平成28年6月9日

証券取引等監視委員会

プレジアン証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    近畿財務局長がプレジアン証券株式会社(大阪市中央区、法人番号5120001129838、代表取締役 奥野 輝久(おくの てるひさ)、資本金3億6000万円、常勤役職員8名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、適格機関投資家等特例業務)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

      プレジアン証券株式会社(以下「当社」という。)は、平成27年11月末現在で3社の社債の販売を行っている。

      当該3社の財務状況等を検証したところ、各社において、以下の状況が認められた。

      (A社:発行残高2000万円)

      • 売掛金の大半が予定どおり回収できていない状況

      (B社:発行残高9600万円)

      • 金融機関からの借入金について返済猶予を受けている状況

      • 回収困難となっている売掛金や費用として処理すべき前払費用が資産として計上されている状況

      • 社債の発行により調達した資金によって行うとしている事業の売上げに係る計画が、過去の実績に比して大幅に乖離している状況

      • 6期連続して当期純損失を計上しているところ、純資産額の約3倍に相当する額を計上している繰延税金資産の回収可能性の評価によっては、債務超過となる状況

      (C社:発行残高6000万円)

      • 社債を販売する直前の決算期末において債務超過となっている状況

      • 当該債務超過についてはその後の増資により解消されたとしているが、当該増資はC社の代表者らが有する特許権を現物出資したものであり、現金流入を伴わないものである状況

      また、当社は、当該3社が上記状況にある中、社債による資金の調達コスト(利率:9%、募集取扱手数料等:実質15%又は19%)が当該3社の財務内容や社債の償還可能性に与える影響について、十分な検証を行っていなかった。

      当社は、当該3社の財務状況等に上記のような問題があることを一定程度認識していたにもかかわらず、顧客に対し、これを一切説明せず、一般的な倒産リスク等の説明を行うだけで、当該3社の財務状況等に具体的な問題が生じていないかのような誤解を与える表示をし、当該3社の社債の販売を行った。

      当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

    • (2)適格機関投資家等特例業務の運営に関し、投資者保護上問題がある状況

      当社は、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、平成26年7月に「ゼタ地球防衛軍第1号投資事業有限責任組合」(以下「ゼタファンド」という。)を組成し、ゼタファンドの出資持分の取得勧誘を行うとともに、出資を受けた資金について、未公開のD社株式に投資することにより運用を行うこととしている(出資者数約20名、出資総額約1億円。)。

      当社によるゼタファンドの運用の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

      当社は、D社の創業者で代表取締役である甲(以下「甲社長」という。)が平成26年5月20日に増資を引き受けたD社株式2900株(1株1万円)のうち400株について、3ヶ月も経過しない同年8月6日、ゼタファンドにおいて、価格交渉を行うことなく、特段の根拠もないまま1株6万円で甲社長から買い付けるとともに、同日、ゼタファンドにおいて、D社から1株6万円で1000株の増資も引き受けた。

      なお、上記2900株のうち900株については、同年5月20日及び30日に甲社長から当社顧問でD社取締役の乙に1株1万円で譲渡されている。

      この結果、D社株式は、甲社長が従前の100株と合わせて1700株(1株1万円)、乙が900株(1株1万円)、ゼタファンドが1400株(1株6万円)を保有するに至った。さらに、甲社長は400万円の金銭的利益を得た。

      当該一連の取引は、ゼタファンドがD社株式でのみ運用することを目的とするファンドとして組成されたものであるところ、当社と甲社長との間で、その組成段階から、ゼタファンドを利用することにより、甲社長が金銭的な負担を一切負うことなく、一定の議決権比率と金銭的利益を確保しつつ、D社の資金調達を可能とすることを意図して行われたものである。

      当社は、もっぱらゼタファンドの出資者のためにゼタファンドの運用を行うべき立場であるにもかかわらず、上記のとおり、ゼタファンドにおいてD社株式を高値で買い付けるなどにより、D社及び甲社長に一定の利益を得させる一方、ゼタファンドの出資者の利益を害することとなるような上記一連の取引を行ったものである。

      また、当社は、上記のような利益相反となる資金調達スキームを企図したほか、D社が当該資金調達を行わなければ債務超過であることを認識していたにもかかわらず、ゼタファンドの出資者に対し、これを一切説明しないまま取得勧誘を行っており、ゼタファンドのスキームやD社の財務状況等に特段の問題がないかのような誤解を与える表示をしたものである。

      以上のとおり、当社の特例業務の運営状況は著しく不適切であり、投資者保護上重大な問題があるものと認められる。

    • (3)適格機関投資家出資と評価し得ない出資

      当社は、上記1.記載の業務の他に、複数の特例業務の届出者(以下「届出業者」という。)が営業者となっている匿名組合等(以下「ファンド」という。)に適格機関投資家として出資する(以下「適格機関投資家出資」という。)ことを反復継続的に行っており、届出業者8社が運用する12本のファンドに適格機関投資家出資を行っている。

      当社の届出業者に対する適格機関投資家出資の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

      当社は、すべての届出業者又はその関係会社(以下「届出業者等」という。)との間で、ファンド組成等に関するコンサルティング業務を行うこととする契約を締結した上で、適格機関投資家出資を行っているとしている。

      しかしながら、当社は、当該コンサルティング業務をほとんど行っていない上に、すべてのファンドについて、その運用者である届出業者等から、当社の出資額以上の金額を業務委託手数料として受領していた。

      したがって、当社が行った当該12本のファンドに対する出資は、実質的には、当社が負担することなく、当該届出業者等の負担により行われた実態のないものと認められ、適格機関投資家出資とは到底評価し得ないものである。

      上記のような当社の行為は、届出業者の特例業務について適格機関投資家出資を要件とする金融商品取引法の趣旨をないがしろにするものであり、届出業者に特例業務の要件を充足しないまま違法にファンド持分の取得勧誘や出資金の運用を行わせることとなり得るものと認められる。

      以上のとおり、当社の適格機関投資家出資に係る業務運営は著しく不適切であり、投資者保護上重大な問題があるものと認められる。

      以上、(2)及び(3)の当社の業務運営の状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当と認めるとき」に該当するものと認められる。

参考資料(PDF:128KB)


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一~七(略)

前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)

第五十一条内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

第百十七条法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

(略)

金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

(以下、略)

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