平成28年6月10日

証券取引等監視委員会

上光証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    北海道財務局長が上光証券株式会社(北海道札幌市、法人番号6430001007813、代表取締役 松浦 良一(まつうら りょういち)、資本金5億円、常勤役職員68名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

      • (1)株式会社メディケアインベストメントに関連する債券について

        株式会社メディケアインベストメント(東京都千代田区、代表取締役 池川一臣、金融商品取引業の登録はない。以下「MCI社」、「池川代表」という。)は、診療報酬債権等の買取業務を行うためとして、「ナーシングケア債」との名称の社債(以下「MCI債」という。)を発行し、資金を調達している。

        MCI債の発行残高は、平成28年3月末現在、約62億円となっており、そのうち野畑証券株式会社が約59億円、IS証券株式会社が約2億円を販売している。

        また、MCI社は、TMファンド1号株式会社及び上光メディカルファンド株式会社(以下、それぞれ「TM社」、「JM社」という。)をそれぞれ設立し、運営を行っている。

        両社(代表取締役はいずれも池川代表)は、診療報酬債権等を買い取り、それを「裏付資産」とするとして、TM社においては「ナースケア債」との、JM社においては「メディカルナース債」との各名称の社債(以下、それぞれ「TM債」、「JM債」という。)を発行し、資金を調達している。

        TM債及びJM債の発行残高は、平成28年3月末現在、それぞれ約7億円、約22億円となっており、それぞれ竹松証券株式会社、上光証券株式会社(以下「当社」という。)が販売している。

        MCI債、TM債及びJM債の実態を検証したところ、以下の事実が認められた。

        MCI社、TM社及びJM社の間で、随意に資金の貸借や診療報酬債権等の売買が行われているなど、当該3社は渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている。

        こうした中、MCI社によるTM社からの回収困難な介護給付費債権の買取り(TM債の投資者の損失リスクをMCI債の投資者に転嫁)、TM債の償還資金の捻出のためのTM社からMCI社やJM社への診療報酬債権等の売却等が行われている。

        また、診療報酬債権等の買取り資金の融通のため、MCI社及びJM社の間において、相互に資金の貸借等が行われている。

        当社は、JM債の販売に当たって、商品内容や発行会社等の審査を実質的にはほとんど行っておらず、販売を開始した後も事後的なモニタリングをほとんど行っていないことから、上記のJM債の実態をほとんど把握していない。この結果、当社によるJM債の販売について、以下の問題が認められた。

        • 上記実態に関し、当社は、販売用資料等において、MCI社、TM社及びJM社が渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている実態に一切言及せず、JM社が単独で診療報酬債権等の買取業務の運営を行っているかのような誤解を与える表示を行った。

        • また、上記実態にもかかわらず、当社は、販売用資料において、事実に反し、「診療報酬債権等を取得し、それらを裏付資産として発行される債券」、資金使途について「診療報酬債権、介護給付費債権および調剤債権の取得」などと記載し、また、「比較的安全性の高い商品」と記載し、説明していた。

        当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

      • (2)株式会社エバートラストメディカルファンドに関連する債券について

        当社は、株式会社エバートラストメディカルファンド(東京都江戸川区)が、診療報酬債権等の買取業務を行うためとして、発行している「株式会社エバートラストメディカルファンド発行私募社債」との名称の社債(以下「ET債」という。)を販売している。

        ET債の販売残高は、平成28年3月末現在約4億円となっている。

        ET債については、診療報酬債権等の買取先のうち、買取額の約7割を占めている法人Aが債務超過となっていることが認められた。

        こうした実態について、当社は、(1)の場合と同様、商品内容等の審査及びモニタリング等をほとんど行っていないことから、把握していなかった。

        また、診療報酬債権等の買取先のうち、法人Bについては、平成27年9月に破産手続開始決定を受けているが、当社においてもその事実を認識していた。

        上記実態にもかかわらず、当社は、販売用資料等において「買取対象先は、医療行為等が安定的に継続される見込があり、破綻懸念がない医療機関等に限定しています」と記載し、顧客に対し、あたかも、破綻懸念がない医療機関等に限定して診療報酬債権等の買い取りを行っているかのような誤解を与える表示を行った。

        また、当社は販売用資料等において「比較的安全性の高い商品」「診療報酬等債権の債務者である支払担当機関は、(株)日本格付研究所のレポートでも国に準ずる信用力を有するとされています」と記載し、顧客に対し、あたかもET債が社会保険診療報酬支払基金等と同等のリスクしかないかのような誤解を与える表示を行った。

        当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

      • (3)合同会社プライオールに関連する債券について

        合同会社プライオール(東京都中央区、以下「プライオール社」という。)は、一般社団法人日本保釈支援協会(東京都中央区、金融商品取引業の登録はない。以下「JBSA」という。)によって設立・運営されており、「合同会社プライオール普通社債」との名称の社債(以下「プライオール債」という。)を発行し、資金を調達している。プライオール債によって調達した資金は、JBSAが行っているとする「保釈保証金の立替」に充てるために、JBSAに対して貸付けを行うとしている。

        プライオール債の発行残高は、平成28年3月末現在、約17億円となっており、そのうち当社が約6億円、野畑証券株式会社が約11億円を販売している。

        しかしながら、プライオール債によって調達された資金については、JBSAからの請求に基づきプライオール社から資金の使途を限定することなくJBSAに貸付けが行われており、実際に、JBSAにおいて、MCI社の関連会社の社債引受け、プライオール社への出資等に用いられるなど、「保釈保証金の立替」以外の使途にも充てられていることが認められた。こうした実態について、当社は、(1)の場合と同様、商品内容等の審査及びモニタリングをほとんど行っていないことから、ほとんど把握していなかった。

        こうした中、当社は、販売用資料等において、こうした実態に一切言及せず、プライオール債について、「保釈保証金流動化債券」であり、プライオール債によって調達した資金は、JBSAが行っているとする「保釈保証金の立替」に充てるために、JBSAに対して貸付けを行う旨の説明を行い、調達資金は「保釈保証金の立替」以外の使途には充てられないかのような誤解を与える表示を行った。

        当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

参考資料(PDF:93KB)


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一~七(略)

前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

第百十七条法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

(略)

金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

(以下、略)

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