平成27年8月7日

証券取引等監視委員会

ノア・アセットマネジメント株式会社に対する検査結果について

  • 1.検査結果

    証券取引等監視委員会がノア・アセットマネジメント株式会社(所在地 千葉県市川市、資本金5000万円、常勤役職員1名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録はない。以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融庁長官に対して、適切な措置を講じるための情報提供を行った。

  • 2.事実関係

    当社は、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、自らを営業者とする9つの匿名組合(以下「本件ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行い、平成22年12月以降、延べ270名の顧客から総額8億1210万円の出資を受けている。

    そのような中、本件ファンド業務の運営状況等を検証したところ、以下の問題点が認められた。

    • (1) 第二種金融商品取引業に係る無登録営業

      特例業務は、1名以上の適格機関投資家を相手方とする取得勧誘が行われ、その出資を受けることが要件の一つとされているところ、本件ファンドのうち7ファンドについては、実際には適格機関投資家からの出資を受けていないことから、当該ファンドの出資持分の取得勧誘は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第1項第1号に規定する特例業務の要件を充足していない。

      当社が行った上記行為は、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、当社が同法第29条に基づく登録を受けないまま、上記行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。

    • (2) 投資者保護上問題が認められる状況

      • ア 運用実態の把握が極めて杜撰な状況

        当社は、本件ファンドの出資金について、投資運用業の登録のないH2トレーディング株式会社(東京都江東区)に運用を委託していたのみならず、委託先が行った投資に係る契約内容を何ら把握していないほか、投資先の経営監視活動を全く行っておらず、当社の本件ファンドの運用実態の把握は極めて杜撰な状況にある。

        その結果、当社は、投資先の破綻について全く予見できず、本件ファンドの出資金5億7000万円を消失させた。

      • イ 出資金の流用

        当社は、本件ファンドのうち1ファンドについて、その営業者として当該匿名組合契約に基づく出資持分の取得勧誘を行い、平成25年12月から同26年1月までの間に、8名の顧客から合計860万円の出資金を受け入れている。

        当社は、当該ファンドの出資金について、運用を断念し、出資金全額を顧客に返還することを決定したものの、当該出資金を、一切顧客に返還しておらず、当社の従業員等に対する給与等の会社経費として出資金全額を流用した。

      当社が行った上記(2)の行為は、投資者保護上重大な問題があるものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録)

第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。

一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)

(以下、略)

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