平成27年1月30日

証券取引等監視委員会

株式会社Money Management Strengthに対する調査結果について

  • 1.調査結果

    東海財務局長が株式会社Money Management Strength(名古屋市中区、代表取締役 河合 礼子(かわい れいこ)、資本金1800万円。適格機関投資家等特例業務届出者。以下「当社」という。)を調査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融庁長官に対して、適切な措置を講じるための情報提供を行った。

  • 2.事実関係

    当社は、平成24年11月から同26年7月までの間、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、匿名組合型ファンドT(以下「ファンドT」という。)及び同II(以下「ファンドII」といい、ファンドTと合せて「本件ファンド」という。)の取得勧誘を行っていた(当社の業務執行については、代表取締役河合及び専務取締役の原 学(はら まなぶ)が、指示、決定、統括している。)。

    当社の主張等によれば、本件ファンドの投資対象は、米国事業会社Money Management Strategies,LLC(同社のディレクターはJohn Holdawayなる人物とされている。以下「米MMS社」という。)に対する「信用供与のサポート事業」であり、米MMS社によって米国の銀行に開設されたファンド名義の口座(以下「ファンド口座」という。)へ出資金を送金するだけで、米MMS社から高額の手数料報酬を受領できるとのことである。その具体的内容は、以下のとおりとされている。

    • イ.当社は米MMS社との間で資産運用に関する「EXCLUSIVE PRIVATE PROGRAM」という名称の契約(以下「EPP契約」という。)を締結し、同契約に基づき、米MMS社は米国の銀行にファンド口座を開設する。

    • ロ.当社は、募集した出資金をファンド口座に送金する。

    • ハ.米国の銀行と米MMS社間の合意に基づき、ファンド口座の残高相当額のクレジットラインが米MMS社口座(トレーディングアカウント)に対して設定され、口座残高相当額が米MMS社口座に信用供与される。

    • ニ.クレジットラインの設定に伴い、ファンド口座は米国の銀行によって封鎖(ブロック)され、かつ、担保にも供されない状態に置かれる。

    • ホ.米MMS社は、米国の銀行から信用供与を受け、資産運用の極秘プログラムである「EXCLUSIVE PRIVATE PROGRAM」によりデリバティブ等による運用を行うが、当社に対しては、当該運用の成績に関係なく、EPP契約に基づき、ファンド口座残高の40%をクレジットライン開設のための手数料報酬として支払う(2月、5月、8月及び11月に1年分の報酬が分割して支払われる。)。

    • ヘ.当社は、米MMS社から受領した手数料報酬の50%(すなわちファンド口座残高の20%)を上限に出資者へ配当し、残りを営業報酬として取得する。

    そして、当社は、平成24年11月頃から同26年7月頃までの間に、延べ65名の顧客に対し、総額約5億3000万円のファンド持分を取得させている(ファンドT:延べ33名、約3億5000万円。ファンドII:延べ32名、約1億8000万円。)。

    そのような中、本件ファンド業務の運営状況等を検証したところ、以下の問題点が認められた。

    • (1)金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

      • 出資金の使途等に関する虚偽告知

        当社は、本件ファンドに係る匿名組合契約の締結又はその勧誘に際し、出資金の使途等に関して、「本件ファンドの出資対象事業はクレジットライン開設への信用供与サポート事業である。出資金はその他の目的には使われない。」などと説明しているほか、本件ファンドの契約書にも「出資金は信用供与のサポート事業のためにのみ使う。」と明記している。

        また、当社は、「出資金の送金先である米国の銀行に開設されたファンド口座は、同行によって1年間封鎖(ブロック)される。」などと説明しているほか、その旨を明記した契約締結前交付書面等を顧客に交付している。

        しかしながら、ファンド口座に送金した出資金は、本件ファンドの手数料報酬の支払、同報酬とは別の河合及び原の各個人に対する金銭支払、米MMS社の関係先会社への振込出金、米MMS社関係者によるクレジットカード決済への支払等に充当されるなど、全く封鎖(ブロック)されておらず、信用供与サポート事業には充てられていなかった。

      • 配当金の支払に関する虚偽告知

        当社は、配当金の支払に関して、「配当金は信用供与サポート事業の成果の分配として、米MMS社から当社へ支払われる手数料報酬から、当社によって支払われる。」などと説明しているほか、本件ファンドの契約書においても、「本件ファンドの収益は米MMS社から支払われる手数料報酬である。」と明記している。

        しかしながら、ファンド口座の内容は、上記ア記載のとおりであり、配当金の支払原資には、ファンド口座に送金された出資金が充てられていた。

      当社によるファンドTの出資持分に係る上記説明は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為に該当する(金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第4項・第38条第1号。なお、下記(2)の無登録営業に該当するファンドIIの出資持分に係る説明は、投資者保護上問題のある行為に該当する。)。

      なお、当社は、ファンド口座は封鎖(ブロック)されておらず、出資金が信用供与サポート事業以外に使われていることなどの可能性が高いことを認識していたにもかかわらず、出資金が引き出されないようにするための適切な措置等を講じることなく漫然と出資者に対する取得勧誘を継続していたものである。

    • (2)第二種金融商品取引業に係る無登録営業

      特例業務については、1名以上の適格機関投資家を相手方とする取得勧誘が行われることが要件の一つとされている。

      当社は、ファンドIIに唯一の適格機関投資家として出資しているのは、X投資事業有限責任組合としていた。

      しかしながら、当社は、実際には、ファンドIIに係る特例業務の開始当初から、X投資事業有限責任組合を含む適格機関投資家からの出資を全く受けていないことから、ファンドIIの出資持分の取得勧誘は、金商法第63条第1項第1号に規定する特例業務の要件を充足していない。

      したがって、当社が業として行った上記行為は、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、当社が同法第29条に基づく登録を受けることなく、上記行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。

PDF参考資料(PDF:57KB)


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録)

第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

二〜七 (略)

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。

一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)

イ〜ハ(略)

(略)

2・3(略)

4 特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務を行う場合においては、当該特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして、第三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第三十九条並びにこれらの規定に係る第八章の規定を適用する。

5〜8 (略)