平成28年6月7日

証券取引等監視委員会

大熊本証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    九州財務局長が大熊本証券株式会社(熊本県熊本市、法人番号7330001002724、代表取締役 出田 信行(いでた のぶゆき)、資本金3億4356万円、常勤役職員71名、第一種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)「中小企業資金繰支援債券」について

      WADATSUMI BENEFIT LIMITED(以下「WBL社」という。)は、平成25年2月にケイマン諸島に設立され、中小企業の売掛債権を買い取り、それを「裏付資産」とするとして、「中小企業資金繰支援債券」との名称の社債(以下「WBL債」という。)を発行し、資金を調達している。WBL債の発行残高は、平成27年11月末現在、合計で約5.7億円(投資者数は約120者)となっている。

      大熊本証券株式会社(以下「当社」という。)は、アーツ証券株式会社(東京都中央区、代表取締役 川崎正、平成28年1月29日登録取消し。以下「アーツ証券」という。)から紹介・助言・支援等を受け、平成25年8月から、WBL債の販売を一般投資家等の顧客に対して行っている。

      当社によるWBL債の販売残高は、平成28年3月末現在、合計で約0.8億円(投資者数は約20者)となっている。

      WBL社は、WBL債の発行当初より、買い取った売掛債権の残高が社債発行残高に比して僅少な状態が継続するとともに、平成26年9月以降、買い取った売掛債権について回収遅延が発生するようになった。その結果、同27年11月末現在、売掛債権買取残高は約2.4億円にすぎず、そのうち約1.2億円を直ちに回収することが困難になっている。

      当社は、WBL債の発行当初から上記のWBL社の財務状況の実態を認識していた。しかしながら、当社は、WBL債の販売のために作成・使用した勧誘資料等において、「裏付資産」については「本債券発行により調達した資金を基に売掛債権の取得を行います」などと記載するほか、顧客に対し、回収遅延が発生した売掛債権について全額回収できる見込みであると説明し、WBL債の販売を行った。

      当該勧誘は、WBL社において、売掛債権の買取り又はその回収可能性等に現に問題が生じているにもかかわらず、顧客に対し、当該問題が生じていないとの誤解を与える表示をしたものである。

    • (2)「ASAP ALPHA NOTE」について

      ASAP ALPHA(以下「ASAP社」という。)は、平成25年3月にケイマン諸島に設立され、米国に所在する不動産を「収益の根源」とするとして、「ASAP ALPHA NOTE」との名称の社債(以下「ASAP債」という。)を発行し、資金を調達している。

      そして、ASAP社は、同社子会社の発行する社債Aを取得し、同子会社は、米国に所在する不動産を取得し、賃料収入を得るとする会社(米国LLC)の発行する社債Bを取得している。

      ASAP債の発行残高は、平成27年11月末現在、合計で約49億円(投資者数は約560者)となっている。

      当社は、アーツ証券から紹介・助言・支援等を受け、平成26年12月から、ASAP債の販売を一般投資家等の顧客に対して行っている。

      当社によるASAP債の販売残高は、平成28年3月末現在、合計で約2億円(投資者数は約20者)となっている。

      しかしながら、上記LLCについては、決算書類が作成されておらず、財務状況等の実態が不明である。当社も、九州財務局の検査に対し、上記LLCの実態を的確に説明できない。

      当社は、上記LLCの実態を的確に把握していないにもかかわらず、ASAP債について、「収益の根源は本スキームを通じて保有される米国不動産に関連付けられたもの」と記載した勧誘資料等を作成・使用することにより、販売証券会社である当社が上記LLCの実態を的確に把握しているかのような誤解を与える表示をし、顧客に対し、その販売を行った。

      当社の上記(1)及び(2)の行為は、それぞれ、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一~七(略)

前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

第百十七条法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

(略)

金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

(以下、略)

サイトマップ

ページの先頭に戻る