平成28年4月15日

証券取引等監視委員会

クレディ・スイス証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会がクレディ・スイス証券株式会社(東京都港区、法人番号2010401059260、代表取締役社長兼CEO マーティン・キーブル、資本金781億円、常勤役職員462名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業及び投資助言・代理業)を検査した結果、下記2.のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)法人関係情報の管理に不備がある状況

      クレディ・スイス証券株式会社(以下「当社」という。)においては、株式調査部は、同部に所属するアナリストが上場会社に個別取材を行うなど、上場会社をリサーチし、顧客に対し、アナリストレポート等を提供するほか、ヘッジファンドや運用会社等の顧客に対する株式営業部のリサーチ営業をサポートしている。

      株式調査本部長は、アナリストに対し、有意義な情報を顧客に対して直接提供することを指導し、平成27年1月以降は、アナリスト一人当たり1か月に100件という具体的な数値目標を掲げている。実際に、アナリストは、アナリストレポートのほか、電話や電子メール等によって、上場会社から取材等で取得した情報を顧客や営業員に提供したり、上場会社への個別取材における顧客との同行訪問によって顧客と情報を取得・共有したりしている。

      また、当社においては、平成27年6月以降、アナリストは自己売買の担当者に対しても顧客と同様に情報の提供を行っている。

      アナリストが上場会社から取材等で取得した情報のうち非公表のものには法人関係情報が含まれている可能性があるところ、顧客等に提供する情報の法人関係情報該当性については、アナリスト自身の判断に委ねたまま、株式調査部内においても、コンプライアンス担当者においても、審査がほとんど実施されていなかった。

      こうしたことから、平成27年9月から10月までの間においては、少なくとも5件の法人関係情報(うち3件はアナリストレポートに掲載)について、法人関係情報該当性の審査がほとんどなされないまま複数の顧客に提供されていた。

      当社における上記(1)のような法人関係情報の管理の状況は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められ、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。

    • (2)法人関係情報を提供した勧誘

      平成27年9月、Aアナリストは、上場会社である甲社に対する個別取材において、公表前の半期の連結業績予想(営業利益)に関する法人関係情報(以下「甲社情報」という。)を取得した翌日に、当社営業員1名及び少なくとも1顧客に対し、電話によって甲社情報を伝達している。

      そして、甲社情報の伝達を受けた当該営業員が同日中に、少なくとも33顧客に対し、甲社情報を甲社から公表される前に提供して甲社株式の買付けの勧誘を行っていた。

      当社における上記(2)のような株式の買付けを勧誘する行為は、有価証券の売買その他の取引等につき、顧客に対して法人関係情報を提供して勧誘する行為と認められ、金融商品取引法第38条第8号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第14号に該当するものと認められる。

  • 3.その他

    上記問題の根本原因としては、当社において内部管理部門等の人員を削減している過程において、内部統制の確保が十分に図られていないことにあると認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)

一~七(略)

前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

(適合性の原則等)

第四十条金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。

(略)

前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(定義)

第一条(略)

この府令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~十三(略)

十四法人関係情報 法第百六十三条第一項に規定する上場会社等の運営、業務又は財産に関する公表されていない重要な情報であって顧客の投資判断に影響を及ぼすと認められるもの並びに法第二十七条の二第一項に規定する公開買付け(同項本文の規定の適用を受ける場合に限る。)、これに準ずる株券等(同項に規定する株券等をいう。)の買集め及び法第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付け(同項本文の規定の適用を受ける場合に限る。)の実施又は中止の決定(法第百六十七条第二項ただし書に規定する基準に該当するものを除く。)に係る公表されていない情報をいう。

(以下、略)

(禁止行為)

第百十七条法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

一~十三(略)

十四有価証券の売買その他の取引若しくは有価証券に係るデリバティブ取引又はこれらの媒介、取次ぎ若しくは代理につき、顧客に対して当該有価証券の発行者の法人関係情報を提供して勧誘する行為

(以下、略)

(業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)

第百二十三条法第四十条第二号に規定する内閣府令で定める状況は、次に掲げる状況とする。

一~四(略)

その取り扱う法人関係情報に関する管理又は顧客の有価証券の売買その他の取引等に関する管理について法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められる状況

(以下、略)

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