平成26年7月3日

証券取引等監視委員会

ジースリー株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会が、ジースリー株式会社(東京都渋谷区、代表取締役 宿利原 卓(やどりはら たく)、資本金50百万円、常勤役職員2名、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)業務運営の状況に関し、公益又は投資者保護上重大な問題が認められる状況等

      • 無登録代理店を利用した海外ファンド等の取得勧誘行為

        ジースリー株式会社(以下「当社」という。)及び当社の代表取締役である宿利原卓(以下「宿利原社長」という。)は、平成22年1月頃から同23年11月頃までの間、川田誠(以下「川田」という。)及び株式会社Grant(以下「Grant社」という。川田は、同社の会長を自称している。)の代表取締役である奥寺晃司(以下「奥寺」という。川田、宿利原社長及び奥寺の3名を以下「川田ら」という。)とともに、多数の金融商品取引業の登録を受けていない代理店(以下「無登録代理店」という。)を利用して、海外集団投資スキーム持分に該当する積立型の金融商品(以下「海外ファンド」という。)及び川田らが実質支配する海外法人等が営業者となり組成・運用するファンド(以下「自製ファンド」という。)に係る取得勧誘を行っている状況が認められた。また、平成23年12月頃以降は、Grant社による同社自ら又は無登録代理店を利用した海外ファンドの取得勧誘行為に加担している状況が認められた(同26年7月3日付「株式会社Grant及びその役員等3名の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立てについて」を参照)

      • 自製ファンドの取得勧誘行為に係る問題点

        当社における自製ファンドの勧誘状況等を検証したところ、上記アのとおり、無登録代理店を利用して取得勧誘を行っていた事実のほか、以下のとおり、外国為替証拠金取引、日経225先物取引等による運用を目的とするファンド(以下「自製ファンドA」という。)、金鉱山を所有する外国企業の未公開株に投資するファンド(以下「自製ファンドB」という。)及びバッテリー関連事業等を行う外国企業の事業に投資するファンド(以下「自製ファンドC」という。)について、問題点が認められた。

        • (ア)自製ファンドA

          • 自製ファンドAは、宿利原社長が株主及び取締役となっている海外法人(取締役については、平成22年12月に川田に交代)Grand City Asia Pacific Limited(以下「GCAP社」という。)を営業者とするものであるところ、当社は、無登録代理店を利用するなどして、平成22年1月から同23年10月までの間に、顧客延べ863名から約19億円の出資金を集めた。なお、GCAP社は、金融商品取引業の登録を受けることなく、これらの出資金を外国為替証拠金取引等で運用していた。

          • 遅くとも平成22年3月以降、当該ファンドにおいては、事業内容を詳細に把握しないまま、外国におけるごみ処理事業やカジノ顧客への貸付事業、自製ファンドCへの出資等、匿名組合契約に定める事業目的以外の事業に投資しているところ、当社は、宿利原社長がGCAP社の株主及び取締役であることから、当然にこうした状況を認識していたにもかかわらず、その後も漫然と当該ファンドの取得勧誘を継続していた。

        • (イ)自製ファンドB

          • 自製ファンドBは、川田が実質的に所有する海外法人No.1 Limited(以下「No.1社」という。)を営業者とするものであるところ、当社は、無登録代理店を利用するなどして、平成23年9月頃から1か月余りの間に、顧客延べ83名から約2億4,000万円の出資金を集めた。なお、No.1社は、金融商品取引業の登録を受けることなく、これらの出資金を未公開株で運用していた。

          • 宿利原社長は、当該ファンドの出資金は、海外ファンドに係る顧客の拠出金額に応じて海外の第一次販売代理店から支払われる販売手数料を受領するためのNo.1 Limited名義の銀行口座において、当該販売手数料と区別されることなく管理されていた上、出資金を現金で預かった場合には、当社の金庫に入れて匿名組合契約上の投資目的以外の用途に使用することもあったとしている。また、出資金の大半を川田らは自製ファンドAの解約払戻金や当社の経費に充て、匿名組合契約上の投資対象である未公開株式への投資には、手元に残った数千万円のみを充てたとしている。

        • (ウ)自製ファンドC

          • 自製ファンドCは、宿利原社長が代表社員兼職務執行社員を務める合同会社ジースリーを営業者としているところ、当社は、無登録代理店を利用するなどして、平成22年10月から同23年1月までの間に、顧客延べ159名から約2億7,000万円の出資金を集めた。

          • 当社は、自製ファンドCの投資対象となる外国企業を決定するに当たり、その事業内容や財務状況等に係る資料を確認せず、事業計画等の分析も行っていなかったところ、当該ファンドの勧誘パンフレットに合理的な根拠のない配当利回り等を記載し、これを利用して、当社が主催するセミナーにおいて取得勧誘を行っていた。

          • さらに、当社は、当該ファンドについては、実際には顧客からの出資金のほか、自製ファンドAからその匿名組合契約上の投資目的以外の投資の一部として50万USドルが出資されたのみで、出資額は募集目標である5億円に達していなかったにもかかわらず、これが顧客に知られて匿名組合契約が解除されることを恐れ、「海外投資家が300万USドルを追加出資した」旨を記載した虚偽の報告書を顧客に送付していた。

          当社が上記ア及びイに記載の行為を行っている状況は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第52条第1項第9号に掲げる「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当するものと認められる。また、上記イ(ウ)bに記載の行為は、金商法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」にも該当するものと認められる。

    • (2)無登録業者に対する名義貸し

      当社は、平成22年5月から同23年2月までの間、株式会社オーバル(代表取締役(当時)前多清志(まえだきよし)。金融商品取引業の登録はない。)との合意のもと、同社の社員及びその傘下の無登録代理店(あわせて個人9名)に対し、当社の商号等が記載された名刺を使用させるなど、当社の名義において海外ファンド等の取得勧誘を行わせていた。

      当社による上記の行為は、金商法第36条の3(名義貸しの禁止)に違反するものと認められる。

    • (3)金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない状況

      宿利原社長は、Grant社や無登録代理店が海外ファンドの取得勧誘をすることは違法であると認識していたにもかかわらず、上記(1)アのとおり、平成23年12月頃以降、同社による違法行為に加担している状況が認められた。

      また、宿利原社長は、外国の不動産を対象としたランドバンキング事業への投資を行う海外法人の社債及び株式の取得勧誘を行い、平成24年7月から同25年11月までの間、顧客6名から合計約3,000万円の出資金を集めた。宿利原社長は、当社が無登録の第一種金融商品取引業で行政処分を受けることを回避するため、個人として、当該社債及び株式の発行者との間で販売代理店契約を締結していたものであり、代表者が自ら違法行為を行っていたものと認められる。

      さらに、当社には宿利原社長を含め役職員2名が在籍しているものの、そのうち1名は大阪市所在のGrant社に勤務しているため、当社における勤務実態はなく、実質的に宿利原社長以外の役職員が存在しない状況であると認められる。

      上記の状況から、当社は、金商法第29条の4第1項第1号ニに掲げる「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当するものと認められ、このような当社の状況は、金商法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 次のいずれかに該当する者

イ〜ハ(略)

ニ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(名義貸しの禁止)

第三十六条の三 金融商品取引業者等は、自己の名義をもつて、他人に金融商品取引業(登録金融機関にあつては、登録金融機関業務。以下この款において同じ。)を行わせてはならない。

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

(以下、略)

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

二〜八(略)

九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。

(以下、略)