市場へのメッセージ(証券監視委メールマガジン)

〔12月28日(水)配信分より〕

最近の取引調査に基づく勧告について

証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。

  • H28.12.9
株式会社ハナテン役員からの情報受領者2名による内部者取引違反行為及び当該役員による公開買付けの実施に関する事実に係る伝達違反行為
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20161209-1.htm

【事案の概要】

本件は、課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。) が3名の事案です。事案の流れがわかりやすいように、対象者(3)からご説明します。

  • 対象者(3)について

    違反行為事実A

    対象者(3)は、株式会社ハナテン(以下「ハナテン」といいます。)の役員ですが、同人が、職務に関し株式会社ビッグモーターの役員からの伝達により知った、同社の業務執行を決定する機関が、ハナテン株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実(以下「本件事実」といいます。)を、対象者(1)に対し、本件事実の公表がされる前にハナテン株式の買付けをさせることにより対象者(1)に利益を得させる目的をもって伝達したものであり、対象者(1)は、本件事実の公表前に、自己の計算において、ハナテン株式を買い付けています。

    違反行為事実B

    違反行為事実Aと同様に、対象者(3)は、本件事実を、対象者(2)に対し、本件事実が公表される前にハナテン株式を買い付けさせることにより対象者(2)に利益を得させる目的をもって伝達したものであり、対象者(2)は、本件事実の公表前に、自己の計算において、ハナテン株式を買い付けています。

  • 対象者(1)について

    対象者(3)から本件事実の伝達を受けながら、本件事実の公表前に、自己の計算において、ハナテン株式を買い付けたものです。

  • 対象者(2)について

    対象者(3)から本件事実の伝達を受けながら、本件事実の公表前に、自己の計算においてハナテン株式を買い付けたほか、知人から預かった運用資金を元に自己以外の者(当該知人)の計算においてもハナテン株式を買い付け、運用対価を受け取っていたものです。

【事案の特色等】

本件は、対象者(2)の自己以外の者の計算に係る買付けについて、平成24年の金融商品取引法改正により新たに定められた、金融商品取引業者等に該当しない者の「自己以外の者の計算」によるインサイダー取引に係る運用対価を課徴金の対象とする規定(金融商品取引法第175条第2項第3号ロ)を適用した、初の事案です。

本件も、「公開買付け等事実」を知った者によるインサイダー取引事案です。平成28年度の勧告事案を振り返ってみますと、インサイダー取引に関する勧告事案数13件のうち本件を含め6件(46.2%)が、公開買付け等事実を知った者によるインサイダー取引となっています。これは、平成17年4月の課徴金制度導入以降、本年3月末までのインサイダー取引累積事案数150件のうち39件(26.0%)が公開買付け等事実を知った者によるインサイダー取引であることと比較すると2倍近くの割合です。これまでの証券監視委メールマガジンでお伝えしているとおり、公開買付けについては、公開買付けの当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。繰り返しになりますが、公開買付けに関わる関係者全てに厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。

また本件は、ハナテン役員による公開買付けの実施に関する事実に係る伝達違反行為についての勧告事案でもあります。本来、上場会社の役員であれば情報管理体制を整備し、役職員へ教育する立場にあるはずです。しかしながら、本件対象者(3)である役員自ら、知人に利益を得させる目的をもって伝達したものであり、上場会社役員の行動としては、非常に問題がある行為です。

本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。


スターホールディングス株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について

証券監視委は、平成28年12月7日、金融商品取引法違反(内部者取引)の嫌疑で、犯則嫌疑者1名を横浜地方検察庁に告発しました。

【告発の対象となった犯則事件の概要等】

犯則嫌疑者は、平成26年10月1日頃、Aから、緑株式会社の業務執行を決定する機関が、東京証券取引所が開設するジャスダック市場に上場されていたスターホールディングス株式会社(以下「スターホールディングス」といいます。)株券の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実の伝達を受けました。

犯則嫌疑者は、そのうえで、同事実の公表前に同社株券を買い付け、その公表後に売り付けて利益を得ようと考え、法定の除外事由がないのに、同事実の公表前である同月2日から平成27年2月5日までの間、証券会社を介し、犯則嫌疑者名義でスターホールディングス株券合計5万9,400株を代金合計2,124万8,200円で買い付けました。

本件は、犯則嫌疑者が、公表後の株価上昇が確実と見込まれる公開買付けの実施に関する事実を入手したことを奇貨として、本件取引を行ったものであり、悪質性が高いものです。証券監視委は、引き続き、重大で悪質な証券不正の違反行為について、犯則調査の権限を行使し、厳正に対応していきます。

(本件に関する公表文)

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20161207-1.htm

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