人との公平性のようなところでどう考えたらいいのか、もしお考えがあればお聞かせいただければというのが一点でございます。

それから、黒澤専務理事の犯罪被害救援基金は、まさに浄財でこれまで奨学金給付制を既に行っておられまして、今後、我々が仮に貸与制から給付制に変える時に、どういうことに留意をしたらいいのか、特に基金との関係で何か我々が心に留めておいた方がいいことがあれば、教えていただければと思います。

【小林教授】

それでは、私から、この問題は確かに非常に難しい問題であります。先ほど申し上げましたように、私は法的なことは分かりませんので、その辺の問題もあるかと思います。確かにおっしゃるように、贈与に当たることになるかと思います。この場合、おっしゃるように、いろいろないい意味の公平性が考えられるということですが、ローン回避とのそこでがんばって借りなかった人との公平性の問題は確かに残ると思います。

ただ、一つ考えられるのは、寄付ということが考えられないかということです。これは非常に精神的な性格も大きいわけであります。一旦贈与という形にしてそれをまた寄付して戻してもらうなど、そういうことを強制的に行うのではなくて、何らかの形で返還している人はそれは結果として寄付に当たるというような形で処理することも考えられるのではないかと思っております。その場合は単に返済したということではなく、結果として寄付していただいたということで気持ちも変わるのではないかと思います。一つのアイデアで、実現可能性がどの程度あるかわかりませんけれども、検討していただければと思います。

【黒澤専務理事】

奨学金の給与につきまして、現在、当基金においては運用益と寄付で賄っておるわけでございます。仮定の話ですけれども、給与ということで仮に別の機関で、要するに複数の機関が同種のことを行うことになった場合に、特に、先ほどレベルの給与月額なり一時金、両方あるかと思いますが、そのレベルの点で仮に当方よりも上だとすると、そちらのほうにシフトしていくのではないかという気がします。何分にも趣旨に賛同して御寄付いただいた方の浄財であり、またこれからそういうことで御寄付をいただく、今は発足当時と違って奨学金一本ではございませんが、善意で御寄付なさる方、そういった方々の意欲をそがないような、インセンティブを損なわないような、そういう制度設計をしていただけたらと思います。

いずれにしても、一番困るのは全く競合して額が高いといった場合に、その両方もらえるのか、手続はどうすればいいのかなど、いろいろそういう複雑な細かな問題もたくさん出てきます。いずれにしても、当方よりも金額が高い場合にはそちらにシフトが行って、今まで行ってきた国民の善意が無になってしまう心配があるものですから、その点の御配慮をしていただければありがたいと思っております。具体的な方法はいろいろあろうかと思います。

【錦織室長】

そのほか御質問ございますか。

【及川参事官】

内閣府でございます。小林先生にお伺いです。諸外国におきまして、このように犯罪被害に遭った方のお子様あるいはお孫さんというような方ということで対象を絞り込んだ奨学金の制度、これは公的なものでも民間的なものでも、もしあることを御存じであれば教えていただきたいのですがいかがでしょうか。

【小林教授】

申しわけありません。私はその辺りは詳しくないのですが、あるということだけは聞いております。

【錦織室長】

ありがとうございました。そのほかございますか。よろしいですか。

それでは、第3回のヒアリングにつきまして、これで終了させていただきます。最後に牧島政務官から閉会の御挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【牧島座長】

本日は大変貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

既に小木曽教授はお帰りになられておりますが、経済的支援の理念から御説明をいただいて、精神的思念の側面からも相談員の人件費などを当てることが重要なのではないかという御指摘をいただきました。また、小林教授からは、貸与型、給付型の比較の御説明を丁寧にいただきました。受給基準の優先順位の考え方、これは大変難しいというお話もありましたが、支給方法、既に返済をしている方への対応、情報ギャップの緩和など、今後私どもが考えなければならない点を御指摘いただいた点を感謝申し上げたいと思います。そして、犯罪被害救援基金の黒澤専務理事からは、民間の方々の思いと御浄財で運営をしていただいていること、改めて敬意を表したいと思いますし、犯罪被害者の方に向けて今まで基金の皆さんが奨学金給与事業と救援事業を進めていただいたことを御紹介いただいたこともありがたく思っております。

本PTでは、今回の会合も含めて3回にわたって関係者の皆様のお話を伺ってまいりました。これまで伺ってきた貴重な御意見を踏まえまして、引き続き預保納付金事業のあり方について検討してまいりたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。

本日はどうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課 調査室

電話番号:03-3506-6000(代表)(内線3647、3524)

FAX番号:03-3506-6299

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