江守グループホールディングス株式会社役員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、江守グループホールディングス株式会社役員からの情報受領者による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者(1)は、江守グループホールディングス株式会社(以下「江守GHD」という。)の連結子会社の社員であるが、江守GHDの役員から、同人が職務に関し知った、中華人民共和国に設立された江守GHDの連結子会社の主要得意先のほとんどについて売掛債権の回収可能性に疑義が生じたことなどに伴い、江守GHDの平成27年3月期第3四半期連結累計期間において貸倒引当金繰入額約462億円を特別損失に計上することが確実になった旨の、江守GHDの業務等に関する重要事実の伝達を受けながら、上記事実の公表がされた平成27年3月16日より前の同月6日、自己の計算において、江守GHD株式合計1700株を売付価額合計162万6000円で売り付けたものである。
課徴金納付命令対象者(2)は、江守グループホールディングス株式会社の連結子会社の社員であるが、課徴金納付命令対象者(1)から、江守GHDの役員が職務に関し知り、その後、課徴金納付命令対象者(1)がその職務上同役員から伝達を受けた、中華人民共和国に設立された江守GHDの連結子会社の主要得意先のほとんどについて売掛債権の回収可能性に疑義が生じたことなどに伴い、江守GHDの平成27年3月期第3四半期連結累計期間において貸倒引当金繰入額約462億円を特別損失に計上することが確実になった旨の、江守GHDの業務等に関する重要事実をその職務に関し知りながら、上記事実の公表がされた平成27年3月16日より前の同月10日、自己の計算において、江守GHD株式合計1万2400株を売付価額合計1154万4400円で売り付けたものである。
違反行為事実の概要については、別図のとおり。
課徴金納付命令対象者(1)及び(2)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、下記のとおりである。
課徴金納付命令対象者(1)107万円
課徴金納付命令対象者(2)753万円
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別図)
○違反行為事実の概要について
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(売付価格)×(売付株数)
-(重要事実が公表された後2週間における最も低い価格)×(売付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間における江守GHDの最も低い株価は、323円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
課徴金納付命令対象者(1)
売付価額1,626,000円(注1) - (323円×1,700株)
=1,076,900円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、107万円
(注1)売付価額は、
「955円×400株+956円×500株+957円×400株+958円×400株」
の額である。
課徴金納付命令対象者(2)
売付価額11,544,400円(注2) - (323円×12,400株)
=7,539,200円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、753万円
(注2)売付価額は、
「931円×12,400株」
の額である。