(2)  保険商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

1.  保険内容の顧客説明に関する相談等

【相談事例等(保障内容等)】

  • 保険契約をしようと思っていますが、話が複雑でよくわかりません。どうしたらいいですか。

  • 保険金を請求したところ、約款の免責事由に該当するため支払われないと言われました。しかし、契約時には、そのような説明は受けておりません。

  • 2社の医療保険に加入しており、手術をしたところ、A社からは保険金が支払われたのに、B社からは支払われませんでした。しかし、手術によっては保険金が出ない場合があることは契約時にB社からは聞いていませんでした。

【アドバイス等】

  • まず、商品の説明をよく聞き、内容を理解するよう心掛けてください。そして不明な点等があれば必ず確認してください。また、口頭での説明を聞くだけに留まらず、約款やパンフレット等の商品説明資料を確認してください。
  • 個別の契約に係るトラブルについては、保険会社から十分に説明を受け、保険会社とよく話し合ってください。それでも解決が図られない場合には、生命保険協会生命保険相談所、又は日本損害保険協会そんぽADRセンター等(*)に相談してください。

    (*)業界団体の連絡先等については、金融庁ウェブサイトの「リンク集」をご参照ください。

  • 同じような保険商品であっても保険会社によって保障内容や各種の事務取り扱い方法は異なることがあるので注意してください。

【相談事例等(保険金額等)】

  • かなり前に契約した保険が満期となりましたが、契約時に説明があった満期時の受取金額が満額支払われません。

  • 有配当の保険に加入しています。保険会社の業績は悪くないのに、配当金が支払われないのは何故でしょうか。

【アドバイス等】

  • 保険金額等の受取額について、保険契約期間中に変動することがあるもの(満期金、配当金など)もあります。パンフレット、チラシ、企画書など満期時の受取額を示す根拠があれば用意したうえで、保険会社に確認してください。
  • 一般的に、配当金は保険料の計算に用いた予定率と実績との差によって生じた剰余を契約者に還元するものです。保険種類や契約の時期によって予定率は異なるほか、毎年の決算の結果によって生じる剰余金も一定ではありません。予定率が高く設定されている契約では、剰余が生じなかった場合、有配当の保険であっても、配当金がゼロとなることがあります。

【相談事例等(約款)】

  • 今日の心臓手術等においては、開胸式よりもカテーテル術式が主流であるにもかかわらず、カテーテル手術を支払対象外としている保険約款は問題ではないですか。

【アドバイス等】

  • 古い契約においては、新しい施術方法によるものが必ずしも保障の対象とはなっていない場合もあると考えられます。支払いの対象となるか否かについて不明な点が生じた場合には、当該保険の保障内容について、保険会社に確認を取ってください。また、仮に保障されない場合には、転換や追加の特約の付保の可否について、保険会社に相談してください。

【相談事例等(意向確認書面)】

  • 生命保険の契約時に、保険会社から意向確認書面への署名、捺印を求められました。契約に必要な書面ですか。

【アドバイス等】

  • 意向確認書面とは、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客のニーズに合致するか否かを募集人と顧客の双方が確認するための書面のことです。保険会社に対してはこうした書面を作成し、顧客に交付するとともに、保険会社において保存することを求めています。内容を十分に確認し、不明な点があれば保険会社に確認することをお勧めします。

【相談事例等(示談交渉)】

  • 交差点で信号待ちをしていたら、脇見運転の後続車に追突されました。自分が加入している自動車保険の保険会社に示談交渉を引き受けてもらえないのですが、どうしてでしょうか。

【アドバイス等】

  • 一般に、示談交渉サービスがついている自動車保険の契約では、保険会社が加害者(被保険者)の同意を得て、加害者の保険金支払責任の限度内において、被害者との折衝・示談交渉に当たります。つまり、対人賠償保険・対物賠償保険は、被保険者が加害者となった場合に機能する保険であるため、被害者に過失がなく賠償責任が生じていない場合(例えば、過失割合が100対0である事故の被害者となった場合など)には、被害者が加入している保険の示談交渉サービスは利用できません。
  • 上記のような場合には、被害者が加害者若しくは加害者側の保険会社と示談交渉する必要があります。交渉で必要となる法律相談費用、弁護士報酬、訴訟・調停費用等への備えとして、多くの保険会社が特約を扱っているようです。

【相談事例等(満期通知)】

  • 自動車保険を契約していましたが、知らない間に満期が過ぎ、無保険状態になってしまいました。これに関し、保険会社から事前の満期通知がありませんでした。保険会社は、契約者に対して満期通知をする義務があるのではないでしょうか。

【アドバイス等】

  • 保険業法等法令上においては、保険会社に対し保険契約者等への満期通知を義務付けているものではなく、サービスとして各会社が独自に行っているものです。満期管理に関しては、保険会社任せとせず、契約者ご自身の問題として管理していただくことが重要です。

2.  告知義務に関する相談等

【相談事例等(事実の不告知、保険契約の引受条件)】

  • 入院歴があることを伝えないで契約しましたが、保険金請求時になって告知義務違反を理由として保険金が支払われませんでした。

  • 既往症を告知して保険契約をしましたが、保険金請求時になって支払えないと言われました。

【アドバイス等】

  • 保険加入時における告知書には正確に回答する必要があります。事実と相違した告知をすると告知義務違反となり、保険金が支払われないことがあります。ただ、納得できない場合は、告知の内容と保険金請求に至った病気の関係について保険会社に確認してください。
  • 病歴等を告知した上で保険会社が保険契約の引受を承諾したのであれば、支払われない理由を保険会社に詳しく確認してください。なお、病歴等を告知した上で保険契約する場合、特別な契約条件(免責事由の追加、保険料の割増等)が付される場合がありますので、その点も確認してください。
  • (*)なお、保険法の施行により、契約締結時の告知に関するルールが改正され、平成22年4月1日以降に締結した契約については、保険契約者または被保険者は、保険会社が告知を求めたものについて、事実を告知すれば足りることになっています。

3.  保険契約に関する相談等

【相談事例等(クーリング・オフ制度)】

  • 保険契約にもクーリング・オフの適用はあるのでしょうか。

【アドバイス等】

  • 保険の申込みをした方又は保険契約者は、保険業法第309条第1項の規定により、「保険契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面を交付された日」または「申込みをした日」とのいずれか遅い日から起算して「8日以内」であれば、適用除外となる場合(保険業法第309条第1項のほか、同法施行令第45条及び同法施行規則第241条の規定に該当するもの)を除き、書面によりその保険契約の申込みの撤回又は解除を行うことができます。
  • (*)適用除外となる場合の主な例としては、「法人契約や事業保険契約」、「保険期間が1年以下の契約」、「法令により加入を義務付けられているもの(自賠責保険など)」、「債務履行の担保のための契約」、「保険会社が指定した医師の診査を成立の条件とする保険契約の申込みをした場合において、当該診査が終了した場合」、「既契約の内容変更の場合」などがあります。

  • (*)一方で、法令ではクーリング・オフの適用対象から除外されているものであっても、保険会社・商品・申込形態によっては、クーリング・オフの対象としている場合があります。また、クーリング・オフの適用期間を延長している場合もあります。

  • 「保険契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面」は、「保険料充当金領収証」などの他の書面と兼ねているケースがあります。
    なお、現金ではなく口座振込みやクレジットカード払いなどを利用される場合は、申込形態によって、クーリング・オフの起算日が異なってきますので、申込時までに交付される「注意喚起情報」で確認しておく必要があります。
  • クーリング・オフの手続については、一般に、保険会社に書面を郵送することによって申し出ていただく必要があり、書面の発信時にクーリング・オフの効力が生じることになります。書面の必要記載事項は、各会社の「注意喚起情報」や「契約のしおり」等でご確認ください。

【相談事例等(外国直接付保の制限)】

  • 日本に支店等を設けていない外国保険業者と保険契約を締結したいのですが、何か規制はありますか。

【アドバイス等】

  • 保険業法第186条第1項においては、一部の例外を除き原則として、日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所・居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは飛行機に係る保険契約を締結してはならないと定められており、保険契約の申込みをしようとする方は、当該申込みを行う時までに内閣総理大臣の許可を受けなければなりません。許可を受けようとする方は、所定の様式で作成した許可申請書に必要な書類を添付のうえ、金融庁長官宛に提出していただくことになります。
  • ただし、審査の結果必ず許可が受けられるというものではありません。
  • 前述の規定に違反して保険契約の締結を行った外国保険業者は、罰則として、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。また、前述の許可を受けずに保険契約の締結の申込みをした者は、50万円以下の過料に処するとされていますので留意が必要です。

4.  保険金の支払いに関する相談等

【相談事例等(支払認定)】

  • 120日間入院保険金が出るはずの保険契約で120日間入院したのにもかかわらず、60日分しか支払われませんでした。

  • 自動車事故で自分に落ち度はないはずなのに、当方の過失割合分として保険金額が減額されてしまいました。

【アドバイス等】

  • 個別の契約に係るトラブルにつきましては、保険会社から十分に説明を受けるとともに、当該保険会社とよく話し合ってください。それでも解決が図られない場合には、生命保険協会生命保険相談所、又は日本損害保険協会そんぽADRセンター等(*)に相談してください。金融庁では、個別の保険事故について、約款に定められた保障内容に該当するか否かや、また支払われるべき保険金がいくらになるか等についての判断はできません。

    (*)業界団体の連絡先等については、金融庁ウェブサイトの「リンク集」を参照。

【相談事例等(支払認定)】

  • 加療中であるにもかかわらず、保険会社から一方的に治療費にかかる保険金支払いを打ち切られてしまいました。

【アドバイス等】

  • 一般的に傷病の回復や改善等が治療によって期待できない状態になることを「症状固定」と呼称しています。保険会社が、この「症状固定」の状態になったと判断した場合、保険金支払額が確定し、保険金支払を終了することとなります。この「症状固定」の判断について納得ができない場合は、ご自身、保険会社だけでなく、医師の判断も確認するなどし、3者間で十分話し合ってください。それでも解決が図られない場合は、日本損害保険協会そんぽADRセンター等に相談してください。

【相談事例等(保険金の支払時期)】

  • 保険金の支払を保険会社に請求してからしばらく日数が経過しましたが、まだ保険金が支払われていません。通常、請求してからどのくらいの日数で保険金は支払われるのでしょうか。

【アドバイス等】

  • 保険会社は、保険金の請求があった場合の支払時期を約款において定めています。例えば、生命保険の死亡保険については、おおむね5日以内、損害保険の自動車保険であれば、30日以内に支払うこととしていることが多いようです。
  • ただし、保険会社や商品によって定めている日数は異なりますので、支払時期については約款を確認してください。
  • また、事実確認のため特に日数を要する場合は、支払時期が延長されることもあります。約款の支払時期を超えているようであれば、保険会社に問い合わせてみてください。なお、保険会社から提出を求められた請求書類等について提出に漏れがある場合、保険金は支払われませんので、ご注意ください。

【相談事例等(指定代理請求制度)】

  • 保険会社から手続きの案内が届いたのですが、指定代理請求制度とはどのような制度でしょうか。

【アドバイス等】

  • 被保険者本人が保険金を請求できない特殊な事情がある場合、あらかじめ指定された指定代理請求人が、被保険者の代理人として保険金を請求できる制度のことです。
  • 例えば、「特定疾病保障保険」や「リビング・ニーズ特約」など、被保険者本人が受取人であり、かつ生前に保険金を受け取れる契約をしている場合に、「本人が余命もしくは病名(ガンなど)を知らされていない」、または「本人が心神喪失の状況にある」などの事情があると、本人からは保険金が請求されないケースがありますが、このような場合、指定代理請求人を指定しておけば、指定代理請求人が本人に代わって保険金を請求することができます。
  • 基本的に請求時において、被保険者と同居又は生計を一つにしている被保険者の戸籍上の「配偶者」又は「三親等内の親族」であれば、指定代理請求人として指定することができます。

5. 少額短期保険業者に関する相談等

【相談事例等(信用性)】

  • 少額短期保険業者の取り扱う保険に加入を検討していますが、この業者の信用性はどうでしょうか。

【アドバイス等】

  • 個別業者の信用性について、金融庁(含む財務局)としてコメントすることはできません。加入に当たっては、ご自身でよくご検討いただくこととなりますが、少額短期保険業者についても保険募集に際して保険契約の重要事項等を説明する義務が課せられており、ご不明な点は、業者から納得するまで説明を受け、契約内容を十分に理解した上で契約するようにしてください。

6. 保険契約者の保護に関する相談等

【相談事例等(契約者保護の仕組)】

  • 保険会社の経営が破綻した場合の契約者保護の仕組について教えてください。

【アドバイス等】

  • 生命保険会社、損害保険会社(いずれも外国保険会社等を含みます。)は、それぞれ「生命保険契約者保護機構」「損害保険契約者保護機構」への加入が義務付けられています(再保険専門会社等、保険業法による加入義務のない一部の会社は除きます。)。
  • 保険会社が万が一破綻した場合、補償の対象となる保険契約については、保険契約者保護機構からの資金援助等により、その責任準備金(将来における保険金等の支払いなどに備え、積み立てることが法律で義務付けられています。)の一定割合(保険の種類などにより異なります。)が補償されます。
  • 保険契約者保護機構による補償の対象となる保険契約の範囲は、具体的には以下のとおりです。
    • いわゆる生命保険契約(個人生命保険、個人年金保険、団体生命保険、団体年金保険)

    • (イ)家計地震保険契約、自動車損害賠償責任保険契約

      (ロ)その他いわゆる第二分野(損害保険)の保険契約。ただし、自動車保険契約以外の保険契約にあっては、個人・所定の小規模法人・いわゆるマンション管理組合を保険契約者とするものに限られます。

    • いわゆる第三分野の保険契約(医療保険、傷害保険等)

    • (注1)「再保険契約」、「運用実績連動型の保険契約の特定特別勘定に係る部分」は、上記にかかわらず、補償の対象には含まれません。

    • (注2)いわゆる「共済」、「少額短期保険業者」又は「特定保険業者」の引き受けた保険(共済)契約は、保険契約者保護機構の補償の対象とはなりません。

  • より詳しい内容をお知りになりたい方は、金融庁ウェブサイトに「保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)」を掲載しておりますので、ご覧ください。

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