平成25年3月26日
証券取引等監視委員会
株式会社クロニクルに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社クロニクルに係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
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2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
株式会社クロニクル(以下「当社」という。)は、複数の海外ファンドに対する出資金を資産計上していたが、これらのファンドについては、いずれも運用実態がなく、使途不明金として損失を計上すべきであった。また、当社は、債務免除をしていた貸付金があるにもかかわらず、当該債務免除を行った時点において、これに係る損失を計上していなかった。
これらの結果、当社は、関東財務局長に対し、別紙1のとおり、平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下「旧金融商品取引法」という。)第172条の2第1項及び第2項並びに金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」以下の有価証券報告書等を提出したものである。
- 平成20年12月第1四半期四半期報告書(平成21年2月13日提出)
- 平成21年3月第2四半期四半期報告書(平成21年5月15日提出)
- 平成21年6月第3四半期四半期報告書(平成21年8月14日提出)
- 平成21年9月期有価証券報告書(平成21年12月24日提出)
- 平成22年9月期有価証券報告書(平成22年12月24日提出)
- 平成22年12月第1四半期四半期報告書(平成23年2月14日提出)
- 平成23年3月第2四半期四半期報告書(平成23年5月16日提出)
- 平成23年6月第3四半期四半期報告書(平成23年8月15日提出)
- 平成23年9月期有価証券報告書(平成23年12月26日提出)
- 平成23年12月第1四半期四半期報告書(平成24年2月14日提出)
- 平成24年3月第2四半期四半期報告書(平成24年5月15日提出)
- 平成24年6月第3四半期四半期報告書(平成24年8月14日提出)
- 平成24年9月期有価証券報告書(平成24年12月26日提出)
(2)発行開示書類
当社は、関東財務局長に対し、平成23年12月7日、平成22年9月期有価証券報告書(別紙1の番号欄5参照)及び平成23年6月第3四半期四半期報告書(別紙1の番号欄8参照)を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年12月26日、480個の新株予約権証券を965,280,000円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させ、もって重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。
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3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し旧金融商品取引法及び金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、6,443万円である。(計算方法については別紙2のとおり。)
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(別紙1)株式会社クロニクルの有価証券報告書等の虚偽記載内容 番号 開示書類 虚偽記載 提出日 書類 会計期間 財務計算に
関する書類内容(注) 事由 1 平成21年
2月13日第30期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成20年12月第1四半期四半期報告書) 平成20年10月1日~平成20年12月31日の第1四半期連結累計期間 四半期連結
損益計算書連結四半期純損益が1,581百万円以上の損失であるところを1,228百万円の損失と記載 ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上
・債務免除に係る損失の不計上
等2 平成21年
5月15日第30期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成21年3月第2四半期四半期報告書) 平成20年10月1日~平成21年3月31日の第2四半期連結累計期間 四半期連結
損益計算書連結四半期純損益が1,868百万円以上の損失であるところを1,440百万円の損失と記載 ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上
・債務免除に係る損失の不計上
等3 平成21年
8月14日第30期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成21年6月第3四半期四半期報告書) 平成20年10月1日~平成21年6月30日の第3四半期連結累計期間 四半期連結
損益計算書連結四半期純損益が2,544百万円以上の損失であるところを2,122百万円の損失と記載 ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上
・債務免除に係る損失の不計上
等4 平成21年
12月24日第30期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成21年9月期有価証券報告書) 平成20年10月1日~平成21年9月30日の連結会計期間 連結
損益計算書連結当期純損益が2,949百万円以上の損失であるところを2,389百万円の損失と記載 ・営業出資金名目の使途不明金に係る損失の不計上
・債務免除に係る損失の不計上
等5 平成22年
12月24日第31期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成22年9月期有価証券報告書) 平成21年10月1日~平成22年9月30日の連結会計期間 連結
貸借対照表連結純資産額が3,837百万円以下であるところを4,968百万円と記載 ・営業出資金の架空計上
・貸付金の過大計上
等6 平成23年
2月14日第32期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成22年12月第1四半期四半期報告書) 平成22年10月1日~平成22年12月31日の第1四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表連結純資産額が3,642百万円以下であるところを4,802百万円と記載 ・営業出資金の架空計上
・貸付金の過大計上
等7 平成23年
5月16日第32期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成23年3月第2四半期四半期報告書) 平成23年1月1日~平成23年3月31日の第2四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表連結純資産額が3,535百万円以下であるところを4,678百万円と記載 ・営業出資金の架空計上
・貸付金の過大計上
等8 平成23年
8月15日第32期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成23年6月第3四半期四半期報告書) 平成23年4月1日~平成23年6月30日の第3四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表連結純資産額が3,329百万円以下であるところを4,485百万円と記載 ・営業出資金の架空計上
・貸付金の過大計上
等9 平成23年
12月26日第32期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成23年9月期有価証券報告書) 平成22年10月1日~平成23年9月30日の連結会計期間 連結
貸借対照表連結純資産額が2,855百万円以下であるところを3,669百万円と記載 ・営業出資金の架空計上
等10 平成24年
2月14日第33期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成23年12月第1四半期四半期報告書) 平成23年10月1日~平成23年12月31日の第1四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表連結純資産額が2,742百万円以下であるところを3,515百万円と記載 ・営業出資金の架空計上 11 平成24年
5月15日第33期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成24年3月第2四半期四半期報告書) 平成24年1月1日~平成24年3月31日の第2四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表連結純資産額が2,601百万円以下であるところを3,375百万円と記載 ・営業出資金の架空計上 12 平成24年
8月14日第33期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成24年6月第3四半期四半期報告書) 平成24年4月1日~平成24年6月30日の第3四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表連結純資産額が2,512百万円以下であるところを3,275百万円と記載 ・営業出資金の架空計上 13 平成24年
12月26日第33期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成24年9月期有価証券報告書) 平成23年10月1日~平成24年9月30日の連結会計期間 連結
貸借対照表連結純資産額が396百万円であるところを1,559百万円と記載 ・営業出資金の架空計上
・棚卸資産の過大計上(注)金額は百万円未満切捨てである。
(別紙2)課徴金の計算方法
(1)旧金融商品取引法第172条の2第1項及び第2項の規定により、平成20年12月第1四半期四半期報告書、平成21年3月第2四半期四半期報告書、平成21年6月第3四半期四半期報告書及び平成21年9月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
(i) 当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(49,633円)
が
(ii) 3,000,000円
を超えないことから、
平成20年12月第1四半期四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
平成21年3月第2四半期四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
平成21年6月第3四半期四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
平成21年9月期有価証券報告書については、3,000,000円となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、旧金融商品取引法第185条の7第2項の規定により、下記のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成20年12月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は600,000円
平成21年3月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は600,000円
平成21年6月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は600,000円
平成21年9月期有価証券報告書に係る課徴金の額は1,200,000円(2)金融商品取引法第172条の4第1項の規定により、平成22年9月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
(i) 当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(80,694円)
が
(ii) 6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円となる。
(3)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、平成22年12月第1四半期四半期報告書、平成23年3月第2四半期四半期報告書、平成23年6月第3四半期四半期報告書及び平成23年9月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
(i) 当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
(平成22年12月第1四半期四半期報告書 55,292円 平成23年3月第2四半期四半期報告書 166,468円 平成23年6月第3四半期四半期報告書 56,065円 平成23年9月期有価証券報告書 175,853円 ) が
(ii) 6,000,000円
を超えないことから、
平成22年12月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成23年3月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成23年6月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成23年9月期有価証券報告書については、6,000,000円となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成22年12月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は1,200,000円
平成23年3月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は1,200,000円
平成23年6月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は1,200,000円
平成23年9月期有価証券報告書に係る課徴金の額は2,400,000円(4)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、平成23年12月第1四半期四半期報告書、平成24年3月第2四半期四半期報告書、平成24年6月第3四半期四半期報告書及び平成24年9月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
(i) 当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
(平成23年12月第1四半期四半期報告書 76,777円 平成24年3月第2四半期四半期報告書 104,045円 平成24年6月第3四半期四半期報告書 80,644円 平成24年9月期有価証券報告書 78,976円 ) が
(ii) 6,000,000円
を超えないことから、
平成23年12月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成24年3月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成24年6月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成24年9月期有価証券報告書については、6,000,000円となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成23年12月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は1,200,000円
平成24年3月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は1,200,000円
平成24年6月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は1,200,000円
平成24年9月期有価証券報告書に係る課徴金の額は2,400,000円(5)金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
平成23年12月7日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、965,280,000円×4.5/100=43,437,600円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、43,430,000円となる。