投資家との意見交換会概要 (4月3日(水)14時00分~16時30分 於近畿財務局)
意見交換会の冒頭、高橋証券取引等監視委員会委員長より、監視委員会のこれまでの活動状況及び活動方針等について、具体的な事例を交えながら、概要以下のとおり説明(1.、2.については、当委員会ホームページに掲載の証券取引等監視委員会パンフレット参照本文・付録[PDF])。 1. 監視委員会の組織 監視委員会の設置の経緯・趣旨及び組織の構成、定員などについて説明。 2. 活動内容 犯則事件の調査、告発、検査等の結果に基づく勧告、取引審査、一般からの情報受付について、概要、件数などを説明。 3. 最近の活動事例 (1)最近の主な指摘事例 取引一任勘定取引契約を締結する行為、投資信託の乗換、EB(他社株償還特約付社債券)等の新たな金融商品の販売にかかる問題、断定的判断を提供して勧誘する行為等について、具体的な事例を挙げて、投資家に対して注意を呼び掛けた。 (2)最近の告発事例 有価証券報告書の虚偽記載、相場操縦について、具体的な事例を紹介した。 4. 監視委員会の活動方針 監視委員会としては、投資家は証券市場に対して「3つの不信」を抱いていると考えており、このような証券市場への不信感を解消するため、全力を挙げて取組んでいる旨説明。 5. その他 空売りに対する取り組みについて説明。 参加者から出された主な意見・要望等は以下のとおり。 主に監視委員会に関するもの ○ あるホームページ上にある各銘柄ごとの掲示板には、ひどいデマや風説の流布に相当すると思われる情報が飛び交っており、これによって善良な投資家が大きな損失を被ることになるのではないか。監視委員会としても対応を是非ご検討いただきたい。 ○ ネット取引に関して最も心配しているのは、サーバー障害や容量オーバーによる接続不良である。1~2時間で復旧してはいるが、そのような場合には、証券会社の対応として、何らかの障害が起こっているということ、及び、回復までのおおよその時間を知らせてほしい。ネット取引の回線ダウン時には電話により代替することとなっているが、電話が集中することから、ほとんど通じず、電話回線がパンクしてしまうということで、結局、対応ができていない。監視委員会には、このようなことに関しても検査時に調べていただきたい。 ○ 市場は実質的に変動するというのがノーマルな状態であり、それを阻害するような要因については徹底的に規制する必要がある。監視委員会は益々量と質の上で拡充をしていただきたい。そのためには、取り締りしやすい法体系を整備する必要がある。金融商品販売法ができて、ある程度の条件整備はできたと思うが、包括的な、いわゆる金融サービス法のようなものが必要ではないか。 ○ アメリカのSECと比べ、現在の監視委員会の組織では不十分ではないかと思う。 ○ 日本の構造改革は、間接金融から直接金融への転換なくしてはあり得ず、そのためには直接金融を促すべく、規制を緩和していくことが必要だと思う。 しかしながら、知人から聞いた話では、監視委員会はある外資系証券会社に対し、業務に支障をきたすほど事情聴取をしたということであり、あまり委員会が口を挟み過ぎると規制が強すぎて、せっかく進出してきた資本が日本から撤退していく一因になるのではないか、そしてそれがまた、直接金融への転換の支障にならないかということを危惧している。 ○ 有価証券報告書については、今のところ犯則事件で調査するしか監視委員会が調べる方法はないが、法律では、発行会社に対しての資料請求、検査、あるいは公認会計士に対する資料の請求等は認められており、これらの権限は、金融庁の長官から財務局長に委任されている。この権限を財務局長から監視委員会に変えればこの問題は解決するのではないか。法律改正が難しいのであれば、金融庁との連携を密にしていっていただきたい。 主に証券会社等に関するもの ○ 日本の証券会社が投資家に信頼されるためには、不正行為をするというのはもってのほかであるが、それ以前に社員教育をきちんとし、質の高いセールスマンを育てていただきたい。 ○ 先物やオプション等を組み込んだ商品等に関しては、手数料をどの段階でどれだけとるかということを明示することが必要だと思う。証券会社の社員もどこまでその商品をわかっているのかという問題があり、外務員の説明責任という前に、きちんと説明できるだけの外務員を証券会社が育てることをお願いしたい。 ○ 株価が良い時には、うるさいぐらいに勧誘してきた証券会社が、今日のように株価が低迷していると全く勧誘してこない。証券会社は、自分たちが営業をやりやすい時だけやり、やり難くなったら鳴りを潜めるという方法ではなく、投資家の立場に立って投資家のニーズ、資金額、投資戦略を汲んで営業すべきだと思う。 ○ 証券会社には、勧誘に際して適切な説明をするということはもちろん、これから販売しようとしている商品が顧客に理解できるものであるのか、顧客の投資戦略に合致しているものなのかという適合性についても考慮して勧誘をしていただきたい。 ○ 証券会社がコンビニエンス・ストアーのように馴染みのあるものになれば、今以上に投資に興味を持ち始めるのではないか。投資を身近に感じられる何かがあれば、学生でも積極的に投資に参加できると思う。 ○ 現状では銀行に預けても仕方がないので、将来、株価が上がることを想定し、長期保有を前提に優良な株に投資をしてみたが、証券会社側は、何回も電話をかけてきて買い替えを勧めてくるので、インターネット取引に変えようかと思っている。 ○ 証券会社が発表するレーティングにどういう意味があるのかわからない。個人投資家からみると非常に無責任ではないかという気がする。 その他 ○ サラリーマンは、日常、市場に接することができる時間が非常に短いので、ある程度の範囲を持った売り注文、買い注文を定めた一任勘定取引を、一部認めていただきたい。契約というしっかりとした形を取ることによって、100%までとはいわないまでも、ある程度、証券事故は防げるのではないか。監視当局としては、一律のほうが確かにチェックしやすいと思うが、いろいろな方々に証券市場に参加してもらおうと考えるならば、全て一律ということではなく、もう少し多様性のある仕組みを是非考えていただきたい。 ○ インターネットの場合、情報を手に入れるだけではなくて、情報を発信することができるので、個人投資家はこれまで以上に学習をしていかなければならないと思う。投資家として、特に注意しなければならないのは、情報を発信する際、その情報がどういうものなのか、その情報を流すことが本当に法律に違反していないのかなどを意識して情報を発信しなければならないということである。個人投資家は取引の公正を求める一方で、法令を遵守し、モラルの面をもっと意識して投資を行うべきだと思う。 ○ 投資家の一部は全く知識を持たないまま、単に証券会社が投資に関して良いものを教えてくれるのではないか、儲けさせてくれるのではないかということで近づいて行き、結局、ひどい傷を負っているのではないか。公明正大な、公正な市場でなければ投資家が入っていくことはできないが、それと両輪として大切なのは、投資家へのわかりやすい教育だと思う。 ○ 投資家の多くが見ているようなテレビ番組で、○○証券のアナリストという立場の人間が推奨銘柄とその目標株価を話しているが、ここではチャート的に相当上がった後でその銘柄を推奨してくることから、推奨どおりに買った場合、損をする可能性が高いのではないか。目標株価についても、現状から考えて、とても到達しそうにない高い数字をあげるので、一般の人が見たら飛びつきたい気持ちになるのではないか。アナリスト個人の立場で言うのであれば結構であるが、このような誤解を招く危険性があることを、証券会社の社員という名の下に行うのは、責任の所在が曖昧になりかねないと思う。 ○ 企業は来期の決算予想について、対外的に発表すべきではないと思う。昨今、発表している数値が時期によって大きく変化する会社が見られ、会社の発表する数字を重要な投資判断情報としている投資家としては、このように適当にやっておいて、そのことに対する責任も何もないというのは何かおかしいと思う。このようなことは、アメリカ式にアナリストが自分の責任においてやるべきことではないか。 ○ 目論見書は、ページ数が多く読みづらいため、ある程度の専門的な知識がないと読めないということで、投資家に読まれないのではないかと思う。そこで、まずは、個人投資家が、自分達が見てわかりやすい目論見書とはどういうものなのかということを、委員会なり、金融庁に言い、それによって法律あるいは省令の改正等がなされてわかりやすい目論見書を発行会社に作っていただくようにしたら良いのではないか。 ○ 財務局の有価証券報告書関連事務で一番時間をかけているのは、有価証券報告書の受理から縦覧までの手続と新規公開企業の有価証券届出書の審査であると聞いている。昨年6月に導入されたEDINETシステムによる事務の簡素化によって浮いた時間を有価証券報告書の審査あるいは検査に向けたらよいと思う。また、新規公開企業の有価証券届出書の審査については、証券取引所や証券業協会で上場のための有価証券申請書という届出書と同じ内容のものについて審査をしていること、また、証券会社においても引き受け審査があることから、発行段階での有価証券届出書の審査は取引所、協会、あるいは証券会社に任せて、財務局は事後の審査に徹して有価証券届出書の審査、あるいは発行会社の検査に徹底されたら良いのではないか。 ○ 日本の風土の中では、小学校時代から資産運用の方法など教えてもあまり意味がないのではないかと思う。それより、資産とは関係なく、自己責任とはどうあるべきかということを教えるべきだと思う。投資教育は大学に入ってからでも十分ではないか。 ○ 現在必要なのは、投資運用の教育ではなく、まず、金融分野における消費者教育というレベルであろう。特に、高齢者に対しては、だまされないための教育が必要であると思う。証券業協会や大手の証券会社が大学で講座を持っているが、それは証券に関わるものだけである。学生には金融全体を教える必要があるので、NPOか大学が中心になって、組織的に日本の金融消費者教育をしていく必要があるだろう。 ○ 教育委員をした経験から、株を小学校で教えるというのは不可能だと思う。日本の国民は、とてもお金がほしいのに、お金は汚いと思っており、その考え方を変えて、お金は必要なものであり、きれいも汚いもない中庸なものであるという教育をするほうが大切。国民負担率や税金などの考え方をまず教え、株が中心にあるのではなくてライフプランニングの中に株があるのだという考え方がまず重要である。高齢者にも若い人にも、お金が流れないと日本は豊かにならないのだという経済の根本的な仕組みをまず教えていただきたい。 投資教育は、対象を何もしていない人、投資ビギナー、中堅教育の3つに分けるべきだと思う。そして、NPOのような中間的な相談窓口と緊急時の異議申立て機関を作り、いろいろなNPOの中から国民が選ぶシステムにしていただきたい。 ○ 私は大学から投資を勉強し始めたが、早いうちから投資について勉強をし、しっかりとした知識を身につけておくと、よくわからないまま株式を買って損をし、投資が嫌になってしまうといったことが大分防げるのではないか。 ○ 有価証券への投資に対しては、依然としてギャンブル性の高いイメージがあり、また、経済誌、業界新聞、一般のメディア等には投資家を証券市場に招く啓蒙運動が不足していると思う。政府に対しては、投資家を証券市場に導く知識の啓蒙運動により一層力を入れていただきたい。 ○ 証券取引法違反の関係の新聞記事は、一般の人々が理解できるような書き方にはなっていない。単に規制の概要を書くのではなく、そのような違反行為によって、どのような恩恵を受けたのか、どのような意図があったのかという突っ込んだところまで是非書いていただきたい。 ○ 小学校は小学校、中学校は中学校、高校は高校、大学は大学、それぞれ、そのレベルにあった教育があると思う。投資の仕方を小学校から教えるということではなく、身近な経済を小学校から教え、最終的には金融というものがわかるように、連続性を持った教育を実施していけば良いと思う。 ○ 消費者が何かトラブルに巻き込まれた場合に、消費生活センターだけではなく、手軽に相談でき、紛争を解決してもらえる機関を早期に設けていただきたい。 ○ 昨年施行された金融商品販売法に基づいて各金融機関から勧誘方針が公表されているが、全国消費生活センターの金融サービス研究会で独自に調査したところ、店内に勧誘方針を公表していない証券会社や、店員に勧誘方針についての認識が全くないということがみられ、勧誘方針の公表は不十分であった。 ○ 金融や起業家教育という課題について学校で取り組むべきなのは、公正なルールを身に付けさせること、そして、人間関係を身に付けさせることだと思う。NPOや企業とも協力しながら、学校教育を進めていくことが、今後、より必要になってくるのではないか。 ○ 株式の売買についての税制は難しく、税理士をしていても、何か参考書を見ながらでないと正しい説明ができない。このため、金融商品の税制について、もう1度まとめて整理していただきたい。 ○ 金融商品によって、税金が課税されたり、されなかったりすることは非常に問題だと考えている。証券会社の広告でも、上手くやれば税金が課税されずにすむのではないかという間違った期待を投資家に持たせてしまうようなものがあり、犯罪の温床にもなりかねないので、この問題についての制度の整備をお願いしたい。 (以上) |