市場へのメッセージ(証券監視委メールマガジン)

〔6月20日(月)配信分より〕

私募債を販売していた証券会社9社に対する検査結果に基づく勧告について

証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、私募債を販売していた証券会社計9社について、平成28年6月7日、9日、10日、金融庁に対して行政処分を行うよう勧告いたしました(詳細は下記リンク参照)。

(公表文)

上記9社はいずれも私募債を販売していましたが、その販売に際し、商品内容や発行会社等の事前審査や事後的なモニタリングを実質的にほとんど行っておらず、債券の実態をほとんど把握していなかったこと等から、販売用資料において事実に反する記載を行うなど、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示を行ったこと等の法令違反行為が認められたものです。

上記の根本的な原因としては、概ね、新たな収益源を模索する中で新たに私募債の取扱いを開始するに際し、必要な内部管理態勢等の拡充や見直しを経営陣が怠っていたこと等にあると考えられます。

私募の商品について一般投資家に販売する場合、販売会社の審査・モニタリングの責任は重要であり、顧客が適切に投資判断をするために必要かつ重要な発行体の情報やリスク等は、顧客に積極的かつ丁寧に情報開示・説明すべきです。


最近の取引調査に基づく勧告について

証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。

  • H28.6.3
極東貿易株式外4銘柄に係る相場操縦
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160603-1.htm

【事案の概要】

本件は、インターネットで株取引を行っていた個人投資家が、他の投資家の売買を誘引する目的をもって、いわゆる見せ玉(約定させる意思のない注文)を利用して、極東貿易ほか4銘柄の株価を人為的に変動させる手法で相場操縦を行っていたという事案です。

この個人投資家は、過去に証券会社の株式ディーラーとして株取引業務に従事していたことがあり、退職後も専ら、日計り商いを中心に取引を行っていましたが、相場が下落基調にあるときにも利益を確保しようと考え、本件のような見せ玉を用いた手法での違反行為を行うようになったものです。

具体的には、

(1)予め、特定銘柄について信用取引で売り注文を発注・約定(⇒仕込みの売付)、

(2)その直後に、他の投資家の売り注文を誘引するための売り見せ玉を発注(⇒見せ玉・発注)

(3)誘引された他の投資家からの売り注文により株価が下落したところで(1)と同数量を買付(⇒買戻し)

(4)買戻しが終了したところで見せ玉の取り消し(⇒見せ玉・取消し)

といった取引を、繰り返し行うことにより、売買差益を稼いでいました((1)と(3)の差額が売買益)。

相場操縦行為は、市場において相場を意図的・人為的に変動させ、その相場があたかも自然の需給によって形成されたものであるかのように装い、他人を誤認させ、その相場の変動を利用して自己の利益を図ろうとするものであり、また、公正な価格形成を阻害し、他の投資者に不測の損害を与えるものであることから、金商法はこれを禁止しています。

この個人投資家が、本件違反行為により得た売買益は1銘柄当たり2〜13万円程度でしたが、相場操縦規制の趣旨等を踏まえると、決して許されるべきものではなく、課徴金勧告の対象となることはいうまでもありません。

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