平成28年6月7日

証券取引等監視委員会

山形證券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    東北財務局長が山形證券株式会社(山形県山形市、法人番号3390001002029、資本金1億円、常勤役職員40名、第一種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○「ASAP ALPHA NOTE」について

      ASAP ALPHA(以下「ASAP社」という。)は、平成25年3月にケイマン諸島に設立され、米国に所在する不動産を「収益の根源」とするとして、「ASAP ALPHA NOTE」との名称の社債(以下「ASAP債」という。)を発行し、資金を調達している。

      そして、ASAP社は、同社子会社の発行する社債Aを取得し、同子会社は、米国に所在する不動産を取得し、賃料収入を得るとする会社(米国LLC)の発行する社債Bを取得している。

      ASAP債の発行残高は、平成27年11月末現在、合計で約49億円(投資者数は約560者)となっている。

      山形證券株式会社(以下「当社」という。)は、アーツ証券株式会社(東京都中央区、平成28年1月29日登録取消し。)から紹介・助言・支援等を受け、平成26年5月から、ASAP債の販売を一般投資家等の顧客に対して行っている。

      当社によるASAP債の販売残高は、平成28年3月末現在、合計で約6億円(投資者数は約80者)となっている。

      しかしながら、上記LLCについては、決算書類が作成されておらず、財務状況等の実態が不明である。当社も、東北財務局の検査に対し、上記LLCの実態を的確に説明できない。

      当社は、上記LLCの実態を的確に把握していないにもかかわらず、ASAP債について、「収益の根源は本スキームを通じて保有される米国不動産に関連付けられたもの」と記載した勧誘資料等を作成・使用することにより、販売証券会社である当社が上記LLCの実態を的確に把握しているかのような誤解を与える表示をし、顧客に対し、その販売を行った。

      当社の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一~七(略)

八前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

○金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

第百十七条法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

一(略)

二金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

(以下、略)

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