市場へのメッセージ(証券監視委メールマガジン)

〔8月19日(金)配信分より〕

不公正取引に関する課徴金事例集の公表について

証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、平成28年7月28日、「金融商品取引法における課徴金事例集〜不公正取引編〜」を公表いたしました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20160728.htm

不公正取引を未然に防止するための参考としていただけるよう、本書においては、

  • (1)インサイダー取引に関しては、27年6月から28年5月までに勧告した事例(15事例)について、最近の調査から判明した事案の特色及び調査過程で把握された上場会社におけるインサイダー取引管理態勢の状況などの発生原因等を整理し、

  • (2)相場操縦及び風説の流布等に関しては、27年6月から28年5月までに勧告した事例(相場操縦11事例、風説の流布等1事例)について、最近の調査から判明した事案の特色を整理し、

  • (3)更に、参考資料として、過去にバスケット条項が適用された個別事例(7事例)、判例(インサイダー取引5事例、相場操縦5事例)、審判手続の状況、課徴金制度の説明及び不公正取引規制に関する論文紹介を、

  • (4)また、随所に証券監視委からのメッセージを、

グラフや概要図を用いながら、問題点を明確にすべく記載しております。

不公正取引のうち、インサイダー取引に関しては、従来から発行会社のインサイダー取引管理態勢について言及してきたところです。27年度の違反行為者のうち70%近くを第一次情報受領者が占めているのですが、情報伝達者13名の内訳をみると、役員の割合が増加し半数近くを占めています。役員は、重要事実を容易に知りうる立場にあり、インサイダー取引の未然防止の観点からも極めて重要な役割を担っているにもかかわらず、友人や取引先等に対して安易に重要事実等を伝達していた事例も少なからず判明しています。

上場会社の経営陣等が、こうした状況を重く受け止め、自社でも同様の問題が生じる可能性がないかどうかについて再点検を行っていただくことを期待しています。

なお、情報伝達者13名のうち、平成26年4月以降において、他人に対して利益を得させる等の目的で情報伝達を行い、当該他人が伝達された重要事実等に基づいて取引を行っていたことが判明した者3名(3事案)について「情報伝達・取引推奨規制」違反による課徴金勧告を行ったところです(制度導入後初)。

証券監視委としては、不公正取引の未然防止という観点から、本書が、

  • (1)重要事実の発生源となる上場会社における、インサイダー取引管理態勢の一層の充実強化

  • (2)公開買付け等企業再編の当事者からフィナンシャル・アドバイザリー業務を受託する証券会社・投資銀行等における、重要事実等の情報管理に関する注意喚起

  • (3)証券市場のゲートキーパーとしての役割を担う証券会社における、適正な売買審査の実施

にそれぞれ役立てられることを期待するとともに、

  • (4)本書を通じて、一般投資者におかれても、不公正取引の疑いがある場合には、証券監視委による調査の対象となり、法令違反が認められた場合には課徴金納付命令等の法的な制裁が課されることを十分にご理解いただければ幸いです。

市場関係者におかれては、本書をぜひご一読いただき、不公正取引を未然に防止するために実効性ある態勢が構築され、市場の公正性・透明性がより高められることを強く期待しています。


株式会社ALBERT株券に係る内部者取引事件の告発について

証券監視委は、平成28年8月1日、金融商品取引法違反(内部者取引)の嫌疑で、犯則嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発しました。

【告発の対象となった犯則事件の概要等】

本件は、犯則行為当時、東京証券取引所が開設するマザーズ市場に株券を上場している株式会社ALBERT(アルベルト)の取締役会長であった犯則嫌疑者が、同社の株券について、内部者取引を行ったものです。

犯則嫌疑者は、平成27年9月16日頃、同社の通期業績予想の経常利益を下方修正することとなる重要事実を知り、次の内部者取引を行いました。

第1に、本件重要事実の公表前である平成27年10月15日から同月29日までの間で、親族A名義のアルベルト株券合計1万9100株を代金合計3825万6400円で売り付けました。

第2に、あらかじめアルベルト株券を売り付けさせて損失の発生を回避させる目的をもって、本件重要事実の公表前である平成27年10月7日頃、親族Bに対して重要事実を伝達し、親族Bが、重要事実の公表前である同月14日から同月29日までの間で、自身名義のアルベルト株券4900株を代金合計989万円で売り付けたものです。また、同じ目的をもって,重要事実の公表前である同年10月7日頃、知人Cに対して重要事実を伝達し、知人Cが、重要事実の公表前である同日から同月29日までの間で、自身名義のアルベルト株券2600株を代金合計504万900円で売り付けたものです。

本件は、犯則行為当時、発行会社の取締役会長の立場にあった犯則嫌疑者が、自ら親族のために内部者取引を行っただけでなく、他の親族らにも重要事実を伝達し、合計で概ね1500万円弱に上る損失を回避させた悪質な事案です。

なお、本件は、平成25年の金融商品取引法改正で新設され、平成26年4月1日に施行された同法第167条の2(未公表の重要事実の伝達等の禁止)を適用して証券監視委が告発した初めての事案になります。これまでに、同条を適用した情報伝達規制違反で証券監視委が課徴金勧告を行った事案は4件ありますが、本件については、前述のような本件の悪質性に鑑みて、告発したものです。

証券監視委は、引き続き、内部者取引等の悪質な違反行為に対して、金融商品取引法に定められた規制を適切に運用し、厳正に対処してまいります。

(本件に関する公表文)

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160801-1.htm

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