平成24年4月13日

証券取引等監視委員会

SMBC日興証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会がSMBC日興証券株式会社(東京都千代田区、資本金100億円、役職員8,166名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • 法人関係情報に関する管理について不公正取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていない業務運営状況及び法令違反行為を含む不適切な勧誘行為

      SMBC日興証券株式会社(以下「当社」という。)においては、その業務に関しA社株式の公募増資に係る法人関係情報(以下「本件情報」という。)を受領した営業本部の役員等が、社内規程の手続きを経ずに傘下の営業部店長に本件情報を伝達し、また、本件情報の厳格な管理について明確な指示をしていなかった。その結果、少なくとも21営業部店において、営業部店長等の指示等により、公表前におけるA社株式の公募増資に係る取得申込みの勧誘が行われ、うち8部店23営業員が、34顧客に対し、本件情報が公表される以前に本件情報を提供して取得申込みの勧誘を行った。

      当社はその後、これらの行為について不適切であると自ら認識し、役職員に対し法人関係情報の管理についての注意喚起等の施策や社内研修を複数回実施するなど、一定の改善を図っているものの、その対応は不十分なものであった。

      また、当社では、B社株式の公募増資に関する法人関係情報を保有する部署が、営業部門担当部長に対し、社内規程の手続きを経ずに当該株式の法人関係情報を伝達していた。

      当社における上記行為のうち、法人関係情報を提供しての勧誘は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第7号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「業府令」という。)第117条第1項第14号に該当するものと認められる。

      また、当社における上記のような法人関係情報の管理態勢は、不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められ、金商法第40条第2号に基づく業府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあっては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一~六 (略)

七 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

(適合性の原則等)

第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。

一 (略)

二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

第百十七条 法第三十八条第七号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

一~十三 (略)

十四 有価証券の売買その他の取引又は有価証券に係るデリバティブ取引若しくはその媒介、取次ぎ若しくは代理につき、顧客に対して当該有価証券の発行者の法人関係情報を提供して勧誘する行為

(以下、略)

(業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)

第百二十三条 法第四十条第二号に規定する内閣府令で定める状況は、次に掲げる状況とする。

一~四 (略)

五 その取り扱う法人関係情報に関する管理又は顧客の有価証券の売買その他の取引等に関する管理について法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められる状況

(以下、略)

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