平成24年6月19日

証券取引等監視委員会

FXCMジャパン証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がFXCMジャパン証券株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 飯田和則(いいだ かずのり)、資本金25億円、役職員36名、第一種及び第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)業務運営に関し重大な問題が認められる状況

      FXCMジャパン証券株式会社(以下「当社」という。)は、インターネットを経由した通貨関連店頭デリバティブ取引(以下「FX取引」という。)を主たる業務としており、当社の米国籍のグループ会社(以下「外部委託先」という。)が提供するシステム(以下「FXシステム」という。)を使用して業務を行っている。

      • システムの管理及び運用状況に重大な問題が認められる状況

        当社は、システム障害発生時に必要な対応手順及び手段を具体的に定めておらず、また、FXシステムの管理及び運用についても、金融商品取引業者として、その業務の根幹をなすFXシステムの基本的な内容すら把握していない状況にある。

        更に、当社では、本来約定すべきレートと異なるレートで約定が成立するなどのシステム障害を含む様々なシステム上の問題(以下「システム上の諸問題」という。)が繰り返し発生しており、このなかには発生原因が把握されていないものも認められている。当社は、こうしたシステム障害への対応について、外部委託先の調査結果をそのまま受け入れるのみであり、システム障害が顧客に与える影響やその発生原因について主体的に調査・検証を行っていないなどの状況にある。

        したがって、当社では、今後も同様のシステム上の諸問題が発生する可能性が十分にあり、顧客取引に影響を与えかねない状況となっているものと認められる。更に、当社において重大なシステム上の諸問題が発生した場合、当社で適切に対応することは困難な状況となっているものと認められる。

      • 顧客対応が杜撰な状況

        上記イのとおり、当社においては、システム上の諸問題が繰り返し発生しているが、当社は、システム上の諸問題に係る顧客対応について、顧客からの照会・苦情があったものについてのみ対応し、他の関係する顧客に対し必要な対応を取っていない事例が認められた。

        また、当社のFX取引のカバー先でもある外部委託先が、FX取引において発生したスリッページに関し不当な取扱いを行ったとして米国内で処分を受けたが、当社は、その影響が当社顧客へも及んでいるにもかかわらず、当社の責任につき問題意識を持つことなく、特段の顧客対応を取っていない。

        このように、当社は、システム上の諸問題等に伴う顧客対応について主体的に取り組んでおらず、関係する顧客に対し必要な対応を取っていないものが多数認められ、本来であれば訂正処理等を行うべき顧客取引を放置しているなどの状況が認められた。

      当社における上記イの状況は、当社の業務の根幹をなすFXシステムについて基本的な内容すら把握しておらず、システム上の諸問題についても、当社には主体的に原因究明等を行う姿勢が認められず、今後、当社において重大なシステム上の諸問題が発生した場合、当社で適切に対応することは困難な状況にあるなど、当社のシステム管理及び運用の状況には重大な問題が認められることから、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「業府令」という。)第123条第1項第14号に規定する「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当するものと認められる。

      また、当社における上記ロの状況は、システム上の諸問題等に伴う顧客対応について主体的に取り組んでおらず、当社の顧客対応は極めて杜撰であり、投資者保護上、重大な問題が認められることから、金商法第51条に規定する「金融商品取引業者の業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

    • (2)顧客に必要証拠金の不足額を預託させることなく、FX取引に係る契約を継続する行為

      当社は、平成23年8月1日から検査基準日(同年11月16日)までの間に、営業日ごとの一定の時刻におけるFX取引に係る預託証拠金額が取引に必要な預託額を下回っている顧客について、合理的な期間を超えても追加証拠金の入金等がないまま取引を継続させている事例が55顧客57件認められた。

      当社による上記の行為は、金商法第38条第7号に基づく業府令第117条第1項第28号に規定する「その営業日ごとの一定の時刻における通貨関連デリバティブ取引に係る証拠金等の実預託額が維持必要預託額に不足する場合に速やかに当該通貨関連デリバティブ取引に係る顧客にその不足額を証拠金等預託先に預託させることなく、当該通貨関連デリバティブ取引に係る契約を継続する行為」に該当するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)

一~六 (略)

七 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

(適合性の原則等)

第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない

一 (略)

二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)

第五十一条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

第百十七条 法第三十八条第七号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

一~二十七 (略)

二十八 その営業日ごとの一定の時刻における通貨関連デリバティブ取引に係る証拠金等の実預託額が維持必要預託額に不足する場合に速やかに当該通貨関連デリバティブ取引に係る顧客にその不足額を証拠金等預託先に預託させることなく、当該通貨関連デリバティブ取引に係る契約を継続する行為(前号に掲げる行為を除く。)

(以下、略)

(業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)

第百二十三条 法第四十条第二号に規定する内閣府令で定める状況は、次に掲げる状況とする。

一~十三 (略)

十四 金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況

(以下、略)

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