(1) 顧客の課税免脱に加担する行為等
当社社長は、平成13年2月頃、外国為替証拠金取引により大きな収益を上げている顧客がいたことから、当該顧客の税金対策、さらには顧客との取引拡大や当社の手数料収入の向上につなげる目的で、平成13年2月28日から同18年8月22日までの間において、顧客が売買損を発生させたような取引を装い、当該顧客の口座から海外居住者口座等に委託証拠金等を資金移転のうえ、移転先口座で外国為替証拠金取引を行う取引一任勘定取引契約の締結を行った。
当社役員(以下「一任運用担当役員」という。)は、当該取引一任勘定取引契約に基づく資金運用を担当していたところ、外国為替相場を読み違えて運用に失敗し、全建玉を決済した平成18年5月9日までに、資金移転した委託証拠金等の全額を消失させ、さらには、当社の計算に帰属する損失を発生させた。一任運用担当役員は、これらの損失が社長に発覚することをおそれ、架空売買により、(取引一任勘定取引契約を締結した顧客とは別の)当社顧客(以下「一般顧客」という。)の口座にその損失を付け替え、当社損失の隠蔽を図った。
社長は、平成18年7月頃までには、当社損失が一般顧客口座に付け替えられている事実を認識したにもかかわらず、何ら是正措置を図ることなく放置したばかりか、当社経理を担当する役員に対して、さらに架空売買による委託証拠金等の資金移転を指示し、平成20年1月7日現在、一般顧客口座には当社の計算に帰属する損失合計308,000千円が存在する状況となっている。
前述(1)記載のような当社の業務の状況は、前述(2)記載の各法令違反行為を踏まえれば、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第52条第1項第9号に規定する「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当するものと認められる。
また、社長は、前述(1)記載の顧客の課税免脱に加担する行為等の主謀者であり、同人の行為は、前述(2)記載の各法令違反行為を踏まえれば、金商法第64条の5第1項第2号に規定する「外務員の職務に関して著しく不適当な行為」に該当するものと認められる。
前述(2)記載の各行為は、以下のとおり法令違反に該当するものと認められる。
の行為は、当社が金融先物取引法(以下「金先法」という。)第87条第1項第2号の虚偽の登録申請書の提出という不正の手段により登録を受けたと認められる。
の行為は、金先法第76条第3号に該当すると認められる。
の行為は、金先法第76条第8号に該当すると認められる。
の行為は、金先法第76条第9号に基づく同法施行規則第25条第3号に該当すると認められる。
の行為は、金商法第46条の6第1項(平成19年9月30日以降の行為について。平成19年9月29日以前の行為については、「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年6月14日法律第66号)」による廃止前の金先法第82条第1項)及び金先法第79条第1項にそれぞれ違反すると認められる。
の行為は、金先法第78条に基づく同法施行規則第26条第1項第1号、同第2号及び同第4号、並びに、金商法第46条の2に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第157条第1項第9号(平成19年9月30日以降の行為について。平成19年9月29日以前の行為については、「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年6月14日法律第66号)」による廃止前の金先法第78条に基づく同法施行規則第26条第1項第3号)にそれぞれ違反すると認められる。
の状況は、金商法第43条の3第1項に違反すると認められる。
の状況は、金商法第46条の6第2項に違反すると認められる。