平成20年10月31日
金融庁

「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等
(期間:平成20年7月1日~9月30日)

1. はじめに

  • (1)金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、金融サービス等に関する利用者からの電話・ウェブサイト・ファックス等を通じた質問・相談・意見等に一元的に対応する金融サービス利用者相談室(以下「相談室」)を平成17年7月19日に開設しました。

  • (2)利用者からの相談等については、専門の相談員が電話で対応しています。相談員からは、問題点を整理するためのアドバイスを行ったり、業界団体が開設している紛争処理機関等を紹介しています。なお、寄せられた相談等の内容や処理状況等については、金融庁内の関係部局に回付し、検査・監督等の参考として活用しています。

  • (3)相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成20年7月1日から9月30日までの間(以下「今期」)における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

2. 受付状況

平成20年7月1日から9月30日までの間に、12,661件の相談等(詳細については、PDF別紙1(PDF:74K)をご参照ください。)が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均201件となっており、20年4月1日から6月30日までの間(以下「前期」)の実績(185件)と比べやや増加しています。

相談等の内訳は、以下のとおりです。

  • (1)相談等の類型

    質問・相談として寄せられたものが9,614件(76%)、意見・要望として寄せられたものが2,104件(17%)、情報提供として寄せられたものが847件(7%)、その他が96件(1%)となっています。

  • (2)相談等の方法

    電話による相談等が10,473件(83%)、ウェブサイトによる相談等が1,048件(8%)、ファックスによる相談等が303件(2%)、手紙による相談等が505件(4%)、その他が332件(3%)となっています。

  • (3)相談等の分野

    預金・融資等に関するものが3,398件(27%)、保険商品等に関するものが3,698件(29%)、投資商品等に関するものが3,848件(30%)、貸金等に関するものが1,419件(11%)、金融行政一般・その他が298件(2%)となっています。

3. 分野別の特徴

  • (1)預金・融資等に関する相談等の受付件数3,398件のうち、個別取引・契約の結果に関するものが1,073件(32%)、一般的な照会・質問に関するものが921件(27%)等となっています。

    業態別では、銀行に関するものが2,252件(66%)、信用金庫・信用組合等の協同組織金融機関に関するものが453件(13%)、その他693件(20%)となっています。

    業務別では、預金業務に関するものが983件(29%)、融資業務に関するものが1,159件(34%)、その他注1が1,256件(37%)となっています。

    今期の受付件数は、個別取引・契約の結果に関する相談等が増加(859件→1,073件)したこと等から、前期に比べて増加(2,970件→3,398件)しています。

    注1:その他では、為替についての相談等が寄せられています。

  • (2)保険商品等に関する相談等の受付件数3,698件のうち、個別取引・契約における顧客説明及び個別取引・契約の結果に関するものが合計1,899件(51%)(うち保険金の支払に関するもの1,456件)、金融機関の態勢・各種事務手続に関するものが667件(18%)(うち保険金請求時等における保険会社の対応に関するもの372件)等となっています。

    業態別では、損害保険会社に関するものが1,730件(47%)、生命保険会社に関するものが1,290件(35%)、その他678件(18%)となっています。

    今期の受付件数は、保険金の支払に関する相談等が増加(1,147件→1,456件)したこと等から、前期に比べて増加(3,124件→3,698件)しています。

  • (3)投資商品等に関する相談等の受付件数3,848件のうち、一般的な照会・質問に関するものが1,356件(35%)、行政に対する要望等に関するものが900件(23%)等となっています。

    業態別では、証券会社(第一種業)に関するものが677件(18%)、市場に関するものが509件(13%)、登録詐称・無登録業者に関するものが441件(11%)、その他注2が2,221件(58%)となっています。

    商品別では、未公開株に関するものが308件(8%)、上場株式に関するものが294件(8%)、ファンドに関するものが250件(6%)等となっています。

    今期の受付件数は、行政に対する要望等に関する相談等が増加(397件→900件)したこと等から、前期に比べてやや増加(3,518件→3,848件)しています。

    注2:その他では、個別法人や有価証券報告に関する相談等が寄せられています。

  • (4)貸金等に関する相談等の受付件数1,419件のうち、一般的な照会・質問に関するものが500件(35%)、個別取引・契約の結果に関するものが351件(25%)、不適正な行為に関するものが276件(19%)等となっています。

    今期の受付件数は、不適正な行為に関する相談等が減少(327件→276件)したこと等から、前期に比べて減少(1,595件→1,419件)しています。

  • (5)金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数298件のうち、一般的な照会・質問に関するものが72件(24%)、行政に対する要望等に関するものが49件(16%)等となっています。

  • (6)預金口座の不正利用に関する情報提供は、62件寄せられています。(金融庁及び全国の財務局等より金融機関及び警察当局への情報提供については、同日公表の「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」をご参照ください。)

  • (7)貸し渋り・貸し剥がしに関する情報提供は、103件寄せられています。(「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙2(PDF:135K)をご参照ください。)

  • (8)金融円滑化ホットラインに寄せられた金融の円滑化に関する情報提供は、139件となっています。(「金融円滑化ホットラインに寄せられた情報の受付・活用状況について」は、PDF別紙3(PDF:121K)をご参照ください。)

  • (9)(7)の貸し渋り・貸し剥がしに関する情報及び(8)の金融円滑化ホットラインに寄せられた情報の受付件数の推移(再掲)については、PDF別紙4(PDF:59K)をご参照ください。)

4. 利用者から寄せられた相談等の活用状況

利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

20年7月1日から9月30日までに受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

  • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢及び広告等の不適正な表示に関するもの

  • (2)預金取扱金融機関における本人確認や説明を求めた際の不適切な顧客対応に関するもの

  • (3)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

  • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの

  • (5)保険会社等の不払い等(保険金等の不適切な不払い、支払漏れ等)に関するもの

  • (6)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、保険料の立替、名義借り等)に関するもの

  • (7)損害保険会社の火災保険等の保険料過徴収に関するもの

  • (8)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

  • (9)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反、取引履歴の不当な開示拒否等)に関するもの

また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ94口座の情報提供を行っています。

さらに、20年4月1日から6月30日までの間における情報の活用状況は以下のとおりです。

  • (1)監督において行った227金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • (2)金融庁が着手した18金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

5. 利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しております。

今回、新たに追加する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」は、以下のとおりです。

  • (1)預金・融資等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 振り込め詐欺救済制度に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 振り込め詐欺の対象になる犯罪行為とはどのようなものですか。例えば、インターネットオークション詐欺のようなものも対象となりますか。
      • 【アドバイス等】

        • 振り込め詐欺救済法において「振込利用犯罪行為」とされるものは、詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたものをいいます。ヤミ金やインターネットオークション詐欺なども預金口座等への振込みが利用されていれば対象となります。振り込め詐欺救済法の施行前の被害も救済の対象となります。
      • 【相談事例等】

        • 手続を行ってから被害金が支払われるまでどれくらいかかりますか。
      • 【アドバイス等】

        • まず犯罪利用口座について、残高に対する口座名義人の権利を失わせる公告が行われ、60日以上の期間が設けられます。次に権利が失われた犯罪利用口座について、被害者に対する被害金支払の分配の公告が行われ、30日以上の期間が設けられます。このように被害者の確定、支払までにはある程度の時間が必要になります。
  • (2)保険商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 保険契約者の保護に関する相談等

      • 【相談事例等(契約者保護の仕組)】

        • 保険会社の経営が破綻した場合の契約者保護の仕組について教えてください。
      • 【アドバイス等】

        • 生命保険会社、損害保険会社(いずれも外国保険会社等を含みます。)は、それぞれ「生命保険契約者保護機構」「損害保険契約者保護機構」への加入が義務付けられています(再保険専門会社等、保険業法による加入義務のない一部の会社は除きます。)。
        • 保険会社が万が一破綻した場合、補償の対象となる保険契約については、保険契約者保護機構からの資金援助等により、その責任準備金(将来における保険金等の支払いなどに備え、積み立てることが法律で義務付けられています。)の一定割合(保険の種類などにより異なります。)が補償されます。
        • 保険契約者保護機構による補償の対象となる保険契約の範囲は、具体的には以下のとおりです。
          • いわゆる生命保険契約(個人生命保険、個人年金保険、団体生命保険、団体年金保険)

          • (イ)家計地震保険契約、自動車損害賠償責任保険契約

            (ロ)その他いわゆる第二分野(損害保険)の保険契約。ただし、自動車保険契約以外の保険契約にあっては、個人・所定の小規模法人・いわゆるマンション管理組合を保険契約者とするものに限られます。

          • いわゆる第三分野の保険契約(医療保険、傷害保険等)

          • (注1)「再保険契約」、「運用実績連動型の保険契約の特定特別勘定に係る部分」は、上記にかかわらず、補償の対象には含まれません。

          • (注2)いわゆる「共済」、「少額短期保険業者」又は「特定保険業者」の引き受けた保険(共済)契約は、保険契約者保護機構の補償の対象とはなりません。

        • より詳しい内容をお知りになりたい方は、金融庁ウェブサイトに「保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)」を掲載しておりますので、ご覧ください。
  • (3)投資商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 投資者保護制度に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • 証券会社が破綻した場合、投資者保護の仕組としてどのようなものがあるのでしょうか。
      • 【アドバイス等】

        • 証券会社は、金融商品取引法第四十三条の二において、自己の固有財産と顧客から預かった資産を分別して管理することが義務付けられています。したがって、万が一証券会社が破綻した場合であっても、分別管理された顧客資産は顧客に返還されることになります。
        • また、証券会社が破綻した場合、何らかの事故が発生するなどにより証券会社が顧客から預かった資産を返還できない場合には、投資者保護基金が1人当たり1,000万円を限度に補償することとなっています。
        • 投資者保護基金とは、証券会社が破綻等した際に、一般顧客に対する支払いその他の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もって証券取引に対する信頼性を維持することを目的として、金融商品取引法に基づいて設置された法人です。
        • 証券会社は、金融商品取引法第七十九条の二十七において、金融商品取引業の登録及び変更登録の際に、投資者保護基金への加入義務が課されています。
        • 補償の対象となる顧客は、金融商品取引法第七十九条の二十第一項で規定されている「一般顧客」が対象となっており、適格機関投資家(銀行等の金融機関等、特別に法令で定められている者)・国・地方公共団体等は除かれています。
  • (4)貸金業に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    • 都道府県登録業者に関する相談等

      • 【相談事例等】

        • ある貸金業者(○○県登録)から借入れを行っておりますが、延滞等もなく正常に返済を続けてきたにも関わらず、一括返済又は追加担保を差し入れることを要求されました。
      • 【アドバイス等】

        • 当該業者が登録している先の○○県にお問い合わせいただくとともに、日本貸金業協会への相談をお勧めします。

今回、新たに追加するものを加えた以下の項目について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」を公表しておりますので、こちらもご参照ください。


* その他、金融庁のウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しております。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課金融サービス利用者相談室(内線9541)
(別紙2)
総務企画局政策課(内線3168)
検査局総務課(内線2521)
監督局総務課(内線3314)
(別紙3)
検査局総務課(内線2521)
監督局総務課(内線3314)
(別紙4)
総務企画局政策課(内線3168)
監督局総務課(内線3314)

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