平成24年12月5日

証券取引等監視委員会

イニシア・スター証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がイニシア・スター証券株式会社(東京都港区、代表取締役 太田喜博(おおた よしひろ)、資本金13億円、常勤役職員17名、第一種及び第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • 顧客区分管理必要額を運転資金等に流用しているなど公益及び投資者保護上著しく不当な行為が認められる状況

      今回検査において、イニシア・スター証券株式会社(以下「当社」という。)の財産の状況を検証したところ、以下の状況が認められた。

      • (1) 純財産額及び自己資本規制比率が法定の基準を下回っている状況

        当社は、検査基準日(平成24年11月28日)現在、預金勘定に214百万円を計上しているものの、実際は、うち200百万円は存在しておらず、真正な預金残高は14百万円となっている。

        真正な預金残高等を踏まえた検査基準日現在の純財産額は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第29条の4第1項第5号ロに基づく金融商品取引法施行令第15条の9第1項に定める額(5千万円)に満たない額となっているほか、自己資本規制比率についても、金商法第46条の6第2項に定める比率を著しく下回る状況となっている。

      • (2) 当局に対する虚偽報告

        当社は、平成24年8月8日に発出された関東財務局長からの金商法第56条の2第1項に基づく報告命令(以下「報告徴求命令」という。)に対して、220百万円の預金残高がある旨を記載した虚偽の報告書を同年9月10日に関東財務局長に提出し、報告徴求命令に基づくモニタリング調査においても、同月以降の数値について、虚偽の報告をしていた。

      • (3) 顧客区分管理必要額を運転資金等に流用している状況

        • I顧客区分管理必要額の信託不足

          今回検査において、顧客区分管理必要額の算定根拠となる顧客からの預り金(以下「顧客預り金」という。)を確認したところ、116百万円の信託不足が発生している。

        • II区分管理すべき顧客資産を運転資金等に流用している状況

          上記Iにおいて、当社A取締役は、当社会長(当社の100%子会社(以下「B社」という。)の社長)から、顧客預り金を取り崩してB社や当社会長から指示のあった者への貸付金(又は立替金)とするよう指示を受け、平成24年8月31日以降、部下に指示の上、数度に亘り顧客区分管理信託額から取り崩し、125百万円を貸付金(又は立替金)や当社の運転資金等に流用している。

          日々の顧客区分管理必要額の算定時は、顧客預り金を過少に計上することで、顧客区分管理必要額を過少に算定し、余剰額(本来の顧客区分管理必要額との差額)を運転資金等として費消している。

    • (4) 支払い不能に陥るおそれのある状況

      当社が、平成24年12月4日付で作成した資金繰り表によると、同月3日現在で、経費等の支払いに充てられる現預金は16百万円程度であり、今後の収入、支出見込み額を踏まえると、同月25日には支払不能の状況になる。

      また、当社は、上記(3)IIのとおり、顧客からの預り金で、区分管理すべきもののうち125百万円を会社の運転資金等の経費に流用しているが、当社が作成した資金繰り表では、その額が反映されておらず、その流用分の補てんを含めた今後の資金計画は、まったく目途がたっていない状況である。

    上記(1)のとおり、当社の純財産額が法定の基準に満たない状況は、金商法第52条第1項第3号(同法第29条の4第1項第5号ロに該当することとなったとき)に該当するものと認められる。

    また、当社の自己資本規制比率が100パーセントを著しく下回っている状況は、金商法第53条第2項に規定する「金融商品取引業者が第46条の6第2項の規定に違反している場合(自己資本規制比率が、100パーセントを下回るときに限る。)において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

    上記(2)のとおり、報告徴求命令に対し虚偽の報告を行ったことは、金商法第52条第1項第6号(金融商品取引業に関し法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき)に該当するものと認められる。

    上記(3)の状況は、金商法第43条の3第2項に定める顧客資産の区分管理義務に違反するものと認められる。

    上記(4)の状況は、金商法第52条第1項第7号(業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥るおそれがあるとき)に該当するものと認められる。


(参考条文)

  • 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

    (登録の拒否)

  • 第二十九条の四内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない

    一〜四 (略)

    • 五 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合にあつては、次のいずれかに該当する者

      イ (略)

      ロ 純財産額(内閣府令で定めるところにより、資産の合計金額から負債の合計金額を控除して算出した額をいう。)が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者

      ハ〜ヘ (略)

      六 (略)

  • 2〜5 (略)

  • 第四十三条の三 (略)

  • 2 金融商品取引業者等は、その行うデリバティブ取引に関し、顧客の計算に属する金銭及び金融商品の価値に相当する財産については、内閣府令で定めるところにより、管理しなければならない

  • (自己資本規制比率)

  • 第四十六条の六 (略)

  • 2 金融商品取引業者は、自己資本規制比率が百二十パーセントを下回ることのないようにしなければならない

  • 3 (略)

  • (金融商品取引業者に対する監督上の処分)

  • 第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる

  • 一・二 (略)

  • 三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が、第二十九条の四第一項第五号イ又はロに該当することとなつたとき

  • 四・五 (略)

  • 六 金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき

  • 七 業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥るおそれがあるとき

  • 八〜十一 (略)

  • 2〜5 (略)

  • (自己資本規制比率についての命令)

  • 第五十三条 (略)

  • 2 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が第四十六条の六第二項の規定に違反している場合(自己資本規制比率が、百パーセントを下回るときに限る。)において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、三月以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができる

  • 3 (略)

  • ○ 金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)(抄)

  • (金融商品取引業者の最低資本金の額等)

  • 第十五条の七 法第二十九条の四第一項第四号(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。

  • 一・二 (略)

  • 三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合(前二号に掲げる場合を除く。) 五千万円

  • 四 (略)

  • 2 (略)

  • (金融商品取引業者の最低純財産額)

  • 第十五条の九 法第二十九条の四第一項第五号ロ(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、第十五条の七第一項各号(第四号を除く。)に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする

  • 2 (略)