平成26年5月20日

証券取引等監視委員会

ヴィエナキャピタル・ジャパン株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がヴィエナキャピタル・ジャパン株式会社(東京都千代田区、代表取締役 ポール・ロイ、資本金5万円、常勤役職員1名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)無登録で海外ファンドの私募の取扱いを行っている状況

      当社は、平成20年2月上旬から同26年1月中旬までの間、当社と投資顧問契約を締結している顧客に対し、外国で発行される集団投資スキーム持分(以下「海外ファンド」という。)の資料を提示し、その商品内容、コスト、メリット、デメリット等の説明を行った上で、取得申込書の送付など、取得申込手続のサポートを行うことにより、少なくとも8顧客に対し、取得契約を成立させている。

      他方、顧客による海外ファンドの取得に関しては、当社の代表取締役が唯一の株主・役職員として業務上の意思決定を行うなど当社と一体と認められるVienna Capital Holdings Limitedが、海外ファンドの発行者との間の契約に基づき、当社顧客の海外ファンドに対する投資資産残高に応じた報酬を当該海外ファンドの発行者から受領している。

      このような当社の行為は、海外ファンドの発行者のために行っている海外ファンドの取得の勧誘行為であり、私募の取扱いに該当するものと認められる。

      当社が行った上記の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第28条第2項に規定する第二種金融商品取引業に該当するものであり、当社が金商法第31条第4項に基づく変更登録を受けることなく第二種金融商品取引業を行うことは、金商法第29条に違反するものと認められる。

    • (2)報告徴取命令で提出を求められた資料の不提出

      今回検査の過程において、上記(1)の具体的な実態把握のため必要な資料の提出を再三要請したものの、当社は提出を拒否し続けている。これを踏まえ、関東財務局長は当社に対して二度にわたる報告徴取命令を発出し、当該資料の提出を求めたが、当社は正当な理由がないにもかかわらずこれを提出していない。

       

      当社が行った上記の行為は、金商法第52条第1項第6号に掲げる「金融商品取引業に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき」に該当するものと認められる。

    • (3)投資助言・代理業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況等

      当社は、当社の唯一の常勤役職員である代表取締役が金商法等の理解を欠いているにもかかわらず、投資助言・代理業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を配置していないなど、必要な法令等遵守態勢の整備を怠っている結果、上記(1)のとおり、無登録で海外ファンドの私募の取扱いを行っていることに加え、契約締結前交付書面などの法定書面の記載不備等、多くの法令違反が認められる状況となっている(※法定書面の記載不備等の法令違反の該当法令は別添参照)。また、上記(2)のとおり、当社の代表取締役には法令等遵守意識が著しく欠如している。

      以上のことから、当社は、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況にあると認められる。

      当社の上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号ニに掲げる「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当するものと認められ、このような当社の状況は、金商法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。

(別添)

  • 法定書面の記載不備等(今回認められた法令違反)

    • 標識の未掲示(金商法第36条の2第1項に違反)

    • 契約締結前交付書面の記載不備(金商法第37条の3第1項に違反)

    • 契約締結時交付書面の記載不備(金商法第37条の4第1項に違反)

    • 投資顧問契約に基づく助言の内容を記載した書面の未作成(金商法第47条に違反)

    • 契約締結前交付書面の写し、契約締結時交付書面の写し及び投資顧問契約の内容を記載した書面の未保存(金商法第47条に違反)

    • 事業報告書の記載不備(金商法第47条の2に違反)

    • 説明書類の公衆縦覧の不履行(金商法第47条の3に違反)

    • 訴訟当事者になった旨の届出の未提出(金商法第50条第1項第8号に違反)


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(定義)

第二条 (略)

2〜7 (略)

8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(その内容等を勘案し、投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるもの及び銀行、優先出資法第二条第一項に規定する協同組織金融機関(以下「協同組織金融機関」という。)その他政令で定める金融機関が行う第十二号、第十四号、第十五号又は第二十八条第八項各号に掲げるものを除く。)のいずれかを業として行うことをいう。

一〜八 (略)

九 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い

(以下、略)

第二十八条 (略)

2 この章において「第二種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。

一 (略)

二 第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利についての同条第八項第一号から第三号まで、第五号、第八号又は第九号に掲げる行為

(以下、略)

(登録)

第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(登録の拒否)

第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 次のいずれかに該当する者

イ〜ハ (略)

ニ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(標識の掲示)

第三十六条の二 金融商品取引業者等は、営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、内閣府令で定める様式の標識を掲示しなければならない。

(以下、略)

(契約締結前の書面の交付)

第三十七条の三 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。ただし、投資者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(以下、略)

(契約締結時等の書面の交付)

第三十七条の四 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約が成立したときその他内閣府令で定めるときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、書面を作成し、これを顧客に交付しなければならない。ただし、その金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、当該書面を顧客に交付しなくても公益又は投資者保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(以下、略)

(業務に関する帳簿書類)

第四十七条 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。以下この款において同じ。)は、内閣府令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

(事業報告書の提出)

第四十七条の二 金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(説明書類の縦覧)

第四十七条の三 金融商品取引業者は、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、前条の事業報告書に記載されている事項のうち投資者保護のため必要と認められるものとして内閣府令で定めるものを記載した説明書類を作成し、毎事業年度経過後政令で定める期間を経過した日から一年間、これをすべての営業所又は事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。

(休止等の届出)

第五十条 金融商品取引業者等は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

一〜七(略)

八 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。

(以下、略)

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

二〜五 (略)

六 金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。

(以下、略)