平成21年10月29日

証券取引等監視委員会

株式会社コンコードに対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が株式会社コンコード(東京都渋谷区、資本金5千万円、役職員5名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    集団投資スキームに係る取得勧誘及び運用において公益及び投資者保護上重大な法令違反行為等が認められる状況

    株式会社コンコード(以下「当社」という。)は、未公開株式ファンドに係る取得勧誘及び運用を主たる業務としており、平成21年3月31日、金融商品取引業(第二種金融商品取引業及び投資運用業)の登録を受けている。

    当社は、A社を投資先とするEPP投資事業有限責任組合(以下「EPPファンド」という。)、B社を投資先とするBS投資事業有限責任組合(以下「BSファンド」という。)及びBS2号投資事業有限責任組合(以下「BS2号ファンド」という。)を設立し、それぞれ当該組合持分の取得勧誘をし、受け入れた出資金を投資先企業発行の株式及び新株予約権を投資対象とする運用を行っている。

    当社は、BS2号ファンドにつき取得勧誘する(募集期間:平成20年11月~同21年5月)ことにより、230名の出資者から総額244,020千円の出資金を受け入れているが(募集期間経過後も合わせると、実顧客数519名から総額648,390千円を受け入れている。)、今回検査において当該ファンドに係る取得勧誘及び運用業務等につき検証したところ、下記(1)ないし(4)のとおり、公益及び投資者保護上重大な法令違反行為が認められた。

    • (1) 多額の出資者負担費用が出資者に説明されていない状況

      当社は、関係会社等3社とともにBS2号ファンドに係る取得勧誘を行っているが、その勧誘に応じた出資者から受け入れた出資金1口21万円のうち12万円を上記関係会社等に手数料(以下「本件販売手数料」という。)として支払っている。

      当該手数料は、当該ファンドに係る取得勧誘時に出資者に対して説明すべき出資者負担費用と認められるが、当社が当該ファンドに係る取得勧誘及び契約締結に際して出資者に交付している「契約締結前交付書面」、「契約締結時交付書面」、「投資事業有限責任組合契約書」、その他販売勧誘資料のいずれにおいても、当社が出資金から徴取する管理報酬(総出資額の3%に相当する額)等が記載されているにとどまり、本件販売手数料については出資者負担費用として一切表示されていない。

    • (2) BS2号ファンドに係る出資金の流用

      検査基準日(平成21年10月13日)現在において、B社は当社又はBS2号ファンドに対する新株予約権発行の手続を行っておらず、また、当社又はB社とBS2号ファンドとの間の新株予約権等に係る売買契約も全く行われておらず、BS2号ファンドは投資先企業の株式及び新株予約権を全く取得していない。

      そのような中で当社は、出資者から受け入れたBS2号ファンドに係る出資金を当該ファンドの運用財産として自己の固有財産と区別することなく、当社口座に振り替え、当該出資金1口21万円のうち12万円を前記(1)の本件販売手数料として関係会社等に支払っていたほか、その余の9万円についても当社の役員報酬や運転資金に費消・流用していた。

    • (3) BS2号ファンドに係る虚偽の有価証券報告書の提出

      当社は、BS2号ファンドに係る特定有価証券の発行者として、平成21年6月29日、EDINETにより関東財務局長へ当該ファンドの第1期(自平成20年9月15日、至同21年3月31日)に係る有価証券報告書を提出している。

      しかしながら、上記(2)のとおり、BS2号ファンドは未上場株式等(B社の株式及び新株予約権)を取得した実態がないにもかかわらず、当該有価証券報告書には、「第3 組合等の経理状況」の「1 財務諸表 (1) 貸借対照表」に「資産の部 流動資産 投資有価証券 229,740千円」等といった記載があり、虚偽の記載があるものと認められる。

    • (4) 虚偽のことを告げる行為

      当社は、関係会社等とともにBS2号ファンドに係る有価証券届出書記載の募集期間経過後においても、当該ファンドにつき今後予想される解約に伴い当社が当該組合持分を取得するであろうことを前提として、未だ保有するに至っていない当該組合持分を当社が出資者に譲渡するという形で、当該ファンドに係る取得勧誘を継続していた。

      当社は、上記譲渡契約時に当該組合持分を保有していないにもかかわらず、これを取得・保有しているように装って出資者との間で譲渡契約を締結し、平成21年6月1日以降363名の出資者から総額404,370千円を受け入れ、当該譲渡代金を関係会社等への販売手数料の支払いや当社の役員報酬及び運転資金に費消している。

    なお、EPPファンド及びBSファンドにおいても、当社は、当該各ファンドに係る有価証券届出書記載の募集期間経過後にその上限とされている発行価額総額を超えてその持分の取得勧誘を行うなどしており、営業管理態勢上の問題が認められた。

    当該金融商品取引業者が行った上記各行為のうち、上記(1)の行為は、出資者負担費用額につき事実に反する表示となっているものと認められ、金融商品取引法(以下「法」という。)第38条第6号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号(虚偽表示)に該当するものと認められる。

    同(2)の行為は、組合員からの出資金をファンドの運用財産として分別管理することなく、当社の役員報酬や運転資金に流用しており、法第42条の4(投資運用業者の分別管理義務)に違反するものと認められる。

    同(3)の行為は、虚偽の記載をした有価証券報告書を関東財務局長へ提出しており、法第24条第5項により準用される同条第1項(有価証券報告書の提出義務)に違反するものと認められる。

    同(4)の行為は、BS2号ファンドに係る持分を保有していないにもかかわらず、これを保有しているように装って、当該持分を譲り渡すとしてその取得勧誘及び譲渡契約を締結しており、法第38条第1号(虚偽告知)に違反するものと認められる。

サイトマップ

ページの先頭に戻る